大本営から帰ってきたら、泊地がなんかすっごい事になっていた
裏山の上には聞いた話ではパラボラアンテナなる物が建ってるし
鬱蒼としたジャングルは切り開かれ、滑走路は出来てるし...
俺は急いでピーターの姿を探した
「ピーター!!」
名前を叫びながら本館へ入ると、事務室から気まずそうに顔を覗かせるピーター
「て、提督...おかえりなさい」
「ただいま...ってそれどころじゃない!なんだこの有様は!?」
ピーターは目を逸らし、頬を掻きながら
「私も知らない間に妖精さんが開発と建造しちゃって...一晩明けて外見たらこんな風になってたんです」
なってたって…俺は妖精さんに文句を言いに行こうとしたが、自分の言葉を思い出す
『資源輸送が順調になれば、好きに開発も建造もさせてやる』
原因は俺でした
その事に気付き、ピーターや妖精さんを叱る訳にもいかなくなった
「ん?ちょっと待て。建造とも言ったか?」
「それはぁ...」
ピーターの視線を追うと、そこに新たな艦娘が立っていた
「君がここの提督か。では改めて、僕はUSS Kitty Hawk。アメリカ海軍の鷹の母艦って呼ばれてたんだ。原子力ではないけれど、その分柔軟に動けるよ!トムキャットもホーネットも僕の飛行甲板で育ったんだ。頼りにしてね!」
く、空母...あははは
「提督!しっかりして提督!!」
俺は目眩を起こし、その場で倒れた
ん...ここはどこだ
視界がぼやけてハッキリとしない
「ーーーー!?」
「ーーーー!!」
うるさいなぁ
少し静かにしてくれ
「ーーどーーー!!いーーてっーー!!」
誰の声だ
最初はハッキリとしなかった意識が時間と共に回復する
そして驚愕した
ここは大本営の作戦部じゃないか
「桐生!情報が間違っていたのか!?」
肩をいきなり掴まれる
反射的に顔を上げると、そこにあったのは懐かしい作戦本部長の顔だった
「情報とはなんの事ですか?」
事態が読み込めない俺は現状に似合わない質問をすると、本部長はすごい剣幕でまくし立てる
「なんの事だと!!貴様が立案した作戦には姫級は1隻しかいないと報告されていた!だが、戦闘海域で艦隊は姫級3隻と交戦中なんだぞ!!」
その言葉でさらに俺は混乱した
何を言ってる...その作戦は去年の夏に失敗で終わっているはずだ
多数の轟沈者を出して
混乱する俺をよそに、また誰かが呼んでくる
『提督!しっかりしてください提督!』
目を開けると、そこにはもう見慣れた執務室の天井が広がっていた
傍らではウォルトが珍しく焦った表情を浮かべている
「どうしたんだ?そんなに慌てて」
俺はウォルトを安心させるために声をかける
「だいぶうなされていたので心配しましたよ」
うなされていた?
じゃあさっきまでのは夢だったのか
俺は額を伝う冷や汗を手の甲で拭うと、寝かされていたソファーから身を起こす
「何がどうなってる...それにピーターは?」
「ピーターは泣きじゃくって看護にならなかったので。私が変わったんです」
そうか...ピーターには悪いことをしたな
それにしても、最近見なくなった夢を再び見るとは
俺は心配そうにこちらを見るウォルトに精一杯の作り笑いを向ける事で安心させようとしたが、それは逆効果みたいだった
「提督...無理に笑わないでください。あなたがなにか事情があってここに居ることは皆が薄々感ずいています。でも、その理由を知ったからといって私たちは失望しませんから」
「ウォルト...」
「だから、聞かせて貰えませんか?話せば少し楽になると思いますよ?」
俺は視線を床へ落とした
この話は艦娘である彼女たちに知られていいのか迷った
でも、いずれは話さなければならない
それに、これから彼女たちは任務を通して多くの人と関わるだろう
そしていずれは誰かから俺の左遷理由も聞いてしまうだろう
それが意図的かどうかは関係ない
だが、人伝で聞いた時に1番傷つくのは彼女たちだ
俺は決意を固め、ウォルトに頼み事をする
「すまないが全員をここに集めてくれるか?」