GHOST IN THE SHELL Blue Archive 作:H2O(hojo)
出ると言っていいか分からないですが、一応9課のメンバーが大人のカードの効果として出ます。
「ゲホッ…ゲホッ!」
アリウスバシリカでミカはユスティナ聖徒会相手に奮戦していた。彼女はサオリたちをアツコたちの元へ行かせるために、1人で大量の敵を相手にしていた。
「あーあ、全身どっろどろ…」
ユスティナ聖徒会との多対一の戦闘により、彼女の髪は乱れ、服の一部が破け、脇腹や肘からは出血も見られる。
「でも…日が昇るまで耐えきったよ…結構大変だったけど…」
だが彼女はそんな姿になりながらも倒れることなく、日が昇るまでユスティナ聖徒会に応戦し続けていた。
「きっと、アツコは助けられたよね?サオリも、他のスクワッドも…みんな、ハッピーエンドを迎えられたかな。先生が一緒にいただろうから、きっと…」
彼女が日の出まで戦い抜いた理由はひとえに、先ほどまで憎んでいたアリウススクワッドたちが幸せになって欲しいためである。
「ごめんね、先生…私はここまでかな…。先生と一緒に、帰りたかったのに…」
だがそんな彼女もいよいよ限界であった。彼女は自分の最期を悟り、素子に謝罪するのであった。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!とぉちゃぁぁぁく!!」
その時である。1機のタチコマが物凄い勢いで、ミカの元に向かってきたのである。そしてタチコマは彼女の前で急ブレーキをかけ、彼女の前で停まった。
「聖園!!無事か!?」
「せ、せ…先生!?」
さらにタチコマの中から素子が現れ、ミカの無事を確認する。
「せ、先生…なんでここに…?ど、どうして…?」
「アナタを助けに来たに決まってるでしょ?」
「…!!」
ミカは素子が助けにきてくれるとは思わなかったため、彼女が現れたことに驚いていた。そして彼女が自分を助けるためにタチコマに乗って急いでここまで駆け付けてくれた事実を知り、さらに驚く。
「そ、そんな…わ、私は…悪い子で…先生が救う価値のある存在じゃないのに…」
「アンタはそう思ってても私には価値があんのよ。まったく、思えばトリニティに来てから
「ご、ごめんなさい…」
ミカは自分が先生が救う価値のある存在ではないと思っており、助けにきてくれるとは思っていなかったようだ。だが、素子はここまで散々振り回されたミカでも、助ける価値があるとハッキリ答えた。
「でも…ここまでよく頑張ったわね、ミカ」
「先生…!!」
(ウソウソウソウソ…!!今私のことミカって…!!)
そして素子は珍しくミカのことを褒める。さらには普段名前で生徒を呼ぶことのない彼女が自分の名前を呼んでくれたことに、ミカは興奮していた。
「そ、それに…せ、先生1人であの聖徒会をどうやって相手にするの…?」
「え?ナチュラルにボクは頭数に入ってないの?」
「アレは次元が違うよ、先生…わ、私も結構強いけど…アレは反則みたいなものだよ!?」
だがミカの言う通り、聖徒会の人数はまだまだ多い。さらにはそのなかでも一際強い聖女バルバラのミメシスも存在しており、素子だけでは倒すことができないとミカは考えていた。
「敵が何人いようが知ったことか。ウチの大事な『お姫様』を傷物にしようとした代償は払ってもらうぞ!!」
「…わーお」
そう言って素子は『大人のカード』を取り出した。
「さぁ来い!!仕事だお前たち!!」
素子が大人のカードを天に掲げると、それが光り出し周囲が閃光に包まれる。
“やっと出番か。待ちくたびれたぜ、少佐”
“せっかちだねぇ、バトーの旦那は”
大人のカードの発行がおさまると、そこには複数の男性の姿があった。最初に現れたのは、義眼の大男バトーと茶髪の男性トグサ。
“少佐、また会ったな”
“俺たちをまた使うなんてな”
片目に眼帯をしたサイトーと髭をたくわえた初老のイシカワ。
“化け物退治の次は幽霊祓いか?相変わらず無茶苦茶だぜ”
“少佐の無茶につき合わされるのはいつものことだろ?”
義眼で太っているボーマと、細目で強面のパズ。
「この人たちって…」
「内務省公安9課の構成員たちだ。私が知りうる限りで最高の部隊よ」
彼らこそ、かつて草薙素子と共に数多の重大犯罪を解決してきた『内務省公安9課』の構成員たちである。彼女にとって彼らは、最も優秀な仲間たちである。
「バトーさぁん!!お久しぶりです!!」
“タチコマ!!こっちでも元気そうじゃねぇか”
「うん!!」
そしてタチコマはバトーを見つけると、彼に向かって一目散に走り出す。タチコマはバトーに、ボディを撫で回され嬉しそうであった。
「このカードの効果は、彼らの影を一時的に召喚することができる。『お姫様』を守る『騎士』にしてはブ男ばかりで悪いけど…」
“アンタも別に『王子様』ってタマじゃねぇだろ、メスゴリラ”
(メスゴリラ…)
大人のカードの効果は公安9課のメンバー影を呼び出すことである。さらに影にしては完成度も中々のもので、本物のイシカワと遜色ない軽口も言えるようだ。
「行くぞ…!!」
“了解”
彼らは素子を筆頭に銃を構え、ユスティナ聖徒会に立ち向かい始めた。
「ボーマ!!」
“任せとけ!!”
戦闘開始と同時に素子はボーマの名を呼ぶ。するとボーマはコンポジションC4を懐から取り出し、ユスティナ聖徒会に向かって投げつけた。
「「「「「───────!!!」」」」」
ボーマの投げた爆弾が爆発し、周囲に炎と煙が充満する。ユスティナ聖徒会はガスマスクを装着しているにも関わらず、その爆炎に恐怖を感じているように見えた。
「あのデカブツは私とバトーでやる!!他の者は連中の相手をしろ!!」
“よっしゃぁ!!任せとけ!!”
“調子乗って吹っ飛ばされんなよぉ?”
ボーマに開幕ドでかい花火を上げさせ、素子たちは本格的に戦闘に入っていく。まずは彼女とバトーが一目散に聖女バルバラの元へ走り出した。
『タチコマは聖園の護衛だ。コイツらの相手は私たちだけで十分だ』
「はーい!!」
「・・・・・・・」
そして9課が戦っている後ろで、ミカは彼らの動きを見ていた。
「──────!!」
“おっと…!肉弾戦まで仕掛けてくんのかよ!?”
ユスティナ聖徒会の1人と戦っていたトグサは、彼女が銃だけでなく足を使って攻撃したことに驚いていた。
“少佐みたいな恰好でそんな大股開きしちゃってさ、まったく…”
「───!! ───!!」
“よっと、隙あり!!”
(スゥゥゥゥゥゥゥ…)
ユスティナ聖徒会は戦闘用アンドロイドのような人間離れした動きでトグサに迫る。だが彼女が脚を上げた隙にマテバを相手の額に撃ち込み、ユスティナ聖徒会を消滅させた。
“やれやれ…女を撃つってのはどうにも気分が悪いな”
“抱けなくなるからか?”
“流石の俺でも幽霊とはしねぇよ。というかそもそも元は未成年のはずだろ?”
“節操なしじゃなくて安心したぜ”
パズはユスティナ聖徒会を撃ちながら微妙な顔をしていた。彼は二度同じ女を抱かない主義だが、幽霊と未成年に手を出すつもりはないと聞き、ボーマは安心していた。
“サイトー!!”
“任せろ”
「─────!!」
イシカワの合図と共に、サイトーがユスティナ聖徒会を狙撃する。
「どけ!!」 “ジャマだ!!”
「「「「「──────ッ!!!」」」」」
大将であるバルバラの元に向かう素子とバトーは、彼女の傍にいるユスティナ聖徒会を蹴散らしていく。2人のその気迫に、ユスティナ聖徒会は恐れおののいていた。
「──────」
「お出ましか」
“あぁ…”
そして素子とバトーの前に聖女バルバラが現れる。彼女は他のユスティナ聖徒会とは違う雰囲気を纏っており、3人の間には殺気が充満していた。
『“右手に持ってるリボルバーカノン…ありゃ俺の私物のゲテモノよりも厄介かもな”』
『例の装備課の作ったあの頭の悪い武装のこと?』
『“漢のロマンって言って欲しいもんだね”』
『脳筋バカの間違いでしょ?』
バトーはバルバラが持つリボルバーカノンを見て、難物という評価を下していた。あれだけの大口径の一撃を喰らえば、一たまりも無く吹き飛んでしまうのは明白であった。
『“左手の20mmは「M61」か。コイツも毎分6000発撃てるシロモノだぜ?”』
『まともに喰らえば蜂の巣だな』
『“フッ…上等だぜ”』
『まったく…変わらないわね、バトー』
次に2人は左手の『M61 バルカン』に目を向ける。毎分6000発というそのガトリング砲を見て、ニヤリと笑うバトーに、素子は呆れつつも懐かしさを感じていた。
「────」
「来るぞ!!」
“おう!!”
そしてバルバラは両手に持つ銃をそれぞれ素子とバトーに照準を合わせる。3人の戦闘がついに始まろうとしていた。
「────ッ!!」
“ヤベッ!?”
「…ッ!!」
バルバラは右腕でバトーを、左腕で素子を狙い、攻撃を開始する。その恐ろしいまでの発射速度にバトーと素子は左右に散った。
『“遮蔽物に隠れても意味ねぇな。あの威力じゃ壁も柱も粉々だろうぜ”』
『そうだな。私たちは捕食者に追い詰められたネズミってところかしらね』
『“ハハハハハ!!違いねぇ”』
何とか命中は逃れたものの、周囲の壁や柱が破壊されているのを見て、バトーは隠れても無意味だと悟る。素子の言う通り、2人は追い詰められた獲物であったが、その表情に悲壮感はまるでなく、バトーに至っては笑っている始末である。
『“それじゃ、いっちょ噛みついてやるか”』
『えぇ』
「──────ッ!?」
2人は互いにタイミングを目配せして合わせると、同時にバルバラの視界から熱光学迷彩を使用して消えた。突然姿を消した2人に、バルバラは驚いていた。
「──────!!」
「そっちじゃないわよ」
「────ッ!?」
“オイオイ…ちゃんと狙ってんのかぁ?”
バルバラは姿の見えない2人に戸惑いながら、感覚で銃撃する。だが2人はそれすらも計算尽くで、バルバラは一発も当てることすらできなかった。
「らぁッ!!」 “オラァッ!!”
「──────ッ!!!」
そして次の瞬間、虚空からバルバラの腹と顔面に蹴りと拳がめり込む。素子とバトーはバルバラのすぐ近くにまで接近していたのである。
“ここまで近づきゃ、ご自慢の武装もただのデカい鉄くずだな”
「これでお前の2丁の武器は封じた。次はどうする?」
バルバラに十分接近した素子とバトーは熱光学迷彩を解く。2人とバルバラの距離は50cmも離れていないため、彼女の持つリボルバーカノンとバルカンは照準を合わせられず、2人の言う通りただの『鉄くず』に成り下がっていた。
「先生、何だか楽しそう…」
「確かに。笑ってる少佐を見るのも何だか久しぶりな気がするなぁ~。元々そんなに笑うタイプじゃないけど」
「私は初めて見たよ…」
「それは自業自得なんじゃない?」
「もぉ~!!デリカシー無いんだから!!」
公安9課の構成員たちが戦っている後ろで、ミカは素子が笑っているのを初めて見ることになる。初めて会った補習授業部の顧問を依頼するときから今に至るまで、ミカと素子の状況は目まぐるしく変化していたため、彼女は素子の微笑すら見ることはなかったのである。
「でもやっぱり少佐が笑ってるのは9課の皆と一緒にいるのが大きいかなぁ。少佐にとってあの場所と皆はやっぱり特別な存在なんだよ」
「そっか…何だかちょっと嫉妬しちゃうな」
「別に君たちといることがつまんないわけじゃないと思うよ?この仕事も割と楽しんでる感じだし」
そしてタチコマは、素子が笑っているのは9課のメンバーが彼女にとって特別だからだと語る。自分ではあの笑顔を引き出すことはできないと知ったミカは、彼らに嫉妬心を抱いていた。
「そらッ!!」
“そんなもんかぁッ!?”
「──────ッ!!」
間合いを詰められたバルバラは、素子とバトーに前後から殴る蹴るの暴行を受けていた。
「──ッ!!──ッ!!」
「無駄だッ!!」
“いい加減捨てちまえよそんな鉄クズッ!!”
「──────ッ!?」
一方バルバラもその両腕の武器を振り回して2人に物理的に当てようとするが、世界屈指の義体使いと元レンジャー4課の戦闘サイボーグ相手には掠りもせず、ただただ2人の動きに翻弄されていた。
『“そろそろイジメんのも飽きてきたな。そろそろ決めるか?”』
『そうね。アンタたちを呼び出せる時間も有限だし』
バルバラに肉弾戦を仕掛けていた2人はバルバラと決着を付けようとしていた。
「来い!!」
素子がバルバラから離れてそう言って右手を天に掲げると、対戦車ライフルが現れる。これは『大人のカード』の効果であり、彼女は9課で以前使用していた武装を顕現させたのである。
「──────」
“おっと…そうはさせねぇぜ”
「──────ッ!?」
自分から間合いを取った素子を見て、バルバラはチャンスとばかりにリボルバーカノンの銃口を向けようとする。しかしその瞬間後ろに回り込んでいたバトーに羽交い締めにされ、彼女は素子を攻撃することができない。
「・・・・・・」
「───!?──────ッ!!?」
“離っせってか?離すかよ。テメェは今からアレをぶち込まれるんだぜ”
素子は本来なら2人がかりで持つはずの対戦車ライフルを1人で持ち上げ、バルバラに照準を合わせる。彼女は何とか逃れようとその場でもがき始めるが、バトーがガッチリ抑えていた。
「終わりだ」
「──────ッ!!!」
“うおぉぉぉぉ!!?”
そして素子はバルバラに対戦車ライフルを撃ち込む。それにより彼女の肉体は激しく損傷し、その余波でバトーは後方に吹き飛ばされるほどであった。
(スゥゥゥゥゥゥゥ…)
“少佐ァ!?俺ごと殺す気かぁ!?”
「いいでしょ別に。どうせ死なないんだから」
“まったく…人使いの荒いところは昔とまったく変わってねぇな!!”
ライフルの一撃でバルバラは消滅し、バトーは身体を起き上がらせる。バトーは素子の行動に苦言を呈するが、本人はまったく悪びれる様子がなかった。
“終わったみたいだな”
「えぇ」
“毎度少佐の戦い方には驚かされるぜ”
バルバラが消滅したことで、他のユスティナ聖徒会も、役目を終えてこの場から跡形もなく消え去る。素子の元には一仕事終えた9課のメンバーが集まって来ていた。
“それじゃあ、仕事も終わったし俺たちは消えるとするぜ”
“そうだな。いつまでもここにいるのも居心地が悪い”
「ご苦労だったな、お前たち」
役目が終わったパズとボーマは、自ら消滅していく。素子は2人に労いの言葉をかけた。
“俺たちもずらかるか”
“あぁ。また会おうぜ、少佐”
「えぇ。またいつか」
次にイシカワとサイトーが消滅する。彼らは素子との再会を誓った。
“俺も失礼します。困ったらまた呼んでください。いつでも駆け付けますよ”
「機会があればな」
“バトーの旦那!あんまり粘るなよ?”
“お前に言われなくても分かってらぁ”
サイトーとイシカワの次に素子に声をかけたのはトグサである。彼は素子にいつでも駆け付けると伝え、最後にバトーに釘を刺して消えていった。
“悪いな、タチコマ。しばらくお別れだ”
「もういっちゃうの~?」
“あぁ、俺たちは所詮影だからな。役目が終わったら消えるさ”
「せっかく会えたのに…寂しいな~」
“そう言うなよ。そのうちまた会えるぜ”
「そっか。楽しみにしてるね」
そして最後に残ったバトーはタチコマに触れ、少し悲しそうに別れの言葉をかける。彼は寂しそうにするタチコマに、また会えると言って彼を喜ばせた。
“それじゃあな、少佐。今回は久しぶりにお前と一緒に肩を並べて戦えてよかったぜ”
「そうね。私もよ」
タチコマとの別れの挨拶を済ませたバトーは素子に手を差し出し握手を交わす。
“それじゃあな。俺たちはいつでもお前が9課に帰ってくるのを待ってるぜ”
「えぇ…」
「・・・・・・」
(そっか…そうだよね。先生だっていつかは…)
最後にバトーは素子のことをいつでも待っていると言って消えていった。その言葉を聞いたミカは、いつまでも彼女がキヴォトスにいるとは限らないと気づいてしまった。
「聖園、タチコマ、帰るわよ」
「はーい!!」
「う、うん…」
9課全員が消滅したのを見届けた素子は、その場から離れようとする。しかし、ミカは彼女に何か言いたそうにしていた。
「何?」
「あのね…先生。私を…ううん、皆のことを助けてくれて、ありがとう」
「そうね…いつもは礼は断るんだけど、今回だけはありがたく受け取っておくわ」
ミカは素子に改めて、礼を述べる。素子は彼女の礼を今回だけはありがたく受け取ることにした。
Q.何でこの時の少佐はミカのことを名前で呼んだんですか?
A.生徒ではなく大切なお姫様だからです。
一応ヒエロニムス戦で1回大人のカードを使用しているので、9課のメンバーに会うのは2度目なんですがこうやってまともに会話するのは初めてになります。
タチコマはヒエロ戦にはいなかったので、初めてです。
それではまた来週。