天草四郎になった私のテイワット旅行記 作:通りすがりの希望厨
—それから数時間後、スメールシティの入り口前
「ふぅ...ようやく着きました...」
と言いながら私は壁にもたれかかる。多少この右腕のせいで目立っているようですが気にするほどでもないでしょう。それより早く二人に合流したい。シャドウサーヴァントについてもそうですが少し前に博士が言っていたはぐれサーヴァントのことも二人から情報が聞けるのなら聞いておきたい。博士の言葉を適当に聞いていただけでしたから動揺してしまいました。こんなことなら博士の言葉をもう少し詳しく聞いておけばよかったですね...反省しなければ。とそのようなことを私が考えながら壁から離れてティレルさん達と合流しようとドドコ通信機に手を伸ばしたその時、
「...シロウさん?」
とずっと聞きたかった声が耳に届いてくる。この声は...よかった、なんの問題もなかったようですね。
「ええ、遅くなり申し訳ありません。ティレルさん、私がいなかった間に何か問題はありましたか?」
とほっとしながら私はその声が聞こえてきた方を向き、そう質問する。ティレルさんの様子は別れた時から何の変化もない...わけでもないらしく、多少アクセサリーなどが付いているのが目についた。おや、ティレルさんがアクセサリーとは...本人がそのような物に自分から買おうとするのは考えにくい。おそらくアストルフォ、あるいはスメールで新たに出来た友人あたりと買った物でしょう。どちらにしてもティレルさんはちゃんと生活できていたようですね。
「そのことについては特に気にしてないですけど...あのシロウさん、その右腕は...?」
と私がそのように思考しているとティレルさんが私の右手を見てそわそわしながら質問してくる。誤魔化せるわけもありませんね、見たまんま重症ですし。無用の心配をさせてしまうことになりましたが仕方ないでしょう。
「ああ、これですか。これは先ほど負った傷です。とは言ってももう応急処置は済ませてありますし私の見立てでは三週間ほどすればいつも通り動かせるようになるでしょう。」
とそう傷について説明する。自分の体の状態くらいは私にもわかります。右手は槍に貫かれそれはつまり骨ごとやられたと言うこと。サーヴァントの体ではありますがどうやら瞬時に回復するわけでもないようです。まぁどちらにせよしばらくは片手で戦えば済む話なのでいいのですが。とそのようなことを私が考えていると、
「でもその傷ならお医者さんとかに診てもらった方が...」
とティレルさんは心配らしくそう言ってくる。...本来なら私もそうしたいのですがね。とそう私も同じことを思いながらも、
「...それはティレルさんのお願いでも断らざるおえませんね。言ってはいませんでしたが明日には璃月に向けて出発しなければなりませんから。」
とそうティレルさんの提案を断る。もう旅人さんは璃月についていて、早ければもう仙人たちとの顔合わせも済んでいるでしょう。そうとなると私に残された時間は残り少ない。アストルフォの宝具を使用し、層岩巨淵を丸々ひとっ飛びしてもらうしかないでしょう。あそこで何日も時間を食うわけにも行きませんからね。とそのような思考をしていると、
「明日にもう出ちゃうんですか!?シロウさんはまだほとんどスメールを楽しんでないんじゃ...」
とまだスメールに何日かいるものだと考えていたらしくそうティレルさんは驚きの声をあげる。...しまった!ティレルさんが何か約束事をしている可能性を考えていなかった!と私は考えつき、
「すみません、先に言っておけばよかったですね...もしかして友人と何か約束事をしていましか?それなら仕方ありませんしまた別行動をするしかありませんが...」
と申し訳ない気持ちになりながら言う。しかしそうなると層岩巨淵を私一人で越えなければ...猛ダッシュすればなんとかなるか...?と私一人で層岩巨淵を越えるプランも考えていると、
「あ、いえ!その心配は大丈夫です!ただ...シロウさんがずっと無理しているのが気になっただけですから。」
と最初は焦って訂正してくるが後半の言葉を発する時には私をまっすぐ見つめていた。...なるほど、私はいささかティレルさんを過小評価していたようです。想定外の出来事にはただ戸惑うことしかできないと思っていた部分はありましたが、どうやらそれは間違いのようです。彼女はただ耐えるだけの人間ではないと言うことですか。
「心配せずとも、璃月の問題が解決した後はしばらくの間は暇になります。その間色々祭りなどもあるでしょうしその時に休もうと考えています。これで納得してくれますか?」
とそう私は彼女の目線を真正面から受け止めながら答える。その私の答えにティレルさんはまるで嘘がないかを確認するように私も見つめてくるが数秒後にはいつもの表情に戻り、
「...その言葉は信じます。」
とそう私に言う。さて、この一週間でティレルさんも多少は変化があったようですね。彼女のメンタル部分は元々持ち合わせていたものでしょうが私を疑うような言葉はおそらく私がどのような道に行くのか見定めるという意味も込められていたのでしょう。まったく、誰の影響を受けたのやら。
「ありがとうございます、その信用を裏切らないと約束しますよ。ところでこの一週間いい出会いがあったようですね。何があったのか歩きながら教えてくれませんか?」
とそう私は一応誰に会ったのかを確認するため、そして普通に何をしていたのかに興味があったためそう質問すると、
「あ、それなら今から知り合いのところに行こうと考えていたんです。シロウさんも一緒に来ますか?あの人もきっとシロウさんと話してみたいでしょうし。」
とそうティレルさんは私に提案してくる。おや、友人と約束でもしていたのでしょうか。後1日ずれてなくてよかったです。とそのようなことを考えながら、
「迷惑でないのならご一緒させてもらいます。仮にダメだった場合はその時別行動になればいいだけですからね。」
とそう返した後私は久しぶりに彼女と会話しながら歩いて行くのであった...