GHOST IN THE SHELL Blue Archive   作:H2O(hojo)

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一応今回の作戦ではタチコマ枠としてAMAS改がいるので『攻殻機動隊』を名乗っても問題ないはず...。
AMAS改は一輪タイヤのヤツ(ケイのモニターが付いてないタイプ)を人が乗れるような大きさにしてもらったものだと思ってもらえればいいです。状況を判断するAIは付いてますが、タチコマのように会話をしたりするようなことはできません。
これで一応、攻撃型装甲外骨殻と定義できなくなないはずです...。


混迷のレッドウィンター③

サガワ電子地下工場深部

 

「やはり来ましたね。草薙素子先生…」

 

「あの女…!!3度も私の邪魔をしやがって…!!」

 

地下工場の奥深くにあるモニター室にて、素子たちがサガワのオフィスに潜入した様子を見ている影は2人。加賀崎ユカとカイザージェネラルである。

 

「今度こそ、この私の手で貴様を殺してやるぞ…草薙素子!!」

 

「期待してますよ。ジェネラル」

 

ジェネラルは加賀崎にそう言い残し、部屋から出て行った。

 

 

 

 

 

サガワ電子製造工場・大穴近く

 

「さて、私たちも始めましょうか」

 

「そうっすね」

 

「・・・・・・」

 

素子たちを見送った、ヒナ、イチカ、ミユの3人は、サガワの工場へ潜入しようとしていた。

 

「こ、これに乗ればいいんですか…?」

 

『そうよ。このAMAS改に搭乗すれば、この壁もスムーズに降りれるわ』

 

「は、はぁ…そうですか…」

 

ミユはリオの作ったAMASをまだ信用しきれていなかった。彼女はAMASの変形した後部に恐る恐る乗り込んだ。

 

「乗り心地はいいみたいっすねぇ〜」

 

「そうね」

 

イチカとヒナもAMASに乗り込み、3人は大穴の下へ降りていった。

 

 

 

 

 

サガワ電子地下工場・上層

 

『こちらアヤネです。皆さん、聞こえますか?』

 

「問題ない」

 

「大丈夫でーす」

 

「は、はい。聞こえます」

 

工場の上層に降り立った3人に、アヤネは連絡を取る。通信は問題なく通じているようだ。

 

『ここからはサガワの製造ラインに入っていきます。警備や作業員には気をつけてください』

 

「「「了解」」」

 

3人はAMASを降り、周囲を警戒しながら先へ進んでいく。

 

「製造工場と言っても自動化されてるっすね。人は殆どいないっす」

 

「ここで作っているのは兵器や重機などに使う電子機器だから、あまり大規模な機械は必要ないし、人員も少なくて済むのね」

 

「よ、良かった…」

 

警戒して工場内を進んできた3人だったが、工場は殆ど無人であった。

 

『工場上層の内部構造の解析が完了しました。データ送ります』

 

「ありがとう」

 

一方、シャーレのヘリにいるアヤネは工場内部の解析を続けており、それが完了したためデータを3人に送る。

 

『下層に繋がる通路付近には数人の警備員と監視ドローンが配置されています』

 

「そう、分かった。手早く片付けましょう」

 

「そっすね。さっさと下層に向かうっす」

 

作業員はいないとはいえ、工場には数人の警備員が配置されており下層へと続く通路を守っていた。

 

 

 

 

 

上層・下層へと繋がる通路

 

「ふわぁ~ねみ…」

 

「…ったく。こんな誰も居ねぇ場所に警備員なんか必要なのかね?ドローンだけで良くねぇか?」

 

「俺が知るかよ…」

 

誰もいない製造ラインの監視と下層へと繋がる扉を警備する彼らの仕事は退屈そのものである。サガワのオフィスのように無人化してもいいはずだが、この場所だけは何故か必ず24時間人員を配置していた。

 

「「「・・・・・・」」」

 

そして3人はその会話を光学迷彩で姿を隠しながら聞いていた。

 

「何か変じゃないっすか?」

 

「そうね。単なる電子部品製造工場の通路にしては警備が過剰すぎる」

 

そして警備員の会話からイチカとヒナもこの場所の警備が過剰であると気づく。

 

「し、下に何かいるのかも…。人食いのバケモノとか…!!」

 

「バケモノかどうかは分からないけど、サガワがこの下で何か隠れて何かやっているかも知れないわね」

 

「私もそう思うっす。いやーこれが先生の言う『ゴーストの囁き』ってやつっすかねぇ」

 

ミユは下層に人食いのバケモノが跋扈している様子を想像して震えていた。ヒナとイチカもこの下にサガワが隠したい何かがあると考えており、イチカはこれを「ゴーストの囁き」によるものではないかと思っていた。

 

「それじゃあ、私とイチカはドローンを破壊するから、ミユはあの2人の警備員を倒して」

 

「は、はい…」

 

「不安になる必要は無いわ、ミユ。貴女は先生に選ばれた優秀な生徒なんだから」

 

「そうっすよ。先生がミユを信じてるってことっすから」

 

ヒナはイチカとミユに指示を出す。そして未だ不安気なミユに対し、彼女は先生が選んだ生徒であると励ましの言葉をかけるのであった。

 

「それに、失敗しても私たちか先生が何とかするわ」

 

「だから気負わずやればいいっすよ」

 

「はい…!!」

 

さらに失敗のフォローも自分たちがすると言って、ミユを安心させるのであった。

 

 

 

 

 

「交代まであと何時間だ?」

 

「4時間」

 

「うえぇ…まだそんなにあんのかよ…」

 

警備員たちは交代の時間までまだ4時間あるという事実に苦い顔をしていた。

 

「何かいい暇つぶしとかねぇか?」

 

「あるわけな…うっ!!」

 

2人が退屈そうに話していると、突然警備員のうちの1人の頭に銃弾が直撃する。

 

「おい?どうした!?どうなってんだぁ!?」

 

「当てます…!」

 

「誰だっ…ぐぅ…!!」

 

そしてもう一人のほうも、狙撃されたことを理解されることなく意識を手放した。

 

 

 

 

 

「任務完了。問題ないわね」

 

「そうっすね」

 

ヒナとイチカはドローンを破壊して通路へと戻ってきた。

 

「あ、あの…これでいいでしょうか…?」

 

「何だ、全然余裕じゃないっすか」

 

「そうね」

 

そしてそこには2人の警備員を倒したミユがおり、2人は彼女の実力を知るのであった。

 

「下層へ向かいましょう」

 

こうして彼女たちは、下層へと向かった。

 

 

 

 

 

サガワ電子地下工場・下層地下5階

 

「うそ…!!」

 

「何すかこれ…!!」

 

「・・・!!」

 

そして下層に着いた彼女たちが見た光景は衝撃的なものであった。

 

「上層からの連絡が途絶えた。各員警戒にあたれ」

 

「「「「「了解」」」」」

 

そこにいたのは大量の警備兵たちと、サガワのアームスーツ纏った者たちであった。

 

「あれは…サガワがカイザーのゴリアテに対抗するために製造したアームスーツだわ。それをサガワに引き入れた元カイザーPMCが装着しているのは皮肉としか言いようがないけど」

 

「元カイザーPMCの人たちがいるってことは、例のジェネラルもここにいる可能性は高いっすね」

 

「ひ、ひぇ…」

 

警備兵たちは、カイザージェネラルと共にサガワへと来た元PMC兵たちであった。ヒナの言うように、彼らが競合他社の製品を纏うという皮肉が効いた光景が広がっていた。

 

『先生たちから情報が入って来ました。この事件の裏で糸を引いている、カイザージェネラルともう一人の人物の情報です』

 

「もう一人?」

 

『データ送ります』

 

アヤネは、素子たちが調べた情報を3人に送信する。彼女たちは通信用のサングラスを取り出し、装着した。

 

「連邦生徒会防衛室北部方面担当官加賀崎ユカ。なるほど…今回はあの一連の騒ぎの延長戦ということね」

 

『はい。彼女は連邦生徒会の生徒名簿データベースでは現在行方不明となっていますが、ここサガワ電子レッドウィンター支部で電脳化と全身義体化手術を施し、潜伏しているそうです』

 

この事件を裏で糸を引いている人物である加賀崎ユカの情報を見たヒナは、今回の事件が防衛室長のカヤとカイザーとの癒着によって引き起こされた事件と繋がっていることを即座に理解した。

 

「しっかし…電脳化はまだ分かるっすけど、この頑丈な肉体を捨ててまで義体化する理由は何なんすかね?」

 

「確かに。義体の性能にもよるけれど、肉体の強度は生身のほうが上のはず…」

 

加賀崎が全身義体化したという話を聞いて、ヒナとイチカは何故彼女が義体化したのかという疑問が浮かぶ。キヴォトスの人間がその頑丈な肉体を捨てるメリットが分からないのだ。

 

「あ、あの…以前先生から聞いたことがあるのですが…」

 

「ん?」

 

「全身義体化した人間は、電脳を他人の義体と入れ替えることが出来るって…」

 

2人が加賀崎が義体化した理由を考えていると、後ろからミユが素子から聞いた話を伝える。義体化した人間は電脳を他の義体に入れ替えることができるのである。

 

「なるほど…。義体化した際に顔や体格を変えれば容易に別人に成りすませるということね」

 

「つまりデータベースに登録されてるこの顔も、アテにならないってことっすか…」

 

『だから行方不明扱いだったんですね…』

 

ヒナは全身義体化をした場合他人に成りすますことは容易であることに気付く。アヤネが送られてきたデータには彼女の顔写真もついていたが、その金髪と特徴的な髪型は手掛かりにならないということを示していた。

 

「しかしそこまでして何がしたいんすかね、コイツは」

 

『防衛室に所属していた時の彼女は室長であった不知火カヤさんに心酔しきっていたようです』

 

「防衛室長の後を自分が継ごうとしているのかもしれないわね」

 

「あ、あとは防衛室長を矯正局送りにした少佐に復讐しようとしているとか…」

 

4人は加賀崎の目的について考える。彼女はカヤに心酔しきっており、カヤの後を継ぐのと素子に復讐することが目的だと推測していた。

 

『下層の解析が完了しました。下層は3階に別れていて、現在皆さんがいるのが一番上の地下5階になります』

 

「アームスーツや戦車が大量に並んでいるわ」

 

「電子部品どころか主力商品まで製造してるだなんて…」

 

『恐らく地下の元カイザー基地から物資を運び込み、こうやって秘密裏に武器を製造していたんだと思います』

 

現在ヒナたちがいるのは下層の中でも一番上の地下5階である。そこには戦車やアームスーツの製造ラインがあり、サガワが秘密裏に武器を製造していたことが分かる。

 

『地下6階は下層の中で一番大きなスペースがあります。そこに何があるのかまでは分かりません』

 

続けてアヤネは地下6階の説明をする。

 

『そして、地下7階にはこの地下工場の中枢であるモニター室と、カイザーの地下元基地に繋がる唯一の通路があります。恐らくそこにカイザージェネラルと加賀崎ユカがいる可能性が高いです』

 

「地下基地から脱出されたら厄介っすね…」

 

「逃げる前に2人を捕まえる必要がありそうね」

 

最後に最深部である地下7階の説明をし、アヤネは加賀崎とジェネラルがそこにいる可能性が高いと3人に伝えた。

 

「でもその前に…この大量の警備兵たちをどうするかっすね」

 

「ここは私が出るわ。貴女たちは先に下の階へ行って」

 

イチカは地下5階に配備されている警備兵をどうしようか考えていると、ヒナは自分が出ると言い始めた。

 

「で、でも…」

 

「そうしたほうが確実にターゲットを捕まえられるわ」

 

ヒナは2人を先に下の階に行かせて、加賀崎とジェネラルを捕まえられる可能性を高めようとしていた。

 

「分かりました。私たち2人は一足先に下の階へ行ってるっす。ヒナさんも気をつけてください」

 

「えぇ。コイツらを片付けたら、私もすぐに下へ向かうわ」

 

イチカはヒナの意図を汲み、ミユと2人で先に下の階へ向かうことにした。

 

 

 

 

 

「オフィスのセキュリティ室からの報告です。敵は光学迷彩を使用している可能性が高いとのことです」

 

「そうか。総員マーカーを用意しろ」

 

「「「「「了解」」」」」

 

(やっぱり光学迷彩にも限界があるわね…)

 

現場の指揮官は部下から彼女たちが光学迷彩を使用しているという報告を聞き、マーカーを用意させる。光学迷彩を使用して潜んでいるヒナは、光学迷彩の限界を悟っていた。

 

「マーカーに反応あり!」

 

「侵入者め!姿を現せ!!」

 

そして遂に、マーカーはヒナの姿を捉える。

 

「・・・・・・」

 

「なッ…!?お前は…」

 

「空崎ヒナ!?」

 

ヒナは光学迷彩を切って警備兵たちの前に姿を現す。アビドスでの一件で彼女の顔を知っている元カイザーPMCたちは、この場にヒナが現れたことに驚いていた。

 

「まさか…ゲヘナの風紀委員会がわざわざレッドウィンターにまで潜入しに来たと言うのか?」

 

「違うわ。今の私は連邦捜査部S.C.H.A.L.Eの草薙素子先生の指示で動いている」

 

「草薙素子だと…!!」

 

ヒナが現れたことにより、彼らはゲヘナの風紀委員会が攻めてきたと誤解する。それをヒナは素子の名前を出して訂正した。

 

「「「・・・・・」」」

 

「な、何だこのロボットは!?」

 

「このロボットはAMAS改。ミレニアムが開発した攻撃型装甲外骨殻よ」

 

さらにヒナの後ろから上層から降りてきたAMAS改が現れる。

 

「私たちは『攻殻機動隊』。加賀崎ユカとカイザージェネラルを連邦捜査部S.C.H.A.L.Eの権限により逮捕するわ」

 

そう言ってヒナは「終幕:デストロイヤー」を構える。

 

「邪魔をするなら、容赦はしない」

 

その後地下5階にはヒナの放った銃撃が流星のように飛び交うのであった。

 

 

 

 

 

サガワ電子地下工場・下層地下6階

 

「「・・・・・・」」

 

イチカとミユは周囲を警戒しつつ、地下6階へとたどり着く。

 

「地下5階と違ってここは静かなもんすね」

 

「そうですね…」

 

警備兵を大量に配置していた地下5階とは打って変わって、地下6階には人っ子1人いなかった。

 

「何これ…?」

 

「こっちは戦車やアームスーツじゃなくてもっと大きな物を作ってたみたいっすね」

 

2人の目の前に現れたのは、大きな金属の塊である。それらは全て白く塗られていた。

 

「Nagara、Natori、Isuzu…」

 

「Yura、Kinu…」

 

「Abukumaの所には何もない…」

 

金属の塊は合計5つあり、それぞれ名前が付けられていた。そしてAbukumaと書かれている場所には何も置いてはいなかった。

 

「何かのコードネームっすかね?」

 

「わ、分からない…です。6つの単語に何か関連性があればいいのですが…」

 

2人はその6つの単語の関連性について考える。しかし見当もつかず、首を傾げるばかりであった。

 

『お前たちがその単語の意味を知る必要は無い』

 

「誰っすか!?」

 

「あ、あの声は…カイザージェネラルだぁ…」

 

『その通りだ。お前のことは覚えているぞ、RABBIT小隊のスナイパー』

 

「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」

 

地下6階にいる2人に放送で声を掛ける人物がいた。その声の正体はカイザージェネラルである。

 

『この下へ来い。この俺が直々にお前たちを始末してやる』

 

「言われなくてもアタシたちはアンタら2人を捕まえにここまで来たっすよ。必ず矯正局に送ってやる!!」

 

『フフフフフ…お前たちのことをたっぷりと痛めつけてくれるぞ』

 

ジェネラルは2人を地下7階へと誘う。ジェネラルの誘いに対し、イチカは強気に出るのであった。

 

「行くっすよ」

 

「はい…」

 

2人は地下7階へと向かった。

 

 

 

 

 

サガワ電子地下工場・下層地下5階

 

「流石はサガワの武器とアームスーツね。私も多少手こずってしまったわ」

 

「「「「「・・・・・・」」」」」

 

「さて、早く下の階に行かないと。2人を待たせちゃってるし…」

 

地下5階では、ヒナが警備兵たちを全員倒し終えていた。アームスーツはひしゃげ、製造されていた戦車にいたっては上下逆さまで転がっているという大惨事であった。

 

本人の宣言通り、彼女はほぼ1人で地下5階の戦力を無力化したのである。

 

 

 

 

 

サガワ電子地下工場・上層

 

「奥空。先に行ったメンバーは今どこにいる?」

 

『イチカさんとミユさんは恐らく今地下6階か7階へ。ヒナさんは下層地下5階に配置されていた警備兵の処理を終え地下6階へと向かいました。地下6階以降は妨害電波が発せられているのか詳しい状況が分かりません』

 

「そうか。やはりこの下にサガワは何か隠しているな」

 

一方素子とアカネとカヨコの3人は地下の上層部へと辿りついていた。地下に広がる巨大な構造物を見た素子は、サガワが何かを隠していることを確信していた。

 

「この下にターゲットの2人もいるのでしょうか?」

 

「恐らくな」

 

そして素子は加賀崎ユカとカイザージェネラルが下層にいると考えていた。

 

「先を急ぐぞ」

 

「「了解」」

 

彼女たちは下層へと消えていった。

 

 

 

 

 

サガワ電子工場地下7階

 

「ミユは後ろで私の援護をして欲しいっす」

 

「了解…!!」

 

イチカは前方、ミユは後方というフォーメーションを組んで、2人は地下7階へと突入する。

地下7階は天井が高く、脇に5、6本柱が立っているだけの広くて何もない空間であった。

 

「よく来たな、小娘共。待ちかねていたぞ」

 

「お前がカイザージェネラルっすね。大人しくお縄に付くっすよ」

 

そしてその部屋の中央部にカイザージェネラルは立っていた。イチカは彼に銃口を向ける。

 

「フッ…勇ましいことだ。たった2人でこの俺を相手するつもりとはな」

 

「お前こそ、たった一人だっていうのに随分と余裕っすね」

 

「それはそうさ」

 

「・・・?」

 

2対1にも関わらず、カイザージェネラルは余裕の表情を浮かべていた。そんな彼にイチカは疑問を感じつつも、険しい表情で彼を見据えていた。

 

「何せ今の俺にはこれがあるのだからな!!」

 

「…!!?」

 

『嘘…!?』

 

突如カイザーの背後から姿を現したのは、大型の多脚戦車である「T08A2アラクニダ」であった。アラクニダは光学迷彩を搭載していたため、彼女たちの目には見えなかったのである。

 

「まずはお前たち2人を血祭りにあげてやる!!そして最終的には草薙素子…あの女を私の手で捻り潰してやるのだぁ!!ハァハッハッハァ!!!」

 

カイザージェネラルはアラクニダに乗り、イチカに襲い掛かってきた。

 

『イチカさん。私たち2人だけではあの多脚戦車は倒せないです…。だからせめて、ヒナさんや少佐が来るまで私たちで時間を稼がないと…!!』

 

「こっちは頑張って逃げ回るんで、援護頼むっすよ」

 

『はい…!!』

 

ミユは即座にアラクニダには勝てないと判断し、仲間が来るまで時間稼ぎに徹することを提案する。イチカは戦車から逃げ回り、ミユは彼女を援護することとなった。

 

「目にものを見せてくれるぞ!!」

 

「クソッ…!!」

 

ジェネラルは戦車の両腕のガトリングをイチカに向けて連射する。それに対して彼女は建物の柱に逃げ込む。

 

「無駄無駄無駄ァ!!」

 

「とんでもない威力っすね…!!」

 

だが柱のコンクリは銃撃により砕け散り、中の鉄筋が剥き出しになる。イチカはその威力に恐怖を感じていた。

 

「隠れてないで出てきたらどうだ?」

 

(確か、アカネから貰った超小型爆弾があったはず…)

 

このまま逃げるだけでは埒が明かないと判断したイチカは、アカネから貰った爆弾をさがしはじめた。

 

(あった…!!)

 

「はぁ…ふぅ〜」

 

爆弾を見つけた彼女は、それを手に取り呼吸を整える。そして…

 

「それっ…!!」

 

アラクニダに向かって放り投げた。

 

「小石でも投げたつもりか…?」

 

アラクニダのモニターではそれを爆弾だとは気づかず、ジェネラルは小石と誤認する。

そして爆弾が地面に落下した直後、ソレは大きな音を立てて爆発した。

 

「クソッ…!!超小型の爆弾か!!」

 

(全然効いてない!!一体どんな装甲してるんすかっ…!!)

 

イチカはジェネラルが爆弾に気を取られた隙に他の柱に移動する。彼女はアラクニダに爆弾が対して効いてないことに、舌打ちしていた。

 

「これで!!」

 

「馬鹿め!そんな攻撃がアラクニダに通ると思ってるのか?」

 

イチカは自身の「レッドドラゴン」を使って銃弾をアラクニダに叩き込む。しかし、頑丈な装甲は銃弾を弾き、攻撃を無意味と化す。

 

「そらそらっ!!出てこい!!」

 

(このままじゃ蜂の巣っすね…)

 

ジェネラルはイチカに容赦なく攻撃を浴びせる。彼女自身も限界を感じていた。

 

『こちらミユです。お待たせしました』

 

「ミユ…」

 

『イチカさんが多脚戦車の相手をしてくれたお陰で、準備できました。ありがとうございます』

 

「相手って…ただ逃げ回ってただけっすけどね…」

 

そんななか、ミユから準備ができたという報告が入る。彼女はイチカがアラクニダの気を逸らしてくれたことに感謝していた。

 

『ここからは私も多脚戦車の相手をさせてもらいます…!』

 

ミユはいつになく強気であった。

 

「そろそろ終わりにしてやろう…」

 

『今っ…!!』

 

ジェネラルがイチカにトドメを刺そうと動いた瞬間、ミユはアラクニダの脚部関節に銃弾を命中させる。

 

「あの小娘…!!」

 

その一撃は取るに足らない一撃であったが、ジェネラルの気に障ったようである。

 

「よそ見していいんすか?」

 

「貴様ぁぁぁぁ!!」

 

『このタイミング…!!』

 

「チッ…!!テメェら…!!」

 

ジェネラルがミユに気を逸らしたところで、イチカが攻撃をする。ジェネラルがイチカにキレたところで、またミユが場所を移動してアラクニダを狙撃する。2人は交互にジェネラルのストレスを蓄積していく作戦を取ったのである。

 

(怖い…逃げ出したい…!!でも、少佐とみんなが私を信じてくれてる)

 

「スナイパー!!何処だ!?出て来い!!」

 

(みんなの期待を裏切るのはもっと嫌だから…!!)

 

はっきり言ってミユは小心者のネガティブ人間である。素子もそれが彼女の欠点であると何度も指摘している。だが今のミユはその小心者の自分を何とか押し込み、素子と仲間のために戦っていた。

 

「目ざわりだ!!消えろぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

「ヤケクソっすかっ…!!」

 

だが遂に痺れを切らしたジェネラルは四方八方に攻撃し、地下7階の壁や天井までも破壊していく。

 

「死ねぇぇぇぇぇぇ!!」

 

「グレネードランチャー!?」

 

『嘘っ…!?』

 

最早冷静な判断もできなくなったジェネラルはアラクニダに搭載されているグレネードランチャーを室内で発射する。

その威力は凄まじく、周囲に大量の瓦礫を撒き散らした。

 

「きゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「ミユ!!」

 

そしてその瓦礫はミユの頭部に激突する。ヘルメットを被っていたので怪我はなかったが、彼女はその衝撃でその場に倒れ込んでしまった。

 

「うっ…うぅぅ…」

 

「フフフ…見つけたぞ」

 

さらにはミユはジェネラルに見つかってしまった。彼はゆっくりとアラクニダを動かし、彼女に近づく。

 

「ミユはやらせないっすよ…!!」

 

「イチカさん…!!」

 

だがミユの前にイチカが立ちふさがる。彼女はミユをやらせまいと、アラクニダに向かって銃を構えた。

地下7階はグレネードランチャーによって破壊された水道管から大量の水が吹き出し、床が水浸しになっていた。

 

「ほう…お前から死にたいらしいな。では、望み通りにしてやろう!!」

 

「ぐッ…!!ぐあぁぁぁぁぁ!!」

 

「イチカさん!!」

 

そう言ってジェネラルはアラクニダの隠し腕を、イチカに向けて伸ばす。腕はイチカの頭を鷲掴みにし、彼女はその痛みに悶絶した。

 

「がああぁぁぁ…!!!」

 

「このままお前の頭を潰れたトマトみたいにしてくれる!!」

 

ジェネラルはイチカの頭の骨を折り、捻り潰すつもりであった。

 

「イチカさんを離して!!」

 

「み…ミユ…」

 

「はんっ!今さらお前の攻撃が何の役に立つ?」

 

「離して!!」

 

そんななか、ミユはスナイパーライフルでアラクニダに抵抗する。だが彼女の銃では傷一つ付かず、銃弾を浪費するばかりである。だがそれでも、ミユはイチカを助けようと必死に銃を撃ち続けるのであった。

 

「ハハハハハハッ!!何てザマだ!!」

 

「クソッ…ここまでっすか…」

 

「うぅぅ…誰かぁ…誰か…」

 

アラクニダに何もできない2人の姿を見て、ジェネラルは彼女たちを嘲笑う。2人も自分たちの敗北を実感していた。

 

「誰か助けて!!」

 

そしてミユの悲痛な叫びが部屋全体に響き渡る。

 

「了解」

 

ミユの悲痛な叫びに応える者が1人。

その直後水浸しになった床をパシャパシャと音を立てて疾走する者がいた。だが光学迷彩を使っているのか、その姿を捉えた者はいない。

 

「・・・」

 

そしてその者は何も言わず姿も見せずアラクニダに攻撃を開始する。その者の放った銃弾は紫色の流星となり、アラクニダへと降り注ぐ。

 

「なっ…何だ!?うわぁぁぁぁぁ!!!」

 

「ぐはっ…!!イテテ…」

 

銃弾が着弾すると、アラクニダの装甲がボコボコにへこむ。その拍子にイチカを離してしまった。

 

「遅れてごめんなさい。私が地下5階の敵に手こずっていなければ、あなた達が傷つかずに済んだ…」

 

光学迷彩を解き、一同の前に現れたのはヒナであった。

 

「あはは…ヒーローは遅れてやって来るっすか。マジカッコいいすわ…」

 

「ヒナさん!!」

 

ヒナの登場にイチカとミユは安堵の表情を浮かべていた。

 

「空崎ヒナだと…!?そんなバカな…」

 

「久しぶりね、カイザージェネラル。アビドスの時以来かしら?」

 

ジェネラルはヒナがこの場に現れたことに驚いていた。彼女が地下5階を突破するとは思っていなかったのである。

 

「そしてもう二度と会うことはないわ…」

 

ヒナはそう言うと再び銃を構えた。

 

「うわぁぁぁぁぁ!!?」

 

そして、アラクニダに向かって一斉射を開始する。

 

「ひぇっ…!」

 

「あーあー、あんな重そうな多脚戦車がバランスボールみたいに跳ねてるっすよ」

 

その威力は凄まじく、それなりの重量を誇るはずのアラクニダが宙に浮き上がるほどであった。

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

何とか床に着地したアラクニダを操り、ジェネラルはヒナにガトリング砲を連射する。

 

「・・・・・・」

 

だが、ヒナはアラクニダの攻撃を顔色一つ変えずに躱す。

 

「た、弾切れ…?」

 

「気は済んだ?」

 

(やっとで弾切れか…)

 

そしてその直後アラクニダのガトリング砲は弾切れを起こした。ここまで、イチカ、ミユ、ヒナの3人の相手をしてようやく弾切れを起こしたのを見て、イチカはアラクニダの性能に驚きを通り越して呆れていた。

 

「実は私、今凄く機嫌が悪いの」

 

「く、クソッ!!来るな!!」

 

ヒナはそう言ってゆっくりとアラクニダの元に近づく。イチカとミユをボロボロにされたことにヒナは怒っており、モニター越しでさえ感じる殺気にジェネラルは狼狽え始める。

 

「だから、手加減できそうにない」

 

「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

ヒナの周りに紫色のオーラが湧き上がる。ジェネラルはその様子に怯えていた。

 

「終幕:イシュ・ボシェテ」

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

そしてヒナはそのオーラを弾に込め、アラクニダへ発射する。ジェネラルの断末魔と共にアラクニダは爆破炎上し大破するのであった。

 

 

 

 

 

続く




加賀崎ユカの特徴的な髪型→阿武隈改二で検索
長良型の艦名を出したのと加賀崎が阿武隈な理由は一応あります。

T08A2アラクニダ:『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』に登場する大型多脚戦車(思考戦車)。搭乗者はカイザージェネラル。

それではまた来週。
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