1/32の峠 ―Drift & Dash―   作:Kataparuto

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大人気なかったか(前回アンケート)
公式レースはあれが最後なので許して……

では、みんな大好きパワーブースター回です


ACT.6 二つの閃光!幻影VS爆進!

ダウンヒルを駆け下りてきたハチロクS2。

 その堂々たる姿を見せつけて藤吉へバトンが渡った。

 

「行くでゲス!」

「よし、烈君はすぐに休憩に入ってくれ、次はソニックだ!」

「了解です!」

 

ゴールへ駈け込んできた烈を博士が労い一旦ブースへ下がらせる。

ブースへ帰ってきた烈は拓海に手に持っていたハチロクを手渡した。

 

「……コーチ、ハチロクS2お返しします!」

「あぁ」

 

 モーターからの排熱で未だ熱を持つハチロクを受け取り、拓海はじっとそれを見た。

 かつての自分で走らせていたAE86、大好きだったあの車の魂が今ここに居る。

 すこし泣きそうな気分になりながらも堂々とした走りを決めたハチロクにねぎらいの言葉をかけてケースへと納める。

 拓海は気を取り直して烈へ話しかける。

 

「烈君、大丈夫か?」

「はい、殆ど指示もすることなかったので……。それよりも、あの走り、どういう理屈なんですか?」

「そういうのはレースが終わった後でな、どうも藤吉のセッティングがハマらなかったみたいだ、抜かれることはないが僅差のスタートになる。ソニックの準備はリョウがしてくれている。コース情報が出たがまさかの海底トンネルだ、路面は海底がむき出しになる、つまり水浸しのダート」

 

 驚いたことにリアルタイムで透明なかまぼこ型のチューブを海底に下ろし、そこから中の水を抜いてそのままコースにしてしまうというものだった。

 水を含んだ泥が堆積している路面状況で走行となるとまともな走りはできない。

 アクティブサスペンションを搭載したバックブレーダーの方が有利と言える。

 

「烈君、セッティングはどうする?」

「スパイクタイヤを、モーターはトルクチューンのままギア比を下げてトルクを太く!」

「わかった、こっちでやっておく、しっかり休んでくれ」

「ありがとうリョウくん」

 

リョウとJが力を合わせてソニックのセッティングを変更していく。

 任せておいて大丈夫そうだな。

 

「ああいう地面は一度止まったら抜け出せなくなる、とにかくどんなルートでも、走りを止めないようにしろ」

「はい、コーチ。とにかくリタイアを避けて豪へつなぎます!」

「あぁ。豪、お前もそろそろ移動だな、船で移動になるみたいだからケガに気を付けるのと、一応予備パーツもしっかり持っていけ」

「分かってるって!烈兄貴、待ってるからな、必ず来いよ!」

 

そう、海底チューブの先はアストロドームから離れた海上地点、そこから今度は海上を戻ってくることになる。

 とはいえ海の上を走れというものではなく豪の得意の超ロングストレートだ。

 海風をどういなすかを試される構造なのだろうが、土屋博士の空力設計の基本に風を味方に付けるという理念がある、そのためスーパーダウンフォースマシンのマグナムであれば逆に海風を利用してより速く走れるはずだ。

 それにサイクロンドリフト用の左右の独立ウイングもより効果的に使うことができる。

 マグナムが前に出てスタートできれば勝ち目は十分にあるだろう。

 

――だけど……あのアメリカチームのマシンがアクティブサスペンション程度で満足しているのか?

 

 拓海としてもアストロレンジャーズのマシンに対していまだにその性能を侮ってはいなかった。

 ハチロクS2が圧勝したのは下りのテクニカルセクションという藤原拓海の走りが全てぶつけられるようなシチュエーションだったからだ。

 それ以外のシチュエーションではバリエーション豊かなビクトリーズのマシンたちに対して互角に戦えている。同一マシンの専用チューニングでスペックを変えられるのだ。

 そのような拡張性を持ったバックブレーダーが果たして必殺技の一つも持たずに世界戦へ挑むのか?

 答えはNOだ。

 

「油断するなよ、豪……」

 

 そうこうしているうちに藤吉が何とかリードを保ったまま烈へとバトンをつなぐ。

 

「すまないでゲス、予定より高速エリアが多かったでゲス……!」

「大丈夫さ!行くぞ!ソニック!!」

 

 ソニックと烈はそのまま海底チューブへ、遅れてアストロレンジャーズも後を追う形でスタートする。

 

「くっ、予想よりもっとひどい……!」

 

泥が蓄積している海底、そこの水抜きをしただけのコースは烈の予想をはるかに上回る状況の悪さだった。

 ある程度は排水時に水ごと泥が抜けていったようだが岩がある場所以外は接地感がかなり低い。

 さらに凹凸も多くまっすぐ走るだけでも神経を使うような状況だった。

 幸い、ゴムスパイクタイヤにした上でギア比でトルクを太くしていたのでスタックするようなことはないがこのような路面が続く限り油断は一切できない。

 

「よし、見えてきたな!」

「くっ」

 

 後ろを走っていたアストロレンジャーズのハマーDが追い上げてきていた。

 アクティブサスペンションの安定感とトルク重視のチューニングになっているのであろう、力強い走りでぐんぐん距離を縮めてくる。

 閉鎖された海底トンネルは地面とマシン以外には何もない、

 ただひたすらに障害を乗り越えて走っていくしかないコースだ。

 己との戦い、烈は気を引き締め、他の情報を気にしないことにした。

 追いかけてくるバックブレーダーは捨て置き、目の前のソニックとコースにだけ集中する。

 このコースの走り方が分からない状態で焦ってペースを上げれば、思わぬ落とし穴に引っかかるかもしれない、だからまずはマシンと、コースと対話をする。

 路面が滑るならこちらから滑らせて制御下に置く、トラクションを稼ぐために水たまりではない場所をちゃんと選ぶ。

 ただし、泥が詰まってくるので直線の場合はわざと水たまりへ突っ込み泥を落とす。

 岩が露出している場所はしっかり踏んで加速をつける。

 丁寧に、丁寧に一つずつ烈は自分の中で順序だててコースの攻略を組み立てていった。

 そのおかげで、わずかずつ走りが変わってくる。手探りだった凹凸を避けるためのドリフトが大胆に、直線でも無駄な空転を防ぎつつすべてのパワーを前進する力へ変えていく。

 

「くそ、なんであの程度のマシンでバックブレーダーより速いんだ!?」

 

 マシンパワーと特性に任せて走っていたハマーDとの距離が縮まらなくなる。

 それどころか出口に近づくほどコースに変化が出てきていた。

 

「魚!?」

 

 取り残された魚がコースの上に点在しているのである。

 もはやレース用のコースではない、障害物走やジムカーナのようなものだ。

 

「コーチの、ハチロクS2の走りを思い出すんだ……!!」

 

 すべてをつなぐ糸のようなドリフト。理想とする姿を先ほど間近で見た烈にとって今この状況はそこで学んだことの証明の場となる。

 

「……行くぞ!!ソニック!!!」

 

 烈の言葉に応えるようにアクセルON。

 すでにこのコースの走り方は分かった、ここから無茶を通すところだ!

 目の前に大きな魚が横たわる、そこへ突っ込んで行ったソニックは先ほど見たセイバーS2のゼロカウンタードリフトをそっくりまねて繰り出し横へかわす。

 だが、そこからキレ良く姿勢を変えて、まるでサイドステップするかのような動きで魚をかわした。

そのキレの良さは蜃気楼のように残像を残すがごとく。

 

「すごいぞソニック!!新しい必殺技だ!!」

「ミニ四駆ならではだな……」

 

中継映像を見ていた拓海も舌を巻く。

 

「改修したマグナムからのフィードバックでフロントウイングを左右独立可動出来るようにしたのが効いたみたいだね」

 

 土屋博士曰く。

 これはサイクロンマグナムのサイクロンドリフト運用のためデータフィードバックが行われた後、サイクロンドリフトの運用によって分割稼働による車体左右への荷重変化の有用性が実証されたため、逆輸入する形でハリケーンソニックのフロントウイングも左右独立可動するように改修されていた。

 ゆえに先ほどのクイックな挙動は、一度外側へマシンを振り、必要なコースチェンジを終える

 そののち内側の前輪に荷重をかけ、そこを基点に回頭する。

 車の走り方の常識から外れるため、まるで横に消えたように見えるというわけだ。

 

「無論、無敵の必殺技ではないがね、マシン全体の荷重が基点になるタイヤにかかるから使う回数は限られるだろう。だが、アタックもブロックも、コーナー攻略に、あらゆる場面で使える万能の必殺技だ」

「えぇ、先程のハチロクS2の動きをまねているなとは思っていましたが、こういった形でものにするとは思わなかったです」

「君の走り方は荷重移動が全てだからね、この間のサーキット体験から彼の中で今のマシンの荷重状態がイメージできるんじゃないかな」

「はい、そう思えば体験させて良かったと思います。それでボイスコマンド用の名称はどうします?」

「そうだね……はた目には掻き消えるように場所が変わっている……」

 

 少し考えこみ土屋博士はポンと拳と手のひらを叩き合わせた。

 

「うん、《ハリケーンミラージュ》というのはどうかね?」

 

『土屋博士!それで行きます!』

 

「返事が早いな……。烈、マシンの状態はどうだ?」

 

『路面状態が悪いのでモーターの負荷が高い感じです、ただ、今の路面ならタイヤへの負担も少ないのでハリケーンミラージュを多用して抜けてみます。そうすれば総じてモーター負荷も減ると思います!』

 

「わかった、ただ、幾ら泥の地面とはいえ負荷がゼロになるわけじゃない、限界だと思ったら通常走法へすぐに切り替えて次へ繋げることだけを考えてくれ」

 

『はい!でも、今のソニックなら絶対大丈夫です!!』

 

 もはや烈にこのコースへの不安は一切なくなっていた。

 ソニックの状態がまるで手に取るように分かる、新しく身に着けたハリケーンミラージュも何度も使ってきたと言えるほど馴染んでおり、次々と障害物をかわしほぼ直線で進んでいるようなものだった。

 車体の荷重移動、それは車体にかかる力の流れを作るものだ。

 これを制御しきることでまるで一本の糸のようにコースを走れる。

 さすがにハチロクS2のような精度はまだ出せないが、このレースに限っては烈以上にそのことを実践できているレーサーはいないだろう。

 

「何が起きてるんだ!?あのマシンの走りはなんだ!?」

 

後方を走っていたハマーDは完全に混乱していた。

 前を走っていたソニックは速いながらもまだ追いつける余地があった、だが、先程見せた横への瞬間移動、一度使って以降ほとんど進路変更せずに突き進んでいく。

 バックブレーダーのアクティブサスペンションを使っていたとしてもあのような直進はできない。

 

「オペレータールーム!!データをくれ!!あのマシンに一体何が起こってるんだ!?」

 

 完全に混乱していた。パニック状態と言っていいだろう。

 彼が言うオペレータールームとは衛星軌道上にある監視衛星を使ったコースデータの収集を行っている場所だ。

 アストロレンジャーズはここからコース情報を入手し走行を組み立てている。

 しかしコースは海底、衛星軌道上からはコースデータの取得ができない。

 そのためデータ分析で走りを決めるハマーDにとっては目隠しをされたような状態で走っているようなものだった。

 

『落ち着けハマーD!』

 

 そこへリーダーのブレットから叱責が飛ぶ。

 

『俺たちはいつも訓練しているだろう!!その中にはオペレータールームと連絡がつかない場合のシナリオもあったはずだ』

「リーダー……。すまない、どうかしていた……」

『いいんだ、まずは俺までバトンを繋げ、後は任せろ!』

 

そこまで言ってブレットは通信を切る。

 

「へ、幾らハイテクって言ったって機械に頼りっぱなしじゃ世話ねーな」

 

 高速コース用にローラースケートに履き替え、マグナムの最終点検をする豪。

 それにたいしてブレットもバックブレーダーの調整をしながら答える。

 

「仲間のミスだが、頼りっぱなしではいけないとは思っているさ。だが、お前たちのマシンのように力を合わせることはできる。ゴウセイバ、間違いなくお前が先にスタートするだろう、だが、俺は負けない」

「俺とマグナムのストレートの速さは知ってんだろ?可変ウイングでダウンフォースの最適化も出来てんだ、やすやすと追いつかせねーぜ!」

「分かってるさ、だが結果はゴールで見せてやる。せいぜい海風にあおられてコースアウトなんて真似をするなよ」

「けっ、そんなヘマだけはしねーよ」

 

 ブレットのサングラスの奥の目からほとばしる闘志に豪も気合を入れなおす。

 ここまで言うのだ、多分追いつかれる可能性がある。いつかの練習走行中、最高速度でちぎっていたハチロクセイバーに追いつかれた時にコーチも言っていたが一見余裕の状況が一番怖いと。

 

「油断せずに行こうぜマグナム」

 

 啖呵を切ったブレットは内心先ほどのハチロクS2の走りからくる自分たちの自信、今まで積み上げてきた常識が崩れ去る直前で何とか踏みとどまっていた。

 宇宙飛行士の訓練課程でこの大会に参加していた、全てを制御下に置き、定石をもって事に当たる、万全を期して予定調和において制するという、至極当然な物。

 だが、あのハチロクS2はなんだ?常識外れのライン取り、計算すれば説明は付くのだろうがあり得ない挙動、障害物になるはずだったジョーのマシンをまるでないもののように容易く抜いていく。

 可変ウイング程度のシステムだけで、魔法のようにコーナーで車体を曲げて駆け抜けていく。

 データがないマシンだったのはある、だがそれを抜いてもあんな貧弱そうなマシンから出る結果ではなかった。

 だからこそ、ここで勝たなくては自分たちのここまでの訓練の否定されかねないような恐怖も湧き上がってきている。

 余裕そうな表情を見せるブレットだったが、今、アストロレンジャーズという共同体全体の命運を握っているのは彼なのだ。

 リーダーという立場だからこそ、彼はその焦りや恐怖を外には出さない。

 それにブレットの持つバックブレーダーには他のマシンには無い新装備が搭載されている。

 それさえあれば、また勝ち目はあるはずだ。

 

 

「豪!!来たぞ!!」

「兄貴!待ちくたびれたぜ!!いっけっぇぇぇマグナーーム!!!」

 

烈から豪に交代し先に豪が走り出す。

遅れて十数秒、持ち直したハマーDから交代する。

 

「すまないリーダー……」

「気にするな!ゴー!バックブレーダー!!」

 

 ブレットが走り出す。

 サイクロンマグナムの背中は遠い、さすがの超高速マシン、ロングストレートを使い底の見えない加速を続けていく。

 

「オペレータールーム、距離の計測を開始してくれ」

 

 そういうとブレットのサングラスのレンズ部分に仕込まれているHUDにゴールまでの距離が表示される。

 

「さて……通常走行でどこまで詰めれるか……!!」

 

 バッテリーを使い切る計算でブレットはバックブレーダーに加速を命じる。

 コース自体は超ロングストレートだが途中にいくつかの大きな山が設けられている、ジャンプスポットとしても使えるそこをマグナムは当然飛び出す、空力設計と可変ウイングで海風が吹き荒れる海上ですら綺麗なジャンプ姿勢から着地し再加速。

 だが、ブレットのバックブレーダーは飛び出さずにその坂道を利用して加速する。

 アクティブサスペンションを使い上手く飛び出す力を逃しているのだ。

 それにより、下り坂を得たバックブレーダーは想定より早い最高速度を獲得しわずかずつだがマグナムとの距離を詰めていく。

 ほぼ最高速度のマグナムにテクニックで勝負を仕掛けるブレットとバックブレーダー。

 そして、その時が訪れる。

 

「……距離1000!!!」

 

 絞り出すようにブレットは呟き、目を見開き、前を行くマグナムをにらみ叫んだ。

 

「行くぞバックブレーダー!!パワーブースター!!ON!!!!」

 

 爆発的な加速、残っているバッテリーすべてを使い切る超加速。

 バックブレーダーの必殺技、今回のレースから搭載された新装備で、基礎性能の高いバックブレーダーに爆発力を追加するために搭載されたものだ。

 実を言うと開発が遅れておりようやくの搭載となったものだがその威力は相当なものだった。

 

「……速い!」

 

 モニター越しに見ていた拓海が思わずつぶやく、その最高速度はマグナムのそれをはるかに凌駕しているが、ゴールまでに追い抜かれるか微妙な所だった。

 

「頑張れマグナム!!」

 

 豪はマグナムに声をかける。だが、マグナムのスペックはほぼ出し切っている、可変ウイングでダウンフォースも最適化した状況でもはやこれ以上の速度アップはない。

 空気を切り裂き迫るバックブレーダー、だがゴールまであと少し。

 

「マグナムの勝ちでゲス!!」

 

 そう藤吉が声を上げると同時にブレットが叫ぶ。

 

「まだだ!!!バックブレーダー!!エクストラブースターオン!!!」

 

 エクストラブースター、新搭載したパワーブースターとは別にブレットが提案し彼のマシンにだけ搭載された新機構。

 パワーブースターで発生する過放電を再回収し専用のコンデンサに再充電、加速終了間際その電力を使ってさらにオーバーロードさせるシステム。

 モーターリミッターも解除する最後の一刺しともいえる文字通りのエクストラな必殺技である。

 モーターリミッターを解除したバックブレーダー、最後のコンデンサの電力がモーターへ叩き込まれアクティブサスペンションで抑えきれないほどの超加速。

 

「いっけぇっぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

 

ブレットの魂からの叫びと共にバックブレーダーがマグナムに追いつく。

 そして僅差でバックブレーダーがゴールラインを先に踏んだ。

 

「ゴォォォォォル!!!勝ったのはアストロレンジャーズ!!見事な逆転だぁぁぁぁぁ!!!」

 

 実況のミニ四ファイターが盛り上げるなかマグナムを手に取った豪にブレットが近寄る。

 

「ゴウセイバ、言ったとおりだっただろ?」

「……完敗だ、すげーよ!お前もバックブレーダーも!」

 

 そう言いながら豪はブレットと握手を交わした。

今までの豪なら、悔しさをにじませて暴れていただろう、だが、このレースにおいては自分のマグナムのスペックを限界まで出し切っていることを理解し、その上で勝てるシチュエーションはここまでで作られていた。

そしてそこからブレットの執念で最後まで諦めなかったからこそ負けたと分かっている。

だから、相手をたたえこそすれ、自分の不満を振り回すようなことはしなかった。

 

「驚いたな、前までのお前だったら駄々こねていただろ」

「へん、さすがにこんな負け方したら素直にすげぇって思うだろ。褒めて損したぜ」

「ふっ、いや、こちらこそ素直にいい勝負だった。ゴウセイバ次のレースはこれが俺たちの走り方になる、どう攻略してくるか楽しみにしてるぜ」

「おう、待ってろよ、俺とマグナムが最速だって証明してリベンジしてやるよ!!」

 

 こうしてアストロレンジャーズとの二戦目はアストロレンジャーズ側がリベンジを果たす結果となった。

 

 試合終了後のブリーフィング。

 負けたビクトリーズだったがその表情は皆が晴れやかだった。

 

「アストロレンジャーズ、やはり侮れないな……」

「うん、パワーブースター、あれは強力だよ、単純だからこそ速い」

「あぁ、最高速のマグナムを追い抜くなんて尋常じゃないぜ」

「よし、お前ら、今回のレース良かったぞ。各々が出来るすべてを出し切った結果だ、負けは負けだが得る物も非常に多かったと思う」

 

 各々が感想を交わす中、拓海が統括した。

 

「とりあえずジョーからの謝罪は大丈夫だったかリョウ?」

「あぁ、相手も忖度せず本気で走ってくれてたからな、特に不満はない、そもそもが事故だしな」

「よし。次に藤吉、セッティングがハマらなかったのは仕方ないがその後あの程度の差に抑えたのはよくがんばった、僅かなテクニカルセクションに全力を注いだのは正解だ」

「もう少し汎用性を持ったセッティングにするでゲス……」

「Jと烈は言わずもがだな、見事な走りだった、特に烈、新必殺技のハリケーンミラージュは今後の大会においてチームの要になるほどのものだ、通常路面での練習を明日からやってみるといい。路面のミューが違えばタイヤにかかる負担や挙動に変化が出るはずだ」

「はい、コーチ!」

「そして最後に豪、お前は本当によくやった。相手の新装備という未知数の状況に最後まで諦めずに良く走った。あと、褒めたい点としてはちゃんと相手をたたえた点だな、今までのお前だったら暴れてただろ?」

 

 拓海が豪にそういうと、豪は肩を落としてうなだれる。

 

「コーチまでそんなこと言うのかよ……」

「だから日頃の行いだって。ただ、素直に褒めたのはどういうことだ?」

「そりゃさ、あの場面は誰もが全力だった、その結果なんだしうだうだ言っても仕方ねーだろ?次勝てばいいんだしさ」

 

 烈に促されて素直に心境を呟いた豪に烈は信じられないものを見る目で見る。

 そのあと顔を青くしながらコーチを見上げた。

 

「……コーチ、今日の昼ごはん、カレーでしたよね?」

「あぁ、悪いもんはないはずだが……」

 

 そしてこの場にいるビクトリーズ全員が豪の事を宇宙人でも見るかのような目で見た。

 

「おい!?その目はどういうことだよ!?」

 

 豪の抗議の声がサポートカーを中心として、アストロドーム横の駐車場に響き渡るのだった。

 

 

 




拓海の介入で進化を遂げるビクトリーズだが、その進化はそれだけにとどまらない。
早い段階でビクトリーズの実力を認めたアストロレンジャーズもまたその対策をするのは当然。
ということでパワーブースターをさらに発展させたエクストラブースターを搭載してもらいました。

ハリケーンソニックも烈がハチロクS2のドライビングを間近で見ていることとAct.4での荷重移動の感覚をつかんだことで新たなる必殺技ハリケーンミラージュを開発。

二次創作らしくやらせて頂きましたが今回の勝敗はやはりアストロレンジャーズとさせていただきました。

また次回お楽しみに

P.S.
Act.5投稿後、日ラン20位はびっくりしました、二次創作で他人の褌で相撲を取っていることを自覚し、どちらの原作にも泥を塗らないよう努力していく次第です。
応援ありがとうございます。

エクストラブースターとハリケーンミラージュどっちが好き?

  • エクストラブースター
  • ハリケーンミラージュ
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