天草四郎になった私のテイワット旅行記 作:通りすがりの希望厨
「外傷は特に見当たりませんが体内にに傷が多くあります。今はまだ生活に支障は出ないでしょうがこれが酷くなると最悪腕が使えなくなるかと.....」
と私の状態について医者の方が説明してくれる。なるほど....そう言う感じですか。と私は今現在自分が置かれている状況を理解しながら、
「大量の出血でないのなら問題ありませんね。少しの間治癒のために時間は必要でしょうが、1時間後には解呪を再開させれるでしょう。」
と言いながら眠らされていたベットから立つ。大量出血の場合は治療魔術だけではどうしようもありませんでしたが見たところ出血はしてない様ですし気にすることもないでしょう。とそう考えていると、
「あ、ダメですよ!安静にしておかないと....!」
と医者の方は私を止める。しかし私は、
「この程度の傷であるならあなた方の手を煩わせるまでもありません。自分で治療する手段も持っていますので安心してください。」
とそう言い扉を開けようとすると、
—トントン....
と扉がノックされる。おや、来客ですか.....マーヴィカさんかティレルさんのどっちかでしょうが....と思いながら、
「....これ、開けていい感じですか?」
と医者の方に聞く。その私の質問に医者の方は、
「え、ええ。おそらく先ほど出て行ったクイクがあなたの同行者に貴方が起きた事を伝えたのでしょう。それより、本当に自分で治せるんですか?」
とたじろぎながらそう言う。その言葉に私は、
「出来ます。私の得意分野ではありませんがこの程度の傷ならすぐに完治できるでしょう。」
と言う。私はこんなところで油を売っているわけにはいかない...急いで解呪の作業に戻らなければ...と思いながら扉を開ける。そこには私の予想通りティレルさんが立っていた。そして私の姿を見たティレルさんは、
「シロウさん....少し話したいことがあります。」
と少々怒った様な顔で私にそう言う。おやおや....何やら怒らせてしまったご様子ですね。と内心思いながらも、
「構いませんよ。歩きながら話しましょうか。あ、後そう言う事なので医者の方。どうもありがとうございました。」
とお辞儀をした後退出する。その後ろで、
「あっ、待っ!」
と医者の方の声が聞こえて来たが必要な説明はしたと判断した私はティレルさんの歩幅を合わせて歩き始める。そして自身の腕に治癒魔術をかけながら、
「それで、話したい事と言うのは?」
とそうティレルさんに聞く。その質問にティレルさんは、
「....なんであんなになるまで無理したんですか。」
と今にも泣き出しそうな声でそう言う。それを聞いた私は、
「.....心配させてしまった様ですね。」
とそう返す。さっきの言葉の返しとしては不適切かもしれませんが....ちょっとこう言う状況は苦手故どう返していいものか....と考えていると、
「当たり前じゃないですか....!またいなくなったらどうしようって....本当に心配したんですから....!」
と堪えきれなかった様で少し涙を見せながら言う。それを見た私は、
「.....すみません。」
と謝罪をする。今回の件は私の見通しが甘かった....途中途中で治療魔術をかけていればこうはならなかったのに自分より先に他の人を救おうとして、結局それが悪手となった....次からは気をつけるにしても今は彼女です。と思考し、
「私は少々思い上がっていました。呪いを解けるのだからナタで呪いに苦しんでいる人を皆救えると。しかし....私ごときの実力では、後2日でナタでアビスの呪いに苦しんでいる人々を全て救うのは無理でしょう。」
とそう言う。その言葉にティレルさんは、
「でも....それでもみんな救おうとしてるんですよね....?」
と鼻をすすりながらそう聞く。その言葉に私は、
「はい。しかし無理をするのも良くないと今回の出来事で学びました。無理をすれば今回の様に倒れ、余計に時間がかかってしまいますし、何より貴方を心配させてしまいますからね。ですから、やり方を変えようと考えています。」
とそう答える。私のせいで泣かしてしまった....この罪悪感はしばらくは拭えそうにもない。しかしこれ以上泣かせない様に努力することは出来るでしょう。ティレルさんは私の思っている以上に私を心配している様ですし、彼女の前ではできるだけ無理はしない様にしましょう。しかしとなると新たな方法を考えなければなりませんね...と思考しながらも、
「今回の件は申し訳ない。許してくれるかは分かりませんが....」
と言いながら片膝をつき、跪く体制になる。その私の行動にティレルさんは、
「あ、そこまでしなくても....!」
と焦った様にそう言うが、
「いえ、今回の件は私の不注意でした。貴方の心境を考えずに行動した私を許して欲しい。貴方が望むのであれば何か私にできる事ならなんでもしましょう。」
とそう私は言う。これは誠意だ....それ以上でも以下でもない。ここで彼女が何を私に何願おうとも私はそれに応える。それがこの場における最大の誠意...とそう覚悟を決めていると、
「....なら一つ、お願いしてもいいですか?」
と少し躊躇いながらそう聞く。その質問に私は、
「どの様なことでも。」
とそう返す。ティレルさんなら人を害するお願いはしてこないはず...となればお願いする内容がなんであれ躊躇なく実行できるはず....とそう私が考えていると、
「私を...抱きしめてください。」
とそうティレルさんが言う。そのお願いに私は、
「......なるほど。」
とそう返し立ち上がる。そうきましたか.....いや、いやと言うわけではないのですが女性を抱きしめたことなどないのでどうすればいいのか....と少し悩んでいると、
「あ、いやならいいんです!ただの私の夢ですから、いつかやってくれるならそれで....」
とティレルさんがそう言ってくる。それを聞いた私はティレルさんとの距離をつめ、そっと後ろに手を回す。そして、
「....私でよければこのくらいは。ですけどこれ以上の関係になるお願いはまだ早いですね。何せ私たちは付き合い始めてまだ1日も経っていないのですから。」
とそうティレルさんに言う。その言葉と行動にティレルさんは顔を真っ赤にしながらも、
「.....今はこれで、幸せすぎるくらいですよ。」
と涙は少し流しながらも笑顔でそう言うのであった....