天草四郎になった私のテイワット旅行記 作:通りすがりの希望厨
飛び始めてから数十分経ったころ、私はナタの大地に来ていた。
「踏み入れた、と言えないのが残念ですが。」
と私は一人空でそう呟く。流石にこの状況で大地に踏み入れた、とは言えないよね。飛んでるし。まぁ別にこれから先ここの大地を踏むことなんていくらでもあるだろうしそう悲観することでもないか、とそう考えた私は火山が見えてきた辺りで風の翼をしまい、着地をする。そして着地した地点の目の前には7天神像がある。それを確認した私は、
「我ながら位置調整はピッタリですね。」
と言いながらその像に触れる。するとモンドでは確認していなかったが7神の像が一瞬光ったのを確認した。これでナタにもいつでも来れる様になった.....と、解釈していいでしょう。ワープポイントを使えない、なんて事はないだろうからね。さて、ここから少し歩けばティレルさんがいるところに行けるはず.....と、そう思考した私は一人でティレルのいるはずの洞窟を探す。そして数分もすれば見つける事が出来た。だが.....
「姿は見えませんか......」
そう、ぱっと見その洞窟内にヒルチャール(ティレル)の姿は見当たらなかった。そんな予感はしていたが本当に未来が変わっていたとは....とは言え、一度しっかりと中を確認しておきましょうか。とそう考えた私は洞窟内に足を踏み入れる。しかし足を踏み入れた瞬間、
「えいっ!」
と言う掛け声と共に棍棒が私に振り翳される。その予想外の出来事に私は、
「何!?」
と驚きの声を出しながらも腕でその棍棒を防ぐ。しかしその棍棒を振るう力は予想よりもはるかに弱く、全く痛くない。内心思わず、「え、弱。」と思ってしまうほどだ。そんな急な攻撃(?)に私が呆然としていると、
「......?あ!魔物じゃなかったんですか!?すいません、私てっきり魔物が来ちゃったと思って.....」
とそう謝罪の声が聞こえてくる。その声を聞いた私はまた驚いてしまった。そんな馬鹿な......だって彼女は今ヒルチャールのはず.....そう考えながらも真実を確認するため私はその人物の姿を見る。そこに居たのは紛れもなく.....
「なぜ貴方はヒルチャールになっていない.....?」
そう、ティレルであった。その言葉を聞いたティレルは私の顔を見て、そして目を見開く。そして、
「聖者様!?」
とその様な呼び名で私を呼ぶ。なんなんだ、一体何が起きていると言うんだ.....何故ティレルはヒルチャールになっていない....それどころか何故か私を聖者と呼ぶ....訳がわからない.....と頭が混乱してきた私は頭を抑えながら膝を着く。その私の様子にティレルは、
「聖者様、大丈夫ですか!?何処からお体が悪いんですか!?」
と心配そうに私に言う。その言葉を聞いた私は、
「大丈夫です....」
と言いながら私は立つ。そうだ、今がどんな状況かわからないからこそ、冷静に分析する必要がある。そう考えた私はもう一度ティレルを見る。その髪その目、その顔立ち....間違いない、ティレル本人だ。画面越しだったとは言え顔自体はしっかり覚えているから間違えるはずがない。だがいったい何故ティレルはヒルチャールになっていない....?とそうティレルを見ながら考えているとティレルは顔を少し赤くしながらもじもじし始める。その様子に私は、
「どうかしましたか?」
と問う。その問いにティレルは、
「あの.....そんなに見つめられると恥ずかしいです.....」
とそう答える。.....?何故私に旅人と同じ様な反応を?いや、それは今から聞けばいいだけのこと。そう考えた私は、
「とりあえず座りましょうか、ティレルさん。」
とティレルに言う。その言葉にティレルは、
「は、はい!」
と明らかに緊張した趣で座る。そしてそれを確認した私は、
「ティレルさん、何個が質問をしてもよろしいでしょうか?」
とティレルに問う。その質問にティレルは、
「はい、何でも聞いてください。」
と返してくれる。とは言え下手に質問していけば私の失った記憶についても知ることになってしまう。それを避けるためにまずは、
「ティレルさん、貴方は私を聖者様と呼びましたが私と過去に会ったことがあるのですか?」
とそうティレルに問う。その問いにティレルは、
「え.....?」
と質問の意図がわからない、と言った表情でそう言葉を溢す。...まぁいきなりこんなこと言われたら誰でもそうなるか。と考えた私は、
「どうやら私は過去の記憶を失っている様でしてね。ですから過去に会っていたとしても私は思い出す事が出来ないのですよ。」
とそうティレルに説明する。その説明にティレルは、
「そんな.....!」
とかなりショックを受けた様だ。その反応からして私はカーンルイアに何か関係があったのでしょうね....とは言えそれは先ほどのウェンティの言葉で予想できた事、そこまで驚きはないですね。とは言えこの様子だといつ私の過去について喋るかわからないので....
「ですが、今はその記憶を思い出すつもりはありません。これはあくまでも勘ですがその記憶を思い出してしまったら何か良くない事が起きると思うのです。ですので悪いのですが過去の私に関する事はあまり喋らないで欲しいのです。」
とティレルに事情を説明する。その説明を聞いたティレルは何か心当たりがあった様で、
「そう....ですか....」
と泣きそうな顔になりながらそう私に言う。ふむ....落ち込ませてしまいましたね。流石に少女に言う内容にしては重すぎましたか....と考えた私は、
「ですが貴方が私に話したい思い出やあの事件が起きる前のカーンルイア人なら誰でも知っている情報くらいなら話してくれて大丈夫ですよ。私も貴方について知りたいので。」
とそう優しい声色を作りながらそう言う。落ち込ませてしまって少し罪悪感もありますし、せめて過去の私たちの関係に似た様な関係は結んであげたいですね。と私が考えていると、
「.....はい、分かりました。」
と涙が溢れ出しそうな表情から少し微笑を浮かべた表情になりながらそう返す。何とか気を持ち直してくれた様ですね....流石、500年いつくるかも分からない旅人を待ち続けたメンタルの持ち主です。と私は感心しながら、
「それで先ほどの質問の答えは、私と貴方は過去に会っていて友人関係に近いものを結んでいた.....と認識して大丈夫でしょうか?」
とそうティレルさんに問う。その問いにティレルさんは、
「友達なんて恐れ多い!私はただ貴方と救世主様に憧れてて....それで貴方はよく私たちの村に来てくれていましたから私が一方的に追っかけをしてただけなんです......」
と答える。なるほど.....救世主様、つまり蛍さんの兄と同列に扱われていたと。だからティレルさんは私と目を合わせると目線を逸らすんですね。確かにそれなら納得です。とは言えそれじゃあ会話が難しいので、
「そうなんですね。とは言え今の私は聖者でもなんでもない、ただの神父です。ですからそう畏まらなくてもいいんですよ?」
とそう言い聞かせる様にティレルに言う。その言葉にティレルは、
「そんな風に言われたって....憧れてるのは今でもそうですし.....普通に接するなんて無理ですよ....」
と体をもじもじさせながらそう言う。ふむ....よほど過去の私はカーンルイア人にとって素晴らしい存在だったんですね。いまだに全くと言っていいほど過去については思い出せませんがそれなら大丈夫でしょう。とは言え、私としては人と会話する時はお互い顔を見て話したいんですよね....と、そうだ。私に憧れているのであれば....
「それなら貴方の言う聖者様としてのお願いです。目線は合わせなくてもいいですからせめて私の方を見て話してくれませんか?そうですね.....私と友達になりましょう。それなら貴方も多少は肩の力が抜けるでしょう?」
と私はティレルにそうお願いする。そのお願いを聞いたティレルは、
「ええ!?でも.....!」
と嬉しさ半分、恥ずかしさ半分と言った様子だ。この様子ならあと一息で押し切れそうですね、と考えた私は、
「だめ.....でしょうか?」
と少し落ち込んだフリをしなからそう言う。こうすればおそらく.....と私が内心そう考えていると、
「ああ違うんです!むしろ嬉しすぎるくらいで.....えっと、えっと!」
と焦った様にそう言う。本当に私のファンなんですね.....と改めて実感しながら私は、
「なら、いいですよね?」
とティレルの手を取り、顔を近づけてそう言う。それにティレルは、
「あわわ.....!」
と顔を真っ赤にしながら固まっている。あれ、効果が想像以上に高いんですけど......などと私が考えていると、
「あわ..わ...」
とそう最後に言い、倒れてしまう。そして倒れたティレルに私は、
「ティレルさん!?大丈夫ですか!?」
と焦りながらそう呼びかけるのであった.....