左遷提督は今日も元気です   作:僻地勤務の兵士

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第52話 温度差

「えいせいは すぐに つくれますよ。ずめんが ありますから…ただ」

 

「そう資源だよなぁ」

 

俺は工廠で妖精さんと話して頭を抱えた

EMP攻撃のせいでヨーロッパ方面の衛星が壊れてしまい、ピーターたちと連絡が取れず新しい衛星を打ち上げようにも資源が心許ない

 

「あの大和が居る呉鎮での1ヶ月消費資源量を、ここは1日で消費するからなぁ」

 

そうなのだ

強い兵器や便利な設備はその分、資源も大量に消費する

今までは おおすみ と くにさき が頑張って資源を集めてくれていたし、備蓄量で帰ってくるまで資源が枯渇することはない

しかし、新たな衛星を作ってしまうと、その資源がごっそり無くなってしまうのだ

 

「困ったなぁ」

 

工廠を出て1人歩いていると、きゃあきゃあと黄色い悲鳴が聞こえる

その声の方へ行ってみると、今日は非番にした横鎮組が水着で遊んでいた

 

「青い海!青い空!白い砂浜…は無いけど、最っ高のロケーション!派遣と言うよりバカンスじゃない!」

 

陽炎がそう叫び、護岸から海へ飛び込んでいく

 

「陽炎さん!準備運動しないと危ないですよ!」

 

飛び込んだ陽炎に注意する涼月の背中を川内が押し、涼月も海へ落ちていく

それに続いて川内も飛び込み、ここからじゃ見えないが海面で3人が騒いでいるのが声でわかる

そんな騒がしい3人から少し離れた場所には、ビーチチェアとパラソルが設置され、赤城、加賀、足柄がストローを刺したヤシの実を片手にくつろいでいた

 

「まったく…まだまだ子供ねぇ」

 

足柄がそう口にすると

 

「良いじゃないですか。横須賀の海じゃあんな事出来ないですし、帰ったらあの激務が始まるんですし」

 

「休む時にはしっかりと楽しむのも大事よ」

 

と、赤城と加賀が答えていた

楽しそうでなにより

俺は邪魔をしないようにそっと離れた

 

 

「おかえりなさい提督、どうでした?」

 

執務室に戻ると、今日の秘書艦のトリポリが書類から顔を上げて聞いてきた

 

「衛星自体は直ぐに作れるみたいだ。ただ、資源の問題がな」

 

そう答えると、トリポリはキーボードを叩いて画面を見つめた

 

「確かに今の備蓄量だと、日常の運営でなら余裕がありますけど…建造や開発に回す余裕は無いですね」

 

「あぁ…HF無線が頼みの綱だったが、先日から太陽の活動が活発で使い物にならないからな」

 

「電離層の磁気嵐が収まるまでは、無理ですね」

 

2人同時にため息をつき、俺たちは視線を落とした

 

 

「つまり、君たちの艦隊にこちらの艦娘を同行させるという事か?」

 

元帥の言葉にキティとピーターは頷く

 

「私たちは衛星があっての艦隊です。しかし、今はそれが破壊され従来の視覚索敵、受動探知戦に切り替わりました」

 

「しかし私たちは、その戦い方の経験値が足りません。そこでイギリスの皆さんの出番という訳です」

 

ピーターたちの説明にイギリス側の艦娘は顔を見合せ、コソコソと話し合う

 

「ジャービスは出てもいいけどぉ〜…あの飛行機が怖いなぁ」

 

そうジャービスが言うと、誰もが確かに、その通りだと口々にする

 

「その事だけど、敵の航空機は戦闘に参加出来ないと思う。僕たちの世界で第5世代戦闘機と呼ばれる物に部類される実力を持ってるようだけど、先の攻撃によって電子部品類はズタズタだろうからね」

 

「けど、それは君の同じではないか?」

 

アークロイヤルがキティに問いかける

 

「Fー18は戦闘に参加出来ないだろうね。ホークアイも従来の性能は出せないと思う。けど、上空での目視管制と伝令に従事させ、防空はFー14が担う」

 

「なるほど…今であれば私の艦載機の方が強いわけだな」

 

アークロイヤルの言葉にキティが頷く

 

「じゃあミサイルって兵器も使えないのか?」

 

今度はヴァリアントがピーターに尋ねた

 

「使えないってことはないけど…精密誘導は無理だから、信号弾や照明弾をデコイとして活用すれば避けられると思う。そして決着を着けるのは、有視界下による砲雷撃戦だと予想します」

 

「では、余たちの普段の戦いが出来るというわけだな」

 

ネルソンが拳を作り不敵な笑みを浮かべる

 

「そういうことです。理解して貰えた所で作戦参加希望艦を募りたいと思います」

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