極めて一般的な転生探索者   作:ayuアユ

3 / 4
全然話が進まねぇ....


第三話 目玉の視線/仲間

(PL2?ってことはこの人も俺と同じ“力”を持ってるってわけか?)

 

『半分正解で、半分間違いです。彼女は貴方と同様に技能を使いシナリオ(怪異)に立ち向かう者の一人です。しかし、彼女には私のような進行がおらず、クトゥルフ神話TRPGとして物事をとらえることができません。』

 

(....つまり、怪異に立ち向かう一般人ってこと?意味深なこと言ってたのに?)

 

『そういうことになりますね。』

 

 

....KPとの会話を一旦止め、彼女のほうに向き直る。依然として表情を崩しておらず、こちらの対応を待っているようだ。

気まずい雰囲気に耐え切れず、こちらが先に口を開いた。

 

「あの、なんで俺の名前を知ってるんですか....?」

 

「え....私のこと、覚えてないの....?」

 

「あぁ、まぁはい。」

 

そう返答すると、彼女が明らかに気分を落としたのが分かる。

なんというか、こう、心にクるものがあり、焦って口を開く。

 

「せ、せめてお名前だけでも教えてくれたら思い出せるかも....なんて....」

 

「日向詩織....」ボソッ

 

『アイデアロール

成功値65≫78 失敗』

 

(ここで失敗かよ....何にも思い出せねぇ!ここはリアル記憶力で....)

 

「あ!?」

 

「!!!思い出したの!?」

 

えぇ、なにその食いつき具合....急にテンション上がってる....

 

「確か同じクラスの人ですよね。すみません、周りのことに気を配るのが昔から下手で....」

 

「そ....それだけ....?あぁ、うん、それであってるよ....」

 

なんかさらに落ち込んでるんだけど....でも、合ってるのになぜ....

 

「それより、さっきの動画....そこの部屋の中を取ったんだよね....」

 

やばっ、やっぱり見られてたか。なんとかごまかして....

 

「あぁ、ち、違いますよ。これは合成動画なんですよ。いや~ホラー路線は苦労した」

『日向詩織の心理学ロール

???≫??? 成功』

 

「....なんで嘘をつくの?」

 

(おいぃぃぃぃぃ!なんで日向さんがダイスロール使えてんだよ!)

 

『言ったはずです。あなた以外のPLでも“技能は”使えると。つまり、結果は見えませんけど判定は自動で算出されます。』

 

(言い方ってもんがあるだろ!)

 

「ねぇ、なんで....」

 

無表情で問いただしてくるのめっちゃ怖い....

でも....巻き込むのはもっとまずいし....

 

「貴方には関係ないこ「ある!」…!?」

 

急な日向さんの力のこもった返答に驚いて発言が止まる。

彼女は続けて言葉を発した。

 

「もう私の前で誰も失わさせない。蓮くんならなおさらだよ....」

 

 

....結局、泣きそうな目で見てくる彼女を、俺は拒むことができなかった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

それから、俺は彼女にこれまでの経緯を話した。無人の部室でピンポン玉の跳ねる音が聞こえること。スマホで撮影したら目玉が跳ねていたこと。

そのすべてを聞き終えた彼女は、怖がるでも騒ぐでもなく、終始落ち着いたままだった。

しばらく無言で考え込んでいた彼女だったが、急に俺に向き直り、口を開いた。

 

「蓮くんは先に帰っていいよ。後は私がどうにかするから。」

 

その発言に思わず面食らう。なぜかその言葉からは、不自然なほどの強い“決意”をひしひしと感じ取ることができたのだから。

 

「えっと、それはどういう....」

 

「こんな怪異は関わっても碌なことにならないよ。蓮くんはこんな経験ないだろうし、言い方は悪いけど、一般人には危険すぎるから。」

 

「....」

 

(これは....どういうことだ、日向さんは怪異について何か知ってるっぽいし....。KP、何か知らないか?)

 

『PLの情報開示には双方の同意がないと行えません。』

 

(....もうちょっと温情のあるキーパリングしてくれませんかねぇ....)

 

 

諦めてKPとの会話から意識を逸らし日向さんの方を向くと、彼女の姿がない。

急いで彼女の姿を探すと、今まさに部室のドアノブに手を掛けている状態だった。

 

「な、何してるんですか!さっきの話聞いてましたか!?」

 

急いで彼女の手首をつかみ、扉から離す。

 

「?....調査しようとしてるんだけど。」

 

「そんなすぐに行くことないでしょう!それに、さっきのことで納得したわけじゃないですから!」

 

「なんで?あなただって怖いでしょう?」

 

「だからって、行かない理由にはなりませんし、貴方を一人で行かせるのは自分の性に合わないです!」

 

『信用ロール

成功値65≫53 成功』

 

ダイスロールは成功。これでうまくいってくれれば....

 

「やっぱり、あなたは....ううん、なんでもない。分かった、一緒に行きましょう。」

 

「....えぇ、分かってくれたようで何より....」

 

あぶねぇ~流石に一人で行かせてロスト…は胸糞悪すぎるからな。

そういえば、少し微笑んでいたように見えた気が....。

 

「じゃあ、どんな方法があるの?」

 

(....やば、全然考えてない。でも、情報はあらかた出し尽くしたはずだから、部屋を開けるかどうかの二択くらいか....?)

 

「....よし、自分先頭にして入りましょう。」

 

「さっきと変わって無くない?」

 

なんか聞こえる気がするが、無視だ無視!

彼女の呆れたような目線に耐えつつ、扉の前まで来る。

 

「あぁ、そうだ。なるべく視線は下げて、目を見ないようにした方がいいと思いますよ。」

 

(目玉がいたのは台の上だから、たぶん大丈夫なはず。それに、さっきのスマホの様子から察するに、あの目玉は“視認される”ことが認識の条件だと思うし....えーい、ままよ!)

 

目線を下にしたまま、部室へと入る。ピン球が跳ねる音は止まらないが、あの声は聞こえない。

少し前に進むとふいに、ボールが床に落ちたような、一際大きい音が響く。

そしてすぐに、目の前に何かが転がってきた。

それは先ほども見た、人間の目玉に似たまんまるとした物体。

そして俺はソイツと、目が合ってしまった。それと同時に、頭の中に声が響く。

 

「みつけ…た…」

 

 

「....!!」

 

『SANチェック 1/1d3

成功値74≫56  成功 SAN値73』

 

急いで踵を返し逃げようとした瞬間、後ろから声が響く。

 

「上に“ナニカ”いる....!見上げちゃダメ!」

 

日向さんの言葉の通りに、上を見ないまま振り返り、外へ出る。

そしてそのまま扉を閉じると、声が収まった。

 

(あぁ~やらかした。そうだよな~球なんだから転がれるよな。もっと慎重になってれば....)

 

「大丈夫だった、蓮くん?」

 

そちらを見ると、日向さんが俺の顔をのぞき込んでいた。不安そうな表情をしており、どうやら心配してくれているようだ。

 

「全然大丈夫ですよ。それにしても、あんなこと言ったのに不甲斐ないばかりで....そうだ、中の状況を説明しときますよ。」

 

そうして先ほどの出来事を日向さんに伝えると、無言で考え込んでしまった。少しすると、頭の中で声が響く。

 

『日向詩織:複合ロール

オカルト 成功値??≫?? 成功

クトゥルフ神話 成功値??≫?? 失敗』

 

...............は!?

 

(ん~?KP、なんかミスしてないか~?)

 

『いいえ、正式な判定を行いました。』

 

(そっか~。じゃぁ、なんでこの人クトゥルフ神話技能持ってるんだよ!

一般人っつってただろうが!)

 

『....日向詩織の技能は彼女の過去の経験に基づいたものです。第一、私はあなた専用のKPなので過去のことなんて詳しく知るわけないでしょう。』

 

(なんであんたがやれやれ感出してんだ、こちとらそこんとこの情報全部KP頼りなんだよ?)

 

....はぁ、まったく厄介なKPを持ったものだ。ていうか、クトゥルフ神話技能持ってるってことは、彼女はほんとに“慣れ”てるってこと....

「考え込んでるところ、少しいい?」

 

「あ、はい。」

 

どうやら不自然に思われてしまったようだ。今後はこういうところに注意が必要かもしれない。

 

「あの目玉は、話を聞く限り目が合うことが認識される条件ってことでしょ?いま、扉を閉めたら認識されなくなったのなら、なんで最初あなたに目を合わせようとしたのか、それに、なんで“最初から”認識されていたのかが疑問なの。」

 

「....!!。あぁ、たしかに!」

 

「なんとなく答えは出てる。ずばり、今もうっすら認識されているってことじゃない?蓮くんの“スマホ”から。」

 

....!その答えを聞き急いでスマホを取り出す。そう、最初に部屋の中を取ったあのスマホだ。

 

「....たしかに、自分は“動画の中で”目を合わせた....!?」

 

「なら、話は早いよ。その動画を消せば、相手からの認識をすべて絶てるってことじゃないの?」

 

急いでスマホを操作し、あの忌々しい動画を消す。すると、急に周りの空気が軽くなったように感じた。そう、まるで“視線”が消えたように。

俺の反応で察したのか、彼女は少しだけ自慢げな表情をして向き直る。

 

「あんなこと言ってくれたんだから....私も、活躍しないとね。それに....」

 

彼女は一区切り置いて言う。

 

「未だに敬語外してくれないよね。私と蓮くんはもう、“仲間”じゃないの?」

 

....転生してから、いつもそうだ。人を“仲間や友達”と思うのが苦手だったいや、心を許すことができなかったのだ。。

 

「....はぁ、そうだ。日向さ「詩織」....詩織の言うとおりだ...」

 

力なく出た俺の声に、彼女は嬉しそうに答える。

 

「うん....蓮くんはそっちの方が似合うよ。」

 

....最初よりずいぶん表情を出してくれる彼女を見ながら、俺は怪異に立ち向かう覚悟を決めるのだった。

 




馴れ合いパート終了!次回から探索一筋じゃ!

よろしければ感想と評価お願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。