俺はいま、目の前の物体を前に鉛のように動けないでいる。玄関を入ってすぐのフローリングの
――なんだ、あれ?
書いてある文字は読めるけども理解したくはない。この家は俺と両親、姉の4人家族だ。両親があんなものを持っているとは考えたくはない。となると4つ上の姉のものとしか思えない。
が、そんなことを認めれば姉が俺に変な目で見ていることになるではないのか? そう思うとあの文字を理解したくはなかった。
「あっ」
文字をぼんやりと眺めていたら、いつの間にか意識が飛んでいたらしい。その間に姉が階段から降りてきたらしく、「あっ」という顔で階段の上に立っている。
「瑞樹、あんたそれ見たの?」
姉は黒髪のショートカットで女性にしては長身の切れ長美人。このルックスだから、男装がよく似合う。
しかも、成績優秀、スポーツ万能だから、彼女の大学で行われた男装コンテストではカンスト一位だった。
だが、今はその面影もないほど顔は醜くゆがんでいる。
――姉貴のファンが今の姉貴の顔を見たら、どう思うだろうな・・・・・・。
「まあ、見たな」
「ちょっと、こっちにきなさい!」
姉はそう言って、慌てて落ちていた箱を拾うと同時に、俺の首根っこを引っ張ると2階にある彼女の部屋に引きずり込まれていく。
――待て!俺をどうする気だ?
誰か助けてくれ!!
「これ、なんだよ?」
おれの姿はいま、ピンクのフリフリワンピ、髪の色はおれと同じ栗色で背中まで伸びている。いわゆる、女の姿にさせられて困惑している。
「うん、やっぱよく似合うわ。さすが女顔!」
『うっさい、中性的と言え!
てか、いきなり女装させるなんてどういうつもりなんだよ!』
「そりゃー、これを見られたもの、これくらいやらせないと」
姉は例の箱を持ちながら、そう言った。
――口止めのためか?
・・・・・・いや、意味が分からん。普通、菓子とか渡さんか??
口止め行為というよりも罰ゲームに近い行為にげんなりした。
しかし、この姉に反論すればと余計ひどい目にあわされることは経験上よくわかっていた。
「何がしたいかよくわからんが、もう脱ぐぞ」
――恥ずかしいし・・・・・・。
「だめよ。それじゃー、罰ゲじゃなかった口止めにならないじゃない!」
『やっぱただのいやがらせかよ‼』
「ほら、いいからおとなしくそのまま外に出てもらうわよ」
「嫌だー。はなせー!」
姉はにやにやと薄気味悪い顔をしながら、俺を引きずるように玄関までひっぱられ、そのまま外に出されてしまった。
――しまった。追い出された。
家に戻ろうにも玄関はすでにカギがかけられ、何度ノブを回してもあかない。
――どうする? どうする?
こんな格好、ここにいたらいつかだれかに見られる!
俺の今の姿を見つめながら焦りを感じる。
とりあえず、この場所から離れた方がいいと判断し、この場から離れることにした。
以前、書いた作品を思い出しながら書いてます。
のんびり書いてゆきます。よろしくお願いいたします。