天草四郎になった私のテイワット旅行記 作:通りすがりの希望厨
「以前と姿形変わらず...きみはやはりあの時死んでいなかったようだな。」
と私を見下ろしながら死の執政、ロノヴァが言葉を発する。まさかこのタイミングで執政が来るとは完全に油断していました...執政相手に私程度の口八丁が通じるとは思えませんがとにかく今は相手の出方を伺うしかありませんね。とそのよう考えながら私が臨戦体制に入ると、
「何やら考え込んでいる様子だな。とは言え今はきみの考えがまとまるまで待っている時間もない、はやく要件を済ませるとしよう。」
とロノヴァは呟くと目線を私からティレルさんの方へ移す。なっ....まさか!?と私はそう思考した直後に地面を蹴る。それと同時にロノヴァはティレルさんの方へ指を向け指先から光線のような物を放つ。先に地面を蹴り上げていたことにより攻撃が直撃する前にティレルさんの側に行くことができ、そしてロノヴァの攻撃を防いだ。それを確認したロノヴァは心底面倒くさいと言った表情を浮かべながら、
「私の仕事に干渉するな、天草四郎時貞。」
と私に言ってくる。...先ほどまでの発言から察するに目的はティレルさんと見て間違いないでしょう。そしてイスタロトの名前が出たと言うことはこの異様な状況の原因は目の前のロノヴァではなくどこかにいるイスタロトと言うことか...?とどうにか状況を整理しようとするが、
「私の前で考え込むなんて、随分余裕がありそうだな。」
とロノヴァがそう発言した直後、全方位から空中に禍々しい目の紋様が現れその目から全方位から光線が放たれる。まずい、片手でこれを防ぎ切るのは無理だ!とそう判断した私はティレルさんを片手で担ぎそこから身体強化の魔術を使い光線と光線の間を潜り抜けて回避し、後ろでは地面に衝突したのか土煙が発生した。そんな彼女の行動に私は、
「容赦のかけらもありませんね!」
と内心ふざけんな今片腕動かないのわかるだろ無茶させんなやタイミング悪すぎるのにも程があるだろうが、と天草らしからぬ暴言を思い浮かべながら遅れてニィロウさんとアストルフォを放置したのに気づく。しまった!今の攻撃を受けたのならタダでは済まない!と私が焦りを見せていると、
「私が無益な殺生をするような愚か者に見えているのなら心外だ。」
とロノヴァはそう発言する。その発言を聞いた私は先ほどの攻撃の直撃地点を見ると確かに土煙が上がっていたのに二人は攻撃が直撃する前の状況と同じ様子であった。...時間が止まっている物質への攻撃は無効、と言うわけではないでしょう。それだと先ほどの攻撃は茶番になる。...なるほど、わかってきましたよ。と私はその光景を見た後今のこの状況について理解し始めた。
「時の執政の権能...時間の停止と巻き戻しを同時に使った、あるいは時間停止の概念をうまいこと使い二人を傷つけないようにした...そのどちらか、と言ったところですか?」
と私は自身の仮説をロノヴァに聞かせる。その私の言葉を聞いたロノヴァは特に驚いた様子もなくただ淡々と、
「私がきみのその仮説を否定する理由も、肯定する理由もない。きみと会話している時間すらおしいくらいだ。」
とそう返すだけであった。時間がおしい、ね...おそらくは面倒臭いあたりの意味ではないでしょう。そして先ほどの発言...
『きみの取り乱す姿をもう少し見ておくのも一興かと思ったが...早急に要件を済ませなければイスタロトの権能を剥奪されかねないな。』
今思い浮かんだ仮説があっているのなら、想像よりは簡単にこの状況を切り抜けることができるしれません。などと私が考えていると、ロノヴァは手を私に向けてかざしたと思った次の瞬間、先ほどの禍々しい目の紋様の先ほど以上の数現れ、そしてそれらが一斉に光線を放ってくる。次は隙間すら作らないと言うことですか。なるほど、本気でティレルさんを殺しにきているらしい。...いいでしょう、執政が相手です。こちらもそれ相応の対応をするとしましょうか。と私がそのようなことを考えているうちに光線はもう目前まで来ており、次の瞬間には大きな音と土煙が巻き起こる。それを見たロノヴァは、
「.....終わったわけではなさそうだな。」
とじっとその土煙の上がった場所を見ながらつぶやく。そして次の瞬間、その土煙の中から黒鍵がロノヴァに向かって飛んでくる。その黒鍵をロノヴァはバリアで弾く。そして土煙の中から現れた者へと視線を向け...そしてそこで初めてロノヴァはほんの少し驚いたような表情を見せる。
「きみ...その姿は...」
と彼女は驚きの声を漏らす。おや、この姿も見たことありますか。まぁ、考えてみれば当然ですね。過去の私が本気で戦わなかったと言うことも考えにくいですし。と思いながら私はティレルさんをそっと地面に置き、自身の服が和服になったことを改めて確認する。そしてそれの確認を終えた後私は、
「さて、私もこれで全力が出せます。右手が使えないのは少し残念ですが貴方相手でも時間稼ぎ程度ならこれで出来るようになりましたよ。」
と私は微笑を浮かべながらそう言うのであった...