天草四郎になった私のテイワット旅行記 作:通りすがりの希望厨
「まぁシロウはその様子だと本調子じゃないみたいだし料理は僕に任せてよ!」
とアストルフォは言った後、一人テントの方へ向かって行く。彼一人に任せるのは少々不安ですね...とそう考えた私は、
「...ティレルさん、アストルフォ一人に任せるのは少々不安なので監視していただけないでしょうか?」
といまだに顔を手で隠しながらもそうお願いする。そのお願いにティレルさんは、
「は、はい...!」
とそう私に返した後アストルフォの後をついて行く。...さて、先ほどの記憶は一旦忘却するとして、ついさっき見えた記憶について考えるとしますか。先ほど私の頭に流れ込んできた記憶は事実だと私の直感がそう言っています。まぁあの記憶については先ほど脳に流れてきた景色と情報しかないのですから事実であるにしろないにしろ、それについては考えなければならないでしょう。まず第一に先ほどの情報が全て事実だとするならば、それは私にとってとても助けになる情報ばかりです。....執行官第3位『少女』の正体は月神だったという情報はその最たる例でしょう。確かスメール編の最後にナヒーダさんが『執行官第3位以上の実力は神にも匹敵する。』と言っていましたがマジもんの神が混ざっているとはね...そして少女が歩む運命までも知ることが出来た。助けになってあげたいところですが...私はまだファデュイに加味するわけにはいかない以上、今不用意に近づくのは危険ですね。しかしこれを知った以上、私はファデュイの内側にも入り込む必要がある。そして1番速くファデュイに入り込める状況となると...
「散兵が世界樹の情報から抹消される場面でしょうね。」
この場面でしょう。その場面が来れば執行官に不自然な第6位の空席が出来る。その時が来れば私が隊長に提示した、『執行官の誰かが戦死する、或いは何らかの理由で永久に戦闘不能になった時が来たら執行官になることを承認する。』と言う条件が少し不自然なものになる。確かに明確な矛盾は生まれない。しかしその状況であるのなら、隊長が既に6位の地位は空いていると言うことを私に言わず去ったことに違和感も出る。で、あるならばその時に氷の女皇様に真実を伝えれば私はファデュイ執行官となれる可能性が高い。しかし...
「それをすると言うのなら少なからず博士と関わることになる。そして先ほど脳内に流れてきた情報を真実とするのなら、被害が出るのは間違いないにしろ協力関係を結んだ方が利益にはなる...そして何の才能のない多くの人より彼の方がよっぽど私にとって利益になるでしょう。」
そうだ、それは間違いない。それは分かる分かるが...それはつまり、彼の研究によって犠牲となる人々を見殺しにしろと言うのと同義だ...その犠牲を私は割り切れるのか...?...こんな時天草なら協力するなら割り切る、協力しないのなら阻止すると明確に出来るのでしょうね。やはり私はこの体の本来の持ち主よりもずっと劣っています。と私は自己嫌悪に陥りそうになった瞬間、私の手が何か温かいものに包まれる感覚を覚える。それを感じた私は自身の手に目線を向けると私の手はティレルさんの手によって包み込まれていた。それを確認した私は、
「...私はアストルフォを見ておく様にお願いしたはずなのですが。」
とそうティレルさんに言うと、
「アストルフォさんなら大丈夫そうでした。本人曰く、長年一人旅してたんだしその間に料理くらいできる様になった、ってことらしいです。...それに、シロウさんが辛そうだったので来ました。」
とそうティレルさんは返す。その返しに私は、
「...そうでした、貴方は耳がとても良いのでしたね。すっかり抜け落ちていましたよ。...と言うことは先ほどの呟きも聞こえていたのでしょうね。」
とそう思い出しながら言う。私ともあろうものがその事すらど忘れするなど...よほど私は追い詰められていたのでしょうね。とそう思考した後自嘲気味に笑う。その私の様子にティレルさんは、
「...私はシロウさんが何を背負っているのかはわかりません。ですけど前にも言いましたけどシロウさんが人の道を外れた行動をしたとしても私はずっと側にいます。どんなシロウさんでも私は好きですから、シロウさんはまっすぐ自分の信じた道を進んでください。」
とそう優しい声色で言う。ああ...ティレルさんは本当に優しいですね。それに比べて私は未だこの体に相応しい精神性になれていない...これではこの体の本来の持ち主である天草に示しがつきません。しかし....ずっとうじうじしているのもよくありませんね。と私はそう思考した後、
「ありがとうございます、ティレルさん。だいぶ気持ちに決心がつきましたよ。」
とそうティレルさんにお礼を言う。次会った時に私は博士と協力関係を結ぶ。私が協力しようがしなかろうが彼は実験を止めることはしないでしょう。で、あるならば彼の研究結果も彼の実力も...全て利用してやる。とそう私が意気込んでいると、
「やっぱりシロウさんはその明るい表情がよく似合いますよ。ですけど無理はしないでくださいね?辛い時は私に甘えてくれてもいいですから。」
とそうティレルさんは言う。その言葉に私は、
「...本当に限界がきたらお願いしますね。」
と今回はそう返しておく。その返しにティレルさんは、
「....え?」
と断られると思っていたらしくそう意外そうな声を出す。そのティレルさんの様子に私は、
「おや、もしかして冗談のつもりだったでしょうか?」
と答えはわかりきっているがティレルさんを揶揄うためにそう聞く。その私の声色や表情からティレルさんは自分が揶揄われていることを理解したらしく、
「...そう言うところは嫌いです。」
とぷくぅと頬を膨らませている。そのティレルさんの様子を見た私はとても愛おしく思ってしまい、
「...本当に、君はかわいいですね。」
とそう呟いてしまうのであった...