冷たい空気が頬を刺す。
吐く息が白く溶けていくたび、冬の街の灯りが少しだけぼやけて見えた。
「……司センパイ。」
彰人はコンビニの袋から2つのカップを取り出し、片方を差し出す。
中身をこぼさないように、慎重に。
「おお、これは……! なんと香り高いココアじゃないか、彰人!!」
「……大げさだな。普通のホッコココアっすよ。」
夜の広場には、小さな屋台と人々の笑い声。
司を含めるワンダーランズ×ショウタイムが出演したステージの余韻がまだ残る時間。
2人は照明の落ちた会場を抜けて、人気の少ない場所に並んで立っていた。
「だが……彰人とこうして飲むと、格別だな。」
「格別……?」
司は両手でカップを包みながら、彰人の方を向いてふっと笑う。
その横顔を見て、彰人は息を飲んだ。
照明に照らされたグラデーションのかかるホワイトゴールドの髪が、司の笑顔が、仕草すべてが、まるで光そのもののように輝いていたから。
「……司センパイ、目、閉じてください。」
「……こうか?」
彰人は周囲を確認し、そっと司の唇にキスを落とす。
数秒後、顔を上げると、司は目を見開き、頬は赤く染まっていた。
「あ、あ、あ、あき、あ、あき、と!?」
「ははっ。めっちゃ噛んでる。」
「……笑うなっ!」
「じゃあこっちなら、どうなんすか。」
彰人は前髪を上げ、隠れたおでこにキスをする。
「〜〜〜!!!……っ。」
「……? センパイ。……司センパイ?」
咄嗟に顔を隠した司が、ホットココアの容器から少しだけ顔を出す。
「あ、彰人……。そういうのは、家に行ったときに……。」
「続き、していいんすか。」
「あ、ああ……。」
そう言いながらも、司は耳まで赤くしそっぽを向いた。
「……手、冷えてねえか。」
「うむ、まあ……少しな……。」
「だったら……。」
彰人はふと、司の手を包むように自分の手を重ねた。
一瞬、静寂が訪れる。
街のざわめきが遠ざかって、雪の降る音が聞こえるような気がした。
司が息を飲む。
「彰人……?」
「……なんか、こうしてると、冬も悪くないっすね。」
その言葉に、司の瞳がやわらかく揺れる。
そして小さく微笑み、彰人の頬にキスをする。
「……!?」
「これでお相子だ、彰人!」
照れ隠しに視線を落とした彰人の頬に、司の指がそっと触れた。
温かい息が、頬をかすめた。
「……ホテル、行きますよ。」
「ホ……!?」
「……有無は言わせません。行きますよ、司センパイ。」
「あああぁぁぁ!!!マフラーを引っ張るな、彰人!!引きちぎれてしまうだろう!!!」
「……そんなに俺とホテル行くの嫌っすか。」
「い、嫌ではないが……。」
「じゃあ早く行きますよ。
今夜は喉が枯れるまで大声で喘がせます。」
「なっ……!?」
そう司は驚きながらも、ココアを片手に彰人の後をついていく。
冬の灯りの下、2人の影がすれ違いながら重なり合っていった。