GHOST IN THE SHELL Blue Archive 作:H2O(hojo)
タイトルはそう言えばラビットって入ってたなと思って採用した、サントラの1曲です。
深夜・ヴァルキューレ警察学校屋上にて
「・・・・・・」
「先生…」
屋上にいたのは、連邦捜査部S.C.H.A.L.Eの先生である草薙素子と、ヴァルキューレ警察学校公安局長の尾刃カンナである。
「何故先生がこちらに…?」
「あら。理由は言わなくても分かるんじゃないかしら?」
「何でもお見通しですか…敵いませんね」
カンナは素子がこの場にいることに驚いていた。だが彼女にも素子がこの場に現れたことには心当たりがあるようである。
「今、私の部下4人がお前たちヴァルキューレとカイザーのリベートの証拠を見つけに潜入している所だ」
「あの元SRT特殊学園の生徒たちですか…」
「そうよ」
この下の建物ではRABBIT小隊がヴァルキューレとカイザーのリベートの証拠を見つけ出すために潜入を行っている最中である。カンナはその動きを嗅ぎ付けてここへやって来たのである。
「たった4人でヴァルキューレの警備をどうにかできるとお思いですか?」
「無論よ。私はあの娘たちを警察相手にやられるような教育をした覚えはないわ。もし捕まるような不手際があれば、遠慮なく矯正局送りにしてくれて構わないわよ」
素子はRABBIT小隊の教育に自身があるようである。
ヴァルキューレ警察学校内部
『こちらRABBIT1。目標の建造物に侵入しました。どうぞ』
『こちらRABBIT2。裏口から潜入した』
『こ、こちらRABBIT4…。女子トイレの小窓から潜入しました…』
『こちらRABBIT3。感度良好、通信に問題な~し』
RABBIT小隊のミヤコ、サキ、ミユの3人はヴァルキューレ警察学校に潜入を開始していた。モエは子ウサギ公園から彼女たちをサポートする。
『これが光学迷彩かぁ』
『使ってみると案外便利ですね』
『そ、そうかな…?私はあんまり実感が湧いてない…』
彼女たちは光学迷彩を使用していた。ミヤコとサキは光学迷彩の効力を評価していたが、影の薄いミユだけはその効果を未だ実感できずにいた。
『少佐、こうやって光学迷彩はくれるのにメシは一回も奢ってくれたことないよね』
『サイボーグだから味とかよく分からないんじゃないか?』
『お陰で私たちはずっとコンビニの廃棄弁当と野草で暮らす始末か…』
モエは素子が光学迷彩をあっさり支給したのに対し、食事に窮している自分たちに奢ったことが一度もないことに不満を抱いていた。それにサキは彼女がサイボーグ故に興味がないのだと考えていた。
『サキ、モエ…任務中に私語は厳禁です。それに、忘れてませんか?』
『はぁ?』 『何が?』
『聞こえてるわよ、アンタたち』
『『ゲッ…!?』』
任務中に雑談に勤しんでいるサキとモエを、ミヤコは注意する。さらには素子も通信に割り込み、枝を付けていることを2人に示した。
『はぁ…さっさとリベートの証拠を見つけますよ』
『『はい…』』
再び場面は屋上に戻る
「カイザー新しい武器を手に入れたからって、それをいきなり子ウサギタウンの住人に使用したのはマズかったわね。それじゃあ疑って下さいって言っているようなものよ?」
「は、はぁ…すみません」
素子はカンナに以前の彼女の行動について、悪かった点を指摘する。いきなりそんな事を言われたカンナは、戸惑っていた。
「私は、別にアンタが事件の黒幕だとは思っていないわ。アンタの立場についても理解はしているつもり」
「・・・・・・」
「けれど私は元公安9課の草薙素子として、犯罪の芽を放っておくわけにはいかないのよ」
素子はカンナのことについて一定の理解を見せる。だがしかし、彼女は犯罪の芽を事前に潰すために作られた攻性の組織公安9課の「少佐」であることを忘れてはいないのである。
ヴァルキューレ警察学校地下1階
「こちらRABBIT1。地下1階で金庫を発見しました」
『多分ここに裏帳簿が隠されてると思うよ』
ヴァルキューレ警察学校の重大な資料が収蔵されている金庫に辿り着いたのは、ミヤコであった。
『RABBIT3、金庫を開けるまでどの程度かかりますか?』
『うーん…最近ヴェリタスのあの副部長がセキュリティを強化してる痕跡があるね。攻性防壁まで仕込んである。まぁ長く見積もって10分そこらってところかな』
『少佐のお気に入りのあの人ですか…』
『アンタさっき自分で言ってたこと忘れてない…?』
金庫のセキュリティはチヒロによって強化された形跡があり、SRTの高性能な防壁破りでも10分程度かかるとモエはミヤコに伝える。ヴェリタスの副部長という単語を聞いたミヤコは、露骨に機嫌が悪くなった。
『防壁を破るのに10分、そっから証拠を探して持ち出すのに10分。20分あればできるよな?』
『問題ありません』
『了解。じゃあアタシとミユはそれまでヴァルキューレの警備相手に時間を稼ぐから、後はよろしく』
『ミヤコちゃん…頑張ってね』
サキはミヤコに20でリベートの証拠を持ち出すことができるか聞くと、ミヤコは自信を持って可能であると答える。それにサキは自分たちが別の場所で時間を稼ぐと言って、証拠探しをミヤコに託すのであった。
『これが少佐の言ってた「チームワーク」ってやつなのかねぇ…』
モエは各々が自らの役割を果たして自主的に動く姿を見て、素子から言われたある言葉を思い出していた。
“お前たちは、他の学園の部活動とは違う凶悪な犯罪に対処する特殊部隊だ。お前たちの間には「チームプレー」という都合のいい言い訳を生じさせてはならない。お前たちに必要なのは「スタンドプレー」から生じる「チームワーク」だ”
素子が語ったのはかつて自分が公安9課の課長である荒巻大輔から言われた言葉である。彼女はRABBIT小隊も公安9課のようになって欲しいと考えていた。
ヴァルキューレ警察学校2階
『ミユ、準備はいいか?』
『う、うん…大丈夫』
『よし。始めるぞ』
現在サキとミユがいるのは警察学校の2階。彼女たちは時間を稼ぐために、光学迷彩を解く。
「だ、誰だお前は!?」
「こんな時間に部外者がヴァルキューレの校内で何やってるんだ!?」
光学迷彩を解いたことで、周囲を巡回している警備員にサキが気付かれた。
「お前たちの悪事を暴くためだよ!!」
「ぐわぁ!!」
「ごはぁ!!」
「と言っても、警備局のアンタらには関係ない話か」
向かって来る警備局の2人に対し、サキはマシンガンで応戦する。2人は何もできずにその場で気絶するのであった。
「何だ何だ?」
「侵入者だ!!」
「まったく…数だけは多いな」
銃声を聞いた警備局の人員がすぐに現場に現れる。サキは次々と現れる警備局に対処していくのであった。
警察学校屋上
「始まったな」
「・・・・・・」
建物の下が騒がしくなったのを聞いた素子は、RABBIT小隊とヴァルキューレ警察学校の戦闘が始まったことを察知していた。
「電脳で指揮を?」
「その必要は無いわ。私や私の元部下に比べれば未熟も未熟だが、それでもあの娘たちは特殊部隊だ。この程度私無しでやってもらわないと困る」
「本当に4人だけで作戦を完遂させるおつもりなんですね」
「そうよ」
カンナは素子が電脳でRABBIT小隊を指揮すると思っていたようだが、彼女はそれを否定する。今回の作戦はRABBIT小隊だけで作戦を考え、そしてそれを実行に移している。素子がしたことと言えば光学迷彩を与えただけである。それも彼女たちから必要だと言われたため用意したのだ。
「さて、中間テストだ。成果を見せてもらおう」
警察学校2階
「チッ…弾切れか。ミユ、リロードするからコイツらの相手を頼む」
『う、うん…わかった…』
多数の警備局の生徒を相手にしてきたため、サキのマシンガンは弾切れを起こす。サキはリロードするため、警備局の相手をミユに託した。
「ポイントマンが弾切れを起こしてるぞ。今がチャンスだ!!」
「進めぇぇぇぇ!!」
サキの弾切れに気付いた警備局の生徒が、勇んで彼女の元に突撃する。彼女に続いて数人もそれに続いた。
「突撃ィィィ!!ウッ…!?」
「ガッ…!?」
「おいどうしたん…グハァ!!」
だがしかし、サキに突撃してきた警備局の生徒は全員ヘッドショットを喰らい、その場に倒れる。
「スナイパーがいるぞ!!」
「何だ…!?どこに隠れているんだ!?」
仲間を狙撃された警備局の生徒たちは、必死に狙撃手を探す。だが、彼女の光学迷彩並の影の薄さの前では、どれだけ探しても無意味であった。
「よし、リロード完了。もういいぞミユ」
『うん…』
そしてミユが警備局を何人か気絶させている間に、サキはリロードを終える。
「さぁ、全員まとめてかかってきな!!」
サキは再び警備局を相手に戦闘を開始した。
警察学校地下1階
「こちらRABBIT1。カイザーとのリベートの証拠を入手しました。これよりこの場から撤退を開始します」
『了解。3階で落ち合おう』
『待ってるね、ミヤコちゃん』
その後、ミヤコは金庫からリベートの証拠を見つけその場から撤退を開始する。サキとミユと3階で落ち合おうと、約束していた。
『潜入からここまで15分。少佐が提示した時間は30分だから、残り15分で屋上まで脱出すればいいってわけね。余裕余裕』
「ですが油断は禁物です。任務中は何が起こるか分かりませんから」
素子が彼女たちに与えた制限時間は30分。それまでに潜入から脱出までをこなさなければならないのである。
『エレベーターの掌握が完了したよ。これで3階まで一気に行ける』
「了解。ありがとうございます、モエ」
『こんくらい安いもんだよ』
ミヤコはモエによってハッキングされたエレベーターに乗り、一気に3階へと向かった。
警察学校3階
『何か2階のほう、音ヤバくない?マジで侵入者がいるんじゃないの?』
『うぅぅぅ~助けに行きたいですフブキ!!』
『ダメ。持ち場を離れるなって言われたでしょ?』
3階に配置されているのはフブキとキリノを含めた10人程度の生活安全局の生徒である。下では警備局とRABBIT小隊が激突しているなか、彼女たちは持ち場を離れることができずにいた。
“3階です”
「・・・・・・」
「……あっ」
3階のエレベーター付近を巡回していたキリノは、丁度エレベーターに乗っていたミヤコと鉢合わせる。
「…ッ!!」
「あっ!?待ちなさい!!」
キリノと鉢合わせしてしまったミヤコは、一瞬動揺するものの、すぐにその場から離れる。キリノは急いでそれを追った。
「こちらRABBIT1。生活安全局の生徒と鉢合わせしました。彼女を巻くのに少々時間を要します」
『奇遇だな。こっちも階段を上ったところでツインテールの小さいヤツと鉢合わせた』
ミヤコがサキたちにキリノに追われていることを報告すると、サキもフブキと階段で鉢合わせたことを報告する。
「まったく…運が悪いですね」
『どうする?このままだと下にいる警備局の応援を呼ばれかねないぞ』
「そうですね…時間もあまりありませんし、ここは早急に片を付けるとしましょう」
「待てー!!」
生活安全局の2人に運悪く遭遇してしまったことに、ミヤコはため息をつく。サキの言うように、このまま逃げ回っているだけでは下の階から応援を呼ばれかねないため、ミヤコは作戦を考えるのであった。
「はぁ…はぁ…見つけっちゃったら追いかけるしかないじゃんもぉー!!」
「・・・・・・」
フブキは文句を言いつつサキを追う。追われるサキのほうが、彼女がついて来ているのかを確認しつつある場所へと向かう。
「こらー!!待ちなさい!!」
「残念ですが、貴女たちに捕まるわけにはいかないので」
「ぜ、全然追いつけないです…!!」
一方ミヤコも、重い装備を付けているにも関わらずキリノを引きつけて逃走する。素子の厳しい訓練のお陰で、彼女は装備を装着しながらでも軽快に動くことができるようになったのである。
『サキ、準備はいいですか?』
『勿論』
ミヤコとサキは目的地に近づくと、互いに通信で連絡を取り合う。
「はっ…!!」
「よっ…!!」
そして2人は突き当りを曲がって、それぞれ同じ通路の両端へと入る。
(しめた!その先は長い一本道だ。しかも反対側にはキリノが向かってるはず)
(フブキと一緒に挟み撃ちです!!)
そしてそれを追って、フブキとキリノも角を曲がり、通路へ入った。
「アナタたちは包囲されています!投降してください!!」
「大人しく捕まっておいたほうが身のためだよ…ってあれ?」
通路の両端でミヤコとサキを追い詰めたキリノとフブキは、彼女たちに投降を呼びかける。しかし、ここでフブキが異変に気づいた。
「あれっ…?いない」
「そんな…さっきまで私の目の前にいたはずなんですが…」
さっきまで追いかけていたはずのミヤコとサキがいないのである。その不思議な光景にフブキとキリノは首を傾げていた。
「「・・・・・・」」
2人が首を傾げているのを見ながら、ミヤコとサキはその場を離れるのであった。
「光学迷彩があって助かりましたね」
「あぁ。まぁ無ければ無いで別の方法を考えたけど」
2人がキリノとフブキを巻いた方法は、通路に入った瞬間光学迷彩を使い、その場から突如いなくなったように見せかけることであった。
「屋上へ向かいましょう」
「そうだな。ミユをいつまでも扉の前に待たせておくわけにもいかないし」
そう言ってミヤコとサキは屋上へと向かった。
警察学校・屋上
「来たわね」
「・・・」
屋上の扉が開く音を聞いて、素子はRABBIT小隊が任務を完了したことを理解する。カンナは何も言わなかったが、その事実には驚いていた。
「少佐。月雪ミヤコ、空井サキ、霞沢ミユ、任務完了しました」
「ご苦労」
隊長のミヤコが素子に任務完了の報告をし、彼女はミヤコが持ち出したリベートの証拠を受け取る。
「偽物を掴まされてはいないようだな」
(先生の言う通り、あれは間違いなくヴァルキューレ警察学校の紋章が入った正式な書類…。コイツら本当にものの30分であれだけの警備をかいくぐってここまで来たのか…!!)
素子はミヤコから手渡された書類を確認して、本物かどうか確認する。カンナは書類の表紙に印刷されているヴァルキューレの校章から、あれが本物であると断定した。
「25分39秒…まぁ及第点ってところかしらね」
「クソッ…生活安全局に見つからなければ…!!」
「言い訳かしら?」
「い、いえ…実力不足です」
潜入からこの場に到達した時間は25分39秒であった。素子が提示した30分以内という条件はクリアできたが、彼女はそれを褒めることはしなかった。
「次は20分で終わらせなさい」
「「「『はい』」」」
そして素子は、彼女たちに次はもっと早く終わらせるようにと告げる。それを聞いて4人はハッキリと返事をした。
「随分厳しいんですね」
「当然だ。特殊部隊を名乗る以上、先日のような無様を晒すような真似は許さん」
「そうですか…」
そんな素子の彼女たちへの態度を見て、カンナは厳しいと感じたようである。事実RABBIT小隊4人対しては、彼女は他の生徒たちよりも厳しい態度を取っている。それは彼女たちが素子の部下であり、彼女と同じ特殊部隊だからである。
「少佐…何故公安局長がここに?」
「アンタたちを捕まえるためにわざわざ屋上で待ってたらしいわよ?」
「安心しろ。もうお前たちを逮捕するつもりはない。先生に指導されたお前たちの勝ちだ」
ミヤコは何故この場にカンナがいるのか気になったようである。彼女はRABBIT小隊が不穏な動きをしているとの報告を受けて、屋上で待ち構えていたのである。しかし、屋上には先に素子がおり、彼女と会話をするうちに彼女たちを逮捕する気が失せてしまった。
「私たちはコイツをこれから世間に公表する。今後、おまえたちヴァルキューレには試練が待っているだろう」
「受け入れるつもりです。犯罪を取り締まるための我々警察が犯罪に手を染めているのですから」
「そうね。まぁそれ自体どこの世界でも珍しい話じゃないけど…」
素子は今回の作戦で手に入れたリベートの証拠を公開するつもりである。それによってヴァルキューレへの世間の風当たりは強くなるのは確実である。カンナはその事を素直に受け入れると述べた。
「だが安心しろ。お前たちの後ろに潜む闇も私たちが必ず暴いて見せる。私は常に犯罪に対し攻性であり続けるわ」
「ありがとうございます、先生。貴女にそう言っていただけるだけで、私は安心して処罰を受けられます」
素子はそれに付け加えて、この事件のさらに奥の闇も自分たちの手で暴いてみせるとカンナに宣言する。それを聞いて、カンナは安心していた。
『少佐。こちらRABBIT3いつでも降下できます』
「よし。降下しろ」
『了解』
素子たちが会話をしている間にモエの操縦するヘリがヴァルキューレ警察学校の上空へ到着する。素子は降下を指示して、ヘリを屋上へと近づけさせた。
「帰るぞ」
「「「了解」」」
「・・・・・・」
そして、素子とRABBIT小隊は子ウサギ公園へと帰っていった。カンナは黙ってその姿を見送るのであった。
本編だと結構グダってたヴァルキューレへの潜入ですが、少佐の教育のお陰で危なげなく任務を遂行できましたよという感じを出したかったです。
機会があればFOX小隊も出したいんですけどね...苗字がユキノしか判明してないのがね
それではまた来週。