左遷提督は今日も元気です   作:僻地勤務の兵士

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第6話 希望の星

おおすみ と もがみ が着任してから1か月が経った

ピーター、ウォルト、もがみ の3人を交代で護衛に付けての資源輸送が行われ、泊地運営に支障のない程度には備蓄出来た

そのおかげでつに今日、衛星の打ち上げを行う

 

「いよいよですね…」

 

「...」

 

「私の努力の賜物ね」

 

「これで本領が発揮できます」

 

ピーター、もがみ、おおすみ、ウォルトはそれぞれの反応を見せながら、本館屋上から打ち上げの時を今か今かと待っていた

 

 

「そちらのボタンをおせばはっしゃされます」

 

俺は打ち上げ管制を行う部屋にいた

記念すべき衛星第1号、名前を天照と名ずけた衛星を打ち上げるためだ

管制室は妖精さん曰く、ロケット打ち上げやその後の管理には必須と言われたため許可したが...この時代には存在しない機器だよな

 

「分かった」

 

色々と疑問は耐えないが、もう諦めた俺は妖精さんの説明に耳を傾ける

 

「はっしゃ60びょうまえからカウントがかいしされます」

 

説明が終わると、部屋前部にある大型スクリーンなるものに視線を向ける

そこには静かにその時を待つ白い筒が映っていた

 

 

泊地にサイレンが鳴り響く

 

『うちあげまで10、9、8』

 

カウントが始まった

そしてスピーカーから聞こえるカウントがゼロを伝えた時、ロケットはその体から炎を吐き、白煙と共に空高く打ち上がる

 

【挿絵表示】

 

 

「うちあげはせいこうです。ロケットはきどうえいせいじょうにのりました。あとはきりはなしをおこないます」

 

「そうか。成功か」

 

俺はモニターから空に上がっていくロケットを眺めていた

妖精さんの言っていることは、ここ1ヶ月の彼女たちによって行われた講義によって理解出来るようにはなった

しかし、ここから先は妖精さんに任せるしかない

 

「衛星はあと何機打ち上げるんだ?」

 

俺の問いに妖精さんは暫し考えてから

 

「ごうけい12きです。せいしえいせいがよびきをふくめ3き。ていきどうえいせいがよびきふくめ8きです。これでにほんからアメリカせいがんまでのたいへいようかいいきはカバーできます。あとはかつどうかいいきがふえるたびに、じゅんじあげていきます」

 

「分かったありがとう。残りは準備出来次第、そっちで上げていってくれ」

 

「わかりました」

 

俺は管制室を後にした

それから2日で衛星の打ち上げは完了した

 

 

衛星が打ち上げ終わった翌日

提督からの指示で海上において通信テストを行うため、夜の海面を銀に染める月光の下、4人の艦娘がそれぞれの艤装を展開していた

静寂を切るように、ズムウォルトの艦橋型センサーが稼働する

 

「こちらズムウォルト、衛星リンク回線、起動。……データリンク・チャンネルαを開設」

 

冷ややかな電子音と共に、ズムウォルトの声が静かに響く

艤装後部のステルスマストから、目には見えない光線が夜空へ伸びていった

 

「ピーターソン、受信確認。──リンク安定。遅延、0.2秒以下。やったわ!」

 

ピーターソンが満足げに微笑む

アメリカ艦らしい鋭角的な艤装の中で、双眸だけが柔らかく輝いていた

 

「こちら おおすみ。日本側通信系統との同期、正常。各艦の位置情報、リアルタイム共有を確認」

 

おおすみ は慎重な手つきで手元の戦術パネルを操作しながら、短く報告を入れる

新設された衛星回線による統合管制データが、彼女の艤装モニターに浮かび上がった

 

「もがみ、リンク完了。ステルス波形維持しながら通信保持。衛星経由のデータ転送、損失率0.03パーセント」

 

もがみは短く告げ、右腕のコンソールをスライドさせた

青灰色の瞳が夜空を一瞥する

そこに浮かぶ衛星は、肉眼では見えない

だが彼女たちには、その存在が確かに感じ取れた

 

「これで、本領発揮できるね」

 

ピーターが大はしゃぎする

 

「ええ。海のどこにいても、私たちは繋がっていられる」

 

ウォルトの口調は穏やかだったが、どこか誇らしげだった

もがみ が無感情な口調で補足する

 

「通信遅延許容範囲内。衛星経由でもUAV誘導可能。これで中距離任務に支障なし」

 

「もがみ、少しは感情を込めなさいよ」

 

おおすみ が苦笑まじりに言うと、もがみ はわずかに首を傾げた

 

「これでもはしゃいでいるのですが...ピーターみたいにはなれません」

 

「……まあ、貴女らしいわね」

 

おおすみが微笑み、もがみは黙って夜空を見上げた

その瞬間から、衛星回線を介して4人の艤装が同期する

モニターにそれぞれの戦術データが重なり、ひとつの光の網が形成された

まるで海と空を縫うように、情報の光線が広がる

 

「通信衛星“天照''との交信確認……テスト完了」

 

もがみが報告を締めると、空に浮かぶ青い光が静かに明滅した

 

「これで、どんな海でも孤独じゃないね」

 

ピーターがそっと呟く

 

「ええ。今度の戦場では、空も味方にできる」

 

ピーターの言葉に、ウォルトが応えた

そして、4人は無言で星空を見上げた

そこには新たに加わった、彼女たちの“目”が輝いていた

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