極めて一般的な転生探索者   作:ayuアユ

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区切り方が分からないので少し短めです。


第二話 自覚する力/導入

「はぁ、これからどうするか....」

 

あれから、探しに来た教師がトイレで立ったまま気絶している俺を見つけ、保健室へ運び込んでくれたらしい。俺が目を覚ましたのは5時間目の終わり頃であり、今日は6時間授業ということで丸々一コマ保健室で休めることとなった。

素直に喜びたい気分だが....生憎さっきの話を聞いたからには楽観的ではいられないのだ。

それに....

 

(なぁ、結局俺に降り掛かる怪異ってなんなんだ?)

 

『私からは答えられません。』

 

ずっとこの調子だ。このKPはまるで情報を落とさないせいで不安がさらに駆り立てられる。

一応何度か話してみた結果、KPとは心の中でのやり取りで完結できる、くらいのことしか分からなかった。

 

 

(それにしても、クトゥルフ神話の世界ね....)

 

クトゥルフ神話TRPGを知る俺からすれば、絶対に行きたくなかった世界だ。

人外が平気で人間を拉致、殺人したり、幽霊がいたり、少し深いところに潜れば世界を簡単に滅亡できる邪神なんかもゴロゴロいる。

TRPGだからよかったが、現実で怪異と遭遇でもしたら命がいくつあっても足らんわ。

 

(ん....?クトゥルフ神話TRPGってことは、俺にもステータスがあるのか?)

 

『えぇ、ありますよ。見ますか?』

 

「もちろん!」

 

つい大声が出てしまったが、このステータス次第で生き残れるかどうかがかなり変わる。

返答をKPが聞いて少し経った後、俺の脳裏に画像のようなものが映し出された。

 

《桐生蓮》

年齢:16歳/性別:男/職業:高校一年生(転生者)

所属:帰宅部

STR11 / CON11 / POW15 / DEX14 / APP11/ SIZ13/ INT13 / EDU11

HP:12 / MP:15 / SAN:75(最大値) / アイデア:65 / 幸運:75 / 知識:55/Db0

 

《技能》

目星 25+40=65

聞き耳 25+35=60

図書館 25+36=61

応急手当 30+15=45

説得 15+20=35

信用 15+50=65

回避 DEX×2=28+30=58

ブラックジャック 40+30=70

精神分析 1+19=20

心理学 5+25=30

オカルト 5+30=35

隠れる 10+20=30

《魔術》

 

 

「これが…俺の…ステータス。」

 

しばらく俺は茫然としていた。

というのも....

 

「微妙すぎだろ....!」

 

なんだこの中途半端なステータス!

the平凡じゃねーか!

 

『これは貴方の今までの行動と身体能力を加味したステータスとなっております。最低限生き残れるようにこちらから調整したものもあるので、悪しからず。』

 

KPの補足が胸に突き刺さる。

 

(....はぁ、そうだよな。俺はありふれたモブでしかないんだ。

今世に入ってからモチベ無くして運動にも勉強にも集中しなかった末路か....)

 

自分の凡人度合いをこうも可視化されたら気分が落ちるというものだ。

いや、、探索技能はなんとかあるし、逆に喜ぶところか....?

ていうか、なんかブラックジャック結構高いな。心当たりがないわけではないんだが....

 

ガラガラ~

 

「おーい、桐生、大丈夫だったか?」

 

急に保健室の扉が開き、入ってきた人物が俺の名前を呼ぶ。といっても、声色だけでわかる、俺の担任だ。

 

「もう帰りのホームルーム終わったから、荷物持ってきたんだ。体調は…大丈夫そうだな。」

 

「えぇっと、はい、おかげさまで。」

 

先ほどまでのことで切り替えに少し戸惑ったが、なんとか返答をする。

 

「帰りは気を付けて、家でしっかり休めよ。お前の家はその、あれだから、人一倍健康には気を付けろよ。じゃあな。」

 

「はい、ありがとうございました。」

 

そのように短いやり取りをして担任は荷物を置いて出ていった。

まだ戸惑いもあるが、担任との会話で少しだけ安心したのも事実だ。

 

(あまり悲観的にはならないで、柔軟に対応していこう。)

 

そう覚悟を決めて、保健室を後にするのだった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「とはいってもなぁ~」

 

今は保健室から出て、玄関に向かって廊下を歩いているところだ。ホームルームから結構時間がたったようで、帰宅する者、クラブへ移動する者たちの行動が終わり、人はほぼいない。

(いつ来るかわからない怪異に対応するというのはかなり厳しいところがある。

いっそ外出しないか?いや、その場合家に怪異が入ってくるのか。)

 

そんなこんなで考えながら歩いていると、途中でいろんな扉が左右にあることが分かる。

よく見ると文芸部や天文学部など、部室として使われている部屋が多いようだ。

今は帰宅部の身だが、俺の前世では卓球部でバリバリ活躍していたのだ。

 

(中学では居心地が悪くなって中二の半ばで自首的に退部。高校も入学してすぐ体験入部いったけど、モチベがなくって結局はいらなかった。

もう少し頑張ってたらSTRとかもっと伸びてたかな~)

 

そんなこんなでタラレバを考えたりしながらも、俺は廊下を歩いていくのだった。

そして、玄関が見えてきたころ....

 

コンッコンッ

 

「ん?」

 

何かが跳ねるような音を聞いて足を止める。

それは自分にとってなじみが深い....そう、ピン球が跳ねる音。

音のする方向を見ると、どうやら卓球の部室からのようだ。部活動中なのだろうか?

 

『アイデアロール 

成功値 65≫26 成功』

 

うわ、なんで急にダイスを

『あなたは体験入部の時の記憶を思い出します。今日は卓球部は休みのはずだと。』

 

(人の話聞けよってか、なんだよ急に。大方自主練かなんかで....)

 

そう俺は卓球部室の扉を見直し、あることに気づく。

 

(電気が....ついていない........⁉)

 

その事実に気付き思わず鳥肌が立つ。

いったい、中に誰が...?.

 

『SANチェック 0/1d3

成功値75≫6 減少無し』

 

(SANチェック!?ここでかよ!)

 

SANチェック…それは自身の精神を現した数値。大きく減ると発狂したり最悪廃人になる、HPと並んで重要なクトゥルフ神話TRPGの要素。

そして、これが起きるのは大抵怪異が原因なわけで....

 

(まさか、なにか“いる”のか、この中に。)

 

事前に言われていたが、こうも早く来るとは思いもしなかった。

 

(なぁ、KP。もう怪異(シナリオ)は始まってるって認識でいいよな?)

 

『えぇ、そうです。そして、この扉に何か技能を振りますか?』

 

(あぁ、もう確定なんすね....)

 

正直、怖いが大半だが、少しだけ好奇心もある。前世であれだけ好きだったのだ。

 

(ちょっと調べるくらいはいいよな....?じゃあ、聞き耳でもっとわかるか?)

 

『聞き耳ロール

成功値60≫42 成功

卓上でピン球が跳ねる音はいまだ続いているが、よく聞くと少しおかしい。

その音の合間に、「かえして....」「もどして…」といった低い声が混じる。』

 

よし、出目は良い感じだな。そして、情報からして、この扉の先には怪異たるナニカがいるらしい。

 

『扉を開けますか?』

 

(いや、流石にリスクが大きすぎる。ここは慎重に、中の情報を探るほうが先決だ。

扉の下の隙間からスマホのカメラだけ出して動画を取る。)

 

『はい、判定はいりません。』

 

そうして動画を数十秒撮った。正直途中から逃げ出したくなってきたが、クトゥルフ神話TRPGは逃げた者には容赦の無いバッドエンドが用意されるのが通説なので、うかつに行動するべきではない…と割り切ることにした。

そしてスマホを取り出し、ビデオを見る。一分半ほどの動画となっているようだ。

震える手で、画面を押すと、映像が再生された。

 

 

部屋の中は暗く、真ん中に卓球台がどんと置いてあるのが圧迫感を増大させている、特に普通の部屋だ。しかし、卓球台の上で跳ねている物は普通ではなかった。最初は小さく白いピンポン玉サイズの球に見えた。しかし拡大してみると、ソレは人間の眼球だった。また、ソレは普通の眼球と違い、ある程度の硬さがあるようで、崩れることなく台の上をバウンドしていた。冒涜的な光景だが、なぜだか目が離せない。そして残り数秒に差し掛かると、あることに気づいた。この眼球、途中からカメラのほうに向いている。回転するでもなく、画面越しに俺と目が合っていた。そして終わる少し前、俺の頭の中に声が響いた。

 

「……み……つけた……」

 

そこで、映像は途切れた

 

 

 

「ッ!!!」

 

心臓がバクバクと震えている。いつの間にか尻餅をついてしまい、スマホを落とさないように指に力を入れるのが精いっぱいだった。

 

『SANチェック 1d3or1d6

成功値75≫63 成功

1d3≫1 SAN値75≫74』

 

体の震えが止まらない。ついに俺は“会って”しまっ....

 

「大丈夫、蓮くん?」

 

背後からの声に急いで振り向く。

見ると、見覚えのない整った顔をした女子生徒が無表情で俺のことを見下ろしていた。

そして、目線はさっき映像を再生していた俺のスマホの画面をがっつりと見ていた。

反射的にスマホをポケットの中に押し込み、すぐ立ち上がって相手に向き直る。

 

「あぁ、いや、大丈夫ですよ。別に何にも「さっきの映像」ッ!」

 

(やばい、見られたか…!KPなにか誤魔化しを....)

 

「この音、“人”のせいじゃないんだね」

 

「え....?」

 

「安心して、こういうのは普通の人より“慣れてる”から。」

 

改めて彼女の顔を見ると、不気味なほど落ち着いた表情をしていた。

 

「それってどういう『言い忘れていました』はぁ!?」

 

「?....落ち着いて、私は敵じゃない。」

 

「ああ、いや、そういうわけじゃなくて....」

 

どうやらいきなり声を出してしまったことを不審に思われてしまったようだ。

怪訝そうな目を向けられながら、心の中でKPに問いかける。

 

(言い忘れたって、どういうことだよKP?)

 

『このシナリオ(怪異)にはPLが二人おります。一人目は貴方。そしてもう一人は…』

 

KPは一拍空けて告げる

 

『目の前の、彼女です』

 




クトゥルフ神話技能入れるか迷ったけどあれって急に答えが下りてくるみたいな演出だからやめました。その代わりオカルトにちょっと振ってます。
ステータスは作中でも言った通り平凡を目指してます。技能振り分けの理由とかはできる限りには答えていくつもりです。

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