左遷提督は今日も元気です   作:僻地勤務の兵士

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第32話 大改築

大本営への報告後、返ってきた返答は《調査は横須賀、呉に委任。トラック泊地は別命あるまで待機》だった

 

「無理だ!僕の艦載機でさえ、迎撃に上がった戦闘機は3割損失したんだ!旧世代のレシプロ機に相手できる敵じゃない!」

 

キティは珍しく声を荒らげ、机を拳で叩く

その様子に、会議室に居る全員が神妙な顔をする

静まり返る会議室とは対照的に、外からは工事の音が響いている

昨夜、執務室で今後のことを考えていた時に妖精さんが現れ、提案されたのだ

基地の防御を固めるべきだと

確かに現状、うちの艦隊は1個空母打撃群を編成できる人数しか艦娘がいない

出払ってしまえば、航空基地に待機しているFー15 8機とPAC3 8基しか守るための兵装がない

そこで、基地改装に加え必要な装備の開発、艦娘の建造を許可したのだ

そして今朝から始まった工事は、人間の工事とは違いすぎる圧倒的な速度で進み

今や原型を成していないほどトラック泊地は改装されていた

 

 

会議室での現状報告を済ませ、解散したあとに基地の視察へと出る

休んで良いと言ったのにピーターは着いてきた

 

「休むのも仕事だぞピーター」

 

軽く注意するが、ピーターはトラックの総旗艦として基地機能の把握は急務だと言って聞かず、俺が折れることにした

本館を出て岸壁へ出ると、湾内は見違える物になっていた

港湾入口は分厚い防壁で護られ、如何なる侵入も許さない構えを取り、海面にはソナー浮標が規則的に並んでいる

肩の上に現れた妖精さんの説明では、浮標の下では常に水中探知網が動き、仮に潜水艦が侵入してもすぐに分かるそうだ

その妖精さんに案内され、今度は滑走路にやってきた

俺たち人や艦娘からすれば、模型のような航空基地だが実際には全て稼働する物だ

 

「なにか変わったのか?」

 

俺はパッと見では変化が感じられず、妖精さんに訊ねた

 

「かっそうろは きょうかかっそうろに。だんやくこ と ねんりょうこ はちかにいどうしました。また、かくのうごう もけんせつし、くうしゅうへのそなえもばっちりです!」

 

得意げに話す妖精さん

その言葉を遮るように、見たことない機体が飛んできた

 

「あれはなんだ?プロペラの角度が変わったぞ!?」

 

プロペラの角度が水平から垂直へ変化するのを見て、俺は目を丸くした

 

「あれはVー22 おすぷれいです。りくじょうせん にもそなえ、きちぼうえいのため あめりかかいへいたい や すいりくきどうだん をさんこうに いっこだいたいをへんせいしました。そのゆそうのためのきたいです」

 

わからない部隊名があったが、1個大隊だと...そんなにどっから湧いてきた

頭を抱える俺をよそに、着陸したオスプレイとやらから続々と見たことない装備を抱えた妖精さんが降りてくる

その後も、CHー47 チヌークやCHー53 キングスタリオン、AHー 1 コブラ、AHー64 アパッチなどが続々と工廠方面から飛来する

許可を出したが、資源が心配な俺とは裏腹に顔が輝くピーターを連れて飛行場を後にする

 

 

トラック泊地はトラック諸島の全ての島で構成される

しかし、今までは人手もなく人数も少なかったため本館のある島しか開発されていなかった

だが今では、全ての島の頂上にはパラボナアンテナが建設され、24時間体制で上空や海上を監視

侵入者があれば、直ちに陸上から対空対艦ミサイルが降り注ぐ

島の電源も、妖精さんによって地下に原子力発電所が建設された

もはや泊地ではなく、要塞へと変貌を遂げたトラック泊地にまた新たな艦娘が着任する

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