「あら?翔くん?
どうしたのかしら??」
天理さんは翔の後姿を見ながら、不思議そうな顔をしている。そんな天理さんの隣で、月夜は俺を少しにらんで見つめている。
「瑞樹……どういうことなの? その恰好、まさかそっちの毛があるとかなの?」
「いや違うから!
男なんて興味ないから! 月夜一筋じゃなかった、姉貴に無理やり着替えさせられただけ!」
「えっ?? なに言って・・・」
月夜は顔を赤らめて手で顔を塞ぎながらうろたえている。
――ううっ
かわいいいいっ。
「でも、そうなんだ・・・よかった(ぽそ)」
「えっ?
最後の方なんて・・・・・・?」
「月夜~、瑞樹ちゃん!」
俺は月夜の言葉を聞きなおそうと彼女と向き合っているといきなり、天理さんに抱き寄せられるように引き寄せられた。いわゆる抱っこというやつである。
――ちょっ!
月夜、ちかっっ
月夜も一緒に引き寄せられたらしく、俺の左側には彼女の顔がある。こんなに近いとかわいい顔に息がかかりそうだ。
「お姉ちゃんはさみしいぞ!
翔君も挨拶もなしに帰っちゃうし・・・・・・」
天理さんはこちらの気持ちを無視するかのように俺たちを抱えながら、会話を続けていく。彼女の悲しみを表すかのように腕の力が強まっていく。彼女の力が強まるほどに月夜との距離が縮まっていくようだ。
――これはやばい!・・・・・・理性が。
「天理さん、ギブギブ!!」
俺は慌てて抱え込まれた腕をたたいて訴える。
「ああ、ごめんね」
天理さんは申し訳なさげにしながらもどこが残念そうに腕を放した。
「もう、お姉ちゃん!
わたし、行くからね!
・・・・・・ほらっ瑞樹、お詫び!」
「えっ?
月夜? どこに・・・・・・?」
俺はぐいぐいと月夜に引っ張られて、歩いてゆくとやがてカラフルな店が見えてくる。見上げると店の看板には「ファンシーショップ」と書かれている。その店はいかにも女の子が好みそうなかわいらしいものが並んでいる。
――この格好でよかった!
と心から思った。かわいらしい場所と小物の数々に普段の姿なら、用がなければ近づきたくはない。店には実際、女の子ばかりで、男性がいたとしてもカップルか親子といった女子と一緒であった。
「ここ商品一緒に選んでくれたら、勘違いさせたの許してあげる」
月夜は顔を俯きながら、もじもじと手をいじっている。その仕草がなんとも意地らしくかわいらしい。
――ふおおおお!
月夜~!!
「月夜!
1つとは言わず、何でも買ってやる。何ならほしいやつ全部買ってやるって!」
「いや、1個でいいし、一緒に選んでほしいだけなんだけど・・・・・・」