GHOST IN THE SHELL Blue Archive 作:H2O(hojo)
少佐はSAC1期13話「≠テロリスト NOT EQUAL」のときの半袖着てます。
ヴァルキューレ警察学校
「・・・・・・」
「・・・・・・」
ヴァルキューレ警察学校生活安全局のキリノとフブキは、違法薬物であるコカインが混入されているというモモフレンズのぬいぐるみの検査を、ここ数日ひたすら行っていた。
「あーもう!いつまでこんなことやればいいのさぁ!?」
「文句言わないでくださいフブキ。これも私たちの立派な仕事です」
「マトリの仕事を押し付けられてるだけでしょうが!!」
ここにきてフブキが限界を迎え、この単純作業がいつまで続くのかと不満を漏らす。キリノはこれも警察として立派な仕事だと言うが、その実態は手が足りないマトリの仕事を押し付けられているだけである。
「ほらほらぁ、文句を言わずに手を動かすっすよ~」
「副局長!」
「でもぉ~」
2人の前に現れたのは公安局副局長の志真コノカである。彼女は手を叩いて2人に手を動かすよう促した。
「それに、そんなに心配しなくてももうすぐ先生と姉御が事件を解決してくれるっすよ」
「先生とカンナ局長が?」
「今頃は犯人を捕まえに向かってるところっすかね~」
ゲヘナ自治区・湾岸部
「キキキ…よく来たな先生」
シャーレの大型ヘリでゲヘナの湾岸部へと移動してきた素子たちの前にいるのは万魔殿議長の羽沼マコトである。彼女は後ろに万魔殿の部下たちを従え、不敵に笑っていた。
「例の物はちゃんと用意できてるんでしょうね?」
「当然だ。我々万魔殿の威光を他校の生徒たちにも示すチャンスだからな」
「はぁ…その不純な動機がなければ、アンタのことをもっと評価してるんだけどね」
素子はいつもの調子のマコトを心配しており、彼女に頼んだ物が準備できているか確認する。それにマコトは堂々と答える。そんな彼女の態度に素子はため息をついていた。
「このままティルトローターで海上プラントへ行くと思っていましたが…まさかゲヘナ自治区に来るとは」
「ねー。ジガバチと違って燃費もいいはずだからシャーレから海上プラントまで行って帰って来れるはずだけどなぁ」
マシロとモエの1年生コンビは、シャーレから直接プラントへ向かわないことに疑問を感じていた。
「さぁ出でよ!!ハイパーマコト号!!」
マコトがその意味不明な名前を叫ぶと、海面が波立ち始める。
「な、何だ?何が起きてるんだ!?」
「あぁ…また万魔殿が予算使って好き勝手やってるんだな」
レンゲはいきなり起きたその現象に驚く。一方イオリはマコトがいつものように好き勝手やっているのだと、遠い目をしていた。
「こ、これは…!?」
「う、うへ…こりゃすごいや」
そして彼女たちの眼前に現れたのは船体を深紅に塗られた潜水艦の上部であった。潜水艦が姿を現したのを見た、カンナとホシノはその大きさに驚いていた。
「これこそが我が万魔殿の威信をかけて建造したハイパーマコト号だ!!ワハハハハァ!!」
((((((名前で台無しだよ…))))))
マコトは海面に姿を現したハイパーマコト号を自慢げに紹介する。だが一同はその名前のせいで、素直に驚くことはなかった。
「ここからは二手に別れる。小鳥遊と尾刃、静山の3人はタチコマ2機を連れて私と一緒に潜水艦に乗り込みプラントの下から潜り込むぞ」
「「「了解」」」
「残りの風倉、不破、銀鏡の3人はそのままヘリでプラントへと向かえ。プラント上空を旋回して隙を見て降下しろ」
「「「了解」」」
素子はメンバーを二手に分け、2方向から海上プラントに潜入するつもりであった。
「それと、今のうちに着替えは済ませておけ。潜入捜査となればいささか制服というものは目立つ」
「「「「「「了解」」」」」」
さらに素子は彼女たちに制服に着替えるよう命じた。
「作戦資料の持参物の欄に書かれてた『水着』って文字、やっぱり見間違えじゃなかったんだ…」
「まぁあの場所にこの格好で行くのはおかしいからな」
「とはいえ、まさか水着で出撃するとは思いませんでした」
レンゲとイオリとマシロは、更衣室に向かいながら本当に水着で作戦を実施するつもりなのだと理解する。彼女たちはその事実を意外だと感じていた。
その後
「先生。我々一同、着替え完了いたしました」
「よし。では先ほど指名した3人は私に付いてこい」
「「「はい」」」
着替えが完了した一同は素子の前に立つ。カンナがそれを報告すると、早速彼女は潜水艦に乗り込もうとしていた。
「タチコマ。お前たちも遅れるなよ」
「「はーい!!」」
さらに素子はタチコマに遅れないよう声をかける。タチコマ2機は元気に返事をしながらノシノシと潜水艦へ歩いていた。
「少佐。私たちは先行ってるよ」
「あぁ。『海賊島』で会おう」
彼女たちはそれぞれ陸を離れ、海上プラントへと向かう。
ハイパーマコト号・船内
「おぉ〜結構大きいんだねぇ」
「米帝の潜水艦みたいだね。核ミサイルとか積めるのかな?」
「滅多なこと言うなよぉ~」
潜水艦に搭乗したタチコマは、艦内の広さに驚いていた。2体のうちの1体が米帝の潜水艦を思い出すと発言すると、残りの1体は彼の言動に引いていた。
「あっ、タチコマだ!おーい!」
「わぁ~イブキちゃんだ~」
タチコマたちが潜水艦の内部を眺めていると、彼らのもとにイブキが駆け寄ってくる。艦内には何とも微笑ましい光景が広がっていた。
「先生。待ってましたよ。というより待ちくたびれました」
「悪かったわね」
潜水艦にはイブキだけではなく、イロハも同乗していた。彼女はいつも通りの眠そうな目で、素子の顔を見上げていた。
「皆さんが水着姿なのも驚きましたが、先生もいつもとは恰好が違いますね」
「敵地への潜入に相応しい格好を選んだまでよ。オデュッセイアの報告では水着姿の不良たちが闊歩しているそうだし」
イロハは素子の着ている服に着目する。今の彼女は茶色い防弾チョッキと黒の半袖のインナーを着用しており、彼女にしては割と普通の恰好をしていた。
「道中はオデュッセイアの巡視船が海上を監視してくれるから、安心して海上プラントへ向かうといいわ」
「それは有難いですが、よくそんな約束を取り付けましたね」
「ヤツらも村上キョウ率いる海賊共には煮え湯を飲まされているからな。オデュッセイアはヤツの古巣だ。海上保安部隊の動きなど手に取るように分かるのだろう」
「なるほど…大変ですねオデュッセイアも」
オデュッセイアは海上プラントの潜入だけでなく、道中の護衛まで買って出ていた。オデュッセイアとしても村上キョウたちの被害は無視できないものであり、今回のシャーレの作戦は渡りに船であった。
「先生、我々はこれからどうすれば?」
「オデュッセイアの保安部隊からの情報ではプラントの最下層は今は誰も使っていないそうだ。そこからプラントの内部に入るぞ」
「そこから潜り込めばバレずに潜入できますね」
「そうだ」
潜入を開始する前に、カンナは自分たちの次の行動を素子に確認する。素子の作戦にマシロは素直に納得していた。
「プラントに潜入したら、まずは管制室を目指す。村上キョウを逮捕するにしても、コカイン製造の証拠は必要だ。監視カメラの映像を抑え、プラント全体を掌握するぞ」
「「「了解」」」
海上プラント最下層
「おかしいですね…オデュッセイアの工作員からの応答がありません」
「捕まっちゃったのかな?」
「有り得なくはないですね…」
プラントの真下に辿り着いたハイパーマコト号であったが、本来ならオデュッセイアの工作員と連絡を取る手筈であった。しかし、イロハが呼びかけても工作員からの応答はなく、ホシノとマシロは工作員が捕まったのではないかと心配していた。
「ん…巡視船のほうから暗号電文が届きました。『今朝方から工作員との定期連絡が途絶えている。警戒されたし』とのことです。やはり敵に捕らえられてしまいましたか…」
するとプラントから離れた場所に待機しているオデュッセイアの巡視船から暗号電文が入る。自校の工作員の状況は巡視船の船員たちも把握しているようで、これから潜入を開始する素子たちに注意喚起を送っていた。
「どうしますか?」
「ここで敵の襲撃に怯えて足を止めていても仕方ないわ。全員銃を構えなさい。出るわよ」
「「「了解」」」
「はぁ…分かりました。潜水艦を海面へ浮上させます」
オデュッセイアの工作員たちが捕まったということは、既に待ち伏せされているかもしれないということである。カンナはその事を心配していたが、素子は気にしても仕方ないと言い彼女たちに銃を構えさせ警戒させた。
「先生、盾を持ってる私が先に出るよ」
「よし。頼んだ」
「任せといて~」
イロハが潜水艦を浮上させハッチを海面に出すと、ホシノが先陣を買って出る。彼女は盾を構えてハッチの梯子を登り始めた。
「・・・・・・」
(見た感じ待ち伏せされている様子は無さそう…)
ハッチを開け、盾と共に上半身を外に出したホシノは周囲を確認する。
「よいっしょっと…」
(それどころか人の気配すら感じないな。どうやら待ち伏せはされてないみたいだ)
さらにホシノはハッチから抜け出し、潜水艦の上に立つ。そして彼女は待ち伏せはないと判断した。
「みんな、出て来ていいよ。多分大丈夫だから」
「そうか。分かった」
ホシノの言葉と共に、素子とカンナとマシロも潜水艦の外へ出た。
『棗、潜水艦の大型ハッチを開けてタチコマを射出しろ』
『了解』
地下が安全であることを確認した素子は、イロハに潜水艦の大型ハッチを開けさせタチコマを外に出させようとしていた。
「もう行っちゃうの~?」
「うん。これからボクたちお仕事なんだ~」
「そっかぁ…頑張ってね~!!」
「「バイバーイ!!」」
イブキに手を振られながら、タチコマ2機は海上プラントへと降り立った。
『それでは私たちは、離れた場所で皆さんのことを見守っていますので』
『ここまでご苦労』
素子たちを運ぶ任務を終えたイロハたちは後方へと下がった。
「ここからは二手に分かれるぞ。私と尾刃で管制室を抑える。小鳥遊と静山は捕らえられている工作員を救出しろ」
「はい」 「うん」 「了解です」
素子はここからさらに人員を2つに分ける。一方は彼女とカンナ、もう一方はホシノとマシロで、タチコマもそれぞれ1機同行する。
「行くぞ」
4人と2機はそれぞれプラントの奥へと進んでいった。
プラント上空
「さてと…少佐からの指示があるまで遊覧飛行を続けますかね」
「あの船、大砲が付いてるな」
「あっちのは対潜ヘリか?全部合わせれば小さな学園一つくらいの戦力はあるな」
海上プラントの上空ではモエたちの乗るヘリが上空を旋回していた。プラントの船着き場には大砲の付いた艦船や、対潜ヘリを搭載できる艦船もおり、レンゲとイオリはその戦力に警戒感を強めていた。
海上プラント・下層
「ここは行き止まりですね」
「壁壊しちゃいます?」
「いや。別の道を探すぞ」
素子とカンナとタチコマは海上プラントの管制室を目指して、探索を進めていた。
「随分と入り組んでますね…」
「おまけに人も寄り付かないときた。隠れて何かを企むのにはうってつけだな」
プラントの内部はだいぶ入り組んでおり、彼女たちは管制室を見つけるのに難儀していた。この広いプラントは何か悪だくみをするのには、うってつけの場所であった。
海上プラント・上層
「マシロちゃ~ん、このイカ焼きおいしいね~」
「いいんですか?こんなことしてて…」
「カモフラージュだよカモフラージュ~。下手に怪しい動きをするよりも、こうやって露店を楽しんでたほうがバレないって!!」
素子たちが下層で彷徨っているなか、ホシノとマシロはプラントの表層部分の露店を満喫していた。ホシノは両手にイカ焼きとたこ焼きを抱え、マシロはトロピカルジュースにアイスを持っていた。ホシノ曰く、露店を満喫していたほうがバレないとのことである。
「不良やチンピラばかりかと思いましたが、普通の観光客らしき人たちもいますね」
「じゃなきゃこんな出店なんか出さないんじゃない?うぉぉ美味っ!!」
「見知った学校の生徒まで…。彼女たちは違法薬物流通ルートの中継拠点であることを知っているのでしょうか?」
「知らないんじゃない〜?わざわざバラす必要ないし〜」
海上プラントには不良やチンピラ以外にも、一般人らしき人々もやって来ているようで、マシロはそのことに驚いていた。だが彼女たちは、この場所が違法薬物の流通拠点であることは知らないだろうとホシノは思うのであった。
「おぉ〜!!これはもしや…」
「そこの思考戦車君はお目が高いねぇ!!コイツはあのカイザーコーポレーションが開発したゴリアテのジェネレーターだよ。しかも専用機のヤツ」
一方タチコマはホシノたちと離れ、ジャンク屋を回っていた。
「こんなのどこで手に入れたのさ?」
「ここ最近は元カイザーの人間がこうやって兵器を持ち込んで来るんだよ。特にアビドス支社なんかはひっでー有様だそうだ」
「あぁ〜…」
タチコマはこんな掘り出し物がこのような場所にあることに疑問を感じていた。しかし、店主の説明を聞いてアビドスでの大事件を思い出し納得していた。
「ふふぉいにふぃふぁっふぇるふぇ~(凄い賑わってるねぇ~)」
「たこ焼きを食べながら喋るのは止めてください。何を言ってるのかさっぱり分かりません…」
「ふふぇ~ふぉふぇんふぇ~(うへぇ~ごめんね~)」
ホシノとマシロは露店を楽しみつつ、プラント表層の様子を観察していた。
「ココナッツジュース~ココナッツジュースはいかがかね~」
「おっ…!ココナッツジュースが売ってる!!おじさん買っちゃおうかなぁ~」
「ほ、ホシノさん…!?ちょっと待ってください!!」
2人で露店を見回っていると、どこかで聞いたことのあるような低くて渋い声でココナッツジュースの呼び込みをしている声が聞こえる。それを聞いたホシノは嬉しそうにその声のもとに駆け寄り、マシロを慌てさせた。
「おじさ~ん、ココナッツジュース一つちょうだ~い」
「まいどあり~」
「「あっ…」」
ホシノがココナッツジュースを買おうと向かった露店の先で商品を売っていたのは、かつて彼女とアビドスを陥れた男、カイザー理事であった。
「何でお前がここに…!」
「オイバカ!?待て待て待て!!!」
先ほどまで間延びした口調で呑気してたホシノだが、彼を見た途端一気に態度が変わる。しまいには理事に向けて銃を構え、彼はその事実に慌てていた。
「ちょっとホシノさん!?これは一体どういう事ですか…?」
「コイツはカイザーの手先だよ。私たちの学校を無茶苦茶にした張本人」
「あの悪の大企業カイザーコーポレーションのですか!?こうしてはいられません!!」
「何でお前も私に銃を向けるんだ!?」
2人に緊張が走るなか異変を察知したマシロがホシノを制止しようとする。しかし目の前の人物がカイザーの理事だと知り、正義感の強い彼女は彼に銃を向けていた。
「お前がこの事態を引き起こしているのか?」
「何だ!?一体何の話だ!?」
「とぼけないでください。アナタがオデュッセイアの不良生徒を利用してブラックマーケットに違法な薬物や武器を流しているのでしょう?」
「はぁ?言っている意味が分からん!!」
ホシノとマシロの2人は、険しい顔をしてカイザー理事に詰め寄る。しかし理事のほうはというと、思い当たる節がまるでないようで、ただただ戸惑っていた。
『2人ともそこまでにしておきなさい』
「「先生…!?」」
だがここでホシノとマシロに通信が入る。その声の主は素子であり、彼女は2人の行動を止めようとしていた。
「先生だと…?ということは、あのメスゴリラがここに来ているのか!?」
((メスゴリラ…))
先生という単語が彼女たちの口から出たことで、カイザー理事はさらに驚いていた。
『先ほど管制室を掌握した。お前たちはソイツからここの状況を聞き出せ』
「えっ?でも…」
『工作員の救出は後でも問題はない。今は村上キョウと、彼女をプロデュースしている人物についての情報が欲しい』
「りょ、了解しました」
どうやら素子たちは管制室の掌握を完了したようである。そのうえで彼女は、オデュッセイアの工作員の救出よりも村上キョウたちの情報の取得をマシロたちに優先した。
「そもそも今の私はカイザーの人間ではない。業績不振でリストラされたのだ。だからこうして露店で商売をやっている」
「アンタの今の境遇なんかどうでもいい。知っていることを洗いざらい吐いて」
「コイツ…私が下手に出てるからって調子に乗りおって…!!」
理事はカイザーコーポレーションの子会社であるオクトパスバンクを解雇されたという事実を明かすが、ホシノにどうでもいいとあっさり流されていた。
「ホシノさんだけでは埒が明かないので私が説明しますね。今キヴォトスではブラックマーケットを中心に違法薬物であるコカインが出回っています。そして、その流通ルートを先生が調べたところ、全てここを経由していました」
「なるほど。丘では今そのようなことが起こっているのだな。まぁ私には関係の無い話だが」
カイザー理事を前に興奮するホシノを見て、マシロが彼に事態を説明する。
「これだけのことをこの『海賊島』の主と言われている村上キョウは1人で仕切っているのか?」
「はんっ!そんなわけないだろう。あの女に入れ知恵をしているヤツがいるはずだ」
「心当たりはありますか?」
「そうだな…」
次にホシノは理事に村上キョウについて尋ねる。やはり彼の目から見ても、彼女が1人で『海賊島』を取り仕切っているとは考えにくいようである。さらにマシロは理事に村上キョウに入れ知恵している人物に心当たりはないかと尋ねると、彼は右手を顎に当てて考え始めた。
「確かあの女…ことあるごとに『オヤジ』という人物のことを語っていたな」
「オヤジ…?その人物とは一体…?」
「さぁな。詳しいところまでは分からん。その『オヤジ』らしき人物を見かけたことはないしな」
そしてカイザー理事は村上キョウがしきりに『オヤジ』という人物について語っていたことを思い出す。だがその人物は表に姿を現した様子はなく、詳細は分からないままであった。
「だがあの女が普段このプラントのどこにいるかは分かる。あそこだ」
そう言ってカイザー理事は表層から聳え立っているプラント上層を指さす。
「あの場所はあの女と一部の幹部以外は立入禁止になっている。いるとすればあの場所だろうな」
「「・・・・・・」」
カイザー理事の説明を聞き、ホシノとマシロは上層の構造物を見上げていた。
「よう!お前ら見かけない顔だな。新入りか?」
((村上キョウ…!?))
2人がカイザー理事に尋問を続けていると、彼女たちのお目当ての人物である村上キョウが通りかかる。彼女は2人の肩に腕を回し、急接近する。ただ彼女のほうには警戒感はなく、単純に見かけない2人のことが気になっているだけであった。
「どうだ俺たちの海賊島は?すげぇだろ?」
「そ、そうですね。これほど賑わっているとは思ってもみませんでした…」
「そうだろうそうだろう。何てったてオヤジがココを見つけてくれたんだからな」
(『オヤジ』!!やっぱり…!!)
キョウは2人に海賊島を自慢する。マシロは話を合わせて彼女に同意すると、『オヤジ』の話をし始めた。
「お嬢ちゃん。そこの2人は今朝捕まった工作員の仲間だぜ」
「チッ…!」
「おっと…」
だがカイザー理事は村上キョウが現れたのを好機と捉え、ホシノとマシロの正体を彼女に伝える。それに気づいたホシノはキョウに蹴りを入れて、彼女を自分とマシロから引き剥がした。
「「・・・・・・」」
「・・・・・・」
ホシノとマシロ、そしてキョウはそれぞれ手持ちの銃を構える。キョウはサブマシンガンを以外にも海賊らしくサーベルを腰に下げており、それにも手をかけていた。
「キャプテン!どうしたんですか?」
「今朝方とっ捕まえたオデュッセイアの連中の仲間だ」
「なっ…!?テメェら…」
(まずい…人が集まってきた。私たちは電脳化しているわけじゃないから、先生と通信しようとしたらバレる)
さらにはキョウの部下たちも騒ぎを聞きつけて集まってきてしまう。周囲を敵に囲まれ、ホシノは焦りを感じ始めていた。
「マシロちゃんここは私が…」
「ちょーっと待ったぁー!!」
「「「「!?」」」」」
ホシノがマシロだけでも逃がそうとしていると、どこからか幼げな声が聞こえてくる。一同はその声の元へ振り返った。
「おりゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「うわっ!?」 「何だコイツはぁ!?」 「ぐわぁ!?」
その声の主は先ほどまでジャンク品を物色していたタチコマである。彼は2人の危機に駆け付け、7.62mmチェーンガンで警備兵を蹴散らした。
『アンタの役目はあの娘たちのサポートでしょう。何遊んでんの?』
『しょ、少佐ぁ~すみませ~ん』
なおタチコマは少佐に怒られてようやく彼女たちを助けに向かっていた。
「ありがと、タチコマちゃん」
『上層のヘリポートに風倉たちを降ろす。お前たちもそこへ向かえ。私と尾刃もそこで合流する』
「「了解!!」」
タチコマは2人を乗せて、素子の指示した場所へ駆けていった。
「アイツら海賊島の上に…」
「お前たちはアイツらを追跡しろ」
「キャプテンは?」
「先回りしてアイツらを上層の中で迎え撃つ」
戦闘の中心は下層から上層へと移っていく。
続く
カイザー理事は最初は協力路線も考えたけど、やめました。
それではまた来週。