――やっぱ人を隠すなら、人の中ってな。
俺はいま繁華街にいる。繁華街だけあっていろんな店があり、人もたくさんいる。
俺はどこに行くのがいいかさんざん考えた結果、人は人でも知り合いに会うのだけは嫌という結論に至った。その知り合いに会うリスクの少ない場所の方がいい。
リスクが少ない場所はどこかと考えたが、バカな俺には近所の公園やスーパーなどといったよく行く場所しか思いつかなかった。
なので、開き直って人がたくさんいる場所に行くことにしたのだ。これだけの人がいれば、人に紛れることができる。
――適当に選んだ場所だけど結構いいじゃね?
「なにやってるんだ、瑞樹?」
「なっ!
翔!」
またしても、トリップしているととつぜん声をかけられ、振り向くと黒髪の男が俺を見下してきた。よく見るとそれは同い年の幼馴染である
翔は172cm高校生男子の平均値である。けして、背が高いわけではない。瑞樹の背が小さいのだ。
「美月さんに言われてここに来たけど、おまえそんな恰好で何してるんだよ??」
「なっ、姉貴に?
なんで姉貴、俺がここにいるってわかったんだ。」
「あん、そんなことは知らんし
で、その恰好は」
ニヤニヤと笑いながら見つめている。この状況が面白くて仕方ないって顔だった。その顔を見ながら、どう説明しようか考えているとまたしても声をかけられた。
「瑞樹?」
そこには栗色の長い髪に紫のフリフリワンピース(おそらく俺が今着てるワンピと色違い)を着ている。愛くるしい顔の女が立っている。
「月夜!?」
――なんだ。この修羅場は?!
翔と同じく、おれの幼馴染である月夜が涙目で俺たちを見つめている。その顔見ながら、何か言わなければと考えていたがこの状況を考えれば考えるほど、姉の面白がっている顔が頭をよぎった。
はっ・・・・・・!もしかして・・・・・・。
これも姉貴のしわざか!?
普通にありままを話せばいいだけなのに、いったいどうすりゃいいんだと頭を抱えた。
「あらあら、なにしてるの? あなたたち??」
そこにはゆるふわな栗色の長い髪に、大人目のワンピースを着た大人の女性が立っている。
「お姉ちゃん!」
それは月夜の姉天理さんだった。天理さんは月夜に近づいていくとそのまま隣に並んだ。月夜が可愛い系なら、天理さんは美人系である。その2人が並ぶと華やかという言葉がよく似合うと思う。
「なに~こんなところで内緒話??」
天理さんは月夜を抱き寄せ、彼女の顔をすりすりさせていく。
「ちょっと、お姉ちゃんこんなところで・・・・・・はずかしいよ」
――くはっ!
月夜の照れ笑いだと!?
「じゃあ、俺はこれで」
翔はこんなやり取りを見て、帰っていった。