天草四郎になった私のテイワット旅行記 作:通りすがりの希望厨
—ニコとティレルが話していた頃シロウは...
「はぁ...ようやく到着しましたか...」
と私はそう一人で呟く。送られてきた情報を整理した後私は精神的に疲労した状態ながらなんとか進んでいき博士の研究所までたどり着いた。ようやくここまで来ましたか....日数にして1日2日だと言うのにかなり疲れましたね。初日も執行官3人に囲まれるような展開になるし寝ようと思ったら色々な人が連絡を取ってくるしそして宴会を終えて結構上機嫌だったのに情報の海により精神的に疲労し...幸いなことにナドクライのみなさんは私に好意的な人が多かったのでなんとかこれましたが仮に全員があまり歓迎してくれなかったのを想像すると...少しで済むかはわかりませんが凹むでしょうね...などとそのようなことを私が考えていると、
「来たか。多少は遅くなることも考慮していたがその心配は必要なかったようだな。」
とそう言葉を発しながらこつこつと足音を立てながら博士が近づいてくる。出迎えてくれるとは手厚い扱いですね。...と思いましたがおそらく博士からしてみれば初めてのサーヴァント、さらにはルーラーと言うクラスである私に興味を持っていると言うのが大半の理由ですか。こいつの目的は最初から最後まで知的好奇心のはず。であるならば私が博士にメリットを提示していればある程度は動きの制御が可能なはずだ。ただこいつの側には富者がいる。博士のみならず富者とも知恵比べをすれば負けるのは私の方。あくまでも行動を誘導できる「かも」という認識で留めておくのが正解でしょうね。
「おや、貴方から迎えに来てくれるとは。むしろ遅かったな、くらいは言われると思っていましたよ。」
とそのようなことを考えながら私も博士の方へ歩くながら言う。これからすることは紛れもなく生命への冒涜とも言える実験だ。天草の体でそれをするのは少し抵抗もあるが天草も目的のためならこの程度のこともやるはずだ。そもそも今の私はサーヴァントですから生命の冒涜にもなりません、くらいちゃっかりしてそうな気もしますね。
「遅れて困るのはお前だからな。私としては期限が過ぎようともどうでもいいが同行者と別行動をとっているお前としては早くその者と合流して安全を確保しておきたい、と言う気持ちにでもなっているのだろう?人は時に損得勘定抜きにして動くことがあるのは今まで部下や実験体になった者たちでよく見て来た。それを見た上で言わせてもらうがやはり私には理解できないのだ。私の友人パンタローネは『大多数の人は無意味な行動にプライドや命をかけることがある。大体は自暴自棄になっているだけですよ。』と言っていたが人とはそういうものだとお前もそう思うか?」
と博士は私に聞いてくる。持論を語れと言うことでしょうか...いいでしょう、お互い相容れない関係だとしても相互理解は大事です。
「私としてはそのような行動はあまり褒められた行為ではないとは思います。復讐心や絶望からくる特攻はそれは勇気ではなく無謀なことが多いですから。ただしだからといって人自体を否定するつもりはありません。私からしてみれば人は不完全だからこそ人たり得るのです。完璧な人がいたらそれはもはや人ではなく、上位種やそれにあたる存在ということでしょう。ですが私は貴方達と違い人を信じているんですよ。だから私は人々を救うんです。きっとそれが世界を正しい方向に進むことになる第一歩だということを信じてね。」
と私はそう自分の持論を語る。正直に言えば私も人間はあまり好きではない。人は平気で裏切るし嘘をつくし自身は安全圏から好き勝手にものを言う。相手に変わることを強要しておきながら自分は変わる努力はしない。無論そのような人ばかりではないということは百も承知ですがそのような考えを持っている人物が少なからずいるのは間違いない。テイワットも善人ばかりではありませんからね。ただそれでも私は人を信じたい。人の善性に賭けてみたい。しかしもし仮にいずれはテイワットが人の手で滅びに向かうと言うことになれば私も天草のように...
「ふむ...要するにお前は人の前世とやらを信じているのだな。そこが私とお前の思考の理解が難しい理由の一つでもありそうだ。」
とそのようなことを考えていたら博士がそのようなことを言う。博士が私を理解しようとしていたとは...私の思考を予測して私の行動を誘導でもしたいのでしょうか。あまり饒舌すぎるのも控えた方がよさそうですね。
「貴方が私を理解する時はないとは思いますが理解してくれようと言う努力は認めますよ。私も貴方を完全に理解しているとは思っていませんし、完全に理解してしまったらそれはそれでどうなのかって言う話でもあります。私から貴方、貴方から私、そのどちらでもね。」
とそう博士に言っておく。博士が今ここで研究の手を休めてしまっては私の知らない功博士の功績次第では詰んでしまう可能性もある。であるのなら万が一博士の研究意欲を低めるようなことになるのは避けなければ。心配はいらないとは思いますけどね。
「なるほど...まぁいいだろう。ではついてくるといい、研究所内を案内しよう。」
と私がそのようなことを考えていると博士はそう言った後私に背を向けて歩き始める。その言葉を聞いた私は少し警戒しながらついていくのであった...