GHOST IN THE SHELL Blue Archive   作:H2O(hojo)

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dividual episode
いくら頑丈とはいえあんな水着着て戦うのはヤバいよな...


海賊③ PIRATE

海上プラント『海賊島』最上階にて

 

「下が騒がしいな…」

 

『オヤジ!!今朝捕まえたオデュッセイアの工作員の仲間がここに来てる』

 

「そうか。懲りんヤツらだ」

 

最上階の部屋にてプラントの下を眺めていたのは、村上キョウが『オヤジ』と呼ぶ人物である。

 

「オデュッセイアめ…!!」

 

 

 

 

 

プラント表層

 

「ハハハハハ!!ざまぁみろ!!この私を雑に扱うからこうなるんだ!!」

 

ホシノとマシロを村上キョウに売ったカイザー理事は、彼女たちが上層に逃げて行ったことに喜んでいた。

 

『五月蠅いぞ』

 

「ぶへっ!!?」

 

だが素子にゴーストハックされ、自分の拳で顔を殴り、そのまま気絶してしまった。

 

 

 

 

 

プラント下層

 

「いたぞ!侵入者だ!!」

 

「ここにもヤツらの手が回ってきたか!」

 

管制室から上層のヘリポートを目指すカンナと素子であったが、ホシノたちが村上キョウに見つかったことにより下層の警備兵が一斉に押し寄せる。

 

「・・・」

 

「ぐはぁ!?」

 

だがそんな状況でも素子は慌てず、サブマシンガンで相手を倒していく。

 

「タチコマ。ワイヤーを使ってこの穴から上へ抜けるぞ」

 

「了解。つかえないといいなぁ…」

 

丁度素子は縦穴を見つけており、タチコマを使って上へ登ろうとしていた。

 

「これでも…喰らえ!!」

 

「「「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!」」」

 

素子より後ろにいたカンナは、振り返って敵に手榴弾を投げつける。爆発した手榴弾は警備兵たちを吹き飛ばした。

 

「敵の掃討完了しました」

 

「そうか」

 

「乗って乗って~」

 

(タチコマがいるとどうにも緊張感が薄れるな…)

 

カンナは素子たちのもとへ戻ると、敬礼して敵を倒したことを報告する。タチコマはカンナに自分に乗るように伝えるが、彼女はタチコマの声と仕草に少々戸惑っていた。

 

「しかし…村上キョウが慕う『オヤジ』とは一体どういう人物なのでしょうか?」

 

「元オデュッセイアの生徒を見出し、学園の活動を嘲笑うかのような行動…元オデュッセイアの関係者か、学園に恨みのある人物ってところかしらね」

 

タチコマに乗りながら、カンナは村上キョウの言う『オヤジ』についてどういう人間なのか思考を巡らせる。それに素子はオデュッセイア海上高等学校と因縁のある相手ではないかと推理していた。

 

「まあ何らかの目的はあるんでしょうけど、そこに確かな疑問がある以上それを自分の目で確かめてみたいって思わない?」

 

「本人を逮捕して調べてみればハッキリしますかね…」

 

結局2人は自らの目でこの事件の黒幕の姿を確かめようと考えるのであった。

 

「まだまだ囁きが足りないなぁ~カンナちゃんは!」

 

「んっん…」

 

「ンフッフッ…」

 

そしてカンナはタチコマに囁きが足りないと言われ、苦い顔をする。タチコマとカンナのやり取りを見て、素子は珍しく笑っていた。

 

 

 

 

 

プラント上層・ヘリポート

 

『やっほー!お二人さん元気~?』

 

「う、うへ…呑気に通信してないで助けて欲しいんだけどなぁ~」

 

『慌てないでよ。これ結構操縦すんの難しいんだからさぁ』

 

ヘリポートへ逃げたホシノとマシロ、そしてタチコマは迫り来る戦闘員を迎撃する。そこにモエたちの搭乗するヘリが降り立とうとしていた。ホシノは降下の遅いモエに不満を述べるが、彼女はそれを軽く流した。

 

「よし、到着。こっちのお二人さんと2機、準備できたよ」

 

「よっしゃ!いっちょ暴れてやりますか!!」

 

「遅れるなよ。行くぞ!!」

 

「「はーい!!」」

 

ヘリポートに着陸を成功させたモエは、レンゲとイオリ、タチコマ2機を出撃させるために後部のハッチを開く。ハッチが開くと、彼女たちは銃を手に持ち戦闘を開始した。

 

「先生たちは?」

 

「そろそろ来るはずです」

 

「了解。チッ…!しつこい奴らめ」

 

イオリはマシロと合流して、ツーマンで敵を倒していく。以前はゲヘナとトリニティという不俱戴天の敵同士の間柄であった彼女たちであったが、素子の下では協力して任務にあたるのである。

 

「全員無事か?」

 

「やっほー!」

 

「プラントの中って狭そうだけど、ちゃんと通れた?」

 

「ギリギリだったよ~」

 

ここで素子とカンナとタチコマ1機がヘリポートへと現れる。タチコマ同士は戦闘中だというのに合流して、呑気に世間話していた。

 

『今後の作戦について説明するぞ。戦いながら聞け』

 

『『『『『『了解』』』』』』

 

素子は合流して即座に全員に指示を出し始める。

 

『ヘリの防衛は風倉と静山に任せる。タチコマ2機も2人を援護しろ』

 

『『了解』』

 

『『りょーかい』』

 

まず素子はモエとマシロにヘリの防衛を任せる。そのために4機いるタチコマ2機を割く。シャーレのヘリは作戦終了後脱出するために使用するため、万全の状態を固めた。

 

『銀鏡と不破は下層に向かい、オデュッセイアの工作員を救出しろ。それともう一つ…』

 

『『…!?了解』』

 

『残りのタチコマ2機も2人について行け。下層にいる戦闘員はあらかた私と尾刃で倒したが、敵は人間だけではないぞ』

 

『『了解!!』』

 

次にイオリとレンゲにオデュッセイアの工作員の救出を指示する。さらに素子は管制室で色々情報を得たようで、2人にもう一つの任務を課した。さらにこちらにもタチコマ2機を割いて、作戦の成功率を上げる布陣を敷いていた。

 

『尾刃と小鳥遊は私と一緒に上層へ向かうぞ。村上キョウは「オヤジ」を守るため上層で我々を待ち受けているはずだ』

 

『『了解』』

 

そして素子とカンナとホシノで村上キョウと『オヤジ』なる人物の逮捕へと向かう。

 

『作戦の第二段階を開始する。行くぞ!!』

 

 

 

 

 

プラント最下層・用水路

 

「ここだな…」

 

「あぁ…」

 

「うぅー!すごい湿気!光学迷彩の視認値が上がっちゃうねえ!パッキンが腐食しないかな?」

 

プラントの最下層へと降りたイオリとレンゲは海水と生活排水が混ざった用水路の前に立っていた。用水路の水の色を見た2人は、顔を顰めていた。

 

「文句言うなよ。臭いがわからないだけマシだろうが…!」

 

「センサーで解析できるよう!不快なのかなぁ?」

 

「イオリちゃんとレンゲちゃんの不快指数68%!!」

 

「「うるさいよ!!」」

 

2人は自分たちを煽るタチコマ2機に怒りながら、用水路へと足を踏み入れた。

 

 

 

 

 

プラント表層・ヘリポート

 

「ぶっ飛んじゃえ〜」

 

「「「ぐわぁぁぁぁ!!!」」」

 

モエは自前の噴進砲を使ってヘリポートへと登って来る敵を吹き飛ばす。

 

「あの人たち…下からワイヤーで登ってくるなんて…!?」

 

「ワイヤーを切るか、上から狙い撃ちにされるかのどっちかなのに。想像力が欠如しているのかなぁ?」

 

「あ、海に落ちた」

 

一方マシロとタチコマたちはワイヤーを使用してヘリポートへ登って来る敵を上から狙い撃ちにする。敵の愚かな行動に、タチコマは呆れていた。

 

「このヘリよりも先生たちのことが心配です。やっぱり私も建物へ向かったほうがいいのでは…?」

 

「メスゴリラの救出なんか要らないってば。余計なお世話だって怒られるよ」

 

「そ、そうですか…」

 

敵があまりに呆気なく倒れるため、マシロは素子たちを助けに行きたいと考え始める。しかしモエにその必要はないと止められた。

 

 

 

 

 

プラント最下層・用水路

 

「前方に機械の反応アリ」

 

「電力系の装置か何かじゃないの?」

 

「イヤ、違うね。動いてるもん」

 

用水路の横にある通路を進むイオリとレンゲチームだったが、タチコマ1機が機械の反応をキャッチする。もう1機のタチコマは電力装置の誤認を疑ったが、反応は移動しておりそれはないと否定した。

 

「まったく…少しは黙って行動できないのか?」

 

「ムリだね」 「うん。ムリムリ」

 

「否定が早すぎる…」

 

ここまで来るのにずっと会話をしているタチコマに、イオリは苦言を呈す。しかし彼らには会話を止めるという選択肢はないようで、レンゲに呆れられていた。

 

「反応、こっちに近づいて来てるよ。数も結構いるね」

 

「まぁ敵が何であれ私たちは目の前の敵を倒すだけだ」

 

「さぁ!どっからでも掛かって来な!!」

 

タチコマは2人に敵らしき機械の反応が近づいていることを伝える。タチコマの言葉を聞いた2人は銃を構えた。

 

「てきせっきんちゅ~」

 

「姿が見えないぞ?」

 

「やっぱりお前のセンサー壊れてるんじゃないのか?」

 

「そんなことないよ~」

 

だが敵が接近しているという反応が出ているのにも関わらず、目視ではそれを確認できなかった。

 

「コポ…コポコポコポ…」

 

「ん…?」

 

するとレンゲの近くの用水路から突如水泡が湧き上がる。

 

「コポ…ゴボボボボボボ!!」

 

「水の中に潜ってたのか!!」

 

そしてその水泡の湧き上がりが激しくなるのと同時に、レンゲはまだ見ぬ敵が水中に潜んでいたことに気付く。

 

「ギャァァァァァァァァス!!!」

 

「「「「で、出たぁぁぁぁぁぁぁ!!?」」」」

 

水の中から出てきたのは、ワニの姿をしたロボット。通称メカワニであった。

 

「何でこんなもんがこんな所にいるんだよ!?」

 

「私が知るかそんなこと!!」

 

「クソッ…!こんなのが後何体もいるのか…?」

 

突如姿を現した敵に、レンゲとイオリは即座に発砲する。こんなものが何体も潜んでいるという事実にレンゲは頭が痛くなっていた。

 

 

 

 

 

「グギャァァァァァァァァ!!!」

 

「どんだけいるんだよ!?」

 

メカワニはエンジニア部が製造したもので、機動力・耐久力共に高性能である。レンゲとイオリはそのメカワニに手こずっていた。

 

「どうする?このままじゃジリ貧になって、救出どころじゃないぞ」

 

「ギャギャギャギャギャ!!!」

 

「ここでコイツらとやり合ってても埒が明かない。タチコマに乗って逃げよう」

 

「おう!」

 

このままではオデュッセイアの工作員を救出できないと感じたレンゲは、イオリにこの後の行動を相談する。彼女はタチコマの機動力を使って逃げることを提案すると、レンゲはすぐさまタチコマに飛び乗った。

 

「タチコマ、発進!!」

 

「りょーかい!」

 

「アイツを攻撃しながら逃げるぞ」

 

「オッケー。後退しながら走れってことね」

 

レンゲとイオリはタチコマのコックピットに入らず、外に乗り銃を構える。そして2機のタチコマは後退しながらメカワニに銃弾を浴びせた。

 

「ギャァァァァァァァァ!!」

 

「うわ速っ!?」

 

「これ絶対ミレニアム製だ。そうに決まってる…!!」

 

「ワニなんかに負けたらボクたちの立場が無くなっちゃうなぁ…」

 

逃げる彼女たちに対し、メカワニは猛スピードで追いかけてくる。その性能にイオリはミレニアムの人間が作ったものだと確信していた。

 

「タチコマ。ヤツらの脚を狙って少しでも動きを鈍くしろ!!」

 

「やっぱイオリちゃんって脚好きなの?」

 

「何で今その話が出てくるんだ!?ていうか、何で知ってるんだよ!?大体お前はあの時存在してなかったはずだろ?」

 

「ボクたちは記憶を並列化しているから、イオリちゃんが少佐に取った行動は全機知ってるよ〜」

 

「〜〜〜!!」

 

イオリがメカワニの脚を狙うよう指示すると、タチコマはいつぞやの脚を舐めろと素子に迫ったことを持ち出し始める。彼女が搭乗しているタチコマはその時製造されておらず、その事を知らないはずであった。しかしタチコマは記憶を並列化しており、配備されている9機全てがこのことを知っているという事実にイオリは顔を赤くして悶えていた。

 

「ウゴォぉォォォォォォォォォ!!!」

 

「このまま鬼ごっこを続けたってしょうがないぞ。どっかで巻かないと…」

 

「ボクにいい考えがあるよ」

 

「おぉ?何だ言ってみな」

 

レンゲはタチコマに乗り用水路を駆けるが、メカワニもしつこく追いかけてくる。そこでタチコマが良い考えがあると言い出し、レンゲは彼の提案に興味を持っていた。

 

「ほぉ~いいじゃん!イオリ、今のアイデア通信で聞こえてた?」

 

「聞こえてるよ。暗号通信とはいえ常時回線は開いてるんだから」

 

「いけると思う?」

 

「まぁやってみる価値はあるんじゃないの?」

 

タチコマの作戦を聞いたレンゲは、イオリに意見を求める。彼女はぶっきらぼうな態度を取りながらも、その作戦を評価していた。

 

「よし、決まりだな。そんじゃ頼むよ!!」

 

「「りょーかい!!」」

 

レンゲはタチコマ2機に声をかけると、彼らは片腕を上げて了解の合図をする。そしてタチコマは機体を反転して用水路を前進するのであった。

 

 

 

 

 

「おーにさんこーちら」

 

「てーのなーるほうへー」

 

「グルラァァァァァァァァ!!」

 

2人を乗せたタチコマは入り組んだ用水路をメカワニの攻撃を躱しながら駆け抜けていく。

 

「アイツら火なんか吐きやがって…」

 

「まったくだよぉ~。熱で塗装が剥がれちゃたまんないよ」

 

さらにメカワニはオリジナルから改良されており、火を吐くようである。

 

「そろそろだな。準備はできてるか?」

 

「勿論。そっちこそ、ボクたちから振り落とされないでよ?」

 

「当たり前だ」

 

目的の場所が近くなり、イオリはタチコマに準備ができているのか確認をする。2人の会話は2人組のバディのようであった。

 

「よし!見えた!!」

 

彼女たちの前に見えたのは用水路の出口である。用水路を流れる水は全てここから海へと排出されるのだ。つまり、この出口から出てしまえば後は海まで真っ逆さまに落ちていくだけということだ。

 

「「飛べ!!」」

 

「「うぉりゃぁぁぁ!!」」

 

「「「「ギャァァァァァァス!!!」」」」

 

イオリとレンゲの掛け声と共に、タチコマは用水路の出口から勢いよくジャンプする。それに釣られてメカワニたちも用水路から飛び上がった。

 

「それっ!!」 「よいしょっと!!」

 

そしてタチコマは粘着性のワイヤーを射出し、上手く建物へぶら下がる。

 

「「「「ギャァァァァァァ!?」」」」

 

「「バイバーイ」」

 

一方メカワニはそのまま海へと真っ逆さまに落ちていった。

 

「よっしゃ!上手くいったな」

 

「後でミレニアムに文句言ってやる…!!」

 

レンゲとイオリはメカワニが海へ落ちる様子をタチコマの上で眺めていた。

 

 

 

 

 

海上プラント・上層2階

 

「やっぱりここに来たな」

 

「「「・・・・・・」」」

 

海上プラントの上にそびえる建物の2階へとたどり着いた素子とカンナとホシノの3人は、村上キョウと対峙していた。彼女はマスケット銃と持ち、サーベルを差し、鎖の付いた船の錨を肩へ担いでいた。

 

「お前たちは今朝俺たちが捕まえたオデュッセイアの連中の仲間だろ?」

 

「違うな。確かに私たちがオデュッセイアと協力しているのは事実だが、我々はオデュッセイアの人間ではない」

 

キョウは素子たちのことをオデュッセイアの人間だと誤認していた。だが彼女がそれを否定したことで、キョウはここで彼女たちがオデュッセイアとは関係無い存在であると知ったのである。

 

「じゃあテメェら一体何なんだよ?」

 

「我々は『連邦捜査部S.C.H.A.L.E』だ」

 

「シャーレだと…?」

 

キョウの問いに素子は自分の所属を答える。しかし、海上での生活が長い彼女はシャーレと聞いてもピンときていなかった。

 

「シャーレは連邦生徒会直轄の超法規的機関だ。学生間では解決できない問題を大人である『先生』の力によって解決するために設立された」

 

「あぁそうかよ」

 

カンナはシャーレを知らないキョウに説明をする。しかし彼女はシャーレのことなど興味がないようである。

 

「お前たちがどこの誰であろうと関係ない。俺は『オヤジ』とこの『海賊島』を守るだけだ」

 

「そうか。ならばこちらも言わせてもらうぞ。村上キョウ、貴様を連邦捜査部シャーレの権限により、違法薬物売買他、オデュッセイア海洋高等学校への学園運営侵害など全13の容疑により逮捕する」

 

素子は村上キョウに逮捕を言い渡す。だが彼女の意志は固く、素直に応じる素振りはなかった。

 

「さぁ俺を倒してみせろ!!」

 

「散れ!!」

 

「「・・・!!」」

 

村上キョウは担いでいる錨を素子たちへ投げつける。3人はその場から離れるように指示し、錨との衝突は避けられた。しかし、その床のコンクリートが割れるほどの威力を見てホシノとカンナは冷や汗をかいた。

 

「先生、カンナちゃん。ここは私に任せて、2人は先に行って。あの娘の相手は私がやる」

 

「そうか。分かった」

 

「あ、あぁ…」

 

キョウの実力を見たホシノは、ここは自分1人で戦うといい素子とカンナを先へ行かせようとしていた。

 

「私が盾であの錨を受け止めるから、合図で走って」

 

「何コソコソ話し合ってんだぁ!?」

 

ホシノが2人をここから離れさせるタイミングを伝えていると、痺れを切らしたキョウが再び錨を振り回す。

 

「そぉぉらぁぁ!!!」

 

「ぐっ…!!今だ!!」

 

「クソッ…!!やられた」

 

キョウは再度錨を彼女たち目掛けて投げる。しかし、今度はホシノの盾で防がれた。その隙に素子とカンナが前へ走り、キョウを抜き去り上階へ続く階段へと駆けていく。

 

「行かせるか…ぐっ!!」

 

「君の相手は私だよ」

 

「テメェ…」

 

キョウは2人を追いかけようとするが、ホシノの放った一発により足を止める。ホシノのほうへ振り返ったキョウの顔は、怒りを滲ませていた。

 

『任せたぞ』

 

『任された!!』

 

素子とカンナはホシノとキョウを背に、上階へと向かって行った。

 

 

 

 

 

「戦う前に聞いておきたいことがあるんだけど」

 

「何だ?」

 

「君の目的だよ。何でこんなことしてるのかなって、気になってさ」

 

素子とカンナが上階へと向かったため、この場所はキョウとホシノの2人だけとなる。ホシノは戦闘を始める前に、キョウの目的を尋ねた。

 

「俺の目的…いや、俺たちの目的はオデュッセイアをこの海から追い出し、自由な海を取り戻すことだ」

 

「取り戻す?」

 

「そうだ。オヤジがオデュッセイアに奪われから奪われたものを奪い返し、再び俺たちの時代を作るためにな」

 

村上キョウはホシノに自分たちの目的を語る。彼女はオデュッセイアへの恨みを滲ませながら、自由な海を取り戻すことが目的だと彼女に言い放った。

 

「そのためなら何だってする。麻薬の密売だろうが、商船の略奪だろうがな。敵が誰であろうと戦ってみせる…!!」

 

「そう…」

 

(少しくらい交渉の予知はあるかなとか思ってたけど、これはダメだな…)

 

そしてキョウは目的のためならば手段を選ばないという覚悟をホシノに示す。それを聞いたホシノは彼女の目が熱を帯びているのを見て、説得を諦めていた。

 

「話は終わりだ」

 

「そうだね」

 

そう言って2人は銃を構える。

 

「「勝負!!」」

 

彼女たちの戦いの火蓋が切って落とされるのであった。

 

 

 

 

 

「いくぞッ…!!」

 

(速い…!?)

 

キョウは先ほどまで振り回していた錨を床に突き刺し、サーベルを抜いて猛スピードでホシノに突進する。今まで様々な強敵と戦ってきたホシノだが、彼女のスピードには驚いていた。

 

「オラァ!!」

 

「ぐっ…!!」

 

キョウの移動速度を速いと思いつつも、ホシノは盾でサーベルの攻撃を受ける。2人のいる空間に剣と盾がぶつかった鈍い金属音が響き渡った。

 

「なかなかやるな。この俺の刺突を受けたのはお前が初めてだ」

 

「お褒めに預かり光栄だよ」

 

「ケッ…チビのくせして可愛げのねぇヤツ」

 

自身の攻撃に応じて見せたホシノを、キョウは賞賛する。だが彼女の反応を見て、キョウは不機嫌になってしまった。

 

「はぁ…!!」

 

続いて、キョウは力を込めてマスケット銃をホシノに向かって放つ。

 

「…!!」

 

(凄い威力だ…!!)

 

マスケット銃の銃弾はホシノの盾に当たると爆発し、その威力は余波で部屋の床が爆発する程であった。

 

(コイツ…)

 

(この娘…)

 

((厄介だな…))

 

2人はこの戦いの決着が長引くことを感じ取っていた。

 

 

 

 

 

「ハァ…ハァ…」

 

「・・・・・・」

 

2人の一進一退の攻防が続いてかれこれ20分が経った。床と天井と柱の所々に破壊の跡があり、2人の戦闘の激しさを物語っていた。ここまで互角に戦っていた2人であったが、ここに来て経験の差が出てくる。ホシノには変化がないのに対し、キョウは息を切らし始めていた。

 

「ハァ…ハァ…まさかオマエがここまでやるとは思ってなかったぜ」

 

「私的にはいい加減負けを認めてくれると助かるんだけどな…」

 

「ハッ…!それはできねぇ相談だな」

 

キョウはホシノの実力を素直に賞賛するが、彼女はキョウとの戦いにうんざりしていた。だがキョウは決着が付くまで勝負を続けるつもりであった。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

(錨の攻撃が来る…!!)

 

キョウは再び錨と鎖を握り、投擲のために振り回し始める。それを察知したホシノは盾を構え、彼女の攻撃に備える。

 

「えりゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「今だッ…!!」

 

キョウが錨を投擲した瞬間、ホシノは彼女に向かって一目散に走り出す。錨はホシノの真横を通り過ぎ、そのまま壁に突き刺さった。

 

「無駄な足掻きを…!!」

 

「それはどうかな?」

 

「何ッ…!?」

 

こちらに向かってくるホシノに、キョウは片手でマスケット銃を構えて応戦する。しかし、着弾の瞬間にホシノはわざと盾を手放し、銃弾の爆発を回避しながらキョウへ迫る。

 

「負けてたまるかぁ!!」

 

「抜かせない…!!」

 

「ぐはぁっ…!!」

 

迫り来るホシノを見て、キョウは冷や汗をかき焦りの表情を浮かべる。そして彼女は頼みの綱であるサーベルを抜こうするが、ホシノにショットガンを連射され阻まれてしまった。

 

「これで私の勝ちだね」

 

「それはどうかな…?」

 

自身の攻撃により床に倒れたキョウに、ホシノはショットガンの銃口を突き付ける。だが、キョウもすかさずサーベルを抜いてホシノの首筋に向けており、勝敗は完全に決したわけではなかった。

 

「君が大切な人とこの場所を守りたいっていう気持ちはおじさんにもよく分かるよ」

 

(おじさん…?)

 

「でも、君がやっているのは悪いことだから…。阻止させてもらうよ」

 

「何処の誰とも知らないお前が、知ったような口を利くな!!」

 

キョウに銃口を向けたホシノは、悲しい眼をして彼女を見つめる。ホシノに哀れだと思われていると感じたキョウは、不愉快に思い彼女に反発する。

 

「俺とオヤジはこの海の上でしか生きていけないんだ!!それをオデュッセイアの奴らに奪われた俺たちの苦しみがお前たち何かに分かってたまるか!!」

 

「話は陸の上でゆっくり聞かせてもらうよ」

 

「ガハッ…!!」

 

キョウは怒りの形相で、ホシノにそう叫ぶ。だがホシノは迷わず彼女の頭部にショットガンを撃ち込んだ。

 

「オ…ヤジ…」

 

キョウは気絶する前に『オヤジ』のことを心配しながら意識を手放した。

 

 

 

 

 

続く




メカワニ軍団:エンジニア部が開発したアレを量産したもの。オリジナルと違って火を吐く。

村上キョウ:元オデュッセイア海洋高等学校の生徒。元々はオデュッセイアの保安部隊に所属していたが、素行の悪さから学園を追放される。その後『オヤジ』に拾われ、『海賊島』の主にまで成り上がった。
自分のことを助けてくれたオヤジのことを慕っている。
ホシノ・ネル・ツルギ・ヒナには及ばないが、そいつらが本気を出す必要があるくらいには強い。

それではまた来週。
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