GHOST IN THE SHELL Blue Archive   作:H2O(hojo)

34 / 37
dual episodes
ん、銀行を襲う。


銀行襲撃 BANK ROBBERY

アビドス・ブラックマーケット

 

対策委員会一行と素子、そしてタチコマはカイザーローンの集金車をIRシステムで追跡し、ブラックマーケットへとたどり着く。

 

「で、これからどうするの?」

 

「我々が知りたいのは、アビドスの借金の使用用途だ。まずはソイツが記載されているであろう帳簿を手に入れる」

 

「はっ…!?えぇ…?」

 

ブラックマーケットにて偶然トリニティ総合学園の阿慈谷ヒフミという生徒を助けた彼女たちであったが、カイザーローンのアビドス支店の前で中の様子を伺っていた。素子の帳簿を手に入れるという発言を聞いたヒフミは、発言の意味が分からず呆気に取られていた。

 

「せんせ~、ハッキングとかでパパっと情報だけ取ってこれないの?」

 

「それができるならわざわざこんな所まで来ないわよ。カイザーローンの内部情報はひとしきり洗ったが、それらしいものは見当たらなかったわ。やはり紙媒体で管理されているようね」

 

「ハッキングはしたんですね…」

 

「単なる銀行にしては厳重なセキュリティだったわ。まぁ私に言わせれば『ザル』だけど」

 

ホシノは素子のハッキング能力を期待するが、彼女は既にカイザーローンのシステムに侵入しており、データとして記録されていないことを突き止めていた。企業のシステムにハッキングをするという犯罪行為を抵抗なく行う素子に、アヤネは若干引いていた。

 

「アビドス高校に来ていた集金車がここに戻ってきた以上、裏帳簿は確実にあの場所に保管されている」

 

「後はどうやって手に入れるか…ですね」

 

そして今彼女たちがカイザーローンの支店の前にいるのは、その裏帳簿を手に入れるためである。ノノミは支店の建物を真っすぐと見つめて、裏帳簿を手に入れる方法を考えていた。

 

「みんな聞いて。私にいい考えがある」

 

(うわぁ…絶対ロクでもなさそう…)

 

(シロコ先輩…大丈夫でしょうか…?)

 

建物の影に隠れつつ、支店を覗いている一同にシロコはいい考えがあると述べる。それを聞いたセリカとアヤネは、もうすでに嫌な予感がしていた。

 

「ん、銀行を襲う」

 

「「やっぱりー!!」」

 

シロコが裏帳簿を手に入れる方法として提案したのは、勿論銀行を襲撃することである。アヤネとセリカは、予想通りの回答に頭を抱えていた。

 

「ぎ、銀行を襲うって、ここのブラックマーケットにはカイザーコーポレーションの息の掛かったマーケットガードがいるんですよ!?危険すぎます!!」

 

「詳しいわね」

 

「えっ…!?いや~そのぉ~ですね…私も最近知ったんですけど…」

 

(嘘ね。この娘、目的のためなら平気な顔で危険に飛び込むタイプだわ。教師として注意したほうがいいかしら…)

 

シロコの提案にヒフミは無謀だと、彼女たちの行動を止めようとする。ブラックマーケットの事情に詳しい彼女を、素子は教師として心配するのであった。

 

「確かに、アンタの作った銀行襲撃計画とやらを参考にすると失敗する可能性は高いわね」

 

「ん…」

 

(ぎ、銀行強盗の計画を立ててるなんて…この人たち実はヤバい人たちなんじゃ…)

 

素子は以前シロコが趣味で製作していた銀行強盗の計画案を思い出し、それでは失敗すると指摘すると、彼女は獣耳を垂れて落ち込んでいた。そしてヒフミは2人の会話を聞いて、単身ブラックマーケットに行くという自分の行動を棚に上げてアビドス対策委員会の生徒たちを警戒し始めていた。

 

「で、では私はここで…」

 

「待ちなさい」

 

「ひゃ、ひゃい!!」

 

ヒフミはこの場から立ち去ろうとするが、素子に肩をガシッと掴まれてしまう。

 

「私たちの計画を知った以上、このままアンタを返すわけにはいかないわ」

 

「そ、そうですよねぇ。あはは…」

 

「そうだよ~ここまで来たらヒフミちゃんも一蓮托生だよぉ~」

 

「一緒に頑張りましょうね♧」

 

シロコたちが銀行を襲撃することを知られている以上、ヒフミをこの場から返すのはリスクが高いと素子は判断したのである。ホシノとノノミは素子に愛想笑いを向けるヒフミの前に立ち塞がり、わざとらしい笑顔で彼女をこちら側に引きずり込んだ。

 

「ん…ヒフミが仲間になったから覆面が足りない…」

 

「わ、私もやるの確定なんですね…」

 

シロコは銀行を襲撃するための準備で鞄を漁っていると、覆面が足りないことに気が付き、ガックリと落ち込む。彼女にとって覆面というのは大事なアイテムらしい。

 

「顔なら私が何とかしてあげるわよ」

 

「どうやって?」

 

「それをここで説明するのは難しいわ」

 

「「「「「…?」」」」」

 

肩を落とすシロコに素子は声をかける。だが彼女が説明を端折ったため、皆首を傾げた。

 

『タチコマ。警備の数は?』

 

『建物の外に4人。中に2人います。それよりも…ちょっと気になることが』

 

素子は建物の屋上で支店を監視しているタチコマと電脳で通信する。監視中にタチコマはあることに気が付く。

 

『何?』

 

『建物の中にいるあの4人、先日衝突した便利屋68の娘たちですよね?』

 

『そうね』

 

カイザーローンの建物の中に、先日アビドス高校を襲撃した便利屋68の4人がいたのである。

 

『今のところは放置でいいわ。こちらの邪魔をするようならちょっと脅かしてやればいい』

 

『りょーかい!!』

 

だが素子は彼女たちが計画に支障をきたすことはないと判断し、放置することにした。

 

「タチコマが先に出て正面玄関のガラスをチェーンガンで破壊するから、アンタたちは客が建物の外へ逃げ次第突入しろ」

 

「ん、分かった」

 

「シロコちゃん張り切ってるねぇ~」

 

素子は対策委員会とヒフミに軽く指示を出す。いよいよ作戦実行という状況に、シロコは張り切っていた。

 

(タチコマって何だろう…)

 

「初めまして~そちらのお嬢さん」

 

「うわぁ!?びっくりしたぁ…」

 

ヒフミがタチコマという耳慣れない存在に想像を巡らせていると、彼女の後ろに屋上から降下してきたタチコマが現れる。

 

「ボク、タチコマ。これからよろしくね」

 

「あっ…私はトリニティ総合学園の阿慈谷ヒフミって言います」

 

タチコマが自己紹介したので、ヒフミも律儀に学校と名前を名乗りお辞儀した。

 

「始めるぞ」

 

銀行襲撃作戦、開始。

 

 

 

 

 

カイザーローンアビドス支店・1F受付

 

「はぁ~」

 

「アル様…」

 

「「・・・」」

 

便利屋68はカイザーローンに融資を受けようとしていた。しかし、受付で数時間待たされた挙句あっさりと突き返されて4人は途方に暮れていた。

 

「アルちゃ~ん、もう帰ろう?いつまでもここにいたってしょうがないよ」

 

「でもぉ…このままじゃ会社が…」

 

ムツキはカイザーローンの支店からさっさと離れようと言うが、お金を融資してもらわなければ会社の経営が立ち行かないため頭を抱えていた。

 

「そこの君たち、頭下げといたほうがいいよ」

 

「えっ?」 「ん?」 「何?」 「誰?」

 

4人がこれからどうしようかと各々考えを巡らせていると、どこからか聞いたことがあるような声が聞こえる。

 

「うおりゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「社長、危ない!!」

 

「えっ!?ちょ…きゃぁぁ!!?」

 

その直後、支店の玄関に張られているガラスが銃撃によって全て粉々に粉砕される。アルの危険を感じたカヨコは、咄嗟に彼女に覆いかぶさった。

 

「きゃぁぁぁぁぁ!!」

 

「強盗だぁぁぁぁ!!」

 

「助けてぇぇぇぇ!!」

 

いきなりの襲撃に、支店の中にいた客は散り散りに逃亡する。

 

「あわわわわわわ!!」

 

「ちょちょちょっ!?どうなってんの?」

 

「どどどどどうしましょう?」

 

(撃ったヤツの姿が見えない…どういう事?)

 

アルたちがいきなりの銃撃に戸惑っているなか、カヨコだけが撃った相手の姿が見えないことに疑問を抱いていた。

 

『タチコマ。そのままあの娘たちの後ろに付いてなさい』

 

『りょーかい!!』

 

なお、カヨコの疑問の真相はタチコマが熱光学迷彩を使用していたため見えなかったというものであった。

 

「じゅ、銃を置いて両手を上げろ!!」

 

「「「「えっ…?」」」」

 

そして次に便利屋の面々が見たのは、たどたどしい動作で銀行強盗の真似事のようなことをしているシロコたちであった。

 

「何やってんの?あの娘たち…」

 

「気でも狂ったの…?」

 

「えっ…?はっ…?」

 

「ど、どういう事でしょうか…?」

 

彼女たちの愚行とも言うべき行動を見た便利屋は呆気にとられていた。特にアルとハルカは目の前で起きていることが、理解できていない様子であった。

 

「だ、誰だお前たちは!?」

 

「その顔を覆っているマークは何だ!?俺たちの眼を盗みやがったのか!?」

 

(あの娘たちがアビドスの生徒だって知らないの?いや…警備員の口ぶりからして、この人たちの視覚をハックして疑似映像を見せている…?)

 

だが便利屋と違ってカイザーローンの警備員たちは彼女たちのことをアビドスの生徒だと認識していないようであった。警備員の様子を見たカヨコは、彼らの電脳が何者かによってハックされていることに気付いた。

 

 

 

 

 

カイザーローンアビドス支店前

 

「す、凄い…!!監視カメラに映る皆の映像が変化してます!!」

 

「あそこにいる警備員と店員にもソレと同じ映像が見えてるわ」

 

アヤネのタブレットにはカイザーローンの中にある監視カメラの映像が映っている。その映像に彼女たちの姿はなく、代わりに青いフードを被った謎の5人の人物の映像が映っていた。さらに顔の部分は笑顔の顔文字のようなマークで覆われており、「I thought what I'd do was, I'd pretend I was one of those deaf-mutes」という文字がマークの縁を流れていた。

素子はカイザーローンの監視カメラと従業員たちの電脳をハックして、あの事件と同じ状況を作り出したのである。

 

 

 

 

 

カイザーローンアビドス支店1F受付

 

「貴様ら何者だ!?」

 

「わ、私たちは…」

 

「覆面水着団です!!」

 

「そ、そう覆面水着団」

 

警備員は動揺しながら、目の前にいるシロコたちに何者かを尋ねる。答えを準備していなかったのかシロコは回答に詰まるが、ノノミがフォローし事なきを得た。

 

「ふざけてるのか貴様ら!?」

 

「動いたら撃つわよ?」

 

「くっ…!」

 

咄嗟に銃を取ろうとする警備員に対し、セリカは銃口を向けて脅す。その動きは突入部隊の中で一番堂に入っていた。

 

「どうします、ボス~?」

 

「ぼ、ボス!?私がですか!?」

 

「そうです!覆面水着団のボス、ファウスト様です!!ちなみに私はクリスティーナだお♧」

 

ホシノは上段半分でヒフミをボスと呼び、彼女を動揺させる。さらにはノノミも同調し、ファウストなる二つ名まで付け始めた。なお、警備員及び店員には皆同じ姿で見えているため、彼らには誰がファウストでクリスティーナなのかの判別は極めて難しい状態である。

 

『はしゃいでないで、さっさと目当ての物を手に入れなさい』

 

「ん、分かった。私がやる」

 

素子はその場で各々マイペースに好き勝手やっている彼女たちに釘を刺す。結局シロコが受付のカウンターに向かい、裏帳簿を手に入れることになった。

 

「この支店にある裏帳簿を出して」

 

「ひ、ひぃぃぃ!!お助けー!!お金はいくらでもあげますからぁ!!」

 

「いや…お金じゃなくて裏帳簿が欲しくて…」

 

シロコは受付の店員に銃を突きつけ、裏帳簿を出すよう迫る。しかし、店員は銀行を襲撃されたことに動揺し、シロコの持っていた鞄に札束を詰め始めた。

 

「うわぁ…アビドスの娘たちってあんなにヤバかったんだ…」

 

「確かに銀行強盗はヤバいけど、一番ヤバいのはロボット型の住人の電脳にハッキング仕掛けてる人だよ」

 

「電脳倫理侵害ってやつ?」

 

「そう。アビドスの生徒の中にこれだけのハッキングをできる人間はいないだろうから、多分あのシャーレの大人がやってるんだと思う」

 

銀行強盗という凶行に出た対策委員会の娘たちの正気を疑うムツキに対し、カヨコはロボ住人にハッキングを仕掛けている人間のほうがおかしいと返す。そして、それをおこなっているのが素子であることにも気づいていた。

 

「法律やルールに縛られず、自分の信念を貫くその姿勢…彼女たちこそ真のアウトローだわ!!」

 

「そ、そうですねアル様!!」

 

「ハルカ…無理に社長に合わせなくてもいいんだよ」

 

だが3人が対策委員会たちの行動に驚いているなか、アルだけは彼女たちのことを真のアウトローだと言って憧れの視線で見ていた。ハルカは彼女の言うことに賛同するが、カヨコに窘められていた。

 

「これで勘弁してください!!」

 

「いや…あのお金は要らなくて…」

 

一方受付カウンターでは店員とシロコが鞄を押し引きしていた。お金を渡したい店員と、お金を持っていくわけにはいかないシロコとの間で一進一退の攻防が続いていた。

 

『何もたもたしてるの?さっさとしないとマーケットガードが来るわよ』

 

「ん…」

 

素子に急かされたシロコは、仕方なく裏帳簿と大金の入った鞄を持っていくのであった。

 

「それでは皆さんごきげんよう。アデュー♧」

 

「す、すみませんでしたー!!」

 

最後にノノミとヒフミが挨拶と謝罪をして、彼女たちはカイザーローンのアビドス支店を後にした。

 

 

 

 

 

その後

 

「シロコちゃんお金持ってきちゃったのぉ!?」

 

「ん…」

 

銀行から離れマーケットガードから逃走した一同は、ブラックマーケットの外れで中身の確認をしていた。なお、この途中ヒフミとは別れている。シロコの持っている鞄に大量の札束が入っていることに、ホシノは驚愕していた。

 

「この裏帳簿も本物なんでしょうか?」

 

「こんなバーコードの塊みたいなのが本当にカイザーローンの裏帳簿なわけ?」

 

そして裏帳簿の中身を見たアヤネとセリカも、印刷されているものを見て本物か疑い始める。裏帳簿らしきものは文字も数字も一切記載されておらず、謎のバーコードのようなものが羅列されているだけだった。

 

「見せてみなさい」

 

「は、はい…」

 

「なるほど、ご丁寧に暗号化されてるようね」

 

「「??」」

 

裏帳簿らしきものを見て首を傾げる2人だったが、素子はそれが裏帳簿であると確信していた。カイザーの従業員は全てロボ型の住民である。それゆえに、電脳化されている者のみが読めるように細工をしていると素子は考えていた。

 

「内容は大体把握した。後でコイツの中身をデータ化して送るわ」

 

「あ、ありがとうございます」

 

(どうやって読んでるんだろう…?)

 

素子は裏帳簿の内容を見て、本物であることを確認する。そしてそのまま読めない彼女たちにデータを送ると返した。しかし、アヤネは素子の言っていることがいまいち理解できず、疑問を感じながらお礼を述べた。

 

「先生、これ…」

 

「ソレの使い道については、アンタたちで決めなさい。私は別にどっちでもいいわ」

 

「ん…」

 

シロコは気まずそうに、札束の入った鞄を彼女に見せる。しかし、素子はシロコを突き放し、自分たちでどうするか決めるようにと答えたため、彼女は困ってしまっていた。

 

「ど、どうする…?」

 

「「「「う~ん」」」」

 

対策委員会の5人はそれぞれ頭を悩ませていた。

 

『いいんですか~?あの娘たちに決めさせて』

 

『アレの使い道については私が口出しをするべきじゃないわ。それに、そんなに心配しなくても大丈夫よ』

 

5人と少し離れた場所に移動して素子とタチコマは電脳で会話する。彼は光学迷彩を使用して周囲を警戒しており、この場にはいない。彼女たちの前では突き放すような言い方をしていた素子であったが、本心は彼女たちのことを信じていた。

 

『それよりも、このカイザーグループという企業はかなりきな臭いな』

 

『まさに悪徳企業って感じですねぇ』

 

『恐らくここアビドスでも何か良からぬことを企んでいるのは間違いないわ。この砂漠化が進む僻地で一体何をしようとしているのか…それを明らかにする必要があるわね』

 

そしてアビドスが借金をしているカイザーローンもとい、親会社のカイザーグループについて素子は疑念を抱いていた。彼女は彼らがアビドスで何をするつもりなのか明らかにする必要性を感じていた。

 

「先生…」

 

「どうするか決まったの?」

 

「うん」

 

素子とタチコマが通信で会話をしている間に、シロコたちは結論を出したようである。

 

「このお金は借金返済には使わない。ここに置いていく。それが私たちみんなで決めた答え」

 

「そう。分かったわ」

 

対策委員会の5人はみんなで話し合って、鞄の中に入っている大金を借金返済に充てないことを決めた。シロコは素子に鞄を差し出すと、彼女は少し口角を上げてそれを受け取るのであった。

 

「さて、コイツをどうするか…」

 

「アナタたちー!!」

 

「「「「「!?」」」」」

 

素子がシロコから大金の入った鞄を受け取った直後、彼女たちを呼ぶ声が聞こえる。声が聞こえるほうを振り返ってみると、以前対立したアルがこっちに向かって来ていたため、一同は警戒感を強めた。

 

「ま、待って!!警戒しなくていいわ」

 

「「「「「・・・・・・」」」」」

 

警戒されていると感じたアルは両手を前に突き出して、彼女たちに危害を加えるつもりは無いというジェスチャーをする。そんな彼女の様子に、アビドスの生徒たちは互いに目を見合わせて困惑していた。

 

「さっきのアナタたちの行動、見させてもらったわ」

 

「ちょっ…先生、バレてるじゃん!?」

 

「アレは電脳を持つロボット型住人にだけ効果があるんだから当然じゃない」

 

アルは先ほど彼女たちが銀行を襲撃したことを見たと発言し、セリカを慌てさせる。だが素子は元々彼女たちがいることを把握したうえで、あのやり方を選んだので当然だという顔をしていた。

 

「顔も姿も晒して真正面から、欲しい物を手に入れる…アナタたち生粋のアウトローね!!こんなに心躍ったのは生まれて初めてだわ!!」

 

「ん、ありがとう」

 

アルは興奮しながら彼女たちの襲撃の手口を賞賛する。褒められたシロコはアルに親指を上げて、誇らしそうに礼を言った。

 

「アンタたち銀行には何しに来たの?」

 

「えっ!?えっとそれは…そう、融資!!これから経営を拡大するにあたって融資を受けようと思ったのよ!!」

 

「融資は合ってるけど、理由が違うんじゃない?アルちゃ~ん」

 

「本当はアビドスの襲撃が失敗して報酬がアテにできないからだけどね。それで結局断られたし」

 

「す、すみません…貧乏ですみません!!」

 

素子は興味本位で、便利屋たちが何の目的で銀行に来たのかを尋ねる。アルは彼女の問いに融資を受けるためだと回答する。しかし、アルの後ろからやって来た3人に融資を断れたことをバラされてしまった。

 

「・・・・・・」

 

それを聞いた素子は無言で手に持った鞄をアルの元へ投げる。

 

「「「「「あぁ~!?」」」」」

 

「何よ?要らないんでしょ?」

 

「ん、うん…」

 

素子が大金の入ったソレをあっさりとアルに渡したのを見て、対策委員会の5人は驚きの声をあげる。だが自分たちから必要無いと言った手前、素子の言葉に何も言い返すことができなかった。

 

「ソイツの中身をどう使うかはお前たちで決めろ」

 

「「「「・・・・・・」」」」

 

そして素子は真剣な眼で便利屋の4人を見つめ、そう述べる。4人は鞄の大きさ、重さ、銀行を襲撃した事実から、鞄の中身に大金が入っていることを薄々感じていた。

 

「あともう一つ、コイツも渡しておく」

 

「ゆ、USB?」

 

素子は次にUSBをアルに投げ渡す。

 

「コイツにはある事件の捜査資料と私の外部記憶が入っている。お前たちはこの記録を閲覧して、その感想を私に提出しろ。それでアビドスを襲った件はチャラにしてやる」

 

「わ、分かりました…」

 

素子が渡したUSBにはとある事件の資料が入っており、彼女は便利屋の4人にそれを閲覧し感想を書くという課題を出す。アルはその課題でアビドスを襲撃したことを精算すると言われ、とりあえず了承した。

 

「もうここには用は無い。帰るわよ」

 

「ん」 「はい♪」 「は~い」 「うん」 「分かりました」

 

素子がそう言うと、対策委員会の5人は便利屋たちから離れ始める。

 

「先生…このUSBの中には一体どんな事件が記録されてるの?」

 

「『笑い男事件』」

 

アルの問いにそう答え、素子たちは颯爽とブラックマーケットから出て行った。




カイザーの人間は基本ロボなので、デフォルトで電脳化している状態になります。
だから彼の手法も効果があるだろうと思いました。
電脳倫理侵害ってどれくらい重い罪なんですかね?

それではまた来週。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。