GHOST IN THE SHELL Blue Archive   作:H2O(hojo)

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dual episodes
せっかくFOX小隊が実装されたので、後輩と同じように少佐と戦ってもらいます。
RABBITとFOXは特別に『少佐』と呼ばせているため、他の生徒たちより厳しく接しています。


キツネ狩り FOX PLATOON

数カ月前

 

「会うのは初めてだな、狐共」

 

「シャーレの草薙素子先生!?何故ここが…!?」

 

「私も随分と甘く見られたものね。そこの兎たちがコソコソと嗅ぎ回っているようだから、様子を見ていたのよ。誰も私のストーキングに気付かなかったようだけど…」

 

RABBIT小隊の4人はDUの外れにある廃墟で、彼女たちの先輩たちであるFOX小隊と会っていた。そして素子は彼女たちを尾行しており、RABBITとFOXの目の前で熱光学迷彩を解いて姿を現した。

 

「お初にお目にかかります、先生。私はFOX小隊の七度ユキノです。お噂はかねがねお伺いしております。連邦生徒会長の不在でパニック状態だったキヴォトスをまとめてくださったそうですね。SRT特殊学園を代表し、厚くお礼申し上げます」

 

「・・・・・・」

 

七度ユキノは小隊長として、素子に自己紹介とSRTを代表して礼を述べる。そんな彼女の姿を素子はただ冷たい眼で見つめていた。

 

「そして初対面で申し訳ないですが、私たちは…貴女のような大人が大嫌いです」

 

「そうか」

 

「「「「「・・・・・・」」」」」

 

そしてユキノは素子の目の前で彼女のことが嫌いだとハッキリ口にする。それに素子はただ「そうか」と返すが、周囲にはとてつもなく冷たい空気が漂っていた。

 

「RABBIT小隊、私たちと共に来い。もうその大人についていく必要は無い。我々は武器としての役目を果たせばそれでいい」

 

「ゆ、ユキノ先輩…私は…」

 

さらにユキノはミヤコの前に手を差し出し、自分たちの元に下るようにと勧誘する。しかし、ミヤコは彼女の勧誘に戸惑っていた。

 

「少佐…私たちは一体どうすれば…」

 

「お前たちの好きにしろ。私の部下に『武器』は必要ない」

 

「貴女はッ!!」

 

ミヤコは素子に助けを求めるが、彼女は好きにしろと突き放す。そしてユキノは武器は必要ないという言葉に憤りを覚えていた。

 

「お前たちが誰かに使われる武器に成り下がるか、独立攻性の部隊であり続けるかどうかはお前たちで決めろ」

 

「「「「・・・・・・」」」」

 

素子の言葉を聞いて、RABBIT小隊の4人は各々考える。そして彼女たちは自分たちの正義のために、FOX小隊と袂を分かつのであった。

 

 

 

 

 

そして現在。彼女たちは同じ場所へ再び訪れていた。

 

「先生、ここで一体何を…?」

 

「今からお前たちには私と戦ってもらう。出所明けで鈍っている勘を取り戻せ」

 

ロアの正体を掴むために矯正局から出所を許された彼女たちであったが、この廃墟に連れて来られたことにユキノは困惑していた。

 

「4対1で先生の相手をしろっての?」

 

「そうだ」

 

「マジかぁ…やっぱりやんのかぁ~」

 

素子の言葉に高倉クルミは耳を疑うが、天神山オトギは以前RABBIT小隊を1人で倒した話を知っていたため、これからのことを想像して苦い顔をした。

 

「後輩の時と違って今回は本気でお前たちを制圧するつもりでやる。『武器』のままで勝てると思うなよ」

 

「「「「…ッ!!」」」」

 

「開始は10分後。それまでに準備を整えろ」

 

さらに素子はRABBIT小隊の時とは違って本気でやると彼女たちに宣言する。彼女の言葉にFOX小隊一同は気を引き締めた。

 

 

 

 

 

「どうする、ユキノ?」

 

「全員通信機器は全て外すんだ」

 

「このご時世に無線も無しに戦えっての?」

 

素子が出て行った後、FOX小隊は集まって作戦会議を行う。ユキノは3人に通信機器を外すよう指示すると、クルミは眉を顰めた。

 

「彼女のハッキング能力はSRTの暗号通信でさえも枝を付けられる。私たちの通信は向こうには全て筒抜けだ」

 

「噂に尾ひれが付いてるだけでしょ?」

 

「ユキノの言ってることは本当だよ。私が身をもって体験したから」

 

「これから私たちとんでもない化け物と戦うのね…」

 

ユキノが通信機器を全て外すよう指示したのは、通信に枝を付けられることを防ぐことができないと考えてのことであった。オトギはユキノの言う事に疑問符を浮かべるが、吉野ニコはそれを体験としていたため彼女の考えに同意する。

 

「幸い、私たちはジャミングを想定した訓練を何度かやっている。あの時のように応戦する」

 

「「「了解」」」

 

(先ほどから感じるこの不安は一体何だ?SRTに入学した初日も、初めての任務のときもこれほどの不安は感じなかった…私は彼女を、先生を恐れているのか?)

 

ユキノは以前ジャミングを想定した訓練を実施した際のことを思い出しながら応戦するよう指示する。だがそんな彼女の心中では大きな不安が渦巻いていた。

 

 

 

 

 

『10分経過しました』

 

「ありがとう」

 

素子は戦闘服に着替え、サブマシンガンとハンドガンの2丁の銃とサバイバルナイフや閃光弾などを装備した。そして、プラナが10分経過の合図をすると廃墟の建物の中へと入っていった。

 

「さて、お手並み拝見といくか」

 

建物の中に入ってすぐ、素子はエンジニア部開発の新兵器、蜂型ドローンを飛ばした。

 

(4人それぞれ別々の場所に展開し、私の襲撃に備えて警戒しているな。通信機は全て外したか…賢明だな)

 

蜂ドローンは廃墟に散開すると、FOX小隊4人の姿を捉える。素子はすぐに彼女たちが通信機を付けていないことに気付いた。

 

「まずはポイントマンからやるとするか」

 

素子はそう言ってクルミのいる場所へ向かっていった。

 

 

 

 

 

「・・・・・・」

 

建物の中でも一番広い部屋の中で、狐耳を立てて素子の襲撃を警戒していた。部屋の中にはクルミ以外にはおらず、静寂に包まれていた。

 

「来るッ!!」

 

そしてクルミは何かを感じ取ると、突如盾を前方に構える。それと同時に何もない空中から銃弾が放たれ、クルミの盾に着弾する。

 

(あれを防ぐか…少しはやるようだな)

 

(やっぱり光学迷彩を使ってきたわね…!!)

 

何もないところからいきなり銃弾が飛んで来たように見えたのは、素子が熱光学迷彩を使用していたからである。クルミは彼女が熱光学迷彩を使用して襲って来るのを予期しており、発砲と同時に反射だけで弾を防いだのである。

 

「はぁッ!!」

 

「…ッ!!」

 

クルミと素子は互いにサブマシンを敵に向かって掃射する。しかし素子はそれを避け、クルミは盾で防いだため、身体に当たることはなかった。

 

「やっぱり見えないってのは厄介ね…でもちゃんと対策も考えてるんだから!!」

 

クルミはそう言うとライターに火を付け、それを天井に向かって放った。すると部屋のスプリンクラーが作動し、光学迷彩の視認値が上がり素子の姿の輪郭が現れる。

 

「少しは頭も回るようね」

 

「当たり前でしょ。あの娘たちとは年季が違うんだっての!!」

 

素子は光学迷彩が無意味と悟り、使用を止めて姿を現す。その瞬間クルミは彼女に勢いよく襲い掛かった。

 

 

 

 

 

素子とクルミが1対1での戦闘に入ったその時、建物の奥ではオトギがスコープを覗いて彼女たちの様子を伺っていた。

 

「2人とも激しく動いてくれちゃって…これじゃあ狙いが定まらないじゃないか」

 

スコープの先ではクルミと素子が激しい銃撃戦を繰り広げていた。2人とも部屋の中を動き回っているため、オトギは照準を定められずやきもきしていた。

 

(もっと近づくか?それともユキノやニコが助けに行くまで待つか?う〜ん悩む…)

 

「…ッ!?分かったよ、クルミ」

 

オトギは誰とも連絡の取れない状況で1人悩んでいた。だがそんな中、クルミが自分に密かに合図をしたのを見て、オトギは再び引き金に指を掛けた。

 

「ふっ!!はぁ!!やぁ!!」

 

(気付いてよね、オトギ…これで気付かなかったらやられ損なんだから!!)

 

「・・・」

 

クルミはオトギに密かに合図を送りながら、素子と戦闘を繰り広げていた。クルミは盾を振り回して、彼女に襲い掛かっていた。

 

「今だッ…!!フラッシュシールド!!」

 

「…ッ!!」

 

そしてクルミはここぞとばかりに虎の子のフラッシュシールドを発動する。流石の素子もこれには驚いたのか、咄嗟に目を瞑ってしまった。

 

 

 

 

 

「よし、今ッ!!」

 

クルミがフラッシュシールドをたいた瞬間、オトギは素子に向いた銃の引き金を引いた。

 

「嘘でしょ!?何で…!?」

 

しかし、彼女の放った銃弾は素子には当たらなかった。彼女は向かって来る弾を避けたのである。不意を突き、視覚を潰したにもかかわらず着弾を回避した素子に、オトギは驚きを隠せない様子であった。

 

「避けた!?」

 

「油断したな!!」

 

「しまっ…ガハッ!!」

 

一方クルミも素子が銃弾を避けたことに驚いていた。そして素子はクルミのその一瞬の油断を見逃さず、彼女の後ろに瞬時に回り込み銃弾を後頭部へ叩き込んだ。

 

「まずは1人」

 

素子はその場に倒れ伏したクルミを見下ろして、そう呟いた。

 

 

 

 

 

(クルミがやられた…!!私も先生に弾を撃っちゃったからもう居場所がバレてる!!早く移動しないと…)

 

オトギはクルミがやられたのを横目に移動の準備を始める。彼女は一度素子に銃弾を放ってしまったため、弾道から居場所を特定される可能性が高まっていた。

 

(そもそも何で私が銃を撃ったのが分かったの?あれはどう見ても偶然じゃない。私があの瞬間に引き金を引くのを分かっている動きだった…)

 

そしてオトギは荷物を持って立ち上がり、その場を後にする。その際彼女は何故素子に銃弾が当たらなかったのかを、考えていた。

 

「止まれ!!」

 

「嘘でしょ…」

 

しかしオトギがその場から数歩離れたところで、彼女は素子に捕捉される。背後から銃を向けられたオトギは、思わず天を仰いだ。

 

「大人しく両手を上げて投降しろ」

 

「はぁ…」

 

素子はオトギにハンドガンを向け、投降するよう促す。それを聞いて、彼女はため息をつきながら素直に大型のスナイパーライフルとバッグを床に置き始める。

 

「でもそう簡単にやられるわけにはいかなくてさぁ!!」

 

しかし、次の瞬間オトギは腰のホルスターからハンドガンを抜いて、素子のほうへ振り返り銃を向ける。

 

「無駄よ」

 

「くッ…!?」

 

だが素子は即座にオトギの手に持つハンドガンを撃ち落とす。オトギは反撃の目をあっさり潰され、悔しい顔をしていた。

 

「あーあ、これでもダメかぁ…」

 

そしてオトギは両手を上げ、降参のポーズを取る。

 

「負けたついでに一つ質問なんだけど、どうやって私の射撃を見抜いたの?」

 

「コイツだ」

 

「超小型ドローン…」

 

彼女は何故自分があの場所から素子を狙っていたことに気付いたのかを本人に尋ねる。すると彼女は天井にいる蜂型のドローンを指さした。ドローンの姿を見たオトギは、唖然としていた。

 

「これで目を瞑っていても、電脳内ではお前たちの動向は常時モニタリングできる。視覚を潰してその隙にスナイプする手立ては悪くなかったが、ツメが甘かったな」

 

「そんなちっこいのにどうやって気付けってのさぁ?」

 

「私ならジャミング装置をダミーを含めて建物の数箇所に予め仕掛けておくわ。そうすれば少なくとも居場所を完全に特定することはできない」

 

ドローンによって撮影されている映像はリアルタイムで素子の電脳に投影されており、それは目を瞑ろうが変わらない。つまり彼女はオトギが悩んでいたときも、引き金に手を掛けた瞬間も全てお見通しだったのである。つまりドローンの追跡に気付かなかった時点でオトギは敗北していたのである。だがそんなものに気付くのはオトギの言う通り至難の業である。故に素子はドローンでモニタリング自体できない方法で居場所の特定を防ぐことを、オトギに教えるのであった。

 

「これで2人」

 

「やられちゃったよぉ…」

 

 

 

 

 

「銃撃音…」

 

「FOX3とFOX4が交戦しているようだな。無事だといいのだが…」

 

「うん…」

 

クルミとオトギとは少し離れた場所にニコとユキノは潜んでいた。2人は銃撃音を聞いて、彼女たちのことを心配していた。

 

「FOX2、煙幕支援を開始してくれ」

 

「了解」

 

そしてユキノはニコに煙幕を張るよう指示し、2人は煙に包まれた。

 

 

 

 

 

(煙を焚いたか。それもいいだろう)

 

クルミとオトギを倒した素子は、すぐさまユキノとニコの元へ向かう。素子が飛ばしたドローンのカメラが煙によって何も見えなくなったことによって、ニコたちが煙幕を張ったことに彼女は気づいていた。

 

「相手は熱光学迷彩を使用している。特に先生の使用しているタイプは、キヴォトスのでも最高性能だ。気をつけろ」

 

「うん。そうだね」

 

ユキノとニコは2人単位(ツーマンセル)で煙の充満した部屋に潜む。ユキノは素子の熱光学迷彩を特に警戒していた。

 

(これで互いに姿が見えなくなったわけだが…さて、どうする?)

 

そしてユキノの予想通り、素子は熱光学迷彩を使用して彼女たちの近くへ迫っていた。

 

「見つけました!!そこです!!」

 

「…ッ!!」

 

(当てにきたか。やはり何かしらこちらの動きを探る方法は用意しているようだな)

 

だが素子はニコに居場所を捕捉されており、彼女の近くに銃弾が飛んでくる。素子は身を反らし、銃弾を避けながらニコがどうやって自分の居場所を捕捉しているのか考えていた。

 

「今ので私たちが先生の動きが見えてることに気付いたはず。本当はあの一発で決めたかったけど…」

 

「過ぎたことは仕方ない。FOX2、一気に畳み掛けるぞ」

 

「了解」

 

ニコは先ほどの一撃を素子に当てられなかったことを悔やむ。それにユキノは過ぎたことは仕方ないと言って、彼女と共に素子を倒すため足を踏み出した。

 

「待って!!」

 

「どうしたFOX2」

 

「音響センサーがおかしい…」

 

だが、ユキノが素子の元に向かおうとする前に、ニコは慌てて彼女を引き止める。そしてニコは音響センサーの異常をユキノに伝える。彼女たちは素子の動きを音で捕捉していたのである。

 

「どういうことだ?」

 

「センサーが何個も音を拾ってるの。まさかここにきて故障?」

 

「故障じゃないわよ」

 

「「!?」」

 

ユキノはニコの元に近づき、彼女が持っている音響センサーの画面を覗き込む。そこには素子の居場所以外にも、他の場所から音が出ている反応が表示されていた。そしてその次の瞬間、素子の声が2人の耳に入ってくる。彼女の声を聞いた2人は、一気に冷や汗が噴き出した。

 

「ユキノッ!!」

 

「なっ!?FOX2!!」

 

「うっ…!!」

 

ニコはユキノにレーザーサイトが当てられていることに気付くと、即座に彼女を突き飛ばす。そして突き飛ばされたユキノの代わりに、ニコは素子が撃ったサブマシンガンの銃弾を受けてしまった。

 

「FOX1…ここは離脱を…」

 

「クソッ…!!」

 

「これで3人。残りは小隊長1人だな」

 

ニコに促されて、ユキノはその場を後にした。

 

 

 

 

 

(みんな先生にやられてしまった。やはり私の予感は間違っていなかった…!!)

 

ユキノは撤退しながら、素子と戦う前に感じていた不安が杞憂でなかったことを実感していた。

 

(彼女がキヴォトスに来てシャーレの先生になったときから、彼女に関する情報は集めていた。だが私は彼女の実力について何も分かっていなかった!!草薙素子先生…まさかこれほどとは!!)

 

ユキノはFOX小隊として以前から彼女の実力を図るための情報収集を続けていたため、ある程度彼女の能力について理解していたつもりであった。しかし今回初めて戦ったことで、その理解が甘かったことを認識するのであった。

 

(そんな彼女に私が勝てるのか…?仲間を失った今の私に何ができる?)

 

「どうした?もう終わりか?」

 

「…ッ!?」

 

そしてユキノは今の自分が素子に勝てるのかと疑ってしまう。すると丁度ユキノの元に素子が現れ、彼女は咄嗟に銃を構えた。

 

「はぁ…お前が一番なまってるらしいな」

 

「な、何を言って…?」

 

「腰が引けているぞ。そんな状態で私と戦うつもりか?随分と舐められたものだ」

 

「・・・・・・」

 

素子は目の前のユキノを見てため息をつく。そう言われたユキノが動揺していると、素子は彼女に腰が引けていると指摘した。それを聞いたユキノは黙って銃を降ろしてしまった。

 

「あぁ、その通りだ先生。私は貴女と戦うのが怖い。武器に徹していた頃はこんな感情になる事は無かった。だが今は、貴女の前に立つと足がすくむ…」

 

「それで?」

 

「投降する」

 

そして彼女は自分の今の心中を素子に明かす。さらには銃を捨てて投降すると言い出した。

 

「今のお前は公園に立て籠もっていた兎以下だ」

 

「そうか…先生がそう言うのならそうなんだろうな」

 

「チッ!まったく世話の焼ける…」

 

「な、何を…?」

 

そんな彼女に素子は公園で立て籠もっていた頃のRABBIT小隊以下だと吐き捨てる。そしてそれを否定せず受け入れたユキノに、彼女は苛立っていた。

 

「矯正局に送られてそこまで腑抜けたか、七度ユキノ!!特殊部隊の誇りは捨てたか?何故最後まで足掻かない?お前の後輩は未熟で自惚れていても、諦めはしなかったぞ!!」

 

「先生…」

 

素子はユキノの胸ぐらをつかみそう言い放つ。彼女の言葉にユキノは動揺していた。

 

「今ここで選べ。今すぐここを去りヴァルキューレにでも編入するか、再び特殊部隊としてこの私と戦うか」

 

素子はユキノの銃を拾い、彼女の前に放り投げる。

 

「私は…」

 

「少なくともお前のお仲間は矯正局から出たときには既にその覚悟ができていた。だがお前はどうだ?私は『武器』になることを辞めろとは言ったが、腑抜けになれと言った覚えはないぞ!!」

 

自分の武器を見つめているユキノに、素子は言葉を続ける。

 

「そうだ…私はFOX小隊の七度ユキノ。SRT特殊学園の特殊部隊として犯罪に対処し、正義を貫く…。そのために、私はSRTに入学したんだ」

 

そしてユキノは素子の言葉によってようやく『武器』になる前の以前の自分を思い出す。そして、彼女は自分の銃を手に取り、立ち上がった。

 

「そうだ。それでいい」

 

こうして二人は再び向かい合い、銃を構えた。

 

 

 

 

 

15分後

 

「ユキノ、結構粘るわね」

 

「そうだね。私が離脱してからもう15分経ってるけど、まだ出てこないみたい…」

 

「まぁこれで元の小隊長殿に戻ってくれればいいけど…」

 

素子にやられた3人は、建物の外で決着が付くのを待っていた。オトギはユキノの今の状態から元の彼女に戻ることを期待していた。

 

「そう言えば音響センサーは結局故障だったの?」

 

「いや、先生の言う通り故障じゃないよ。オトギちゃんに教えてもらったんだけど、先生は超小型の偵察ドローンで私たちの動きをリアルタイムで監視していたんだって」

 

「オトギの狙撃が避けられたのもそれが理由かぁ…」

 

「多分ドローンに音を出させて、センサーを無力化してたんだと思う」

 

クルミは先ほどの音響センサーが複数の音を拾っていたことについてニコに尋ねる。ニコはオトギに素子が超小型ドローンを飛ばしていたことを教えてもらい、それが原因であることを突き止めていた。

 

「待たせたな」

 

「・・・・・・」

 

「あっ、戻って来た…ってボロボロじゃん!!」

 

彼女たちが話していると、建物から素子と、彼女に肩を貸されたユキノが出てくる。素子は傷一つついていなかったが、反対にユキノはオトギの指摘通りボロボロであった。

 

「ユキノ、どうだった?」

 

「完敗だ。いつかの昔の自分を殴ってやりたいよ」

 

「あぁ、『貴女のような大人が大嫌いです』ってやつ?」

 

「本人目の前にして言うことじゃないよね~」

 

「うっ…やめてくれ…」

 

ニコは戻ってきたユキノに素子との対決の様子を尋ねる。それにユキノは完敗だと言って自分の敗北と、以前の発言が間違いであったことを認めた。そしてその発言をクルミとオトギに蒸し返され、彼女は本気で後悔していた。

 

「お前たちFOX小隊はこれより正式に私の部下としてロアの真相を追ってもらう。異存はないな?」

 

「「「「はい!!」」」」

 

「少しはマシな顔になったようだな」

 

素子はFOX小隊の4人に改めて自分の部下になることを確認する。彼女たちは素子の前に立ち、しっかりと返事をした。

 

「そうだ!私たちが正式に部下になったってことは、RABBIT小隊みたいに『少佐』って呼んでいいのかな?」

 

「好きにしなさい」

 

「いえーい!」

 

「やった!!特別な感じがして羨ましかったのよねぇ」

 

オトギは自分たちが素子の部下になったことで、後輩たちが呼んでいた『少佐』という呼び名で呼びたいと懇願する。そして素子から正式に許しを得ると2人はハイタッチしながら喜んだ。

 

「いつまでもこんなところで油を売っている暇はない、シャーレに戻るぞ」

 

「「「「了解です、少佐!!」」」」

 

素子は彼女たちを率いてシャーレのオフィスへと戻っていった。




先輩なので流石に一方的にはやられないようにしました。ユキノが怖がっているのもある種経験を積んだからこその直感です。
蜂型のドローンは原作の攻殻機動隊1.5に出てきたヤツです。
あと、ユキノが自分たちのことを『武器』と言ったことには少佐割とキレてます。あの人そういうの嫌いなタイプだと思う。

※豆知識:少佐の私服について
最終編前は1期のハイレグ。最終編後は2ngGIGのわけわからん服を主に着用しています。

それではまた来週。
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