GHOST IN THE SHELL Blue Archive 作:H2O(hojo)
今週で混迷のレッドウィンター編はラストになります。
レッドウィンターってタイトルつけてるけど赤冬の生徒が①の冒頭でしか出てないな…。
以下デカグラマトン編の感想
リオ会長が少佐みたいな格好で少佐みたいなことしてる...
サガワ電子工場地下7階
カイザージェネラルのアラクニダを撃破したヒナ、イチカ、ミユの3人は、彼を戦車の中から引きずり出す。さらに素子とアカネとカヨコが地下7階へと到着した。
「ご苦労だったな3人共。仲正と霞沢の怪我の具合はどうだ?」
「まぁ何とかってとこっす」
「私も大丈夫です…」
素子は3人に労いの言葉をかける。イチカもミユもキヴォトスの生徒だけあって頑丈であり、軽傷といったところである。
「まさか…カイザージェネラルがこんなものまで持ち出すなんてね」
「大型多脚戦車ですか。私も本物は始めて見たかもしれません。ボロボロですけど…」
「そうだね…」
カヨコはカイザージェネラルが操っていたアラクニダを見て、驚いていた。だがアカネの言う通り、アラクニダはヒナによって大きく破壊された後である。
「クソッ…」
そしてジェネラルは彼女たちによって捕らえられていた。
「さて、お前には加賀崎ユカの居場所を吐いてもらおうか?」
「誰が貴様らなんぞに…!!」
「呆れた…この状況でまだ反抗するなんて」
素子はジェネラルに銃を突き付け、加賀崎ユカの居場所を吐くよう促す。だが彼はこの状況でもまだ反抗的な態度を取り、ヒナに呆れられていた。
「まぁいいわ。お前の頭の中に直接潜って確かめれば済む話だし」
「クソッ!!おい、やめろ!!」
そう言って素子はプラグを摘んで、カイザーに近づけ始めた。
「やめッ!!」
「何だ?」
「・・・・・・」
だが素子がジェネラルと繋がろうとした瞬間、彼は身体を硬直させ何も言わなくなる。
「あっ…がっ…ががががががががが!!!!」
「ちょっ…どうなってんすか!?」
「チッ!遠隔で電脳を焼かれてるわ」
そして彼は壊れたかのように震えだし、頭部から微量のスパークが空気中に放出する。それを見て素子は、何者かに遠隔で電脳を焼かれているのだと理解した。
「うッ…!!」
電脳を焼かれたジェネラルは、その場で気を失ってしまった。
「し、死んだ…?」
「いや…生きてる」
「毎度、アンタたちの頑丈さには驚かされるわ…」
ミユは恐る恐るジェネラルの顔を覗き込み、彼の生死を確認する。カヨコは彼の生存を確認すると、素子はキヴォトス人の頑丈さに改めて驚いていた。
「ほら、起きろ!」
「ぐっ…!?」
「あらあら…相変わらず容赦ないですね」
気絶しているジェネラルから情報を引き出そうと、素子は彼に蹴りを入れる。その容赦のなさに、アカネは苦笑いをしていた。
「くっ…うぅぅ…」
「あ、起きたっすね。流石PMCのジェネラルだけあって頑丈…」
「長生きしそうね」
素子の蹴りでジェネラルは覚醒する。すぐに意識を取り戻した彼を見て、イチカとヒナはある種感心していた。
「さぁ、洗いざらい吐いてもらおうか?」
「君は一体誰だ?」
「「「「「は…?」」」」」
素子がジェネラルの胸ぐらを掴んで脅す。だが彼は3度も煮え湯を飲まされた彼女の顔を見ても、きょとんとしている。
「そもそもここは一体何処だ?いや…私は何者何だ…?まるで思い出せない」
「チッ…さっき焼いたのはコイツの記憶か」
それどころか、ジェネラルはこの場所がどこかも、自分が何者なのかも忘れてしまったようである。彼の様子を見て、素子は記憶を消去されたのだと気づいた。
『皆さん大変です!!』
「うわぁ!?」
『あっ…すみません』
記憶を失ったジェネラルを見て途方に暮れていると、突如アヤネから通信が入る。いきなり通信が繋がったことにミユは驚いていた。
「どうした?」
『加賀崎ユカが…ザザザッ…通信で…ザザザッ!!』
「ノイズが酷いな。まだ内部の掌握が完全ではないの?」
アヤネは加賀崎ユカに関する報告をしようとするが、ノイズが酷く詳細が聞こえなかった。
『いいえ。それは違います』
「「「「「!?」」」」」
だがその直後知らない声が一同の耳に入る。
「貴様が加賀崎ユカだな?」
『えぇその通り。こうしてお話するのは始めてですね、先生』
声の主は加賀崎本人である。彼女はアヤネの通信を割り込んで直接彼女たちに繋いだのである。
『草薙素子先生、そしてこの場に集った各学園の生徒たち。この奥の基地でお待ちしております』
「わざわざそんな事を言うために通信を繋いだのか?」
『えぇ。私からあなた達への宣戦布告です』
彼女は素子たちにこの先の基地に自分がいることを知らせる。元連邦生徒会の官僚であった彼女は、律儀なのである。
「受けて立つ」
加賀崎に素子はそう答えた。
『通信を割り込まれるとは…自分の庭での事とはいえ中々のハッキング能力ですね』
『加賀崎ユカが皆さんに接触する前に私の方にも宣戦布告と取れる文章が送られて来ました。それを報告しようと思っていたのですが、まさか直接言いに来るとは…』
ヒマリは加賀崎のハッキング能力に感心していた。アヤネは加賀崎から送られた通達をみんなに伝えようとしていたようで、直接自分から言及した彼女の行動に驚いていた。
「AMASは全員分いるな?」
「えぇ大丈夫よ先生。私がちゃんと連れてきたから」
「良くやった」
素子はAMAS改が地下7階に辿り着いているかを確認する。AMASに付いていたためこの場にいる6人全員分のAMASは無事であった。先生に褒められたヒナは、少しだけ笑顔を見せた。
「全員、AMASに搭乗しろ。これより地下工場の最深部、カイザーの地下基地へと向かうぞ」
「「「「「了解」」」」」
素子の指示の元、一同はAMAS改に搭乗し、加賀崎ユカのいる地下基地へと向かった。
サガワ電子地下工場最深部・カイザー基地地下軍港
今はもう使われていない施設であるが、整った状態であった。素子たちはAMAS改に乗り、警戒しながら薄暗い内部へと突入した。
「前方に船影を確認したっす」
「地下6階にあったあの白い塊の正体は艦船だったわけね」
サガワ電子の工場の最深部にあったのは軍港であった。そこには1艘の船が浮かんでおり、カヨコはそれが地下6階で製造されていたものの正体であると気づいた。
「ご機嫌よう皆さん」
一同が艦船を見あげていると暗かった施設が明るくなり、加賀崎ユカが姿を現す。
「あれが加賀崎ユカ…ですか?」
「連邦生徒会のデータベースとは別人ね」
だが加賀崎の姿を見たアカネとヒナは驚いていた。彼女の姿は義体化手術によって別人となっていたのである。
「フフフ…せっかく義体化するんですから理想の容姿とボディにしたいと思いまして」
「俗物的だね」
元の彼女は背はそれなりだが、女性的な膨らみに乏しい体型であった。しかし今の彼女は長身でグラマラスなボディになっていた。顔つきも幼さが残るものから大人びたものへと変化している。さらに髪色も金から黒になっており、髪型も特徴的なものから、シンプルなワンサイドアップになっている。どうやらこれが彼女の理想の容姿と体型らしい。
そんな彼女のことをカヨコは俗物的だと吐き捨てた。
「容姿がどうであれ、お前が加賀崎ユカであることには変わりはない。連邦捜査部S.C.H.A.L.E及び、連邦生徒会の権限で貴様を逮捕する」
素子はそう言って船上の彼女に銃を向ける。
「応じるとでも?」
しかし、彼女は自身ありげにそれを拒否した。
「そんな艦船用意したって、アナタ1人じゃまともに動かせない。大人しく投降することね」
「今ならその自慢の義体も傷つかずに済みますよ?」
カヨコとアカネは加賀崎に投降を呼びかける。
「私が何の対策も無しにここにいるとお思いで?」
「な…何をするつもりなんですか…?」
「フフフフフ…」
加賀崎は投降には応じず不敵な笑みを見せる。何かしらの切り札をまだ持っているような、余裕の態度で彼女たちを見下ろしていた。
「ではお見せしましょう!私が再びキヴォトスをカヤ室長の手に委ねるべく、サガワ電子の地下で開発していたモノを!!」
「ヤツの攻撃が来るぞ、総員戦闘用意!!」
「「「「「了解!!」」」」」
加賀崎はその秘密兵器で素子たちの相手をするべく、義体を艦船に接続する。素子は彼女の攻撃の気配を察して、生徒たちに戦闘用意の指示を出した。
「さぁ、この兵器の真の姿をお見せしましょう!!」
ギゴガゴゴ!!
「なっ…!?」 「そんな…!?」 「嘘でしょ…?」
加賀崎が右手を上げると、艦船は動き出し変形を開始する。その異様な光景に一同は目を見開いた。
「コイツは…まさか!?」
『サガワは何故アレの情報を…?いや、それよりもサガワの技術力はそのレベルにまで到達しているというのですか…!?』
『予想外だわ…』
そしてその姿に素子とヒマリとリオは心当たりがあるようである。リオは気まずいので今までAMAS改のモニタリングに専念していたが、ソレの姿を見て思わず素子たちに通信を繋いだのである。
「そう!!これこそが私とサガワが秘密裏に製造していた最終兵器!!」
艦船は両舷が四足獣の手足のように変形し、鋭い爪のようなものが飛び出す。さらに船首は上下で中から大口径のキャノン砲が見え始める。
その姿は正に怪獣であった。
「量産型コクマー Type ⅵ Abukumaです!!」
「グロォォォォォォォォ!!!」
その姿はデカグラマトン2番目の預言者コクマーそのものであった。彼加賀崎とサガワがこのレッドウィンターの北端に籠もって開発していたのは、コクマーを解析した量産型だったのである。
「この力で私はあなた達を打倒し、再びカヤ室長が理想としたキヴォトスを取り戻すのです!!」
『目標に高エネルギー反応!!攻撃がきます、皆さん備えてください!!』
「グォォォォォォ!!」
加賀崎の目的は自分とサガワが作り出した6体の量産型コクマーで、素子を倒しキヴォトスの学園を力によって支配することであった。彼女はその目的を達成するべく素子たちに襲い掛かる。量産型コクマーがエネルギーを充填し始めたことに気付いたアヤネは、通信で一同に呼びかけた。
「さぁ、まずはご挨拶と行きましょうか!!」
加賀崎がそう言うと量産型コクマーの両舷の一部が開き、そこからミサイルの発射管が現れる。
「発射!!」
「こんな閉鎖空間でミサイルぶっ放すなんてバカなんすか!?」
「アハハハハハハ!!」
そして加賀崎が地下の軍港の中でミサイルを発射する。攻撃によって軍港の壁や天井が破壊されていく様を、彼女は笑いながら眺めていた。
『どうする先生?』
『まずはお前たちで何とかしてこのデカブツの動きを止めろ』
『先生は?』
『私が隙を突いてあの艦船の上に乗り、加賀崎の相手をする』
軍港内で暴れ回る量産型コクマーに対し、ヒナとカヨコは素子に指示を仰ぐ。それに素子は即座に答え、生徒たちも加賀崎を逮捕するために動き始めていた。
「グォォォォォォォォ!!」
『会長。申し訳ありませんが、会長のAMAS改は無事では済まなそうです』
『構わないわ。AMAS改は先生と貴女たちをサポートするために私が作ったのだから、そのために壊されるのは想定の内よ』
AMAS改に乗っている彼女たちは、量産型コクマーの攻撃を縦横無尽に躱しながら反撃の機会を伺う。AMAS改は両手のアームや粘着性のワイヤーを使い、壁や天井を移動すら可能にしていた。
「ビックシスターの攻撃型装甲外骨殻ですか…厄介ですね」
量産型コクマーの巨体を操る加賀崎は、小型のAMAS改を対処しきれずにいた。
「おっと…」
『避けられた…!!』
「フフフフ…演算システムの調整も完璧ですね」
艦上にいる加賀崎にミユの放った一発の銃弾が飛んでくる。しかし彼女は船内に搭載されている演算システムでそれを回避した。
『やはり私が直接あの女の前に行って倒さないといけないようね』
『厄介なのは上から降って来る瓦礫と、デカブツの機銃掃射っすね…』
ミユの狙撃が避けられたのを見て、素子は直接彼女と対峙する必要があると再確認する。
『それに恐らくまだ何個か手札を隠し持ってると思う』
『やれやれ…気が遠くなってきそうです』
『めんどくさい…』
AMAS改に乗り隙を突いて攻撃を加えながら、カヨコは加賀崎がまだ手札を持っているだろうと推察していた。アカネとヒナはまだまだ先は長いとため息をついていた。
「さて、鬼ごっこの鬼役もそろそろ飽きてきましたね。次の攻撃を行うとしましょうか」
「コォォォォォォォォォォォォォォ…!!」
加賀崎は未だ余裕の表情で逃げ回っている彼女たちのことを眺めていた。だが、それにも飽きてきたのか、量産型コクマーの船首のキャノン砲にエネルギーを集め始めた。
『火炎放射が来るぞ!!全員「殻」に籠れ!!』
「「「「「!?」」」」」
「燃え尽きろ!!」
「ボォォォォォォォォォォォォォォ!!!!」
コクマーと対峙したことのある素子は、量産型も同様の攻撃が来ると察知し彼女たちにAMAS改に入るよう指示する。量産型コクマーは加賀崎の号令と共に爆炎を吐き出した。
「チッ…頑丈ですねぇ」
『当然よ。それくらいの事は想定しているわ』
しかし彼女たちは耐火性も備えているAMAS改に籠っていたため、全員無事であった。
「まぁいいでしょう。こうやって攻撃を続けていれば、先にギブアップするのは貴女たちのほうなのですから」
だがその後彼女はすぐに落ち着きを取り戻した。ここで激情しないのがジェネラルとの違いである。
『付け入る隙がないっすね…』
『このままじゃアイツの言う通りジリ貧ですね…』
イチカとアカネは量産型コクマーを止めようと機会を伺っているが、中々そのチャンスが訪れず歯痒い思いをしていた。
「これ以上無駄に頑張っている姿を見るのは不憫ですね。ここらで終わりにして差し上げましょうか」
『いいえ。終わりじゃありません!!』
加賀崎は素子たちのことを不憫と感じ攻撃の手を強めてトドメを刺そうとする。だがここでアヤネが行動に出た。
「あれは…奥空がヘリに持ち込んでいた簡易ドローンか」
『はい。軍港の出入り口を見つけたので、そこからドローンを侵入させました』
量産型コクマーの後ろの水路から飛んで来たのはアヤネが持ち込んだドローンである。彼女は何かの役に立てばと思い数十体にもわたるドローンをヘリに持ち込んでいたのである。
「小賢しいことを…こちらは撃ち落すまでです」
『そうはさせません!!』
「くぅ…!!ちょこまかと…!!」
大量のドローンの攻撃を加賀崎は量産型コクマーの機銃で撃ち落とそうとする。しかし、アヤネは持ち前の操縦技術で数十体のドローンを操作し、機銃掃射を躱していく。
『アビドス1年生のアヤネ…あの時から随分成長したみたい』
『そうだね』
アヤネの操縦技術を見たヒナとカヨコは、アビドスの時から成長した彼女の姿を素直に喜んでいた。
『突撃開始!!』
「くっ…!!ドローンを船体に突撃させてダメージを与えるつもりですか?ですが無駄ですよ。ドローンの特攻如きで傷つくようなヤワな装甲じゃありませんから!!」
アヤネはドローンをそのまま量産型コクマーに突撃させる。加賀崎は多少驚いたものの、量産型コクマーの装甲に自信を持っていた。
『フフフ…果たしてそうでしょうか?』
「グォォォォォォォォォォォォォォォォ…!!」
「なっ…!?爆弾を仕込んでいるんですか!?」
『勿論。特別製のをたっぷりと…』
だが量産型コクマーの装甲に自信を持つ加賀崎に対し、アカネは不敵に笑う。特攻させたドローンにはアカネが製作した特別製の爆弾を仕込んでおり、ソレは容易に船体の装甲を焼き焦がした。
『あのデカブツが動きを止めたな。攻勢をかけるぞ!!』
『『『『『了解!!』』』』』
アヤネのドローンとアカネの爆弾によって、量産型コクマーはようやく動きを止める。素子はそれをチャンスと捉え、生徒たちに攻撃に入るよう命じた。
『奥空、コイツの操縦をお前に任せる。私をアレの船上まで運んでちょうだい』
『分かりました。加賀崎ユカの捕縛をお願いします!』
『任せておきなさい』
素子は加賀崎を直接叩きに行くべく、アヤネにAMAS改の操縦を任せる。素子はAMAS改の中から飛び出て、その上に乗った。
『みんなで先生を援護しましょう』
『えぇ』 『はいっす』 『はい…』 『うん』
そしてヒナを筆頭にこの場にいる生徒たちも、素子を援護するべく前に出る。
「猪口才な…!!」
『先生、飛んでください!!』
「ふッ…!!」
自分に近づいてくる素子仕留めようと、加賀崎は再び火炎放射キャノンを充填させる。しかし素子はAMAS改を踏み台にして彼女の元へと飛び上がった。
「・・・・・・」
「…!!」
そして素子は生徒たちの協力もあり、船上にいる加賀崎と対峙する。度重なる攻撃で演算システムも使用不能になっており、ここに来て初めて加賀崎は焦ったような表情をし始めていた。
「終わりよ」
そう言って素子はハンドガンを構える。
「私はこんな僻地で、カヤ室長のために何年もレッドウィンターのバカ共とサガワの汚い大人相手に耐えてきたんです!!こんなところで終わってたまるものですか!!」
「・・・・・・」
素子と対峙したことによって加賀崎は己の心情を吐露する。彼女にも彼女なりの苦悩があったようだが、素子は何も答えず、ただこの女を捕まえることだけを考えていた。
「カヤ室長の仇!!」
そう言うと加賀崎の右腕は変形して中から銃身が出てくる。彼女は義体に武器を仕込んでいたのである。
「草薙素子ォォォォォォォォォォォォ!!」
加賀崎は絶叫し素子に襲い掛かる。だが素子は表情一つ変えずに狙いを定める。
「死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
「・・・」
そして素子は殺意を向ける加賀崎に一発の銃弾を発射する。
「うっ…!!あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
素子の放った銃弾は変形した右腕に命中。彼女の右腕には弾が込められていたためそれが暴発した。
「加賀崎ユカ、お前の負けだ。大人しく投降しろ」
「諦めて…たまるものかぁぁぁぁ!!」
素子は加賀崎に投降を促す。しかし諦めの悪い彼女は、残った左腕で彼女に殴りかかってきた。
「・・・・・・」
「なっ…!?」
だがその拳は素子に掴まれてしまった。
「サガワの作った義体の性能がどの程度か知らないけれど、お前が私に勝つことはできないわ」
「そ、そんな…こんなバカなことが…!?」
素子は加賀崎の拳を握りしめ、彼女に自分には勝てないと告げる。
「私は6歳の頃からこの人工の身体で生きていた。つい最近義体化したお前とは年季が違うのよ、小娘」
「くっ…うぅぅ…」
年季の違いを教えられ、加賀崎ユカはようやく負けを認めた。負けを認めた彼女は、その場で泣き始めた。
その後、サガワ重工本社にて
「ヴァルキューレ公安局だ!!大人しく来てもらおうか?」
「「「「「・・・・・・」」」」」
素子たちが見つけたサガワと防衛室との裏取引の証拠を受け取ったカンナは、サガワ重工本社へと突入する。癒着が露呈した役員たちは、大人しくカンナの指示従うのであった。
こうしてサガワと防衛室との癒着が世間に暴かれ、レッドウィンターでクーデターを起こしたサガワのPMCたちは、帰還したチェリノたち事務局によって捕らえられる。
キヴォトスを揺るがす大事件はこうして幕を閉じたのであった。
豪華客船ゴールデンプライム号
「それでは作戦の成功を祝して、乾杯!!」
「「「「「乾杯!!」」」」」
作戦を終えた一同はナギサが貸し切った停泊している豪華客船の中で打ち上げを行っていた。
「お食事とお飲み物はこの船のシェフが用意しておりますので、皆さん遠慮せずお召し上がりください」
「いやー、流石ナギサ様っすねぇ~」
「うわぁ…野宿生活じゃ食べられないものばかりだぁ…」
彼女たちの前に豪華な食事や高そうなお菓子が運ばれてくる。普段コンビニの廃棄弁当を食べているミユは、その料理に目を輝かせていた。
「豪華客船でパーティーって言うから着てきたけど…」
「やっぱりちょっと浮いてたかも…」
ヒナとカヨコはパーティーと聞き、ドレスコードが必要だと思ったのか、ドレスを着て参加する。しかし他のメンバーが制服などの普段着ている服を着ていたため、ちょっぴり後悔していた。
「そんなことはありません。お二人ともとってもお似合いですよ?」
「えぇ。この場に相応しい格好かと…」
「そ、そう…?ありがとう」
「そう言ってもらえて嬉しい…」
ナギサは2人を気遣って言葉を掛ける。アカネもそれに同調し、2人は彼女たちの言葉で安心するのであった。
「す、凄いですね…こんな場所初めて来ました」
「我々のような裏方はどうしても部屋に籠っていることが多いですからね。ですが、良い場所ですね。この私のような超天才清楚系病弱美少女ハッカーが存在するのにふさわしい場所です」
「あはははは…」
一方アヤネは豪華客船の船内に圧倒されていた。その隣にいるヒマリは相変わらずであった。
「そう言えばリオ会長はどうしたんですか?」
「あぁ。彼女は基本こういった催しには参加しませんよ」
「あらら…勿体ない」
アカネはリオがいないことに気付き、彼女のことを良く知るヒマリにその所在を尋ねる。ヒマリはリオがパーティーには参加しない性格だと答えると、アカネは残念に思うのであった。
「・・・・・・」
彼女たちの様子を、素子は少し離れた場所からウイスキーを傾けながら眺めていた。
「そんな所で1人で黄昏てないで、先生もこっちに来るっすよ!」
「はぁ…任務明けだっていうのに元気ね」
「当然っすよ!!こんな所中々来れないんすから」
だがイチカはそんな素子を、自分たちのいるテーブルへと引っ張り出す。素子はイチカの若々しいはしゃぎように呆れていた。
「今回は貴女たちのお陰で、キヴォトスの危機を防ぐことができた。良くやったわね」
「「「「「・・・・・・」」」」」」
「なぁに?アンタたち…私が素直に褒めるのがそんなにおかしいわけ?」
素子はこの場にいる彼女たちに、労いの言葉を掛ける。それを聞いた彼女たちは、皆一様に驚いていた。
「まぁいいわ…私も今日は気持ちよく酔えそうだし」
そう言って素子は彼女たちの輪に加わった。祝勝パーティーは時間一杯ギリギリまで盛り上がっていた。
混迷のレッドウィンター編 完
加賀崎ユカ(義体化)の姿:加賀改二で検索
加賀崎ユカ:連邦生徒会防衛室北部方面担当。上司のカヤを崇拝している。カヤ同様巨乳憎しだが、グラマラスなボディに憧れていた。
量産型コクマー:サガワが秘密裏に開発していた秘密兵器。全部で6艘製造されており、それぞれ名前が付けられている。6番艦の名前はAbukuma。
名前の由来はコクマーの軽巡形態のモチーフが長良型らしいから。
それではまた来週。