GHOST IN THE SHELL Blue Archive   作:H2O(hojo)

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今回は初の百鬼夜行メインの話です。

今回のオリキャラ:丸瀬ロゼ
キヴォトスの某学園の英雄と呼ばれている生徒。
元ネタはマルセロ・ジャーティです。
丸瀬ロゼの容姿:武蔵改二で検索


英雄ロゼ(前編)

素子は陰陽部の天地ニヤに呼ばれて、百鬼夜行連合学を訪れていた。

 

「よくぞおいで下さいました先生!首を長〜くしてお待ちしておりましたよぉ」

 

「先生〜久しぶり〜」

 

「わざわざご足労いただき感謝いたします」

 

陰陽部の部室にはニヤの他、部員の桑上カホと和楽チセもおり、皆素子のことを待っていた。

 

「今度は何やらかしたの?」

 

「いえいえ!?今回はそう言ったお話ではなく…」

 

「はぁ…毎度尻ぬぐいを先生に押しつけるからそうやって警戒されるんですよ」

 

だが素子はこれまでの経験からニヤを警戒していた。彼女に警戒されるニヤを見て、カホはため息をついた。

 

「やや!!そこにいるのは主殿ではないですか!?」

 

「ほんとだ。先生殿~」

 

「お、お久しぶりです…」

 

素子の後に陰陽部の部室に入ってきたのは、忍術研究部の千鳥ミチル、久田イズナ、大野ツクヨの3人である。

 

「それで、私とこの娘たちを呼んだのは一体どういう事かしら?」

 

「どうせまた厄介ごとを私たちに押し付けるつもりなんだろうな…」

 

「そんなことないですよぉ。人聞きの悪い事言わないでください」

 

素子は自分と忍術研究部を呼んだ理由を尋ねる。素子と同じくミチルも、ニヤによって面倒事に巻き込まれるのだろうと感じていた。

 

「カホ、アレを」

 

「はい。ニヤ様」

 

「では皆さま、こちらをご覧ください」

 

ニヤはカホにタブレット端末を持って来させ、そこにある人物の映像を映す。

 

「な、何でしょう?」

 

「誰これ?」

 

「むむむ…百鬼夜行の生徒ではないようですね」

 

忍術研究部の3人は生徒の映像を見て、皆首をかしげる。イズナは着ている制服から百鬼夜行の生徒ではないと断定していた。

 

『アロナ』

 

『はい少佐。連邦生徒会の生徒名簿データベースの顔写真と照合しました』

 

素子はアロナに呼びかけると、彼女は既に連邦生徒会のデータベースに照合を開始していた。

 

『映像に写る人物の名は丸瀬ロゼ。彼女は数年前に設立されたジェノマ高等学校の現風紀顧問で、姉である議長を影ながら支えている存在です』

 

『ありがとう。今のところは問題ないように見えるわね…』

 

彼女の名前は丸瀬ロゼ。背は素子よりも高く、ガッチリとした体格である。肌は褐色で髪は銀色のツーサイドアップ。映像ではサングラスを掛けており、武闘派の生徒といった印象である。

 

「彼女の正体はジェノマ高校の風紀顧問の丸瀬ロゼ。彼女は数か月に1度の周期で必ず百鬼夜行連合学園を訪れています」

 

「ふ~ん…単にウチが好きなんじゃないの?」

 

「百鬼夜行は観光業に力を入れていますからね…」

 

そして素子がアロナと会話しているのと同時に、カホが忍術研究部の3人にロゼについての説明をする。彼女は数か月に一度百鬼夜行を訪れるそうだが、ミチルとツクヨは観光業が盛んな百鬼夜行を何度も訪れることについて違和感を感じていなかった。

 

「実は彼女、過去幾度も他校の生徒や大人に襲撃されているんですよ。一時は殺されたと報道された事もある…」

 

「そんなに危険な人物なのですか!?」

 

「ジェノマ高校は元々デルタ高校がクーデターによって崩壊した後に設立された学校です。そしてそのクーデターを主導したのが丸瀬ロゼになります。彼女はデルタ高校の残党や、デルタと懇意にしていた大人たちから恨まれる立場にあるのです」

 

「ですが彼女はその持ち前の幸運で何度も襲撃から無事に生還しており、今やジェノマの英雄として生徒たちから崇められているってわけです」

 

キヴォトスの人間たちは例に漏れず頑丈だが死なないわけではない。ロゼはその立場故に何度も暗殺を仕掛けられており、その度に生還してきたのである。そうして彼女はジェノマ高校の生徒から不死身の英雄として崇められるまでに至ったのである。

 

「そんな彼女がわざわざ危険を冒してまで、頻繁に百鬼夜行を訪れる…。おかしいとは思いませんかぁ?」

 

「ま、まぁ確かに…」

 

「ですので、皆さんにはその理由を探っていただきたいと思います!」

 

ニヤが4人に頼みたいこととは、丸瀬ロゼが危険を冒してまで何故これほど頻繁に百鬼夜行を訪れるのか、その理由を調べることであった。

 

「丸瀬ロゼは2日前に百鬼夜行を訪れています。先ほど見た映像は2日前に彼女が百鬼夜行の自治区内に入ってきたときの映像になります」

 

「それでヤツの今後の動向は分かっているのか?」

 

「はい。彼女は今夜武蔵御殿に宿泊する予定です」

 

「えっ…!?武蔵御殿ってあの超高級旅館じゃん!!」

 

「羨ましいです…」

 

ロゼは2日前から百鬼夜行に滞在しており、陰陽部はその動向を追っていたようである。そして今夜彼女が百鬼夜行にある超高級旅館に宿泊することを突き止めたのである。

 

「ですがこれが色々と問題でしてねぇ。彼女はそこで功輪会の幹部権藤と会うつもりなんですよ」

 

「こーりんかい…とは一体何なのでしょう。イズナさっぱり分かりません」

 

「功輪会は百鬼夜行の裏社会を牛耳るヤクザ組織です。彼らはウチの不良生徒をスカウトしたり、連邦生徒会から禁止されているブツなどの売買を行っています」

 

さらに陰陽部は旅館で百鬼夜行のヤクザ組織である功輪会の幹部と会う約束をしていることを突き止める。陰陽部としても前々から功輪会の動きを探っていたのである。

 

「そして丸瀬ロゼのもう一つの顔…それは麻薬女王です」

 

「此処にもあるのね。まぁ救護騎士団や救急医学部の連中が『麻酔』という言葉を口にしていたし、今更かしらね」

 

「「「・・・・・・」」」

 

丸瀬ロゼは裏社会では麻薬女王の顔を持つ。麻薬という言葉を聞いた忍術研究部の3人は、先ほどとは打って変わって深刻な顔をし始める。麻薬の危険性、中毒性というものはどこの世界でも同じなのだ。

 

「つまり丸瀬ロゼと功輪会は裏で繋がっていると?」

 

「我々はそう睨んでいます。ですが取引の証拠が見つけられず、こうやって先生と忍術研究部にお頼みしている次第です」

 

陰陽部は以前から麻薬という共通の商品を取引している功輪会と丸瀬ロゼの繋がりを暴こうと調査を続けていた。しかし、決定的な証拠を見つけることができずにいたため、素子と忍術研究部にその調査を依頼したのである。

 

「アンタたちの事情は理解したわ。それで、証拠を見つけたら丸瀬ロゼをどうすればいいわけ?」

 

「彼女の身柄は責任を持って我々陰陽部が預からせていただきます。その後の対応は彼女罪状次第かと」

 

「まぁ最悪永久追放ですかねぇ~」

 

陰陽部から事情を聞いた素子は、彼女たちに丸瀬ロゼの対処について尋ねる。ニヤとカホは彼女を百鬼夜行から永久追放することまで考えていた。

 

「いいわ。その依頼受けてあげる。アンタたちもいいわね?」

 

「もうしょうがないなぁ~。どうせこの話を聞いた以上、依頼を受けないと帰してくれないんでしょ~?」

 

「了解しました!主殿と一緒に頑張ります!!」

 

「が、頑張ります…!!」

 

陰陽部の話を最後まで聞いた素子は、彼女たちの依頼を受けることにする。素子の決断を見て、忍術研究部も依頼を承諾するのであった。

 

「た、た、た大変です!!」

 

「「「「「…!?」」」」」

 

彼女たちが任務に動こうとしたところで、陰陽部の部員が慌てながら入ってくる。

 

「どうしました?」

 

「武蔵御殿で立てこもり事件が発生しました!!中には丸瀬ロゼと功輪会の権藤もいます!!」

 

「天地、百鬼夜行全域に報道管制を敷け。今すぐにだ」

 

「はい…!!」

 

陰陽部の部員は、丸瀬ロゼと権藤が滞在している武蔵御殿で立てこもり事件が起きたことを報告する。それを聞いた素子はすぐにニヤに報道管制を敷くよう指示し、部室には緊張感が広がっていた。

 

「桑上。ヘリを回してちょうだい」

 

「はい!!」

 

素子は急いで現場へと向かうため、カホにヘリを手配するよう指示する。

 

「急ぐわよ!!」

 

「「「はい!!」」」

 

素子と忍術研究部の3人は急いで武蔵御殿へと向かった。

 

 

 

 

 

1時間前・武蔵御殿

 

「ようこそおいで下さいました。こちらです」

 

「あぁ」

 

丸瀬ロゼは功輪会の組員に案内されて、武蔵御殿の最高級の部屋へ向かっていた。部屋に向かう通路には芸者のアンドロイドが数体配置されており、ロゼが通ると同時に彼女に頭を下げていた。

 

「数か月振りだな」

 

「そうだな」

 

和室に入り座布団の上に座っていた権藤が立ち上がり、ロゼと握手を交わす。しかし2人の顔は全く笑っておらず、部屋の中には重い空気が漂っていた。

 

「失礼しま~す」

 

「「・・・・・・」」

 

2人が座布団に座り机を挟んで対峙した後、ふすまの向こう側から誰かの声が聞こえる。

 

「誰だ?」

 

「百夜堂から参りました。河和シズコです!!お食事をお持ちしました!!」

 

「給仕か。いいだろう、通せ」

 

「分かりました」

 

功輪会の組員の問いかけに対し答えたのは、お祭り運営委員会の委員長にして百夜堂の店主である河和シズコであった。彼女は依頼された相手が暴力団だとは知らなかった。

 

「この度は出張百夜堂をご指名いただき誠にありがとうございます!!是非とも今後ともごひいきによろしくお願いいたします」

 

「「・・・・・・」」

 

(うわ~テンション低っく…!!)

 

シズコは権藤とロゼに元気よく挨拶するが、2人はまるで反応を見せない。

 

「お注ぎ致しますね~?」

 

「「・・・・・・」」

 

(誰も何も喋らないじゃん…。何これ…外れ引いたかな…)

 

シズコは2人の芸者アンドロイドに食事を運ばせ、自身は2人の隣で飲み物を容器に注ぐ。シズコはこの状況に困惑していた。

 

「本日のお食事は…」

 

「もういいぞ貴様ら」

 

「は、はぁ…?」

 

芸者アンドロイドが食事を運び終え、シズコは百夜堂で作った食事について説明を始めようとするが、組員にそれを止められる。

 

「これから我々は大事な話をするんだ。出て行ってもらおう」

 

「しょ、承知しました…」

 

(ラッキー!!この重苦しい空気から抜け出せる!!)

 

組員はシズコにこの部屋から出ていくよう命令する。シズコは正直戸惑っていたが、この状況から抜け出せることに安堵していた。

 

「では失礼しま~す」

 

「「・・・・・・」」

 

シズコはその場から立ち去ろうとするが、芸者アンドロイドたちはその場を動かない。

 

「お前らもさっさと出ていけ」

 

「「・・・」」

 

「何だぁ?ぶっ壊れてんのかぁ?」

 

再び組員は芸者アンドロイドたちに命令するが、2体は眼が虚ろになり壊れたかのようになっていた。

 

「おい!いい加減に…!!」

 

「丸瀬ロゼ!!覚悟ぉぉぉ!!」

 

「なっ…!?がはっ…!!」

 

しかし突如として芸者アンドロイドはロゼの名を叫びながら、組員に殴りかかる。不意打ちを受けた組員は、気絶してその場に倒れてしまった。

 

「ちょちょちょちょちょ!!どうなってんのー!?誰かー!!」

 

シズコは急いでその場から退散し、人を呼ぶのであった。

 

 

 

 

 

現在・武蔵御殿付近

 

武蔵御殿で立てこもり事件が発生したと聞いて最初に現場に到着したのは百花繚乱紛争調停委員会である。彼女たちは屋敷を包囲し、周りに人を近づけさせないようにしていた。

 

「で?突入を待てってのは一体どういう事?説明してもらえる?」

 

「で、ですから…私の口からは申し上げることができなくてですね…」

 

「またニヤ部長の差し金?いい加減にして欲しいんだけど」

 

だが包囲し中へ突入しようとした矢先、陰陽部の部員が彼女たちに待ったをかける。それを不服に感じた桐生キキョウは陰陽部の部員にネチネチと詰め寄っていた。

 

「喧嘩はダメだよ〜」

 

「チセ…アンタも来たのね」

 

キキョウが陰陽部の部員に詰め寄っていると、その場にチセが現れる。

 

「先生も連れて来た〜」

 

「久しぶりだな、お前たち」

 

「先生…」

 

「た、助かった…!」

 

さらにヘリで急いで急行した素子も現れ、キキョウはようやく部員から離れた。

 

「先生。これは一体どういう事?」

 

「そうだよ。いきなり突入を中止しろだなんて…」

 

「事情があるんですの?」

 

「先生のことだから、きっと何かあるんだよね…」

 

素子がその場に現れたことによってキキョウだけでなく、不破レンゲ、勘解由小路ユカリ、御稜ナグサも彼女に詰め寄る。

 

「ついて来なさい」

 

そう言って素子は百花繚乱の4人をヘリへと連れて行った。

 

 

 

 

 

陰陽部所有ヘリ内部

 

『アロナ。御殿の監視カメラの映像を回せ』

 

『はい。少佐』

 

素子はアロナに現在の武蔵御殿の中の映像をシッテムの箱に映させる。どうやら2人は芸者アンドロイドを破壊したようで、部屋にバリケードを作り立て籠っていた。

 

「コイツが今あの御殿の中にいる問題の人物だ」

 

そして、その映像を彼女たちに見せた。

 

「コイツ…大人の方は功輪会幹部の権藤だね」

 

「功輪会って、百鬼夜行の裏社会を支配しているあの功輪会?」

 

「えぇ。権藤は組の中では主に麻薬の売買を担当している。百花繚乱も彼らの動向には目を光らせていたけれど、まさか御殿で生徒と密会してるなんてね」

 

監視カメラの映像を見て、キキョウはすぐに映っているのが権藤であると気づく。陰陽部と同じく、百花繚乱も功輪会の動向に睨みを利かせていたのである。

 

「こっちの女生徒の方は誰ですの?」

 

「見ない顔だね…百鬼夜行の生徒じゃないのかも」

 

そしてユカリとナグサはロゼの方を見るが、当然彼女のことを知らない2人はピンとこない。

 

「彼女は新興の学園であるジェノマ高校の風紀顧問を務めている丸瀬ロゼという女だ。丸瀬は学園のクーデターを主導し、何度も襲撃される度に生還したことから、学園では英雄と呼ばれている」

 

「つまり、他自治区の要人という事ね。陰陽部も慎重になるわけね…」

 

「下手を打てば外交問題か…」

 

素子は百花繚乱に丸瀬ロゼの素性について説明する。それを聞いたキキョウとレンゲは陰陽部が御殿への突入を阻止した理由を察した。

 

「1時間ほど前、突如2体芸者アンドロイドが暴走。丸瀬と権藤はアンドロイドを破壊したようだが、御殿の中にはまだ約50体のアンドロイドが徘徊している」

 

「つまり…ソイツらも暴走する可能性があると?」

 

「そうだ。アンドロイドを暴走させた犯人の狙いが丸瀬であることは暴走当時の映像を見ればはっきり分かる。つまり彼女はまた襲撃されたってわけ」

 

「ウチに来てまでやるかね、普通…」

 

素子は丸瀬と権藤が御殿から動けない理由をキキョウたちに説明する。再び命を狙われた丸瀬に、レンゲは少しばかり同情した。

 

「私は天地に頼まれて、丸瀬ロゼが頻繁に百鬼夜行を訪れる理由を探るつもりだった。だがその矢先に事件が発生した」

 

「とんでもないタイミングですの…」

 

「まったくだわ」

 

そして素子は彼女たちに百鬼夜行へ来た理由を明かす。その矢先に起きた事件にユカリは驚いていた。

 

「現状は理解した。でもこのままってわけにはいかないでしょ?」

 

「そうね」

 

「私たちは先生の指示に従うよ」

 

説明を聞いたキキョウは、この現状を変える必要があることを素子に確認する。ナグサは事態の解決のために、彼女の指示に従うと述べた。

 

「既に忍術研究部の3人を土塀の上や木の間に潜ませているませているわ」

 

「忍術研究部…あの娘たちばかり…」

 

「おいおい…嫉妬しないでくれよ」

 

「してない…!!」

 

素子は一緒に連れて来た忍術研究部を御殿の近くに潜ませ、中の状況を観察させていた。自分たちより忍術研究部を選んだことを知ったキキョウは露骨に不機嫌になった。

 

「我々の目的は依然として丸瀬ロゼの百鬼夜行での動向を探ることだ。そのためには、一度2人を御殿の外に逃がす必要がある」

 

「部長が~報道管制を敷いてくれたよ~。だからいつでも安心して突入していいよ~」

 

「相変わらずこういう時だけは動きが早い…」

 

「流石は陰陽部の部長ですの!」

 

今やるべき事は、丸瀬ロゼと功輪会の権藤を御殿から脱出させることである。ニヤが百鬼夜行全域に報道管制を敷いたお陰で、幸いにも中の事態を知る人物は限られている。

 

「作戦はこうだ。15分後、お前たちが御殿の中に突入し芸者アンドロイドの相手をする。その隙に私と忍術研究部で丸瀬と権藤を御殿から密かに脱出させる。そしてその後を追い、動向を探る」

 

「分かった。百花繚乱の生徒たちに突入の準備をさせる」

 

素子が考えた作戦は、百花繚乱を御殿に突入させその隙に2人を外に逃がすことである。ナグサはそれを聞いて、他の生徒たちに指示を出し始めた。

 

「先生…。私たちが協力する代わりに必ずコイツらの繋がりを暴いて」

 

「無論だ」

 

「約束破ったら許さないから…」

 

そしてキキョウは素子に丸瀬と権藤の繋がりを暴くよう約束させる。その際何故かその場の空気がじっとりとしていた。

 

『話は聞いていたな?15分後には作戦を開始する』

 

『『『了解』』』

 

待機している忍術研究部に素子は声を掛ける。突入への準備が着々と進んでいた。

 

 

 

 

 

武蔵御殿・土塀

 

「忍法隠れ身の術ぅ…!!」

 

「凄いですね!陰陽部から貰ったこの道具!本当にミチル部長の姿が見えなくなってますよ!!」

 

忍術研究部の3人には陰陽部がわざわざミレニアムから取り寄せた光学迷彩が支給されており、その能力にミチルとイズナははしゃいでいた。忍術研究部が使用している光学迷彩は布製のフードを被るタイプであり、正しく「隠れ蓑」であった。

 

『こちらレンゲ。配置についた』

 

『こちらユカリですの。準備おっけーですの』

 

『こちらナグサ。私も大丈夫。いつでもいいよ』

 

その間に百花繚乱の3人がそれぞれ配置につく。

 

「ミチル部長…百花繚乱の皆さんの突入準備が終わったみたいです」

 

「オッケー、ツクヨ。忍術研究部準備完了!!」

 

百花繚乱の通信を聞いたツクヨは、部長のミチルにそれを知らせる。それを聞いた彼女は通信で、自分たちの準備も整っていることを一同に伝えるのであった。

 

『我々で丸瀬ロゼと権藤を東側の駐車場へと誘導する。和楽は車で脱出したのを確認次第、IRシステムで車を追跡、私と忍術研究部の3人が合流次第後を追うぞ』

 

『了解〜』

 

そして最後に素子はチセに2人の動きを追跡するよう指示した。

 

『よし。それでは突入を開始するぞ』

 

『『『『『了解』』』』』

 

武蔵御殿、突入開始。

 

 

 

 

 

武蔵御殿・北方

 

「百花繚乱紛争調停委員会不破レンゲだ!御用改めである!!神妙にお縄に付け!!」

 

『何そのセリフ…』

 

『レンゲ先輩が最近ハマっている時代劇のセリフですの!!』

 

『はぁ…』

 

最初に御殿へ突入したのは、切り込み隊長のレンゲである。彼女は最近見た時代劇の述べ口上と共に颯爽と屋敷に向かって行く。なお、その行動に幼馴染のキキョウは呆れていた。

 

『私たちも行こう』

 

『はいですの!!』

 

レンゲを皮切りに、別の場所で待機していたナグサとユカリも突入を開始した。

 

武蔵御殿・土塀

 

「始まったみたいだね、先生殿」

 

「あぁ。我々も屋敷の内部への潜入を開始するぞ」

 

「「「了解」」」

 

武蔵御殿を取り囲む土塀の上で、素子と忍術研究部は突入の様子を眺めていた。そして彼女たちは素子の突入の合図と共に、光学迷彩のフードを被り屋敷の中へ入っていった。

 

 

 

 

 

武蔵御殿内部

 

「侵入者を発見。排除します」

 

「怯むな!!進め進め!!」

 

屋敷の中に入ったレンゲは、徘徊していた芸者アンドロイドと対峙する。

 

「アンドロイドと言っても所詮は奉仕用だ。ロクに武装も付いていない人形を恐れる必要は無いぞ!!」

 

レンゲは百花繚乱の部員に恐れることはないと言って、芸者アンドロイドに向かっていく。

 

「戦闘モード発動」

 

「は?」

 

だがしかし、芸者アンドロイドは腕部を変形させ、中から銃身が飛び出した。芸者アンドロイドに武装が搭載されているとは思いもしなかったレンゲは、アンドロイドが変形したことにとぼけた顔をしていた。

 

「侵入者、排除します」

 

「うおぉぉぉぉ!!!」

 

芸者アンドロイドはレンゲたちに攻撃を開始する。彼女は冷や汗をかきながら、慌てて後退し壁へ隠れるのであった。

 

「キキョウ!!あの芸者アンドロイド、一体どうなってんだ!?」

 

『製造元を割り出した。ミレニアムのエンジニア部製だって』

 

「たかだか料理を出したり、お茶を注いだりするアンドロイドに何で武器を搭載してるんだよ!?」

 

『私が知る訳ないでしょ、そんなこと』

 

レンゲがアンドロイドの反撃に動揺するなか、キキョウはアレがエンジニア部が作成したものであることを解析する。2人は奉仕用のアンドロイドに何故そんな機能が付いているのか疑問であった。

 

「これじゃあ迂闊に動けないな…」

 

「イズナ流忍法!!狙い撃ちの術!!」

 

「・・・!!」

 

レンゲが手をこまねいていると、光学迷彩で姿を消したイズナが芸者アンドロイドを撃つ。銃弾が頭部に命中したアンドロイドは、白い血を周囲にまき散らしながらその場に倒れた。

 

「レンゲ殿、ご無事ですか?」

 

「まぁ無事だけど…イズナでいいんだよな?」

 

「おっと、隠れ蓑が発動中でしたね。ニンニン!!」

 

「おお…」

 

イズナはレンゲに声を掛けるが、光学迷彩で姿が見えない彼女に戸惑っていた。それに気づいたイズナはフードを取ると、顔だけ姿が現れたので、レンゲは不思議な感覚であった。

 

「それでは、イズナはこれにて…ドロン!!」

 

「フード被っただけなのに、本当に見えないんだな…」

 

イズナは再びフードを被り、丸瀬と権藤の元へ向かった。

 

 

 

 

武蔵御殿・客室

 

「百花繚乱の連中が突入したようだ…」

 

「・・・・・・」

 

一方、部屋で立て籠もっていた丸瀬と権藤も、百花繚乱の突入に気づき始める。

 

「ここで我々が会っていたことがバレるとマズいことになる。ここは混乱に乗じて脱出するぞ」

 

「あぁ」

 

そして2人は素子たちの思惑通り、武蔵御殿からの脱出を始めるのであった。

 

 

 

 

 

『丸瀬と権藤が部屋から出たよ。警戒しながら駐車場に向かってる』

 

「よし。大野は駐車場の前で待機。他の2人は連中の露払いでもしてやれ」

 

『『『了解』』』

 

「御稜、不破、勘解由小路は芸者アンドロイドの相手だ。奉仕用だからと侮るなよ?」

 

『は、はい!!』 『了解』 『了解ですの!!』

 

キキョウからの報告を聞いた素子は忍術研究部と百花繚乱にそれぞれ指示を出す。素子の指示の元、一同は屋敷に散っていった。

 

 

 

 

 

御殿・中央通路

 

「「・・・」」

 

丸瀬と権藤は左右を銃で警戒しながら、中央通路へとたどり着く。

 

「百花繚乱の連中が突入してきてくれて助かったぜ。アイツらのおかげで芸者アンドロイドが散ってやがる」

 

「そのようだな」

 

彼女たちのお陰でこの中央通路には芸者アンドロイドは一体も存在しない。権藤は自身の幸運だと思い込み、そのまま通路を進む。

 

「よし。ここまで来れば後は車に乗って逃げるだけだ」

 

『先生。ターゲットが車に乗り込みます』

 

『分かった。私と忍術研究部はこのままヤツらの足取りを追う。後の事はお前たちに任せる』

 

『任せて』

 

ツクヨは2人が車に乗ったことを確認すると、それを素子に伝える。素子は後のことをキキョウたちに任せ、自分と忍術研究部は彼らを追跡するためにヘリに戻るのであった。

 

 

 

 

 

続く




便利屋のドレスイベの時にマフィアが出てきたので、百鬼夜行にもヤクザくらいいるかなって。

芸者アンドロイド:SAC1話に出てたヤツ。エンジニア部がどうせならと戦闘モードを仕込んだため、危うくレンゲが撃たれかけた。

それではまた来週。
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