Wizardry Variants Daphne ~ ナナシノユーコ   作:まつだあきら

12 / 14
気が付けば、前回アップした1周年から半年たっていました。
ダフネプレイヤーの皆さん、1.5周年楽しまれていますでしょうか。
うちの仮面はユーコちゃんと豪雪地帯の4周目大異形をシバいてます。


12.寄る辺なき盗賊ビビアナ

 ビビアナはかわいい。

 中学生のころ仲良くなりたかったクラスメートに、ビビアナみたいな子がいた。

 ボーイッシュというほどではないけれど、かといって女の子らしいとも言えない中性的な容姿。

 ヘアバンドで、デコ出しスタイル。

 彼女はいつも教室を、廊下を、活発に動き回って走り回って、思わせぶりな言動で男子をからかってケタケタ笑っていた印象しかない。

 仲良くなりたかったけれど、仲良くなれなかった。

 別に嫌われていたわけではなく、普段仲良くしていたグループが違っていたのもあった。

 彼女はどちらかといえば不良というほどではないギャル寄りのグループと仲良くしていて、私は地味でオタク気質の子と普段は一緒に居ることが多かった。

 席が近くなったり何かの係を一緒にやるような機会もなく、そうしているうちに学年が変わってクラスも別々になり、別々の高校に進学した。

 そういうクラスメートは何人もいたけれど、同性の私から見てもかわいいなあと思った彼女のことは強く印象に残っている。

 彼女の名前は、なんて言ったっけ。

 ビビアナは、その彼女が高校に進学してから闇落ちして、世の中に対して斜に構えてしまった、というのがゲームで初めて見たときの第一印象。

 闇落ちしていたとしても、ビビアナはかわいい。

 自分にはない、活発さや思い切りの良さに憧れがあったのだろうか。

 はじまりの奈落に向かう町はずれで、女子高生みたいな良い匂いがするビビアナの後ろ姿を眺めていて、私はそんな自己分析していた。

 

 典籍時計でレベルアップした私は、数日訓練室で仲間と訓練してから仮面の冒険者メメント・コルの一行に加わって探索に出かけることになった。

 まだ等級試験も受けず、無等級のまま。

 すでにけっこうな人数の仲間がいたのだけれど、全員が全員万全の状態ではなかった。

 精神的な活力、アニマが回復したメンバーを寄せ集めて、騎士団の国王救出の探索に参加していた。

 寄せ集めもいいところで、私がプレイヤーだったらこんな編成はしない、というパーティメンバーでの探索だった。

 前衛は仮面の冒険者と戦士ゲルルフ、そして盗賊ビビアナ。

 後衛は僧侶マリアンヌと魔術師エカテリーナ、そして私。

 たしかにタブレットで仲間たちの状態はわかっていたけれど、他のメンバーで組めなかったのかという思いしかない。

 性格悪のゲルルフとビビアナ、マリアンヌと私は善、そしてエカテリーナは中立。

 わかりやすいほどの善悪混成。

 私もダフネをプレイしていた最初のころは性格のことはよくわかっていなくて善悪混成パーティで探索していたけれど。

 だんだん仲間の友好度が上がらないことに気づき、仲間がもつ属性や性格でのバフを受けられないことにも気がついて、性格や属性を意識するようになったのだけれど。

 自分が冒険者としてパーティに入ってみてよくわかった。

 これはダメだ。

 パーティの空気が悪すぎる。

 性格悪の二人の態度が悪すぎる。

 酒場でメメント・コルに声をかけられた時、すでに準備していたゲルルフに「腑抜けた顔の連中ばかり集まりおって」と悪態をつかれた。

 プレイヤーとしてゲームで言われる分には、ふふふ、と受け流せる悪態だけれども、面と向かって言われるのは結構きつい。

 なによりこの世界の住人である私の中のもうひとりのユーコにとって、ゲルルフは伝説の冒険者である以上に伝説の鍛冶職人でもあり。

 つまりは憧れのような特別な感情を抱いていた存在だったからだ。

 そしてビビアナ。

 彼女は今回の探索で最後に決まったメンバーだった。

 盗賊もミラナとジャン、デボラとは実際に会って仲間になっていることは確認していたけれど、いざ探索という時に捕まらなければ意味がない。

 タブレットで他にも仲間になっている盗賊がいるのは確認していたけれど、どこにいるかはわからなかった。

 デボラは他の獣人たちを連れて大体どこかに出かけているようだったし、ジャンも酒場や訓練室でたまに見かける程度、ミラナに至っては最初の顔合わせ以来、会ったことがない。

 今度ジャンに会ったら、普段盗賊は何をしているのか聞いてみようか。

 そして今回は、たまたまビビアナがギルド酒場にいた。

 メメント・コルが声を掛けて、彼女が渋々探索に同行することになった。

 ゲルルフのような悪態はつかなかったけれど、彼女のために用意した短剣や弓を渡そうとしたら「気やすく話しかけないで」と冷たく言い放たれてそっぽを向かれてしまった。

 

 今回の探索ははじまりの奈落の4フロア目、ゲーム的にはB4Fのハーケンから探索を開始し、そのまま5フロア目のB5Fを騎士団と手分けして探索するのだという。

 カースドホイールで「目覚め」に戻ったあとのメメント・コルの冒険は順調で、今度はエルモンを含め誰も死なせることなく進められているという。

 B5Fは「異形の巣」だ。

 アルバーノとひと悶着あるんだよなあと思って探りを入れてみたら、色味の違う大口の異形と交戦後に見つけた奈落の遺物をすでにアルバーノに渡した後らしい。

 異形の数が多く、ある程度討伐したものの騎士団も一旦撤退し、態勢を整えてから仮面の冒険者たちと合流してB5Fを探索する段取りだという。

 ハーケンから下層へ降りる階段へ向かう途中、いわゆる敵対的な冒険者たちと遭遇して戦闘になった。

 私にとって初めての戦闘だ。




個人的なビビアナのだいたいのイメージって、若干中性的なメスガキJK、なんですよね。
親密度が高くなってから、ですけれど。
本文中のビビアナはまだそこまで行ってないですね。
うちではメイン盗賊の一人です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。