GHOST IN THE SHELL Blue Archive   作:H2O(hojo)

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アビドス対策委員会編序盤のセリカが拉致られた場面の話です。


1stSAC
黒猫の救出


素子がアビドス高等学校に来てから数日後のある日

 

「皆さん!先生!大変です!」

 

「どうした?奥空」

 

「セリカちゃんの行方が昨日の夜から分からなくなっているんです!!」

 

アビドス高校の教室に、アヤネが慌てて入って来る。アヤネはセリカが、昨日の夜から消息を絶っていることを他の対策委員会のメンバーと素子に明かした。

 

「うそ…」 「そんな…」 「・・・」

 

「チャイムを押しても返事が無かったので鍵を開けて部屋に入ったのですが、制服も鞄も無くて…」

 

「それは、穏やかじゃないわね」

 

(数日前にやって来た『カタカタヘルメット団』とかいうチンピラ集団…嫌がらせのためにアビドス高校の生徒を誘拐して脅迫するくらいのことはやりそうね)

 

アヤネの話を聞いたホシノたち2、3年生は、セリカがいなくなってしまったことで深刻な顔になり始める。一方素子は、セリカが何者かによって誘拐された可能性を考えていた。

 

「電話は?」

 

「しました!ですが繋がらないんです…」

 

「黒見に最後に会ったのは?」

 

「昨日柴関ラーメンでバイト姿のセリカちゃんを見たのが最後です」

 

「他の3人も同じかしら?」

 

「ん」 「はい」 「そうだよ」

 

素子はアヤネにセリカと電話での連絡が取れたか確認する。そして次にセリカに最後に会ったのはいつかと質問し、彼女たちは柴関ラーメンでバイトしていた時だと答えた。

 

『アロナ』

 

『はい、少佐!』

 

『昨日の20時過ぎから、柴関ラーメン付近にある監視カメラの映像を洗え』

 

『分かりました!!このスーパーAIのアロナちゃんにお任せください!』

 

いくつか対策委員会のメンバーに質問した後、素子はアロナを呼び出す。素子は彼女に柴関ラーメンが閉店する時間から付近の監視カメラの映像を解析するよう命じた。

 

「黒見との連絡が取れない以上、彼女の通信端末は破壊されているか、電源を切られている可能性が高いな」

 

「だとすればGPSを使って追跡できません」

 

「一体どうすれば…」

 

「今お前たちと昨日一緒に行ったラーメン屋の監視カメラの映像を洗っているから、少し待っていなさい」

 

素子はセリカと連絡が繋がらないというアヤネの回答から、彼女のスマホの電源が切られているもしくは、破壊されているという結論を出す。素子の答えを聞いて、アヤネとノノミはGPSを使用しての追跡ができないことにさらでさらに不安になってしまう。そんな彼女たちを見て、素子は監視カメラの映像を解析していると明かし安心させようとしていた。

 

「う、うへ…先生タブレットもパソコンも操作してなのにどうやってるの?」

 

「あら、言ってなかった?私の身体は脳と脊髄の一部以外は全て義体で構成されている。つまり全身サイボーグってわけ」

 

「ん、それは最初に会った時に聞いた」

 

「えぇ…おじさんは聞いてないんだけど…」

 

(あの首の後ろに付いている出っ張りとか、まばたきの回数が普通の人より少ない理由とか気になってたけど、そういうことだったんだね)

 

監視カメラの情報を解析していると言った素子であったが、ホシノはその場でただ突っ立っているだけの彼女にどうやっているのかという疑問を感じる。それに対し素子は自分は全身義体化されたサイボーグであるとあっさり明かした。

 

「ですが全身サイボーグになったからといって情報端末も無しにどうやって監視カメラの映像を?」

 

「あぁ、そういえば『電脳化』についてはまだ説明していなかったわね」

 

「電脳化…ですか?」

 

「そうよ。脳内にマイクロマシンを注入することによって脳を直接『ネット』へと繋げることができるようにする。それが電脳化よ」

 

だがサイボーグだからといって情報端末も無しに監視カメラの映像を確認できるという説明は果たされておらず、アヤネは再びそのことについては素子に尋ねる。アヤネの疑問に対し、素子は元いた世界では一般的な技術として確立されていた電脳化についての説明を行うのであった。

 

「「「「・・・・・・」」」」

 

「あら、引いた?」

 

「いや…全然想像がつかないというか何というか…」

 

「ん、よく分からない」

 

「はぁ…生徒に電脳化のことを理解させられないようじゃ教師失格かもしれないわね…」

 

素子の説明を聞いたホシノたちであったが、どうにもピンとこない様子であった。素子は彼女たちに電脳化について理解させられなかったことに対し、教師失格かもと考えていた。

 

『少佐!セリカさんの映像記録を見つけ出しましたよ!』

 

「黒見の映像記録が見つかったぞ、お前たち」

 

「早っ!」

 

「本当ですか!?」

 

素子がホシノたちに電脳化について話していると、アロナがセリカの映像記録を見つけ出す。

 

「黒見は20:30頃、柴関ラーメンを退勤後自宅への方向に移動中に、ヘルメットを被った集団に連れ去られている」

 

「カタカタヘルメット団…!!」

 

『連中のその後の足取りは?』

 

『はい!セリカさんを連れ去ったトラックのナンバープレートをIRシステムと照合し車両を特定しました。今車両のナビゲーションシステムからGPSで追跡をかけています!』

 

『よくやった、アロナ』

 

『デヘヘ〜褒められちゃいましたぁ!!』

 

セリカは柴関ラーメンを退勤後にカタカタヘルメット団に襲われ、拉致されたようである。そしてヘルメット団がその後、セリカをトラックに乗せてどこかへ移動している所までアロナは抑えており、その働きを素子は褒めるのであった。

 

「コイツは黒見を乗せたトラックを人工衛星から撮影したものよ」

 

「これは…このトラックが向かっている方向は、以前カタカタヘルメット団の出入りが確認された廃墟があります!」

 

「トラックを戦車が4台で囲んでいますね」

 

「チンピラ風情が気楽に戦車を動かせるだなんて、世も末ね」

 

「ん、キヴォトスじゃ割と普通」

 

素子はホシノたちにシッテムの箱の画面を見せ、セリカを乗せたトラックの衛星写真を映し出す。写真にはトラックの他に4台の戦車が写っており、素子はチンピラが戦車を動かせるキヴォトスの治安の悪さに呆れていた。

 

「よし、奴らの拠点に先回りして奇襲をかけるぞ」

 

「待っててね、セリカちゃん…」

 

 

 

 

 

アヤネの運転でカタカタヘルメット団の拠点へ向かう道中、素子はホシノたちと共に作戦を立てていた。

 

「砂狼、お前のドローンで戦車は倒せるか?」

 

「ん、装甲は抜けないけど転がすくらいならできる」

 

「よし、では前方の2台はお前に任せる」

 

「ん、ぶっ倒す」

 

素子はシロコの所持しているドローンのミサイルの威力について尋ねる。戦車を転がすくらいはできると答えたシロコに、素子は前方2台を彼女に任せることにした。

 

「後ろの2台はコイツで私が無力化してやる。その隙に小鳥遊が黒見を保護、十六夜は小鳥遊のサポートに回れ」

 

「了解」 「分かりました」

 

「あ、あの…私は一体どうすれば…」

 

「襲撃のタイミングはお前に任せる。戦闘が始まったら、現状を逐一私に報告しろ」

 

「しょ、承知しました」

 

素子は持参したロケットランチャーで後方の戦車2台を相手すると伝え、ホシノとノノミにセリカ救出を任せる。未だ名前を呼ばれていないアヤネが、素子に自分の役割について尋ねると、彼女は戦闘開始の合図と戦況の報告を指示した。

 

「うへぇ〜でも先生、よくそんなもの持ってるね。結構いい値段するでしょ、それ?」

 

「『シャーレ』の活動としての必要経費よ。私もたかがチンピラ相手にコイツを使うとは思ってなかったけど」

 

ホシノは素子のロケットランチャーを見て、それなりの値段がするであろうと指摘する。それに対し素子は、必要経費だと言って涼しい顔で返した。

 

『アロナ、今回アビドスの問題を解決するにあたって、事前に購入した物資と武器の領収書を早瀬に回しておいてちょうだい』

 

『承知しました。うわぁ~凄い金額ですね…』

 

 

 

 

 

ミレニアムサイエンススクール・セミナー

 

「ん?先生からメッセージが来てる…って!!何ですかこの金額は!!せ~ん~せ~い~!!」

 

アロナが送った領収書がユウカの元へと届く。領収書の金額を見たユウカはすぐさま先生に連絡を取り始めた。

 

「先生!!どういう事ですかコレ!?」

 

『シャーレの活動に必要な物資やら武器やらの領収書よ。何か問題あるかしら?』

 

「問題大アリです!!一度にこんな金額を使って、行政官や財務室長にどう説明するつもりなんですか!?」

 

ユウカは素子に、提出された領収書の金額の大きさについて問いただす。素子はユウカの問いに対し、あっさりと必要経費だと答える。だが、ユウカは素子の所属先である連邦生徒会の行政官のリンと財務室長のアオイにどう説明するつもりなのかと不満気な様子であった。

 

『シャーレとして、アビドスで起きている問題を解決する。それであの2人を納得させるわ』

 

「も、もう…あの2人に申請が却下されて泣きついても、手伝ってあげませんからね…」

 

『あら、ミレニアムには随分と技術やら情報やらを提供して結構貸しを作っているつもりだけど、助けてくれないのかしら?』

 

「ちょっ…それを言うのはズルいじゃないですかぁ!?」

 

不満気なユウカに素子はアビドスの問題を解決すると宣言し、それで連邦生徒会の2人を納得させると答える。そして、自分のことを手伝わないと言ったユウカに、素子は自分がミレニアムに義体や攻性防壁といった元いた世界の技術を教授していることを持ち出し、彼女を困らせるのであった。

 

『それじゃ、私は仕事があるから』

 

「ま、まだ話は終わってな…もうっ!!」

 

 

 

 

 

「もう少しで、目標と接触できます」

 

「よし、太陽を背にして回り込め」

 

「了解」

 

バギーを運転しているアヤネは素子に、もう少しで目的地へ到着すると報告する。それに対し素子は太陽を背にして回り込むよう、アヤネに指示した。

 

「目標、目視にて確認しました!皆さん、準備はできていますか?」

 

「ん」 「はい♧」 「いいよ」

 

「問題ないわ。始めてちょうだい」

 

「では、突入を開始してください!」

 

最後にアヤネは一同に準備が出来ているか確認を取った後、彼女はセリカの乗るトラックに向け突入の指示を出した。

 

「フフフ…アビドスの生徒の誘拐、上手くいったな」

 

「これで私たちも裏社会のワルの仲間入り…イヒヒヒ」

 

セリカの誘拐が成功したカタカタヘルメット団は、すっかり油断していた。前方の戦車に乗る団員は、この依頼が成功した後のことを考え、ほくそ笑んでいた。

 

「セリカを返して!!」

 

「ごわぁぁぁぁ!?」

 

「何だぁ!?どうなってんだ!?」

 

だが次の瞬間、シロコのドローンから発射されたミサイルが直撃し、戦車が横転する。カタカタヘルメット団の団員はいきなりの出来事に、ただただ驚くことしかできなかった。

 

「チクショー!誰だこんなことしやがったのは?」

 

「まさか、アビドスの連中が?」

 

「バカ言え、アイツらにアタシらを追跡できる能力なんかあるもんか。とにかく外に出るぞ」

 

「あぁ、ふざけたことしやがって!目にものを見せてやんよ!!」

 

ヘルメット団の団員は戦車を横転させた人物にシロコたちのことが頭に浮かぶが、すぐにそれは無いと否定する。彼女たちは自分たちを転がした相手をとっちめようと、戦車から出るのであった。

 

「おらぁ!?どこのどいつだぁ!!アタシらの邪魔しやが…ゴフッ!!」

 

「邪魔しないで…!!」

 

「テメェはアビドスの…ゴハァ!!」

 

「ん、制圧完了」

 

ヘルメット団の団員が外に出た瞬間、シロコは彼女に蹴りを入れて無力化する。もう一人も手持ちのアサルトライフルで素早く制圧した。

 

『シロコ先輩が前方の敵の制圧を完了しました』

 

「そう。こちらもすぐに小鳥遊が黒見を救出するわ。貴女もこっちに来ていいわよ?」

 

『本当ですか?ありがとうございます!』

 

「「・・・・・・」」

 

「手加減はしてやった。そこで少し伸びていろ」

 

アヤネがシロコの制圧完了を報告すると、素子は彼女にこちらに来ることを許可する。後方の戦車に乗っていた団員はというと、シロコが敵を制圧する前にとっくに彼女によって無力化されていたのである。

 

「うぅ…一体外では何が起きて…」

 

「ぎゃー!!敵襲だー!!」

 

「私を誘拐した奴らがやられてる?一体誰が?」

 

「お助けー!!」

 

トラックの中で紐で両手を縛りつけられて転がされているセリカは、外で何か異変が起きているのを感じていた。

 

「うっ…眩しい」

 

「うへぇ~、助けに来たよぉ~セリカちゃん」

 

「大丈夫ですか?」

 

「ホシノ先輩!ノノミ先輩まで…」

 

そして遂にトラックの扉は開かれ、トラックの運転手を倒したホシノとノノミがセリカの前に現れた。

 

「ん、セリカが泣きべそかいてる」

 

「な、泣いてないから!!」

 

「セリカちゃん!!」

 

「アヤネちゃん…」

 

さらにホシノとアヤネもセリカの元に集まり、彼女が無事であったことを喜んでいた。

 

「で、でもみんなどうやってここに…スマホもアイツらに奪われて、連絡も取れないはずなのに…」

 

「ん、先生のお陰」

 

「先生が?」

 

セリカは通信が繋がらない上に、都市部から離れたこの場所に彼女たちがどうやって辿り着いたのか疑問に感じていた。シロコは彼女の疑問に素子のお陰だと答えた。

 

「気分はどうかしら、子猫ちゃん?」

 

「せ、先生!?って、何よ子猫ちゃんって!?」

 

「せいぜい夜道には気を付けなさい。私は騎士でも王子様でもない。何度もお姫様を助けに行くのはゴメンだぞ」

 

「う、うん…ありがとう」

 

そして最後に遅れて素子がトラックにやって来て、セリカの安否を確認する。彼女は次はゴメンだと言いつつ、心の中では素直にセリカの無事を喜んでいた。

 

「さて、後はお前らの処遇だな」

 

「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」

 

「お助けぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

「もうしません!!もうしませんからぁ!!」

 

セリカの救出が完了したところで、素子は簀巻きにしたカタカタヘルメット団の処遇を決めようとしていた。素子や対策委員会にやられた彼女たちは、必死に許しを乞うていた。

 

「お前たちは現状、どの学園にも所属していない。つまり学園に引き渡すことはできない」

 

「はい。その通りです。彼女たちは既に学校を退学しており、学園による処罰は望めません。かといってヴァルキューレ警察学校は、アビドスに駐在していないので…」

 

「だがかつて所属していた経歴は消すことはできない。お前たちがヘルメットやらサングラスやらマスクやらで顔を隠しているのも、自分たちの素性がバレるのを防ぐためだ。違うか?」

 

「は、はい…その通りです…」

 

「次アビドスの人間に危害を加えて見ろ。貴様らの経歴からその素顔までネットにばら撒いてやるぞ!!」

 

「「「「「申し訳ございませんでした~!!!」」」」」

 

彼女たちカタカタヘルメット団は学園所属の生徒ではなく、アビドスを拠点に活動しているチンピラである。素子はそんな彼女たちが過去や素顔がバレることを恐れていると考え、今後アビドスに危害を加えたら、それらの情報をネット上に流すと脅すのであった。

 

セリカ救出作戦、完了




少佐が女性的な口調になるときと軍人的な口調になるときの区別がなかなか難しいですね。
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