一人の少年が居た
彼は剣の達人であり「剣豪」と呼ばれていた
一人の少年が居た
彼は戦において高い戦闘能力を発揮し「戦王」と呼ばれていた
二人は二つの顔を持っていた
一人は「貴族」と「剣豪」
もう一人は「猟兵」と「戦王」
戦いにおいて天才と呼ばれた二人は理由は違えども心に闇を抱えていた
「剣豪」は幼少期の旅の中で無残に死に行く人を助けられなかった過去
「戦王」は戦う事でしか自分の価値を見出せなかった過去
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七耀歴1204年3月31日 近郊都市トリスタ
ライノの花が咲き乱れる都市
そのトリスタにて少年少女らがそんな都市を歩いていく
トールズ士官学院
かつて大帝・ライケルス・ライゼ・アルノールが設立した学院である
士官学校ではあるものの卒業者の全てが軍属になるのではなく別の道を歩む事も今ではすくなくはない
「・・・相変わらずこの季節はライノの花が咲いてて綺麗だな」
少し大きめのバッグを肩に抱えた藍色の髪の青年「ライガ・アロンダイト」はそう呟いた
今までも何度か訪れている都市ではあるが変わらない光景に胸を躍らせた
ライガはそのままトールズ仕官学院に向かって歩き出す
そして学院の門に入ると
「入学おめでとうございます!」
ライガに緑の制服を着た少女が話しかけてくる
「ありがとう・・・ございます?」
「君は・・・ライガ・アロンダイト君?」
「ああはい、そうです、ってかなんで俺の名前を?」
「それは後々分かるよ」
先輩らしき少女の後ろから作業服の男が話しかけてきた
「ライガ君、それが君が申請した品かい?」
「あ・・・そうですけど」
ライガはバッグを先輩に渡した
「っと・・・結構重いね」
「まあ、そうっすね」
「これは後で返されるから、心配はしないで」
「了解です」
「入学式はあちらの講堂であるから、このまま真っ直ぐどうぞ!、ライガ君、トールズ仕官学院にようこそ!」
「おめでとう、充実した二年を送ってくれ」
「うす、ありがとうございます」
「何か困ったらなんでも相談してね。私はトワ・ハーシェル。この学院の生徒会長をしているから」
「・・・え、あっはい」
ライガはちょっと困惑しながら講堂に向かった
(・・・あの人生徒会長には見えなかった・・・)
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「・・・そろそろ起きろよ・・・フィー・・・」
ベンチに寝ている白銀の髪の少女に向かってホワイトグレーの髪の少年が声をかけた
「・・・あと96時間・・・・」
「いくらお前でも凍死するからやめろ、てか入学式に遅刻するからな」
「・・・アラシは相変わらず頭が固い」
「俺は常識を言っているんだよ・・・」
漫才のような掛け合いをする少年と少女
少年よりも年下だと思われる少女は「フィー・クラウゼル」
そして少年が「アラシ・ストリーム」
「・・・分かった、おんぶして」
「絶対に断る、さっさと歩け」
「ケチ」
「ケチで結構だ、ほら行くぞ」
フィーはしぶしぶベンチから降りて歩き出す
この二人もまたトールズ仕官学院へと向かっていった
そして二人もライガと同じように自らが申請した「品」を渡した
「・・・フィー・・・なんでお前それを持ってんだよ」
「ライガだってナイフを持っているじゃん」
「俺のは色々と用途がある万能ナイフだから良いんだよ」
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入学式
ライガは黒髪の少年の隣に座って学院長の言葉を聴いている・・・ふりをして寝ていた
「zzz・・・・」
「・・・」
その光景を黒髪の少年とその隣のオレンジの髪の少年が見ていた
「な、なぁ・・・君」
「zzz・・・・」
「全然起きる気配がないね・・・」
二人は少し呆れていた
が
「・・・!?俺は寝てない!寝てないぞラウ・・・って気のせいか」
ライガはまるで何かに怯えるように目を覚ました
「ど、どうしたんだ?」
「ああ、いやなんでもな・・・・・・・・・・い」
ライガは何かに気づいたように別方向に視線を向けた
「?」
黒髪の少年はその視線をたどる
するとそこには青髪の少女が居た
「彼女がどうかしたのか?」
「・・・ああ、ちょっとな・・・っと、俺はライガ・アロンダイト」
ライガは謎のタイミングで自己紹介をした
「俺はリィン・シュバルツァーだ」
「僕はエリオット・クレイグ」
「ん、リィンとエリオットか、よろしくな」
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入学式終了後教師と思われる女性の手引きで赤い制服の生徒は「オリエンテーション」というのが行われるらしき場所にむかった
アラシも赤い制服でありそこに向かったのである
しかしそこは旧校舎でありどうみても普通ではなかった
そしてアラシが入った瞬間に
「「!」」
ライガが反応した
そしてアラシもまたライガに対して強く反応する
(・・・なんで・・・あいつがいるんだよ・・・全然気づかなかったぞ・・・)
(・・・入学式に遅刻しちまったが・・・なるほどあいつもいるのか)
その後は他の生徒には感じないレベルでの「殺気」の飛ばしあいが続いていた
(クソが・・・一々殺気がうぜえ・・・・・・・にしてもどうして床の下に空洞があるんだ?)
アラシがイライラしながらも床の先の空洞に集中していた
断片的にしかアラシは話を聞いておらず分かったことは
身分に関係なく選ばれたのが赤い制服の生徒である事だけであった
「それじゃあ・・・いってらっしゃい♪」
そう教師が言った瞬間にアラシは跳躍しライガは一瞬にしてフロアの端へと移動した
すぐにフロアの床があきほとんどの生徒はずり落ちていくなかライガは端にいるため落ちずアラシは天井に「立って」おり落ちることはなかった
フィーもまた仕込んでいたワイヤーで天井にくくりつけて落下を阻止した
「・・・あんたら・・・相変わらずライガはおかしいしアラシはライガ以上にやっていることがひどいわね・・・フィーのやっている事がまだましに見えるわ」
「ま、いかないと駄目ってことか」
アラシはそう言って天井を蹴って自らの体勢を反転させ落ちていった
「・・・」
ライガは無言で飛び込んでいった
「ほら、フィーあんたも行きなさい」
「・・・はーい」
フィーはワイヤーを外しそのまま落下していった