GHOST IN THE SHELL Blue Archive   作:H2O(hojo)

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タイトル通りC&Cと少佐が対決します。パヴァーヌ1章のミレニアムタワーに潜入する場面です。

今のところ、毎週投稿できるだけのストックを年末分までは用意しています。


Cleaning&Clearing

モモイたちはミレニアムプライズで入賞してゲーム開発部を存続するために、ミレニアムタワーから『鏡』と呼ばれるツールを奪取しようとしていた。

 

「そ、損傷率48%これ以上の戦闘続行は不可能です…」

 

「オラオラオラァ!!お前の力はそんなもんかよ!?」

 

『鏡』をタワーの屋上で手に入れ、タワーから脱出しようとする際に、ゲーム開発部の4人はC&Cのコールサイン00美甘ネルと鉢合わせしてしまう。ネルと戦闘をしていたアリスは、彼女に手ひどくやられてしまった。

 

「どどどどどどうしよう!!このままじゃ私たち、ネル先輩に殺されちゃうよ~!!」

 

「殺さねぇわ!!」

 

「絶対嘘だ~!!」

 

「こ、怖い…」

 

アリスが倒れたことにより他3人はネルを恐れて、その場に立ちすくんでしまった。

 

『才羽、花岡、天童を連れてその場から離れろ』

 

「その声は…先生!?」

 

「あぁん?今さら誰と通信でくっちゃべってんだ!?」

 

そんな中、ゲーム開発部に素子からの通信が入る。そして次の瞬間…

 

「ぐっ…!!」

 

「えっ!?何?何が起きてるの!?」

 

「誰もいないのに、外から銃弾が飛んで来た…」

 

突如タワーの窓ガラスの一部が割れ、ネルに銃弾が飛んでくる。しかし、銃弾が飛んで来た外には誰もおらず、ネルを含め虚をつかれた形となった。

 

「随分なご挨拶じゃねぇかよ。アタシを撃ったのは誰だ?どこにいる?」

 

「ここよ」

 

「アンタは確か…」

 

「連邦捜査部S.C.H.A.L.Eの草薙素子よ。『シャーレの先生』って言えばわかるかしらね」

 

ネルにどこにいるのか問われた素子は、熱光学迷彩を切り姿を現す。素子の姿を見たネルは、眉を顰めた。

 

「なるほど…ウタハたちが作った光学迷彩を使って外に潜んでいたわけか」

 

「違うわ」

 

「あぁん?どう見ても光学迷彩だろ?」

 

「私が使っている『東セラ製3302式』を白石が再現して作ったものが、お前たちが潜入に使っているものだ」

 

「そうかよ」

 

素子が熱光学迷彩を切ったのを見て、ネルはウタハたちエンジニア部が作ったものを使用して外に潜んでいたことを理解する。だが素子は、自分が使用しているものをウタハが再現したのだと言って、ネルを少し苛立たせた。

 

「コイツらの相手は私がするわ。お前たちは天童と一緒にこの場から離脱しなさい」

 

「コイツら…?」

 

「せ、先生はC&C4人全員と戦うつもりなんですか?」

 

「そうよ」

 

素子はC&C全員を相手すると言って、その間にモモイたちにここから離脱するよう指示する。それを聞いたミドリは耳を疑い、ネルはますます怒りのボルテージを上げた。

 

「聞き捨てならねぇなぁ、先生よぉ…!!アタシだけじゃなく、C&C全員をアンタ1人で相手するだぁ?随分と舐められたもんじゃねぇかよ!!あぁん!?」

 

「「「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」」」

 

「ほら、さっさとここから立ち去りなさい」

 

「せ、先生…すみません。アリスたちのために…」

 

「別にあなたたちのためというわけではないわ。こちらにはこちらの目的がある、それだけよ」

 

素子の言葉を聞き、ネルはついに怒りを爆発させて彼女に突っかかる。アリスは自分たちのために、素子が危険を冒していると思い謝罪するが、彼女は自分には目的があると返した。

 

「それじゃあ先生、死なないでね!!」

 

「えぇ」

 

 

 

 

 

「さて、邪魔者は…」

 

「あーっ!!先生、こんなところで何やってるんですか!?」

 

「チッ…っったく…次から次へと…」

 

ネルが素子と戦闘を始めようとすると、ユウカとノアは2人の前に現れた。

 

「アリスちゃんたちは?」

 

「先生が逃がした」

 

「あの子たちにしては手際が良かったし、エンジニア部とヴェリタスが協力してるから変だと思ってたんです…。先生が裏で協力してたんですか?」

 

「えぇ、そうよ」

 

ユウカはアリスたちの所在を尋ねると、ネルは素子が逃がしたと答える。ユウカはこれまでの彼女たちの動きや、エンジニア部とヴェリタスがゲーム開発部を支援していたことに疑問を感じており、それが先生の差し金であると理解した。

 

「ですが…何故このようなことを…?」

 

「私の教育方針は生徒の自主性を尊重することよ。あの子たちがミレニアムタワーから『鏡』を奪い取ると言ったから、私はそれに少しだけ手を貸しただけ」

 

「彼女たちの自主性を重んじるために、危険を冒してまでC&Cと戦闘をするのですか?」

 

「彼女たちと私が戦うのはまた別の話よ。さっきはたまたま才羽たちがいたから助けてあげただけ」

 

ノアは素子が何故ゲーム開発部に協力するのか尋ねると、彼女は生徒たちの自主性を尊重するのが教育方針だと答える。それにノアはC&Cと命の危険を冒してまで戦う必要性があるのかと返し、それは別の話であると答えた。

 

「ではその目的とは一体何なのでしょう?」

 

「お前たちの『会長』にでも聞いてみるんだな」

 

「リオ会長ですか?」

 

ノアは素子の言う目的とやらが気になり、それを彼女に尋ねる。だが素子はセミナーの会長である調月リオに聞けと言い、自分からその目的を語ることはなかった。

 

 

 

 

 

ミレニアム某所

 

「・・・・・・」

 

「あら、どうやら私たちの目的も先生にはお見通しのようですね」

 

(先生に私たちの目的を悟られないように、こうしてヒマリとは直接会って計画を練っていた…。だというのに彼女は一体どうやってそれを知ったというの?)

 

「それにしても先生も親切ですね。正直アリスちゃんたちの計画を手伝うだけで、彼女自身がミレニアムタワーに現れるとは思わなかったのですが…私たちの計画を知り、乗ってきてくれたみたいです」

 

調月リオと明星ヒマリが建てた計画は2つ。一つはアリスとC&Cが対立する構図を作り、彼女たちにアリスとの戦闘を行わせ、彼女の危険性を図ることである。そしてもう一つはミレニアムの技術力向上に多大な貢献をしている草薙素子の実力を知るため、もとい今後ミレニアムに敵対した場合にどう対処すべきかのデータを収集するためであった。

 

「それにチーちゃんを口説いて味方に付けるだなんて…正直嫉妬しちゃいそうです」

 

 

 

 

 

ミレニアムタワー

 

『各務、タワーのシステムの掌握は終わったか?』

 

『終わったよ、先生』

 

『まずは、私達と早瀬と生塩を分断しろ』

 

『了解。2人を戦闘に巻き込むわけにはいかないしね』

 

素子はチヒロにミレニアムタワーのシステムの掌握を頼み、彼女は手早く掌握を終わらせる。素子はユウカとノアを分断するよう指示した。

 

「あっ…」

 

「シャッターが勝手に降りてきてる!?せ~ん~せ~い~!?」

 

「悪いわね2人とも」

 

するとユウカとノアの前にあるシャッターが降り始め、2人と素子たちは壁によって隔たれてしまうのであった。

 

『それにしても、先生もお人よしだね。わざわざリオ会長の計画を知って乗ってあげるだなんて。結果次第では先生が不利になるかもしれないんだよ?』

 

『生徒に身をもって教えてやるのも先生の仕事だろう?』

 

『私も最後まで付き合うから、その代わりヒマリとリオ会長にどうやって「枝」付けたのか教えてよね?』

 

 

 

 

 

ミレニアム某所

 

「やはり『枝』を付けられていましたか…」

 

「一体どうやって…先生の行動はAMASによって常に監視していたはずよ」

 

「監視に気付いてAMASをハッキングされたのでは?」

 

「・・・。どうやら私の想定が甘かったようね」

 

 

 

 

 

ミレニアムタワー

 

「さて、これで邪魔者はいなくなったな。監視カメラの映像も、私と各務との通信も見えるようにしてやってるんだ。精々目を離さんようにな」

 

「アンタが語り掛けてる相手って、あの2人か?」

 

「そうよ。聞かされてなかったの?」

 

「はぁ…たかだがヴェリタスの押収品のためだけにアタシら全員を動員させるのはおかしいと思ったんだよなぁ」

 

素子は監視カメラ越しにリオとヒマリに語り掛ける。素子の行動を見てネルはようやく、自分たちが誰のために戦わされていたのかを理解した。

 

「結局、ウチらC&Cはまたいいようにアイツらに使われたってわけか…」

 

「私も以前組織に所属していた身として、その気持ちは痛いほど分かるわ」

 

「そんで今はキヴォトス中の生徒を助ける先生ときたもんだ。大変だな」

 

「えぇ、『個性的』な生徒が多くて手を焼いてるわ」

 

「アッハッハ!!あの2人は特に個性的だからな!!」

 

リオとヒマリの計画に乗せられたと知ったネルは、またかというため息をつく。素子は彼女に同情すると、ネルも素子のことを大変だなと言い返した。

 

「始めましょうか」

 

「あぁ」

 

草薙素子とCleaning&Clearingとの戦いの火蓋が切って落とされた。

 

「カリン!!」

 

『ラジャー』

 

ネルはカリンの名を叫ぶと、カリンはミレニアムタワー周辺の建物から素子を狙撃する。

 

「ふっ!!」

 

「なっ…!?」

 

『外した!?いや…避けたのか!?』

 

しかし素子は、カリンが狙撃したと同時に身体を捻らせ銃弾を避ける。

 

『どうやって避けたの!?』

 

「鷹の眼でお前の狙撃位置は既に捕捉しているぞ」

 

『なっ!?私たちの通信に「枝」が付けられているの…?』

 

「カリン、お前もこっちに来い。衛星から狙撃位置を捕捉されている以上、そこにいても意味はねぇ」

 

『ラジャー』

 

素子が狙撃を避けたことに、カリンは動揺を隠せずにいた。素子はミレニアムの人工衛星をハッキングしてカリンを上空から捕捉しており、それをC&Cの通信に割り込んでわざわざ彼女に教えた。その事実を知ったネルはカリンをミレニアムタワーへ来るよう指示するのであった。

 

「ふっ!!」

 

「オラァ!!」

 

「その身体に似合わずパワフルだな」

 

「生徒相手にも容赦ねぇなぁ先生よぉ!?」

 

素子とネルは互いに銃と己の身体を使って相手を攻撃していく。素子はネルに蹴りを入れて、彼女はその衝撃で後ろに後ずさりした。

 

「悪いが、お前だけの相手をしているわけにはいかないのでな」

 

「ちょ、オイ!!待ちやがれ!!」

 

素子は再び光学迷彩をオンにして、ネルから離れていった。

 

『お前のところの部員の避難は終わったか?』

 

『うん、問題ないよ。たまには私とウタハだけじゃなくてあの子たちにも仕事を振ってあげてよ?私ばっかりズルいって言って拗ねるのを宥めるの大変なんだから』

 

『機会があればね』

 

素子はミレニアムタワー内部を移動しながら、チヒロにマキとコトリたちの避難が終わったのかを確認する。チヒロは素子が主にウタハとチヒロに仕事を依頼するため、ヴェリタスとエンジニア部の他の部員たちが羨ましがっていることを伝え、彼女たちにも仕事を振って欲しいと頼んだ。

 

『そこを右に曲がればアカネがいる。ネルと他のメンバーは防火扉で足止めしてるから、しばらくは合流してこないと思う』

 

『防火扉や壁を壊して突っ込んでこないことを祈るわ』

 

『そこはユウカが口酸っぱく注意してたから大丈夫…だと思う、多分』

 

チヒロは素子をアカネの元へナビゲートし、他のメンバーを防火扉で足止めする。素子はネルたちが防火扉を壊して乱入してこないことを祈るのであった。

 

「・・・」

 

「・・・」

 

チヒロの言う通り、通路を右に曲がった所にアカネはいた。素子はハンドガンを構え、彼女に照準を合わせる。

 

「お初にお目にかかります、ご主人様。私はC&Cコールサイン03室笠アカネと申します」

 

「草薙素子だ。お前の主人になった覚えはないがな」

 

「あぁ…これは単なるキャラ付けです。元々はエージェントである我々の正体を隠す目的だったのですが、今となってはC&Cの名が他校にも知れ渡ってしまい、無意味となってしまいました」

 

素子と相まみえたアカネはまずは彼女に丁寧に挨拶をする。素子は「ご主人様」という単語が引っ掛かったが、アカネは単なるキャラ付けだと言い切った。

 

「申し訳ありませんが、ここからは私がお相手を務めさせていただきます」

 

「ダイエットになるといいわね」

 

「なっ…!?マキちゃんとコトリちゃんの会話を盗み聞きしていたのですか?」

 

「さて…どうかしらね?」

 

アカネは手持ちのハンドガンを素子に向けると、自分が彼女の相手をすると宣言する。素子はマキとコトリがアカネに指摘していたことを話すと、アカネは先ほどの丁寧な態度を崩すほど動揺していた。

 

(彼女は全身に義体化を施したサイボーグ…部長やアスナ先輩でなければ直接戦闘は不利。ならば…!!)

 

「成程。文字通りの自爆というわけか」

 

「えぇ。私では先生には敵いません。ですが私は先生よりも頑丈ですので…」

 

戦闘では先生には敵わないと思ったアカネの考えた手は、通路一面に爆薬を仕掛け、共に爆ぜるという手であった。アカネはヘイローがある分先生より頑丈だと考え、この手を採用したのである。

 

「さらに先生は電脳が無事なら義体を交換すれば復活できる。エンジニア部とヴェリタスに替えの義体を何体か発注したことも調べがついています」

 

「コイツの修理代はどこに請求したらいい?」

 

「フフッ…勿論セミナーへ」

 

そしてアカネは素子が全身義体化していることを知っており、替えの義体を発注したことも掴んでいた。故にここで自爆を試みても問題無いと判断したのである。

 

「それでは先生、私と一緒にここで爆ぜていただきます」

 

アカネは最後にそう言うと、自爆スイッチを押した。

 

 

 

 

 

一方その頃

 

「オラオラオラァ!!」

 

ネルは突如として攻撃をしてきた大量のドローンの相手をしていた。

 

「チヒロォ!!聞いてんだろ?お前後で覚えてろよ!!」

 

『私はこのタワーのシステムしかハッキングしてないよ』

 

「あの2人かお前以外に一体誰がこんなことできるってんだよ!?コタマか?ハレか?マキじゃねぇだろ!?」

 

『先生だよ。彼女が警備ドローンの追跡対象を書き換えたの』

 

ネルはチヒロの仕業だと考え、自身の通信に「枝」を付けているチヒロを恫喝する。だが、チヒロは自分がやったのではなく、先生がドローンのハッキングをしたと答えた。

 

「ハッキング技術も超ウィザード級かよ」

 

 

 

 

 

「うっ…ぐっ…」

 

アカネが仕掛けた爆薬は通路の天井や壁を破壊するほどの威力を誇り、煙が通路に充満する。そしてアカネ自身もその爆発によって傷つき、ボロボロの状態であった。

 

「・・・・・・」

 

「なっ…無傷!?」

 

だがアカネの予想とは違い、黒煙から姿を現した素子は無傷であった。

 

「私が無傷である理由が気になるようだな?」

 

「一体どうやって…?あの状態から無傷でいられるのは不可能なはず…!」

 

「『コイツ』のお陰だ」

 

「連邦生徒会長の残した遺物…『シッテムの箱』ですか」

 

素子が無傷であることに驚いているアカネに対し、素子はタブレット端末を取り出し彼女に見せる。アカネはそれが単なるタブレット端末ではなく、シッテムの箱というオーパーツであることも調べており、そのお陰であることを知った。

 

「どういう原理かは知らんが、コイツは私に対する攻撃を無力化する能力がある。限度はあるようだがな」

 

「・・・」

 

「私の実力を推し測る以上、コイツの能力を計算に入れなかったのはお前のミスだ、室笠」

 

「はぁ…そのようです」

 

シッテムの箱には持ち主への攻撃や被害を無力化する能力が備わっており、それによって彼女はあの状態でも無傷で生還できたのである。シッテムの箱のことを計算に入れていなかったことを指摘されたアカネは、その場に膝から崩れ落ちた。

 

 

 

 

 

『先生、そろそろそっちにカリンが来るよ』

 

『あのスナイパーか。いいだろう相手をしてやる』

 

チヒロからカリンが近づいていることを聞いた素子は、彼女が登ってくる階段の前で待ち構えることにした。

 

(あの階段の上に、誰かいる気配を感じる…多分あのシャーレの先生だ)

 

階段の踊り場の前で気配を感じたカリンは、その場にしゃがみ込み素子へ接近する機会を伺っていた。

 

(階段の下に気配を潜めて私の出方を伺っているな)

 

一方素子は階段の上の横におり、カリンを迎え撃つ。

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

2人は互いに前に出るタイミングを伺っていた。

 

「今だッ!!」

 

「・・・ッ!!」

 

そして、2人は同時に姿を晒す。2人とも手持ちの銃を構え、相手に照準を合わせていた。

 

「・・・・・・」

 

「ッ!!?」

 

(ダメだ…!!私が先生に勝つビジョンが浮かばない…負ける!!)

 

だが、2人が対峙して数秒と経たずに、カリンの表情から焦りと動揺が浮かび上がってくる。カリンは脳内でここから先の彼女との戦闘をシミュレーションした結果、敗北するという結論に達したのである。

 

「・・・。降参だ」

 

「そうか。賢明だな」

 

そしてカリンは銃を置き、両手を上げる。彼女が降参する姿勢を見せたため、素子は次の相手の元へと移動していった。

 

「頑張って階段ダッシュして来たんだけどな…」

 

 

 

 

 

『先生、そこの広い部屋にアスナがいるよ。気をつけて』

 

『彼女のデータは確認したが、優秀ではあっても美甘程ではないはずだ。だが忠告するということは、何かあるのか?』

 

『アスナの武器はその類稀なる幸運と人間離れした直観だよ。彼女はデータでは測れない力を持ってる』

 

『なるほどな。そいつは勝負のしがいがあるというものだ』

 

素子がアスナの元へと向かっていると、チヒロは彼女の能力に気をつけるよう忠告する。アスナの能力を聞いた素子は、俄然興味が湧いていた。

 

「〜~~~~♪」

 

「・・・・・・」

 

熱光学迷彩を作動させ部屋に入ると、アスナは鼻歌を歌いながらその辺をフラフラしていた。

 

「ん?誰か入って来た?ご主人様は姿を消せるってリーダーから聞いたから、ご主人様かな?」

 

(私がこの部屋に潜んでいることを分かってるのか?なるほど、コイツの「ゴーストの囁き」は私以上のようだな)

 

素子が部屋に入って数秒後、アスナは誰かがこの部屋に潜んでいることを感じ取っていた。

 

「おーい、隠れなくてもいいよ?出てきなって!!」

 

「いいだろう」

 

「あーっ!?やっぱりご主人様だー!!」

 

アスナに促され、素子は熱光学迷彩を切る。素子が姿を見せたことにより、アスナは満面の笑みを浮かべていた。

 

「よく私がこの部屋にいることが分かったな。どうやって探知した?」

 

「う~ん…何となく?」

 

「何となく…か。各務から聞いていた通り、科学では証明できん能力を持っているようだな」

 

素子は何故自身が部屋に潜んでいることに気付いたのか尋ねると、アスナは何となくと答えた。

 

「それじゃあコールサインゼロワン、アスナ!いっくよー!」

 

「さぁ来い一之瀬。お前のゴーストの囁きを見せて見ろ!」

 

 

 

 

 

『アカネ、お前もそこで伸びてないでアスナの所へ来い!!アタシもすぐに向かう』

 

「部長?私これでも結構重症なんですが…」

 

『じゃあツバでも付けとけ』

 

素子がアスナと戦っている間にネルはドローンを蹴散らし、彼女たちの元へ向かっていた。さらには通信でアカネに来るよう指示を出すのであった。

 

「はぁ…優しさのない部活ですね…」

 

 

 

 

 

「アハハ!面白い~!!」

 

「・・・・・・!!」

 

アスナと素子は互いに銃を構えて、銃撃戦を開始する。だが互いに銃で相手を狙うものの、素子は今までの経験から、アスナは類まれなる直感によって回避し、膠着状態に陥っていた。

 

「私の放った銃弾を悉く避けるとはな…」

 

「凄いねーご主人様!!私とこんなに戦えるだなんて!!」

 

素子はアスナが銃弾を直感で避けていることに、驚いていた。一方のアスナもヘイローがないにもかかわらず自分とここまで戦える素子を、素直に評価していた。

 

「オラオラオラァ!!」

 

「あっ、リーダーだ!!やっほー!!」

 

「ハァ…ハァ…ようやく見つけたぞゴラァ!!」

 

そんな膠着状態を破る存在が、部屋のドアをけ破って現れる。彼女は素子にハッキングされたドローンを全部倒して、ようやく彼女の元へやって来たのである。

 

「ちょこまかとアタシの動きをドローンで妨害しやがって…」

 

「ご苦労だったわね、美甘」

 

「リーダーお疲れ~」

 

「・・・・・・」

 

ネルは素子がハッキングしたドローンを押し付けてきたことに文句を言う。だがそれに素子とアスナはわざとらしく彼女を労い、ネルをさらに怒らせていた。

 

「お久しぶりです、先生」

 

「はぁ…私は一度降参したんだけど…」

 

「なるほど、室笠と角楯も呼んで、私を袋叩きにしようというわけか?」

 

「その通りだ、先生。あんまりこういう手は好きじゃないんだがな」

 

そしてネルに呼ばれたアカネとカリンも素子たちの元に辿り着く。C&Cの4人は素子を囲み各々銃を構え始めた。

 

「先生が言ったんだよなぁ?アタシたち4人を相手してやるって」

 

「その通りだ」

 

「アタシら4人をここまで翻弄したのは評価してやる。だが、ここまでだ」

 

「そうかしら?」

 

「「「・・・?」」」

 

ネルはC&C全員で先生を囲んだことにより、勝利を確信していた。だが素子の表情には余裕があり、ネル以外の3人はその様子を疑問に感じていた。

 

「リーダー!!何か来るよ」

 

「何か来るって何がだよ?」

 

「流石だな、一之瀬」

 

「このプロペラ音はまさか…」

 

「戦闘ヘリだ!!」

 

最初にその異変に気付いたのは、勘の鋭いアスナであった。そして段々とその独特な音が近づくにつれ、他のメンバーたちもそれが戦闘ヘリのプロペラ音だと気づく。

 

「伏せろ!!」

 

「あわわわわ…!!」

 

「嘘でしょ…」

 

「まったく…今日は厄日です」

 

戦闘ヘリの機銃が自分たちを狙っているのを見て、ネルはメンバーに伏せるよう指示する。そして機銃の弾は窓ガラスを突き破りながらC&Cの元へ飛んでいき、彼女たちは地面を転がりながらそれを回避するのであった。

 

「終わったぞ、各務」

 

『うん、こっちでも確認したよ先生。凄いね…C&C全員と戦いながらヘリのシステムをハッキングして操縦するなんて』

 

「操縦はナビゲーションシステムに任せてるだけだから、そこまで難易度は高くないわよ?」

 

素子は機銃掃射によって割れた窓のほうへ向かい、ヘリに乗ってこの場から脱出しようとしていた。ヘリは素子がシステムを掌握して操縦しており、そこまでできる能力にチヒロは舌を巻いていた。

 

「あぁ、そうだ。これは『戦利品』として頂いていくわ」

 

「あぁー!!それは…」

 

「私たちが大切にとっておいた『ミラクル5000』…」

 

「背中のソレはパラシュートじゃねぇのかよ…」

 

素子はヘリへ乗る前に背中のバッグから一つの箱を取り出す。その箱にはトリニティの人気洋菓子店のロゴが入っており、アスナとカリンはそれが自分たちが手に入れた限定ケーキである『ミラクル5000』であると理解した。

 

「これでいい?」

 

『フフフ…ありがとう先生。一回食べてみたかったんだよね』

 

ミレニアムタワーに厳重に保管してある「ミラクル5000」を取って来るように頼んだのはチヒロである。彼女は素子に協力するにあたって、C&Cが「ミラクル5000」を手に入れたことを知り、協力の見返りにそれを求めたというわけである。

 

「お、覚えてろー!!」

 

素子はヘリに乗り、ミレニアムタワーを颯爽と去っていった。

 

 

 

 

 

ミレニアム・某所

 

「「・・・・・・」」

 

素子の能力を測るために彼女のことを観察をしていた2人であったが、作戦が終了した後、部屋には静寂が広がっていた。

 

「どうやら…私たちの想定が甘かったようね」

 

「そうですね。チーちゃんが少し手伝っていたとはいえ、先生1人であそこまでC&Cを翻弄するとは…。私の想像していた以上です」

 

「C&Cだけではないわ。ユウカやノア、それに私たちも結局彼女の手のひらの上だった」

 

リオはこの結果を深刻に捉えていた。ヒマリも素子の能力を高く評価し、この結果に珍しく驚いていた。

 

「草薙素子先生…彼女は危険だわ」

 

「草薙素子先生…やはり興味深いお方ですね♪」

 

2人が出した結論は正反対であった。




少佐はオペレーター役にヒマリ部長よりチーちゃんを選ぶ印象。
少佐は基本的にアロナバリアの使用は制限してます。自分の身は自分で守れる人なので。
ただ咄嗟の際はアロナが自発的に使用を解禁します。

それではまた来週土曜日の12:00で。
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