GHOST IN THE SHELL Blue Archive 作:H2O(hojo)
ヒナの休暇中に少佐が一日風紀委員長になってゲヘナの不良たちをボコボコにする話です。
最近2回目のイノセンスを見たのですが、1回目はさっぱりだったのが、原作漫画だったり最新アニメを見たことによりかなり頭に入ってきましたね。
シャーレ・部室
「先生…本当にいいの?」
「ゲヘナの自室じゃ休まらないでしょ?」
シャーレの部室にやって来たのは、本日休暇を取ったヒナである。ゲヘナの風紀委員会は多忙で知られ、風紀委員長であるヒナは特にそれが顕著である。そんな彼女を慮って、素子は自室ではなくシャーレに連れてきたのである。
「でも先生だって忙しいはずじゃ…」
「私の心配はいいのよ。ここのところ座り仕事ばかりだったし、そろそろ身体を動かさないと義体が腐るわ」
(義体って腐るのかな…?)
ヒナと同様、素子の連邦捜査部S.C.H.A.L.Eの「先生」としての仕事も多忙を極める。だが彼女は座り仕事ばかりでは義体が腐ると言って外に出ることを望んでいた。
「ともかく、私のことは気にせず休暇を楽しみなさい」
「うん…」
「タチコマ!!」
「はーい!!」
そう言って素子はタチコマを1機連れ、シャーレから出ていくのであった。
「とはいうものの、どうしようかしら…」
「あっ!ヒナちゃんだ!!おーい!!」
「ほんとだー!!」
「わーい!!ヒナちゃーん!!」
ヒナがシャーレに1人取り残されていると、そこに残ったタチコマが現れる。彼らはヒナを見つけると、喜んで彼女の元へ集った。
「ボクとお話しようよ~」
「えぇ~ボクが先だぞぉ!」
「いやぁ…ここはボクが最初でしょぉ」
タチコマはヒナに押し寄せ、自分が先だと言い争いまで始めた。
「もう…ちゃんと1人ずつお話聞いてあげるから、喧嘩しないの」
「「「は~い!!」」」
ゲヘナ学園・風紀委員会本部
「本日付けでゲヘナ風紀委員長代理に就任した草薙素子だ。よろしく頼む」
「「「よ、よろしくお願いします…」」」
ヒナがシャーレで休んでいる頃、素子は風紀委員会の本部にいた。彼女はヒナの代理を名乗り、他の風紀委員たちを困惑させていた。
「マジで来たぞこの人…」
「ヒマなんですか?シャーレの仕事って?」
「そんなことはないと思いますが…」
イオリ、アコ、チナツの3人は部屋の脇で、素子のことをチラチラと様子を伺いながらヒソヒソと話していた。彼女たちもヒナから事情は聞いていたのだが、本当に来るとは思っていなかったのである。
「問題児の取り締まりは私とタチコマでやるから、アンタたちにも楽させてあげるわよ?」
「それ本気?」
「本気よ」
さらにはゲヘナの問題児を自分とタチコマだけで取り締まると言い出し、イオリを困惑させていた。
「失礼します。救急医学部の氷室セナです」
「うわぁ!?いきなり入って来ないでくださいよ。ビックリするじゃないですか!!」
「申し訳ありません。この度先生から死体回収係を命じられ、急いで馳せ参じました」
「ご苦労」
そしてその直後、救急医学部の氷室セナが勢いよく部屋の中へ入ってきた。彼女は素子に呼ばれ、負傷者回収係として帯同する予定であった。
「さて、まずは誰からにしましょうかね。ゲヘナは広大だわ…」
(((サディストだ…)))
素子はシッテムの箱に映されている「要注意者リスト」を見て、笑みを浮かべる。それを見たアコたち風紀委員会の3人は、彼女の笑みに恐怖を覚えていた。
ゲヘナ市街地
「今日は空崎ヒナがゲヘナを離れていないらしいぜ」
「マジかよ!?暴れ放題じゃん!!ウェーイ!!」
「ヒャッハー!!」
ゲヘナの市街地では風紀委員会最強であるヒナがゲヘナにいないと知った不良たちが、好き勝手暴れ回っていた。
「おい、何だアレ?」
「アハハハ!何だよあの不細工な乗り物!!」
不良たちが騒いでいるところに、偶然にもタチコマが通りかかる。彼女たちにはタチコマが珍しかったのか、その姿を見て不細工な乗り物だと笑っていた。シャーレではカワイイだの何だのともてはやされている彼らだが、ゲヘナの不良の感性では不細工でダサい乗り物のようである。
「コラ~!!不細工とは何だ!!」
「あっ、怒ったぜコイツ」
「不細工を不細工って言って何が悪いんだよバーカ!!」
不良に笑われたタチコマは、その場で立ち止まり地団駄を踏み怒りだす。だがその行為も不良を喜ばせるだけであった。
「騒がしいわね」
「オイ、中から人が出てきたぜ」
「アレって…シャーレのセンコーじゃね?」
このままでは埒が明かないため、素子はタチコマの中から出てくる。彼女はいつもの恰好でグラサンを掛けており、とても教師のする恰好ではなかったが、キヴォトスではすっかり有名人になった彼女には、不良たちもすぐに気づいた。
「何だよセンコー?何か用かよ?」
「アンタたち、ここで何してるの?」
「あぁ?ヒナがいねぇって聞いたから、ここでストレス発散で一暴れしてんだよ」
タチコマから出てきた素子に対し、不良は好戦的な態度で彼女を迎える。素子がここで何をしているのか尋ねると、不良たちはストレス発散だと言って周囲の建物を破壊した様子を笑顔で見せてきた。
「あらそう。じゃ…」
「ゴハァ!!」
素子は市街地の惨状を見ると、即座にハンドガンを抜き不良の眉間を撃ち抜いた。
「痛ッてェェェェェェェェッ!!!」
「何すんだテメェ!?」
「今日私がゲヘナに来た理由は、空崎の代わりにお前たちを取り締まるためよ」
素子が眉間を撃ち抜いた不良は地面に倒れ込み悶絶する。喰ってかかる彼女の仲間に対し、素子は自分がゲヘナに来た目的を明かした。
「いかに頑丈なお前たちでも当たるところに当たれば9mmでも痛いでしょう?」
「テメェふざけやがって…ウギャァ!!?」
キヴォトスの生徒は特別頑丈だが、痛みに強いというわけではない。素子は彼女たちが痛みを感じやすい場所にピンポイントで当てることによって、不良生徒たちを無力化していた。
「クソッ…このアマァ!!」
「ヘイローもねぇくせに調子こくなよ!!」
「・・・」
素子に仲間が撃たれたのを見た不良たちは、睨みつけながら彼女に近づいて来る。一方不良数人に迫られても、素子が顔色一つ変えなかった。
「お前たちの相手などコイツで十分だ。ほら、手加減してやるから本気でかかってきなさい」
「「ほざけー!!」」
さらには不良たちを挑発するような言動をすると、彼女たちは一斉に素子へ襲いかかった。
「「「「「・・・・・・」」」」」
「弾切れか…ざっとこんなものかしらね」
「WOW!!」
5分後、市街地には気絶した不良たちが転がっていた。素子は自前のセブロ M-5のリロードなしで、その場にいる不良を全て片付けていた。
「氷室」
「お呼びでしょうか、先生」
「オーダー通り新鮮な負傷者だ。後は任せる」
「承知いたしました」
素子はセナに負傷者を引き渡すと、タチコマに乗って次の場所へと移動した。
ゲヘナ自治区郊外
「ハァーハッハッハッハ!!風紀委員長のヒナがゲヘナを離れた今、温泉開発をする絶好のチャンスだ!!さぁ開発を始めようじゃないか!!」
「「あいあいさー!!」」
「わーい!!久しぶりの温泉開発だー!!」
ゲヘナ郊外地域ではヒナの不在を知った温泉開発部の部長である鬼怒川カスミが、部員たちを率いて温泉開発を始めていた。久しぶりの温泉開発に下倉メグ他部員たちも張り切っていた。
「この場所はヒナがいないタイミングを見計らって開発しようとマークしておいたとっておきだ。さてさて、どんな効能の温泉が湧くのか楽しみだ」
「楽しそうね」
「勿論だとも!!この地下に、未知の温泉が眠っているかもしれないのだからな!!」
カスミがマークしていた場所は、以前から温泉が出ることが期待されていた場所であった。彼女はどこからか聞こえた声に、温泉への期待を語った。
「でもこの場所、私有地だけど?」
「そんなものは温泉開発には何ら関係ない!!我々温泉開発部の使命はゲヘナ中…否、キヴォトス中の温泉を掘り当てることだ!!そのための些細な犠牲は仕方ない。この土地の所有者も分かってくれるだろうさ…ハァーハッハッハッハァ!!」
しかし彼女たちが温泉開発に選んだ場所は私有地である。さらにはその土地の持ち主は、温泉開発部の部員によって気絶させられ文句も言えない状態である。だがカスミは自らの行為を正当化し、土地の所有者のことも些細な犠牲だと述べ高笑いをする。
「相変わらずのようね」
「うわぁぁぁッ!?せ、先生じゃないか…脅かさないでくれたまえ」
カスミの前に突如現れたのは、熱光学迷彩で潜んでいた素子である。突然の出現に、カスミはビックリして急いで彼女から離れた。
「君たち何してるの?」
「温泉開発だよ~。ここにある温泉を掘るの」
「へぇ~地下から湧く高温の水にわざわざ浸かるだなんて、ボクたちには到底理解できないね。錆びるし」
さらに素子と同時にタチコマも熱光学迷彩を切って現れる。タチコマは彼女たちがやっている温泉開発を理解できないという風に冷ややかに見ていた。
「と、ところで先生は我々にいったい何の用かな?」
「アンタたちをとっちめに来たのよ。空崎の代わりにね」
カスミは素子のことを警戒しつつ、彼女が何のために自分たちに会いに来たのかを尋ねる。それに素子はカスミたちをとっちめに来たとあっさり答える。
「ほうほうほうほう…先生。まさかとは思うが、君とあの思考戦車1機で100人はいる我々を相手にするつもりじゃあないだろうね?」
「するつもりよ。言ったでしょ?私は空崎の代わりだって」
「いやはや…いかに先生が優秀なエージェントだったとしても、ヘイローが無いんだ。無理は良くないと思うんだがねぇ。いや、教師として生徒に舐めれてはいけないという気持ちも分かるがね、ハハハハハハ」
「ご忠告どうも」
先ほどまで素子に内心怯えていたカスミだが、彼女とタチコマ1機しかいないことに気付いた瞬間、余裕を取り戻し始める。カスミはヘイローを持たぬ素子が、この場にいる100人以上の部員たちを相手にして勝てるはずがないと思っており、彼女の言葉を本気にしていなかった。
「それじゃ、遠慮なく始めさせてもらうわ」
「オイオイ…先生。君1人で一体何をするつもりだい?」
素子はそう言ってカスミに取り締まりの開始を通告した。
「ん?」 「なんだぁ?」
するとその直後、周囲から金属が軋む音が聞こえ始める。
「オイ、あれ誰が動かしてるんだ?」
「ハァ?何言って…」
そして彼女たちは異変に気付く。誰も乗っていないはずのショベルカーやホイールローダが勝手に動き始めたのである。
「こっちに向かってくるぞ!?」
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ホイールローダやショベルカーはまるで生き物のように動きながら、温泉開発部の部員たちを襲い始めた。突然の出来事に部員たちはパニックを起こしながら、重機から逃げ回っていた。
「ゴハァ!!」 「ウギャァ!!」
ショベルカーに追いつかれた部員たちは、アームで身体をあらぬ方向へ吹き飛ばされていた。
「「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」
さらにホイールローダに追いかけ回されていた部員は、アームで上空へ飛んでいっていた。
「別に私が直接手を下さなくても、こうやってアンタたちの持ってる重機のOSをハッキングすれば事足りるでしょう?」
「ひ、ひぇぇぇぇぇ…」
素子はそう言って、その場で尻もちをついて恐れ慄いているカスミを見下ろす。カスミは目の前の大人が空崎ヒナと同レベルのバケモノであるとようやく理解したのであった。
「「「「「・・・・・・」」」」」
その後素子は重機をハッキングで操り、温泉開発部の部員たちを土へ植えた。ゲヘナ郊外の私有地は、さながら温泉開発部員の畑になっていた。
「ぶちょー?どこー?」
「うーん…どこに埋まってるのか分からないね」
「どこ行っちゃったのかなぁ~?」
一方最後まで生き残ったのは、その類まれなる筋力を持つメグである。彼女だけは重機の攻撃を受けても、それを受け止め気絶することは無かったのである。彼女はタチコマと共にカスミを探していた。
「タチコマ、次行くわよ」
「はーい!!」
「もう行っちゃうのかぁ…じゃあねー!!」
素子とタチコマはメグを残して、次の問題児を取り締まりに向かった。
ゲヘナ南西部
「美食研究会が出たぞー!!」
「またアイツらかッ!?」
この地区は高級料理店などが多い場所である。ここの料理人たちは常に美食研究会の襲来に怯えていた。
「フフフ…今日のお目当て、シルバーカツオをようやく手に入れることができましたわ」
「ヒナさんがいなくて助かりましたね★」
「私お腹空いちゃった〜」
「ヘヘ…楽しみだなぁ、シルバーカツオ」
美食研究会のメンバーである黒舘ハルナ、鰐淵アカリ、獅子堂イズミ、赤司ジュンコの4人は、店舗から奪ったシルバーカツオをバギーに乗せて車道を疾走していた。
「ねぇ、フウカさん?」
「んんーーー!!?」
「ウフフ…御覧なさい、フウカさんも喜んでいますわ」
さらにハルナたちはフウカを食堂から拉致して、簀巻きにしてバギーに乗せていた。そもそも、彼女たちが今乗っているバギーも、給食部の所有物である。
「よし、いたな」
一方、ハルナたちがバギーでストリートを疾走するのを見つけた素子は、タチコマに乗って彼女たちの追跡を開始した。
「タチコマ。このまま光学迷彩を使用してヤツらの後ろに貼り付け」
「りょーかい!!」
素子はタチコマにバギーに貼りつくよう指示する。タチコマは光学迷彩を使用してバギーの真後ろへ移動した。
「これからどうするんです、少佐?撃ちますか?」
「アイツらの車ならぶっ壊してるところだけど、あれは愛清の持ち物だから壊すわけにはいかないわ」
「うぅ~もどかしいなぁ!!」
「我慢しなさい。余計な支出を増やすと、『冷酷な算術使い』にどやされるわよ?」
「そ、それは困るかなぁ…」
美食研究会に気づかれないようにバギーの後ろに貼り付いたタチコマは、素子に次の指示を求める。彼女としてもフウカの持ち物を壊すことは本意ではないようで、タチコマはバギーを壊せないことにもどかしさを感じていた。
ミレニアムサイエンススクール・セミナー
「へくちっ!!」
「ユウカちゃん、風邪ですか?」
「いや、そういうわけじゃないんだけど…。誰か私のことを噂してるのかしら?」
ゲヘナ南西部・大通り
「チッ…仕方ないわね。タチコマ、前に回り込んでバギーを受け止めろ」
「えぇ~!?傷が付かないといいなぁ…」
このままでは埒が明かないと考えた素子は、タチコマにバギーを正面から受け止めるよう指示する。タチコマは彼女からの指示を聞いて、自分のボディが傷つくことを心配していた。
「よし、今だ」
「おりゃぁッ!!」
素子の合図と共にタチコマはハルナたちの乗るバギーの前に向かう。そしてタチコマは腕を前に出して車を受け止めた。
「「「「おっふッ!!」」」」
「んんんッ!?」
タチコマにバギーを止められたことで、美食研究会とフウカは身体が前のめりになる。しかし、タチコマは光学迷彩を使用しているため、彼女たちは何が起きているか理解できていなかった。
「おっと…何か岩にでもぶつかったのでしょうか?」
「舗装された道路でそれはないでしょ」
ハルナとジュンコはバギーが勝手に停止したことに違和感を感じ、前輪を覗き込む。
「ハロー!」
「「「「あっ…」」」」
「お痛が過ぎたな」
その直後、光学迷彩を切ったタチコマと素子が現れ、4人は何が起きたのかを理解した。
「これはこれは…ごきげんよう、先生。こうしてお会いするのはいつ振りでしょうかね?」
「そうね」
「とりあえず、銃口をこちらに向けるのは止めていただけると嬉しいのですが…」
「ダメよ」
ハルナはタチコマから出てきた素子にお嬢様らしく挨拶をする。なお、彼女は銃を構えており、ハルナが降ろして欲しいと言っても聞く耳を持たなかった。
「美食研究会。建造物破壊、窃盗、誘拐の現行犯で逮捕する」
「タイホするー!!」
そして素子は彼女たち4人を逮捕すると宣言する。
「悲しいですわ…私はただ美食の道を極めるために行動していただけだというのに…」
「そうだよ!!このシルバーカツオが食べたかっただけだもん!!」
「先生もご一緒にどうですか?」
「それいいね!!」
しかし彼女たちは、まったく悪びれる様子もなく、一緒に店舗から奪ったシルバーカツオを食べようと提案する始末であった。
「キャッ!?」 「いてッ!?」 「ヤッ!?」 「ひッ!?」
そんな彼女たちに対し、素子は銃弾を全員の頭部に撃ち込む。
「最近聴覚素子の調子が悪くてよく聞こえなかったのよね。もう一回言って貰えるかしら?」
「「「「はい…すみませんでした」」」」
そして素子は聴覚素子の調子が悪いと言って先ほどの言葉をもう一回聞かせて欲しいと答える。だが、彼女の目はまったく笑っていなかったため、4人はようやく自分たちの非を認めるのであった。
「ぷはぁ…先生、ありがとうございます」
「アンタも毎度毎度災難ね」
「はい。まったくもぉ…」
素子は美食研究会の4人を車道に正座させた後、フウカの拘束を解く。彼女はフウカの境遇に同情していた。
「あんた達、これに懲りたら少しは…ってあれ?」
「逃げたわね。まったく…」
「あーあ…どうなっても知らないわよ」
フウカは美食研究会の4人に反省を促そうとするが、元いた場所に彼女たちの姿はなかった。彼女たちが素子から逃走したのを悟ったフウカは、彼女たちのこれからの末路に同情するのであった。
「やれやれ…」
「「「「・・・・・・」」」」
「バカね。先生から逃げられるわけないじゃない」
その後フウカの前に現れたのは先ほどよりもボロボロの、ぐったりとしている美食研究会の姿であった。
結局彼女たちはセナに救急医学部へと連行されていった。
万魔殿本部
「キキキキキ…空崎ヒナがゲヘナを離れた今、万魔殿議長たるこのマコト様の威光を示すいい機会だ」
「はぁ…後は1人でやってくださいね?私はイブキとシャーレへ行くので…」
「なにぃ!?何故だイロハ!!何故わざわざヒナがいるシャーレへイブキと一緒に行くのだ!?」
「イブキがタチコマと遊ぶ約束をしているからですよ。それじゃ、私はこれで」
「ちょっ、待てイロハァ!?」
一方万魔殿では羽沼マコトがヒナがいない隙に、何か悪だくみをしようと思案を巡らせていた。だがイロハは自分とイブキはシャーレへ行くため手伝えないと言い、マコトを慌てさせていた。
「チアキィ!!私と一緒にこのマコト様の…」
『あっ、私これから取材があるんで!!』
「サツキィ!!今暇かぁ!?」
『ごめんなさ~いマコトちゃん。私今手が放せないの』
マコトは残りの2人にも声をかけるが、2人共用事があると言って断られてしまった。
「クソッ…こうなったら私1人で…」
「邪魔するわよ」
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!?」
4人に拒否されたマコトは自分1人でどうにかしようと席を立つ。しかしそのタイミングで素子が議長室に入って来て、マコトは急いで席に座った。
「せせせせせ、先生ではないか!!ゲヘナに来てたなら一声かけて欲しかったぞ」
「私はちゃんと言ったわよ?単にアンタが報告を聞いてなかっただけでしょ?」
「なにっ!?このマコト様ともあろうものが何たる失態だ!!」
いきなり素子が訪れたことで、マコトは眼に見えて慌てはじめる。なお、素子はヒナを通じて自分が風紀委員長代理としてゲヘナに来ることは事前に伝えており、単純にマコトがヒナの報告をまともに聞いていなかっただけである。
「そ、それで一体先生は私に何の用だ?」
「コイツに心当たりはあるか?」
マコトは素子のことを警戒しつつ、何のために自分に会いに来たのかを探る。それに対し彼女はシッテムの箱にあるデータを映してマコトに見せた。
「これは…何だ?さっぱり心当たりがないなぁ!!」
「これはお前が不正に使用した風紀委員会の予算の帳簿だ」
「ギクッ!!」
だがデータを見てもマコトはまったく見当がつかないといった様子であった。そんな彼女に、素子はこのデータが風紀委員会の予算の帳簿であると教える。
「私が何のためにゲヘナに来たのかと聞いたな?」
「あ、はい…」
「知らないのなら教えてやる。私はここに来たのは休暇中のヒナに代わり、お前たち問題児共にお灸をすえてやるためだ」
「な、なんだってー!?」
そしてヒナの報告を無視したマコトに、素子は自分がゲヘナに来た理由を語る。素子は他組織の予算を勝手に私的に利用したマコトにお灸をすえに来たのである。
「あの娘は面倒がって放置していたようだが、私は甘くないのでな。覚悟してもらうぞ」
「ひ、ひぃぃぃぃぃぃぃ!!」
素子はマコトにそう言いながらすごむ。彼女の気にあてられたマコトは後ろずさってしまった。
「タチコマ!!」
「はーい!!」
「うおあぁぁぁぁぁぁぁ!?」
素子がタチコマを呼ぶと、彼は窓の外からワイヤーにぶら下がって現れる。そしてタチコマは窓ガラスを左腕の7.62mmチェーンガンで破壊する。マコトは頭を腕でガードして地面に転がっていた。
「タチコマ。後は任せたぞ」
「せ、先生?どこへ行くんだ?」
「帰る」
素子はタチコマにこの後ことを任せて、部屋を出た。
「それじゃあ遠慮なく」
そう言ってタチコマはマコトに向かって50mm榴弾砲を発射した。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
その後万魔殿の議長室の窓にアフロ頭のマコトが何か叫んでいるのを聞いた生徒がいたらしい。
その後 シャーレ
「チェックメイト」
「むむむ…なかなか手強いですね」
「まぁね~」
シャーレではイロハがタチコマとボードゲームに興じていた。なおやっているのはオセロなため、チェックメイトはゲームが違う。
「それッ!!」
「あーいいですよー!!」
「ほっ!!」
「いいですね~!!次はもうちょっと大胆にポーズ決めてみましょうか!!」
その横ではチアキがタチコマにポーズを決めさせて写真を撮っていた。彼らの写真を載せると閲覧数や売れ行きが伸びるのである。
「あなたはだんだん万魔殿に従いたくな~る~。私に従いたくな~る~」
「催眠術だなんて古典的だなぁ。ボクたちを従わせたかったら催眠術をかけるよりシステムをハッキングしたほうが早いと思うよ?まぁ少佐がかけたプロテクトを破れればの話だけど」
「嫌よ。私は催眠術がいいの」
そしてさらにその向こう側ではサツキがタチコマを洗脳しようと奮闘していた。AIである彼らに催眠術は通用しないにも関わらず、彼女はこれじゃなきゃ嫌だと言って目の前で硬貨を揺らし続けていた。
「暇そうね…アナタたち」
ヒナは彼女たちの様子を見て呆れていた。
最後のシーンにイブキがいないのは、タチコマに乗って外に出てるからです。
それではまた来週。