天草四郎になった私のテイワット旅行記 作:通りすがりの希望厨
—それから数時間経った頃
シロウさん....大変そう....と、観客席からシロウさんの様子を見ていた私はそう思う。今現在彼はナタ人の受けたアビスの呪いを解呪しているのだが、明らかに手が足りていない様子だ。彼が一人解呪する間に呪いを受けている人が3人増えている様な状況で彼は1分たりとも休めていない。しかも解呪をしている時にその治療している人に当てている手が弾かれる様な事も起きている。それを見た私は、
「あれが起きているってことは...それだけ深く呪いを受けた人もいるってことだよね....」
とそう少し俯きながら呟く。すると、
「彼氏さんが心配?」
と後ろから声がかけられる。その声を聞いた私はは、
「シトラリさん....」
とその人の名前を呼ぶ。その言葉にシトラリさんは、
「側から見ても不安そうにしてるからほっとけなくなっちゃったわ。彼氏さんのこと、本当に好きなのね。」
と言いながら私の横に座る。そしてその言葉に私は、
「好きなのはそうですけど、それだけじゃないと言うか....あんまり詳しくは話せませんけど....あれは相当無理してる時に出る現象ですから。」
とそう躊躇いながら言う。カーンルイア関連の話はしない方がいいよね....シロウさんはずっとそう言ってるしシロウさんが言うからにはそっちの方がいいよね。とそう内心考えていると、
「....ねぇ、ティレル。少し気になったこと聞いていいかしら?」
とそうシトラリさんが聞いてくる。その言葉に私は、
「なんですか?」
と聞き返す。なんだろう.....?と私が首を傾げていると、
「貴方、彼の素性について知ってるでしょ?」
とそう聞いてくる。その質問に私は、
「.....え?」
とそう聞き返してしまう。どうして急にそんなことを....と私が疑問に思っていると、
「貴方、彼の彼女なんでしょ?その立場の人が彼の素性について何も知らない、なんて事は考えにくい。だから聞いてみたんだけど.....その様子からして知ってるのね。」
とシトラリさんはそう疑問に答える様に言う。その言葉を聞いた後私は、
「.....知ってたら、なんなんですか?」
と少し刺々しい態度で返してしまう。だけど、誰であろうともシロウさんの素性を明かすわけにはいかない。それはシロウさんに迷惑がかかっちゃうしシトラリさんにも必要のない危険が降りかかる可能性だってある。だから教えちゃいけない。とそう私が内心決心していると、
「教えて欲しい、なんて言わないから安心しなさい。言えないことなのくらいはずっと言われてるし分かってるからから。でもね、ティレル。彼の素性について知っているのはマーヴィカ....様を除くと貴方と、他の7神とテイワットの上位的な存在とかその辺りになると夜神から聞いたわ。それらの人を悪く言うわけじゃないけど....って遠回しな言い方になっちゃったわね。私が言いたいのは、疲れた彼を休ませるのは貴方の役目って言いたいの。それは他の誰にも出来ない役目よ。」
とそうシトラリさんが言ってくる。その言葉に私は、
「私に、そんな事出来るでしょうか....?」
と不安を隠しきれないでいた。そもそもシロウさんがどれだけ私のことを信用しているのかなんてわからない。私を救いに来たって言ってたけどそんなの困っているであろう私に手を差し伸べただけの可能性だってある....今付き合っているのだってシロウさんを押し切った形だし。シロウさんは私といて安らいでくれるのかも怪しいし....もしかしたらいつまで経っても仮面を外さないでいるんじゃ....とどんどん悪い方向へ思考が向いてしまう。そんな様子にシトラリさんは、
「自己評価が低いのね。貴方はかわいいんだから普通に甘やかせばシロウも食い付いてくれると思うんだけど....多分そんな簡単な話じゃ無いんでしょうね。じゃあこう考えてみればどう?自分が甘やかせる自信がないのなら行動で休ませればいいって。」
とそうアドバイスをしてくる。その言葉に私は、
「行動で....?でも私あの人が安らぐ姿なんて見たことないし.....」
とそう否定から入ってしまう。行動で休ませるって言っても....私シロウさんの過去とかは知ってるけど素の状態はあんまり見たことないからわかんないよ....とそう私が考えていると、
「それなら今から考えればいいじゃない。ほら、私も一緒に考えてあげるから。それでも思い浮かばないならならオロルンやムアラニの力も借りればいい。」
とそう励ますように言う。その言葉を聞いた私は、
「.....ありがとうございます。」
とまだ漠然とした案しか思い浮かばないがシロウさんの助けになる為にそのシトラリさんの案を受け入れるのであった....
—その頃シロウは....
「ふぅ....まったく、終わりが見えませんね。」
と私はそう誰にも聞かれないほどの小さな声で呟く。解呪し始めて早数時間経ったと言うのに全く減ってる感じがしません。そして一度なら特に問題はないのがここまでの大人数、更には呪いが進行してしまっている者の呪いを解く時には腕に激痛が走るわ油断すると手が弾かれるわで大変だ....幸い解呪にはそこまで魔力を使わないのかは分かりませんが魔力の残量には余裕があるのでそこは心配ありませんが....
「お願いです、娘を助けてください!この子はまだ戦士でもなんでもないただの子供なんです!」
「お願いだ、息子を助けてくれ!俺を庇う為に負傷しちまってそれから体が不自由な生活に.....」
「お兄ちゃんお願い、じいちゃんを助けて....!俺まだじいちゃんと離れたくない....!」
....私に縋り付いてくる人は大勢いる。解呪が本当に出来ると分かったら疑いの目はほとんどなくなったのはいいですが....これでは私と言う存在に依存してしまう可能性がある。『アビスの呪いを受けてもあの神父が助けてくれる』と言うある種の甘えのような考え方が出てきてしまう。それは戦闘中に油断を生み、そしてその油断がそのまま死に直結する事になるだろう。それは避けたいが.....
「お願いします!」
「お願いします!」
「お願いします!」
あぁ、この体が恐怖しているのを感じる。まるで光景はあの時のものと.....いえ、余計なことを考えるのはやめにしましょう。今はとにかく解呪を優先しなければ。とそう私は考え直し再び解呪に専念するのであった....