GHOST IN THE SHELL Blue Archive   作:H2O(hojo)

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dividual episode
4話構成の長編です。まぁ夏なので水着イベントみたいなものです。

タイトル通り海賊の話ですが、これ書いたの3,4月とかなので今回のゲヘナの水着イベは偶然です。ハイ。
トライデントとか知らないっす。


海賊① PIRATE

「先生!!大変です!!一大事です!!」

 

シャーレの部室に慌てて入ってきたのは、トリニティ総合学園補習授業部の阿慈谷ヒフミである。元々慌ただしい彼女であるが、今日の彼女の慌てようは常軌を逸していた。

 

「まったく大袈裟ねヒフミは…」

 

「いいや。これは緊急事態だ」

 

「ハァ…ハァ…アズサちゃんの言う通り…このままでは、アァン…大変なことになってしまいます♡」

 

ヒフミを追いかけてシャーレの部室に入ってきたのは同じく補習授業部の下江コハル、白洲アズサ、浦和ハナコである。ヒフミの慌てように3人はそれぞれの反応を見せていた。

 

「で、一体何が大変なわけ?」

 

「見てください!これです!!」

 

自身に詰め寄るヒフミに、素子は報告書をタイピングする手を止めて彼女のほうへ顔を向ける。すると彼女はお気に入りのカバンからあるものを取り出し、彼女へ見せた。

 

「これって…アンタが集めてる鳥のぬいぐるみでしょ?」

 

「全ッ然!!違います!!」

 

「これだから素人はダメだ」

 

ヒフミが取り出したのは、彼女が熱狂的になっているペロロのぬいぐるみらしきものである。そう答えた素子であったが、ヒフミとアズサに全然違うと否定されたあげく素人扱いされてしまった。

 

「見てください、この羽根の部分!!本物のペロロ様はここがこうなっていて…」

 

「この足の部分の布の色も本物とは微妙に違うぞ」

 

「つまり偽物だって言いたいわけ?」

 

「「そうです(だ)!!」」

 

ヒフミとアズサは取り出したぬいぐるみと、スマホの画像を交互に見せてぬいぐるみが偽物であると訴える。その表情は鬼気迫っていた。

 

「先日、限定ペロロ様が出回っているという噂を聞いて、ブラックマーケットに赴いたんです。そしたらこれが売られていて…」

 

「「「あっ…」」」

 

ヒフミは限定ペロロが出回っているという噂を聞き、ブラックマーケットに行ったという事実を素子に明かしてしまう。口を滑らせてしまったヒフミに、他3人は思わず声が漏れた。

 

「アンタ…またブラックマーケットに行ったわけ?」

 

「あっ…」

 

そしてその直後、素子に指摘されたヒフミはようやく自分が口を滑らせたことに気づき、顔が青くなっていた。

 

「いや…あの…これは違くて…ですね…」

 

「何が違うって言うのよ?」

 

「はい。すみませんでした…」

 

ヒフミはこのことを誤魔化そうとするが、素子に視線を向けられ言い淀む。結局彼女はそのことを認め、がっくりと素子の前で項垂れるのであった。

 

「まぁまぁ、ヒフミちゃんがまたブラックマーケットに行ったのは一旦置いておくとしましょう。ね、先生?」

 

「・・・・・・」

 

ヒフミを詰めている素子に、ハナコが割って入る。ハナコは素子の目を見てアイコンタクトで何かを訴えかけていた。

 

「ちょっとそれ借りるわよ」

 

「えっ?あぁ、はい」

 

ハナコのアイコンタクトで何かを察した素子はヒフミが持っているぬいぐるみを彼女から拝借する。

 

「阿慈谷。アンタこれブラックマーケットで手に入れたって言ったわよね」

 

「はい…恐らくそこでしかまだ出回ってはいないと思います」

 

「そう」

 

素子はヒフミに再度のぬいぐるみをブラックマーケットで手に入れたという事実を確認する。その態度は先ほどの生徒の話を聞くものとは打って変わって、事件の匂いを嗅ぎつけた真剣なものになっていた。

 

「・・・・・・」

 

「あぁあ!?」

 

そして素子はおもむろに近くにあったカッターを手に取り、ぬいぐるみの腹を切り裂く。

 

「やはりな」

 

「「「「!?」」」」

 

ぬいぐるみの腹の中から出てきたのは、ビニールに入れられた「白い粉」であった。

 

「こ、これは…!?偽ペロロ様の中から白い粉が出てくるなんて…!!」

 

「救護騎士団あたりに解析させるわ。まぁコイツの正体は調べなくても想像がつくけど」

 

「私には単なる白い粉か何かに見えるけど…」

 

ぬいぐるみの中から白い粉が出てきたことに、ヒフミは驚いていた。素子は救護騎士団に粉の成分を解析させると言いつつ、既にその正体に心当たりがあった。一方コハルはその正体が分からず、首を傾げていた。

 

「先生、お呼びでしょうか?」

 

「うわぁ!?びっくりしました…」

 

「驚かせちゃってすみません」

 

救護騎士団という単語を聞いて現れたのは、救護騎士団所属の鷲見セリナである。唐突に現れた彼女にヒフミは驚いていた。

 

「コイツの解析を至急頼んだわよ」

 

「承りました!」

 

一方素子はセリナがすぐに自分の元へ来たことをさも当然のように受け入れ、白い粉の解析を依頼する。彼女からブツを受け取ったセリナは、早速解析に取り掛かっていた。

 

 

 

 

 

10分後

 

「解析が完了いたしました!」

 

「早いな…!!」

 

「救護騎士団ですから。これくらい当然です」

 

待つこと10分、セリナが白い粉の解析を完了する。その迅速な解析にアズサは驚いていた。だがセリナにとってはそれが至極当たり前のことであった。

 

「それで、ソレは一体何だった?」

 

「はい。解析の結果この白い粉からは『コカイン』が検出されました。これは連邦生徒会及びヴァルキューレ警察学校によって指定されている『違法薬物』に分類されます」

 

「そうでしょうね」

 

白い粉の正体はコカインであった。コカインはキヴォトスでも違法薬物であり、ヴァルキューレ及び各学園の治安組織も厳しく取り締まっている。違法薬物が出てきたにも関わらず、素子は驚く様子もなかった。

 

「違法薬物!?じゃあ早く私たちで回収しないと!!先生も手伝って!!」

 

「確かにそれも重要だが、それは所轄の仕事よ」

 

コハルは違法薬物と聞いてぬいぐるみを回収するべきだと焦り始める。だが素子はそれはヴァルキューレの仕事だと答える。

 

「何もしないって言うの!?」

 

「落ち着いてください、コハルちゃん」

 

「ハナコ…」

 

そんな素子にコハルは怒り始める。素子に喰ってかかろうとする彼女に、ハナコは割って入り落ち着かせようとしていた。

 

「いくらコレを回収したところで事態の解決には至らないわ。コイツをブラックマーケットに流している連中を摘発しなければ無意味よ。そしてこういった問題の芽を事前に察知し除去するのが私の仕事」

 

「今は丁度芽吹いている途中といったところでしょうか…」

 

「そうね」

 

素子はコハルたちに、自分たちがやるべきことが何であるかを言って聞かせせる。問題の芽を事前に察知し除去することこそが、草薙素子が公安9課から受け継いだ連邦捜査部S.C.H.A.L.Eの活動理念である。

 

「今回は大きなヤマになりそうね…」

 

彼女のゴーストの囁きはそう告げていた。

 

 

 

 

 

『アロナ。まずは阿慈谷が聞いた噂と類似性がありそうな情報をネットで検索をかけろ』

 

『了解です、少佐』

 

『プラナ。お前は監視カメラとIRシステムをハッキングしてコイツの流通ルートを洗え』

 

『了解』

 

その後補習授業部やセリナを帰した素子は、アロナとプラナに調査を命じる。アロナにはネット上での噂を、プラナにはぬいぐるみの流通ルートを探らせた。

 

1時間後

 

『少佐。ヒフミさんが訪れたと思われるブラックマーケット以外でもモモフレンズの限定ぬいぐるみが出回っているという噂が流れているみたいです』

 

『そうか。まずはその情報をヴァルキューレに流してやれ。手が空いたら、プラナのことを手伝ってあげなさい』

 

『はい!プラナちゃんと一緒に流通ルートの洗い出しを行います』

 

アロナが調べた結果、コカインが混入されていると思われるぬいぐるみはヒフミの訪れたアビドスのブラックマーケット以外にも流れていることが判明する。素子はヴァルキューレ警察学校に自分たちが調べた情報を渡し、ヴァルキューレが動くように働きかけた。

 

さらに数時間後

 

『少佐。例のぬいぐるみの流通ルートを調べたところ共通点を見つけました』

 

『なるほどな』

 

プラナとアロナの流通ルートの解析が終わり、プラナは素子の電脳に地図上に流通ルートの線を引いた画像を映し出す。それを見た素子は即座にプラナの言う共通点に気付いたようである。

 

『例のブツは全て海路によって港へ運ばれ、各地のブラックマーケットへと流通しているようです』

 

『恐らくコカの木の栽培地域からああやって船で各地の港へと運び、それをさらに複数のブラックマーケットへと流通させ高値で売りさばく。阿慈谷はそのうちの1つをたまたま手にしてしまったのだろう』

 

プラナが見つけた共通点とは、コカの木の栽培地域から海路で各地のブラックマーケットへとぬいぐるみが流通しているということである。そしてコカインをカモフラージュするためのぬいぐるみがたまたまペロロだったため、ヒフミの手に渡り素子たちが知るところとなったのである。

 

『だがだとするとこの壮大な計画を管理・統括している元締めがいるはずだ。これだけの情報ではソイツの姿が浮かび上がらないわね』

 

『私たちでもう少し深く潜ってみましょうか?』

 

『そうね…ヤクを運ぶ船の航行システムに潜り込んでルートを割り出してみましょうか。原産地からどこかを中継して、そこでコカインに加工しぬいぐるみの中身に詰めている可能性はあるわ』

 

『了解です』

 

アロナとプラナの集めた情報を見て推理していた素子であったが、この大規模な計画を管理している存在を特定できずにいた。そのため彼女は別の角度からアプローチをかけることにした。

 

『複数の対象船舶の航行システムに侵入しました。これから、航行ルートを遡ってみます』

 

『私はお二人のバックアップをします!』

 

『よし。いいだろう』

 

素子はプラナと共に、コカインを運んできた船の航行システムに潜り込む。アロナはもしもの時のためにバックアップを買って出た。

 

『これは…!』

 

『どうやら当たりを引いたらしいわね』

 

そしてその結果、2人はそこで不可解なものを目にする。

 

『どの船舶も海上のある一点で交わっています。ですがこのポイントには陸地はないはずですが…』

 

『必ずしも陸地である必要はないわ。これを見なさい』

 

『これは…海上プラントでしょうか?』

 

『そうよ。この航行ルートが交わる地点には廃棄された海上プラントが存在している。この事件の首謀者はここで指示を出し、ヤクの加工もおこなっているはずよ』

 

複数の船舶の航行ルートがある一点で交わっていたのである。そしてその場所には廃棄された海上プラントが存在しており、素子はそこに元凶の人物がいると考えていた。

 

『プラナ。至急オデュッセイアにこのプラントについて調べるよう依頼を出せ』

 

『はい、少佐』

 

『アロナ。お前は今から私が選定するメンバーを1週間後に装備A2で招集をかけろ』

 

『了解!!』

 

素子は再度アロナとプラナに指示を出す。作戦開始に向けた準備が着々と進んでいた。

 

 

 

 

 

一週間後

 

「正義実現委員会1年生静山マシロ、お呼びが掛かりましたのでこちらに。未熟者ですが、いついかなる時もベストを尽くします」

 

トリニティ総合学園正義実現委員会所属静山マシロ。

 

「銀鏡イオリ。任務なら、私に任せて」

 

ゲヘナ学園風紀委員会所属銀鏡イオリ。

 

「ヴァルキューレ警察学校、公安局局長の尾刃カンナです。犯罪の捜査なら、お任せを」

 

ヴァルキューレ警察学校公安局長尾刃カンナ。

 

「SRT特殊学園、RABBIT小隊の風倉モエ。くひひ…支援なら、私に任せて」

 

SRT特殊学園RABBIT小隊所属コールサイン「RABBIT3」風倉モエ。

 

「百鬼夜行連合学院所属、百花繚乱の切り込み隊長、不破レンゲ、ここに参上!」

 

百鬼夜行連合学園百花繚乱紛争調停委員会切り込み隊長不破レンゲ。

 

「あれぇ?私が最後かな~?」

 

「遅いわよ」

 

「うへぇ~先生に怒られちゃったよぉ~。私の名前は小鳥遊ホシノ。よろしくね~」

 

元アビドス生徒会長兼アビドス廃校対策委員会委員長小鳥遊ホシノ。

 

(あれが小鳥遊ホシノか…)

 

(この人が噂に聞くカイザーコーポレーションを壊滅に追いやった張本人…)

 

(こーいう昼行灯演じてるヤツが一番厄介なんだよなぁ…)

 

「なになに~おじさんの顔に何か付いてる?そんなに見つめられたらおじさん恥ずかしいよぉ~」

 

ホシノが部屋に入ってきたところでカンナ、マシロ、モエの3人が彼女を見つめる。彼女たちはホシノのことを警戒していた。

 

「よし。全員集まったな」

 

元内務省公安9課「攻殻機動隊」通称少佐。現連邦捜査部S.C.H.A.L.E教員草薙素子。本作戦の指揮を執る。

 

「では今回の作戦について説明するぞ」

 

そう言って素子はモニターに海上プラントの映像を映し出す。

 

「事前に送付した資料は読んでいるな?」

 

「「「「「「はい」」」」」」

 

「この海上プラントは例のコカインが混入しているぬいぐるみが製造されていると思わしき場所だ。我々の任務はここへ潜入し、この事件の首謀者を捕縛することだ」

 

素子は自分たちが調べあげた情報を事前に彼女たちに渡しており、それを読んでいるか確認しつつ作戦の目的を端的話す。

 

「首謀者の目星はついているのでしょうか?」

 

「あぁ。お前たちを招集するよりも前にオデュッセイアの保安部隊に斥候を出させた」

 

「ホント手際いいよね、少佐」

 

素子の説明に対し、カンナはこの事件の首謀者について質問する。素子は既にオデュッセイア海洋高等学校に依頼し、先んじてプラントを調べさせていた。その手際にモエは感心していた。

 

「オデュッセイアの斥候が送って来た首謀者はコイツだ」

 

そう言って素子は映像を差し替える。そこには生徒らしき少女の顔が映っていた。

 

「誰だコイツ…?」

 

「まったく心当たりがありませんね」

 

少女の顔を見てイオリとマシロは首を傾げる。誰も彼女のことは知らない様子であった。

 

「コイツの名前は村上キョウ。連邦生徒会の生徒名簿データベースによればオデュッセイア海洋高等学校を退学になった後、最近になって海を荒らし回っているらしい」

 

「うへ〜海賊ってやつ〜?」

 

「小鳥遊の言う通りね。コイツは自ら結成した組織で村上海賊団を名乗っている」

 

少女の名は村上キョウ。深緑の腰まで伸びたボサボサ髪に、右眼には眼帯を付け、白いベレー帽を斜めに被り、黒いマントを着用つけた海賊のような少女である。

ここ最近、彼女は不良やチンピラなどを仲間にして海賊行為を働いているようだ。

 

「だがコイツ1人でこれほど大規模な計画を立案し実行できるとは考え難い。オデュッセイアから提出された書類を確認したが、成績は体育以外は下の下だしな」

 

「うわぁ…退学したのに成績を晒されてるじゃん。可哀想に…」

 

しかし、コカインの流通ルートを確立させたのは彼女ではないと素子は予想する。その証拠にモニターには彼女の在学時の成績が映し出され、レンゲは彼女に同情するのであった。

 

「この海上プラントはヤツらにとっての重要な拠点であり、『海賊島』と呼ばれているそうだ。さらに、ここではコカインの密輸だけでなく、違法の武器の密売や賭博行為などが頻繁に行われているとのことだ」

 

「まったく…海賊ごっこもここまで来ると笑えないな」

 

「このバカと不良共の集まりだけなら『ごっこ』で済んでいたでしょうね。だが彼女をプロデュースしている存在によって、もはや子供の火遊びでは済まなくなっています」

 

オデュッセイアの保安部隊は潜入捜査によって、この場所がキョウたちにとって重要な拠点であると突き止めていた。イオリとカンナは村上海賊団の凶行に危機感を覚えていた。

 

「再度確認するぞ。我々の目的は海上プラントに潜入し、コカイン加工の現場を押さえることだ。さらに村上キョウと彼女の協力者を確保し、ヤツらの計画を阻止する。心してかかれ!」

 

「「「「「「了解」」」」」」

 

連邦捜査部S.C.H.A.L.E、作戦開始。




今回の参加メンバー
草薙素子 cv田中敦子
お馴染み少佐。キヴォトスのクソ治安と住人の高耐久にはすっかり慣れ、生徒相手にも銃をぶっ放すことに躊躇いがなくなった。

小鳥遊ホシノ cv花守ゆみり
バトー枠。おじさん。何だかんだ少佐が自分を選んでくれたことは嬉しい。

尾刃カンナ cv松岡美里
トグサ枠。同じ公安である少佐との任務に内心めちゃくちゃ張り切っている。

風倉モエ cv井澤詩織
イシカワ枠。前に出て戦えるサポート役。メンバーに選ばれた際にミヤコとサキから羨ましそうな目で見られた。

静山マシロ cv鬼頭明里
サイトー枠。スナイパー。1年生での大抜擢に正義実現委員会が湧いた。

不破レンゲ cv小市眞琴
ボーマ枠。他の学校の生徒と協力して一緒に何かをすることに青春を感じている。

銀鏡イオリ cv佐倉綾音
パズ枠。澄ました顔してるが割とこの任務には乗り気。

タチコマ cv玉川砂記子
お馴染み攻殻機動隊SACのマスコット。今回は4機出動。


村上キョウの容姿:木曽改二で検索

それではまた来週。
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