GHOST IN THE SHELL Blue Archive 作:H2O(hojo)
本人は矯正局にいるので出番はありません。
本編でも言及しますが、今回生徒たちは制服ではなく2ndGIGや原作の択捉島潜入の際に9課が着ていた黒コートを着ています。
そしてその下には「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」の白のアーマードスーツを着用しています。
ちなみに少佐は差別化するために「SAC」の黒のアーマードスーツです。
まさか、呪術廻戦の新OPで攻殻立ちを見るなんてね…
シャーレ所有のヘリ内部
素子と、ヒナ、イチカ、アヤネ、ミユ、アカネ、カヨコの7人はレッドウィンターの北端にあるサガワの工場へと向かっていた。
「あ、あの…少佐…」
「何?」
「ど、どうして私を選んだですか…?RABBIT小隊のみんなじゃなくてどうして私だけ…」
目的地へと移動中にミユは、素子に何故自分だけを選んだのかを尋ねる。
「確かにそうですね。私たちは部活単位で行動することが多かったですから、こうやって他校の生徒と同じ任務に当たるのはそれこそ『色彩』の時以来です」
「そうだね。確かにあの時以来かも…」
こうやって別の学校の生徒たちが集まって任務を実施するのは、キヴォトス最大の危機であった色彩が襲来して以来である。
「戦闘単位としてどんなに優秀でも同じ規格品で構成されたシステムは、どこかに致命的な欠陥を持つことになるわ。組織も人間も同じ。特殊化の果てにあるのは、ゆるやかな死……それだけよ」
「つまり、同じ学校の生徒で構成された組織ではなく色々な生徒を構成することで、組織としての代謝や新たな発見を期待しているということね」
「なるほど~深いっすねぇ~」
素子は生徒や学校の依頼によって様々な生徒と触れ合ってきた。その結果、一つの学校の生徒で部隊を構成するよりも様々な学校の生徒で構成するという結論に至ったのである。それを聞いたヒナとイチカは各々の反応を見せた。
「それにしても、わざわざ専用の服装までくれるなんて用意がいいね、先生」
「今回の任務は工業地帯への潜入だ。制服よりはそちらのほうが怪しまれないだろう」
「ミレニアム、ゲヘナ、トリニティ、アビドスにSRT…。これだけの学校の生徒が来ていると知ったら騒ぎになりかねませんね」
「制服というのは一長一短ですね」
今回彼女たちの装いはいつもの制服ではなく、エンジニア部によって開発された全身黒の防寒着である。さらには下に白のアーマードスーツと灰色のインナーも装着している。カヨコはそのことに疑問を持つと、素子はそちらのほうが怪しまれにくいだろうと答えた。普段から制服を着て生活している彼女たちにとって、この格好は新鮮なようである。アヤネとアカネは素子の言葉に納得していた。
「奥空。到着まであとどの程度かかる?」
「約20分程で到着かと」
「了解した。これより我々はサガワ電子の工場へと降下準備に入る」
サガワ電子の工場へ到着するまで約20分程となり、素子は彼女たちに降下の準備を指示する。
「いよいよっすね」
「こ…怖い…」
「ヘリからの降下は久しぶりです、ウフフ」
「いつでも準備できてる」
「問題ないよ、先生」
実際にサガワ電子の工場に潜入するのはアヤネを除いた5人の生徒と素子である。彼女たちは各々武器を確認し、所定の位置で待機していた。
「始めるぞ」
「「「「「了解」」」」」
レッドウィンター奪還作戦、開始。
サガワ電子レッドウィンター支部直上
「降下開始」
「「「「「・・・・・・」」」」」
アヤネを除く6人は素子の合図を元に、速やかに降下を開始する。
「・・・・・・。」
一番手は草薙素子。特にこれと言った反応もなく降下完了。
「んッ…」
二番手はSRTで降下訓練の経験が豊富なミユである。気弱な彼女だが、特にこれといったリアクションは見せず降下完了。
「よいしょっと…!」
「ふぃ〜結構高かったっすね」
「そうだね」
続いてアカネ、イチカ、カヨコが降下完了する。多少のよろつきはあったものの危なげなく地に降り立った。
「ふぅ…ワイヤーを使って降下するのって案外難しいのね」
最後に地上に降り立ったのはヒナである。彼女はこの程度(約10m)の高さから落ちても傷一つ付かないわけだが、降下時の衝撃音により潜入がバレる恐れがあるため、初めてワイヤーでの降下を行った。
「全員降下完了した」
『了解。では私は場所を見つけ次第ヘリを着陸させます』
『場所の選定はこの私が』
『はい。ヒマリさんお願いいたします』
素子はアヤネに全員が降下したことを知らせる。それを聞いたアヤネはヘリを着陸させるためその場を離れていった。
「レッドウィンターの本部である事務局を押さえたにも関わらず、サガワの重役やカイザージェネラルは一歩もここを動く気配を見せない」
「動かない理由があるのか、それとも今は動けないのか…」
「それを探るのも我々の仕事だ」
レッドウィンターをサガワ電子が掌握してから早数日。にも関わらずその中核であるサガワ電子の重役たちとカイザージェネラルたちはこの北端の支部から動こうともしなかった。
「…!?誰ッ!?」
「ひ、ひぃぃぃぃぃぃぃぃ…!??」
彼女たちが一か所に集まっていると、両腕と一輪のローラを搭載したロボットが彼女たちの元に近づいてくる。ヒナは銃を構え、ミユは腰を抜かしていた。
『待っていたわ、先生』
「あらお久しぶりですね、会長。今どちらに?」
『それには答えられないわ、アカネ』
ロボットから聞こえてきたのは、セミナーの会長である調月リオの声であった。同じミレニアムに所属しているアカネはすぐさま彼女の声だと気づいた。
「こ、これは一体何なんすかね?」
『貴方達をサポートするために私が製作した攻撃型装甲外骨殻AMAS改よ』
そのロボットの名はAMAS改。大きさは通常のAMASよりも一回り大きく、人が1人乗れるサイズになっている。
「ご苦労だったな調月。中々の仕上がりだ」
『えぇ。先生の要求通りのスペックに仕上げたつもりよ』
「あの変なデザインではないようで安心しました」
出来上がったAMAS改を見た素子はその仕上がりに満足する。アカネにいたってはアヴァンギャルド君を思い出し、AMAS改のデザインに安心していた。
「ここからは二手に別れて行動する。鬼方と室笠は私と共にサガワ電子のオフィスへ潜入するぞ」
「はい」 「分かった」
リオからAMAS改を受け取った一同は、本格的に潜入への準備を始める。素子とカヨコとアカネはサガワ電子のオフィスに潜入する。
「空崎、霞沢、仲正の3人はAMAS改を使用し工場へ潜れ。オフィスで必要な情報を見つけ次第、我々も後を追う」
「了解っす」 「はい…」 「えぇ」
ヒナ、ミユ、イチカの3人はAMAS改に搭乗し、工場へと潜入する。
「抜かるなよ!!」
一同は広い工業地帯へと散っていった。
サガワ電子レッドウィンター支部周辺
「寄ってらっしゃい!!見てらっしゃい!!」
「安いよ安いよぉ!!」
サガワ電子のオフィス周辺は多くの出店が並び、盛況であった。
「随分と賑わってますね…」
「まるでアビドスのブラックマーケットみたい」
その様子にアカネは驚き、カヨコはアビドスのブラックマーケットを思い出す。
「何にせよ、こうやって人が大勢集まっていたのは幸運だわ」
「目立ちませんものね」
「確かに、誰も私たちのことを気に留めてないね」
サガワのオフィス周辺にこのような市場があることは、潜入任務をおこなっている彼女たちにとっては幸運であった。なぜなら、自身の正体が発覚する可能性が低くなるからである。
「ここだな」
「「・・・」」
そして彼女たちはサガワ電子オフィスの正面玄関へとたどり着く。
「どうやって入る?」
「監視カメラはヒマリ先輩たちが何とかするとしても、内部に潜入する以上人目は気にしなくてはいけません」
正面玄関に潜むカヨコとアカネは、どうやって潜入するべきか素子に指示を仰いだ。
「光学迷彩を使うぞ」
「先生がいつも使ってるアレ?」
「あそこまでのスペックはないが、エンジニア部が改良を重ねた最新型をお前たちが着ているソレに搭載させた」
「フフフ…流石は我が校随一の技術者集団ですね」
2人に素子は光学迷彩の使用を指示した。彼女たちの着ているエンジニア部製作の装いには光学迷彩が搭載されており、性能も以前より向上していた。
「正面玄関に人が入る際にソイツの後ろについて中に入るぞ」
「「了解」」
こうして3人はサガワ電子のオフィスの中へ入っていった。
サガワ電子オフィス1階
「「「・・・・・・」」」
中の様子を見た3人は光学迷彩を解く。
「もっとセキュリティが厳重かと思っていましたが、まさか人が生活しているとは…」
「この様子じゃ巡回の警備員も来てないだろうね」
「無人化の弊害だな。こうやって機械を欺いて生きる奴らが出てくるのは」
サガワ電子のオフィスには何と浮浪者たちが住み着いていた。セキュリティシステムは全て無人化されており、そのおかげで彼女たちも光学迷彩を解くことができたのである。
「鬼方は情報処理室、室笠は記憶管理室を探れ。私は社長室に行く」
「「了解」」
彼女たちは三手に別れ、サガワ電子内部の情報を探り始めた。
サガワ電子社長室
「失礼します」
「入りたまえ」
社長室ではサガワ電子の社長が資料に目を通していた。素子は社員を装い、扉をノックして入室した。
「両手を上げろ。少しでも変な動きを見せれば撃つぞ!!」
「な、何者だ君はっ…!?」
素子はハンドガンを構えて、社長に銃口を向け彼を脅す。
「だ、誰かっ…」
「チッ…!!」
社長は机にあるボタンを押そうとしたため、彼女は仕方なく彼の眉間に銃弾を撃ち込む。
「うぐっ…!!」
「はぁ…大人しくしていればよかったものを」
銃で撃たれた社長は後ろに倒れる。キヴォトスの住人は頑丈なため額が傷ついたのと気絶しただけであった。
「さて、ではサガワの内部情報を探るとしよう」
素子は社長室の机にある接続穴に自身のプラグを接続した。
素子が社長室からサガワの内部情報を漁ること数分。彼女はある一つの情報に辿り着く。
「裏帳簿か…?サガワ側の名前は社長の名が入っている。取引相手は…加賀崎ユカ?」
彼女が見つけたのはサガワと加賀崎ユカなる人物が行った取引の裏帳簿である。
『明星』
『お呼びでしょうか先生?』
『「加賀崎ユカ」という人物を連邦生徒会の生徒名簿データベースで検索をかけろ』
『了解しました。少々お待ちください』
素子は通信でヒマリを呼び出すと、帳簿に明記されている「加賀崎ユカ」という名前を検索するよう指示する。
『出ました。加賀崎ユカ…連邦生徒会防衛室所属の生徒のようです』
『防衛室…不知火の息のかかった者か』
『えぇ。彼女が防衛室長を務めていた頃に北部方面担当に任命されています』
加賀崎ユカは連邦生徒会防衛室所属の生徒である。彼女はカヤが防衛室長を務めていた際にキヴォトス北部の治安維持を担当する責任者に任じられていた。
『なるほど。アイツら、カイザーだけでなくサガワとも癒着していたわけか』
『現在加賀崎ユカは不知火カヤが引き起こした一件が失敗して以降失踪したと記録されています』
『そして当の本人は行方不明か…』
不知火カヤを含む防衛室はカイザーコーポレーションだけでなく、サガワ重工とも裏で癒着していたことが発覚する。そして、それを主導した当の本人は行方不明という有様であった。
『鬼方と室笠に加賀崎の情報を回して優先的に調べるよう言え』
『了解。それにしても、とんだスキャンダルを掘り出しましたね』
『これが今回の事態の真相に近づくものであればいいが…』
素子はカヨコとアカネに加賀崎の情報を回すようヒマリに指示する。ヒマリの言うように、これが明らかになればマスコミが一斉に食いつくほどの大スキャンダルであろう。
『先生。加賀崎ユカに関する情報を見つけたよ』
『よし。こちらに送れ』
『彼女、どうやら全身義体化手術を受けてたみたい』
情報処理室に潜入したカヨコから加賀崎に関する情報が送られてくる。何と、彼女はサガワの手によって全身義体化していた。
『こちらも彼女に関する情報を見つけました。どうやら、カイザージェネラルをサガワに引き入れたのは彼女のようです』
『おっと。どうやら大当たりだったようですね』
『という事は、今回の事件を裏で操っているのはコイツか…』
記憶管理室にいるアカネから送られて来た情報は、カイザージェネラルを加賀崎が引き入れたという情報であった。これにより、素子は彼女はこの事件に深く関わっていると判断した。
「よし、あらかた知りたい情報は得た。空崎たちと合流するぞ」
『『了解』』
素子とカヨコとアカネの3人はそれぞれ地下工場へと向かうため、その場を移動するのであった。
サガワ電子オフィス地下1階
地下工場へと繋がる通路には、1人の戦闘用アンドロイドが立っていた。彼の名はコイル・クラスノフ。片腕が異様に長くできており、チタン製の専用ボディである。
「「・・・・・・」」
「・・・・・・」
カヨコとアカネは光学迷彩で息を潜めながら、コイルの様子を伺っていた。
「2対1…だけど相手はサガワ特注の戦闘用アンドロイドか」
「厳しい戦いになりそうですね」
「覚悟を決めないとね」
「えぇ」
数の方ではカヨコとアカネが有利である。しかし、相手はサガワの技術の粋を集めた戦闘用アンドロイド。一筋縄では行かないという予感を、2人は抱いていた。
「お前たちここに何の用だ?」
「私たちはその扉の向こうに用がある」
「大人しく通してはいただけますでしょうか?」
「ダメだ。お前たちがこの先の地下工場に入ることは許可できない」
2人はコイルの前に姿を現す。2人はとりあえず通して欲しいと彼に頼むが、当然彼はそれを拒否した。
「じゃあしょうがないね」
「えぇ、仕方ありませんね…」
そして2人は仕方ないと言って、「デモンズロア」と「サイレントソリューション」を構えた。
「フッ…そんなチンケなピストルで俺と渡り合おうというのか?」
「アンタこそ、この大して広くも無い通路でそんなバカでかい腕を振り回すつもり?」
「もう一回作り直してもらったどうですか?」
「貴様ら…言わせておけば…!!」
コイルは2人がハンドガンを自分に向けている姿を見て、その程度では自分は倒せないと彼女たちを小馬鹿にする。しかし2人はコイルの挑発など気にせず、逆に彼を挑発して苛立たせていた。
「きぇぇぇぇぇぇ!!」
「速い…!?」
「チッ…!!」
コイルは猛スピードで2人に近づく。彼女たちはコイルに向けて銃弾を放つも、そのチタン製のボディに弾かれてしまう。
「おおおらぁぁぁぁぁ!!」
そしてコイル不自然に長い左腕をカヨコに向かって伸ばす。
「ぐッ…!?うっ…くっ…!!」
「カヨコさん!?」
そしてその腕でカヨコの首をガッチリと押さえる。カヨコは拘束から逃れようと藻掻くが、コイルの怪力になすすべもない。
「フッフッフ…まずは貴様からその首をへし折ってやるぞ」
「放せ!!」
カヨコを押さえているコイルに対し、アカネは彼の頭部に銃弾を撃ち込む。
「フッ…だから言ったんだ。そんなチンケな銃で俺を倒すことはできんとな」
「くっ…!!」
しかし、戦闘用アンドロイドである彼には効果がなく、アカネは苦虫を噛み潰したような表情になった。
「・・・・・・」
そんななか、カヨコは黙ってアカネを見つめ始める。
「カヨコさん…」
カヨコからのアイコンタクトに、アカネは覚悟を決めた。
「この俺の腕で貴様の身体をバラバラにしてやるぞ!!」
「これでもっ!!」
未だカヨコの身体を拘束するコイルに、アカネは長方体の箱を投げつける。
「なっ…!?」
「喰らいなさい!!」
そして彼女はその長方体をピストルで撃ち抜く。
「ぐおぁぁぁぁぁッ!!?」
「…ッ!?」
アカネが撃った物体はその場で爆発し、周囲に釘や金属片を撒き散らす。爆発によりコイルのボディは傷ついた。そして近くにいたカヨコも例外ではなく、身体から血を流すことになった。
「ぐうう…クソがッ!!」
「カヨコさん、大丈夫ですか?」
「何とか」
そしてコイルは爆発の拍子にカヨコを離してしまう。コイルの腕から解放されたカヨコは、アカネに手助けされながら即座に立ち上がった。
「もう許さんぞ貴様ら!!元の形が分からんようバラバラにしてくれる!!」
「やってみなよ」
ボディを傷つけられたコイルは怒りに打ち震える。一方カヨコも拘束されていたことで不機嫌になっており、その鋭い眼で彼を睨みつけていた。
「ここからは私がやる。アイツに仕返ししなきゃだし」
「承知しました。援護します」
カヨコは再びピストルを構えて、コイルに向ける。
「ワガママ聞いてもらって悪いね」
「いえ。私のほうが後輩ですので…」
「S.C.H.A.L.Eでの活動時は上下無しの実力主義だって先生が言ってたけど…」
「あら、そうでしたっけ?」
カヨコはアカネに悪いと思っていたが、彼女は自分のほうが後輩だからと答える。だがS.C.H.A.L.Eで活動する時は役職や学年の上下は関係ないルールである。これは以前素子がいた公安9課と同じであり、彼女の強い意向であった。
「死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
「…ッ!!」
そして、コイルは再びカヨコに向かって襲い掛かってくる。
「えあぁぁぁぁ!!」
「ふっ…!!」
コイルはその長い腕を伸ばしてカヨコを再度捕らえようとするが、彼女は身体を低くして逃れる。
「これでっ!」
「くっ…!!貴様ぁ…!!」
コイルの腕が空を切った隙を突いて、アカネが牽制のために銃を発砲する。それがコイルに命中し、彼は視線をアカネに向けた。
「こっちのメガネから先にバラシてや…」
「はぁッ…!!」
「べふうぅッ!!!」
そしてコイルがアカネに目を向けた瞬間、カヨコは彼の顔面に蹴りを入れる。その衝撃でコイルはバランスを崩し、後ろに倒れた。
「よくもやってくれたね」
「ぐぉぉぉぉ…!!」
倒れて腹ばいになったコイルをカヨコは足蹴にし、額に銃口を突き付ける。
「お、俺を一体どうするつもりだ?」
「破壊する」
カヨコの顔にビビったコイルは自分をどうするつもりかと尋ねる。それにカヨコは即答した。
「お前たち甘ちゃんの学生風情が俺を殺すことなどできるものか!!」
「ゴーストの無いお人形が何を言っているんですか?」
「アンタは単なる戦闘アンドロイド。ゴーストの無いアンタは所詮、サガワの道具でしかない」
だがコイルは子供の彼女たちには人殺しはできないと吠える。だがコイルはサイボーグではなく、アンドロイドである。「人間」ではなく「人形」なのだ。
「バカな、俺が人形だと!?ふざけるなッ!!」
「出来のいいAIというのも考えものですね…」
しかしコイルは自分がアンドロイドではないと必死に否定する。
「じゃあアンタに人間と人形の違いを教えてあげるよ」
そう言ってカヨコは銃弾をコイルの右腕に撃ち込む。
「がぁぁぁぁぁぁ!!」
カヨコの放った銃弾によりコイルの右腕は破壊される。
「確かにここキヴォトスにはアンタみたいな金属の肉体を持った市民は多数存在する。ハッキリ言って見た目だけじゃ見分けはつかない」
「・・・・・・」
「でもね、こうやって銃弾を一発当てれば分かる。アンタがゴーストを持った人間だったら、その右腕はそんな壊れ方をしない。『チタン製』の頭と左腕は多少頑丈みたいだけどね」
「えぇ。精々跡が付く程度。むしろ銃弾のほうが潰れてしまいます」
アンドロイドと人間の違いはその耐久力である。ゴーストを持ったキヴォトスの人間は銃弾を一発喰らった程度ではコイルの右腕のような損傷はしない。それが人工物か天然物かの違いである。
「ずっとこの通路にいたから、そんな事にも気づけなかったんだね。可哀想に…」
「バカなッ!?そんなことは有り得ない!!」
衝撃の事実を知ったコイルは狼狽えていた。
「悪いけど私たち急いでるから」
「やめろぉ!!やめてくれぇ!!!」
「これでおしまい」
カヨコはコイルのチタン製ではない顔面に銃弾を放つ。これにより、コイルは活動停止した。
「よくやったわ、2人とも」
「先生…見てたんなら言ってよ」
「ヤバそうになったら助けに入ったわよ」
2人の戦いを素子は熱光学迷彩で後ろから見ていた。そして彼女は珍しく2人を褒めた。
「先を急ぐぞ」
「うん」 「はい」
3人はコイルが守っていた扉の向こうに消えていった。
続く
加賀崎ユカ:防衛室北部方面担当。不知火カヤの考えに賛同し、サガワの武器を使ってレッドウィンターをカヤのように支配しようとしていた。現在行方不明。
元ネタは加賀崎二佐。
コイル・クラスノフ:警備アンドロイド。今回の話のボス枠です。サイボーグではないので殺害ではなく破壊です。