天草四郎になった私のテイワット旅行記 作:通りすがりの希望厨
—研究所内部 博士の部屋
「さて、さっそくお前の体を調べるために実験を開始したいのだが...そちらも異論はないな?」
とあれから博士の自室まで案内された私はそう博士に確認される。自室といっても物はほとんど置いておらず置いてあるものといえばまだ来たばかりの書類が机の上に置いてありピアノが置いてあるだけである。本当に研究以外はあまり頓着がないんですね...てっきり実験関連の書類が大量に置いてある部屋なのかなと思っていましたが...いえ、考えてみれば博士は自分の興味が失せた物には無頓着になります。調べ尽くしたものに関しては直接覚えているから書類など必要ない、ということでしょう。などとそのようなことを考えながら私は、
「ええ、私は特には...っと、断片を作ら始めたらもしや私は動けない状態になるのでしょうか?それなら一度連絡を入れておかなければ心配をかけてしまうことになってしまいます。」
とそうティレルさんのことを思い出して博士に聞く。もし動けない感じならティレルさんにその旨を伝えないと無用な心配をかけてしまうことに...いえ、博士の実験に付き合うという時点で危険だということは否定できませんが連絡はしないといけないですよね。まぁ危険なことをしようとしているのがバレて怒られるならまだしも泣かれでもしたら困ってしまうのですがその時はその時ですよね。とそのようなことを私が考えていると、
「共に冒険するものがいるというのは面倒な手順を踏む必要が出てしまうようだな。もっとも私は冒険者ではないゆえお前の立場に共感できるなどということはないが、そうだな。私としても今回でお前について全て調べれるとは思っていない。暴走したマスターのいないサーヴァントはごく稀にテイワットに現れることもあるがそれも数年に一度と言った頻度、しかも戦闘不能にすれば体が消えてしまうなどの要因によってほとんど研究に使うことなど出来なかった。わかるな?私にとってお前はルーラーのサーヴァントである以前にサーヴァントだと言うこと自体が興味の対象なのだ。お前の同行者にまだサーヴァントはいるようだがお前のように利口なタイプには見えん。おそらく取引を持ちかけたところで無駄なのだろう。結局のところ私がリスクを極力回避したやり方でサーヴァントを研究できる機会というのは今回が初めてなのだ。ここまで胸が躍る研究が出来そうなのも久方ぶりだ。」
とそう博士は語り始める。...はぐれサーヴァント、テイワットに出ることもあるのですか。それの原因はおそらくまだテイワットの世界に聖杯があるから、と言うものなのでしょうが...聖杯があるだけだとしたらはぐれサーヴァントが出るとも考えにくい。もしかしたらこのテイワットには私の知らない異変がすでに起きていたと言う事か...?特異点や異聞帯の場合は人理側からの助っ人だと言う理由付けがあったような気がするがそれと同じような理由なのであればこの世界はすでに大きな問題を抱えて...いえ、そうだとするなら暴走状態なのが納得ができない。そんな状態で召喚したりするも助っ人どころかかなり強い神出鬼没な災害のような存在程度の価値にしか...今考え込むのはやめにしましょう。と自身が再び憶測に夢中になりそうになっていたのを理解した後私は、
「要するに体は万全な状態にしておけ、と言うことでしょう?それなら少し空いてるお部屋をお借りしたい。休むのもそうですが先ほども言った通り連絡するべきこともありますので。」
とそう博士に言う。その私の言葉を受けた博士は、
「構わない、この部屋から出て右奥の部屋が今は使われていない空き部屋になっていたはずだ。あまり上質な物とはいえないがソファやベットも置いてあるはず、この建物内で人の目を気にせず休める部屋はその部屋くらいだろうな。もっとも私はお前がどこに居ようと位置を把握することなど簡単にできるがな。」
とそう自分の方がお前より上だと言いたげな態度でそう言う。あいも変わらず自分の力を相手に自慢をする...ファデュイ執行官第2位、博士『ドットーレ』本名はザンディク。意味は異端者、でしたかね...彼が自分の力を誇示したがるのはやはり過去の出来事が原因な可能性が高そうですね。なんと言っても自分の子供に異端者の意味を持つ名をつけるほどの親なのですから。博士の身内にならなんだってしていいと言う価値観も子供の頃から刷り込まされてきた物、だと言うのが納得しやすい理由付けですが...元々根っからの異常者と言う可能性も捨てきれませんね。その辺は本人から聞く以外に知る手段などないのでしょうが。などとそのようなことを私は考えながら博士の部屋のドアノブに手をかけて、
「わかりました。ではお部屋をお借りしますね。」
と長ったらしかった後半の部分をほとんど聞き流しながらそう答えて博士の部屋から出ていくのであった....