基地から少し歩いた所にパブがあった
基地には戦火を逃れてきた人が大勢いたが、ここではまだ日常が何とか続いていた
「かんぱーい!」
3人はカウンター席で乾杯をした
「ぷはぁ…おいしー!」
ビールを一気に半分ほど飲んだキティが感嘆の声を上げる中、レイとロイは神妙な面持ちで瓶を持っていた
そんな様子に気づいたキティは、フィッシュアンドチップスを頬張りながら首を傾げた
「どうしたの?」
その問いかけに、レイが口を開いた
「私とロイは今回の一件でモスクワを危険因子だと思った。そこで監視をしようと思うんだが、キティも加わってくれないか?」
その提案にキティの手が止まる
「それ、ピーターは知ってるの?」
その顔には先程までの緩んだ表情はなかった
「いや…ピーターは総旗艦だ。全員をまとめなきゃいけないピーターに話すのは、監視に気付かれるリスクが大きい」
「それは私も同じだと思うけど?
キティの言うことも最もであった
「しかし、
「まぁね…あ、ビールもう1本ください」
1本目を飲み干したキティは注文しながら肯定した
「あいつは深海棲艦に核を使うことに対して一切の戸惑いがない。その考えは、いずれは誰に対してもになる」
「そこで私たちが監視をし、モスクワの暴走に備えないといけないと思う…仲間として…最悪沈めてでも」
沈める
その言葉にキティはダン!っとビール瓶を机に叩きつけた
その音で、ガヤガヤと賑わっていた店内が静寂に包まれた
「2人とも何を言ってるのか分かってるの!仲間を沈めるなんて!!」
「しかし、私たちが今まで行なってきた任務だ!艦船の姿から人間の姿に変わっただけで、秩序を乱す者には容赦しない…それが
レイも瓶をカウンターに叩きつけ、2人は睨み合う
「僕は反対だ!確かに今回の行動は許し難い違反行為だ。だけど、それで仲間を沈める可能性のある対象として監視するなんて絶対ダメだ!ましてや、提督がそんな事は許さないよ!」
「アイツが暴走した場合、止められるのは私たちだけなんだぞ!」
互いに胸ぐらを掴みかけた時、店のマスターが口を挟んできた
「3人とも落ち着きな。軍人さんがこんなところで喧嘩しちゃダメだよ」
そう言ってショットグラスを3つ出してきた
「ショットでも飲んで今日は帰りな」
優しい物言いだったが有無を言わさぬ圧力に、3人はショットを一気に飲み干すとお金を置いて店を出た
店を出て基地までの道中を無言で歩いて3人は、気が付けば営門の前まで戻ってきていた
基地へ入る前にキティが振り返る
「さっきの件…僕は聞かなかったことにする。だから、2人も考え直して欲しい」
それだけを言うと、1人で基地へ戻ってしまった
その背中が見えなくなるまで、レイとロイは立ち尽くしていたがどちらともなくポツリと言葉を零す
「アメリカがソ連を…あんな事した奴を信じられるか…」
「キティは甘いわ。やっぱり監視は2人ですべきね」
そう言い互いに視線を合わせると、静かに頷きあった