頭ハッピーな悪魔が全員をハッピーにする 作:よくメガネを無くす海月のーれん
※恐竜の設定は色んなののミックスです
「嫌な予感がいたしますねぇ〜〜〜念には念を入れたいところですが…」
絶滅の悪魔…ゼツが呼び出されたのは何の変哲もない山奥であった。悪魔が確認されたというには不気味なほど静かであり、鳥の声一つなかった。
「悪魔、いらっしゃいませんねぇ…。仕方ない、恐竜・
ゼツの背後、虚空からヌルリと浮き上がる乱雑に生え散らした牙の口腔…恐竜の悪魔、その地獄の窯の蓋が開いていく。内から湧き出るように溢れるは小型の恐竜。専門家でもない限りわかることはないだろうが、それはコンプソグナトゥス、ミクロラプトルと呼ばれる実在した恐竜であった。
コンプソグナトゥスは現在までに発見された標本は体長70-140㎝、125cmと極めて小型。1体ではそこまで脅威ではないものの、群れを形成することで狂暴になる特性を持つ。秒速17.8m…時速にして約64km、自動車並みの速度で群れで襲い掛かる小さきハンター達が主に言われるがまま、獲物を見つけに山奥を走り抜ける。
ミクロラプトル、今現在において未だ発見されていない恐竜であり、静かに地中で眠る竜の似姿はコンプソグナトゥス同様、極めて小さい。成熟個体は大型でも63cm程度、前肢のみならず後肢にも飛行用の羽毛を持ち、空を飛んで獲物を捕食していたとされている。小さな泥棒の名を冠する竜は玉虫色の羽を広げ、四方に飛び散り悪魔を探す。
『grrrr…』
恐竜の悪魔、全長が非常に大きくデンジ達に見せた時もその体躯から唐突に現れた巨大な悪魔として方々に目を付けられることになった。そのため、部位別使用に留めているソレは恐竜の使役、体躯を生かした質量攻撃を得意とする絶滅の悪魔の眷属だ。喋ることは出来ないものの意思疎通は可能であり、今一度世界の覇者に立ち返るのだと息巻く自信家、攻撃を指示すればその土地一帯丸ごと踏みつぶすという主と同様の大雑把を発揮した駄犬であった。
「ワガママですねぇ~~~。うぉあっねっとり…オヤツは上げたでしょう?メッ、メッですよ」
のほほんと、されどよだれを垂らし巨大な舌を持ってゼツを舐めあげる姿は捕食寸前なのだが、しっかりとした主従の関係の構築がされていた。
『gr、grrr』
「おや、西で殺されましたか。見つけたようですねぇ…向かいましょうか。恐竜・尾…吹き飛ばしなさい」
死をもって位置を知らせた小型の竜を頼りに、顕現させた長大な尻尾に背中を預ける。そのまま勢いよく振り抜かれた尻尾を踏みつけながら、眼前にある
………
「お前が、絶滅の悪魔だな?」
果たして見つけることができたソレらは、様々な人種、そして悪魔を混合した者達だった。
マッシュの金髪に鎖を持った男、気だるそうな猫背の女、時計をずっと睨みつけている眼鏡の男、捻れ曲がった角…羊角をさらにひどくしたような男までいた。
その中、代表者であろう左目に眼帯を付けた白髪の女が問いかける。
「あらぁ?悪魔が居るとお聞きしていたのですが…これはどういうことでしょう?」
「依頼はフェイクだ。お前をおびき寄せるためのな」
「まぁ」
まんまと釣られてしまった、ということだろう。しかし、ゼツにとってさして気にするようなことでもなかった。それどころか感謝さえしていた。この依頼が嘘なのならすぐに帰ることができる。頭の中で鳴り響く小さな警鐘に対処することができる。だからこそ、ゼツはすぐにでも行動に移した。
「恐竜・尾、わたくしを空へ。どうやら嘘の依頼だったようなので帰りますよ」
「待て」
静止の言葉、しかし聞く耳を持たない為に空へと打ち上げられようとして………地面へと打ち倒される。それは、爆音。不可視、されど力を伴う音の塊がゼツに打ち付けられ、吹き飛ばされる。
「《ポリリズム》…なんでこうも話が聞かねぇ奴が多いんだ悪魔ってのは…」
「
恐竜の悪魔が展開していた尾をクッションにしても身体を劈くほどの衝撃に苦悶の声を上げ、されど怒りを燃やして世界に命令する。その声は必ず世界を歪ませる。根源的恐怖の悪魔に仕え続けているという実績は並大抵のことではない。それが許されるだけの力があるということだ。
「恐竜・脚ッ!踏みつぶしなさぁぁぁい!!!!!」
遥か頭上より臨界するは歪な脚の塊だ。肉食恐竜らしい爪を携えた脚もあれば、ゾウのような丸い脚もある。数多の巨大な脚たちが一塊に降り注ぎ、足元に存在するちっぽけな生き物を蹂躙しようとする。
恐竜の悪魔、恐竜を使役し、召喚することができるかつての世界の支配者が傲岸不遜に打ち据える。
破滅的な質量攻撃、山を踏み均さんばかりの重撃が止んだ頃、爆踏地に居た者達はしかし数を減らして生きていた。各々防御を固めたのか。耐えきれなかった者は潰れており、赤いシミと化している。
代表者、眼帯を付けていた女は、刺々しい姿の異形に変わっており、音による攻撃をしてきた人間もまた辛うじて生きているようだった。生存者はその二人だけであった。
「貴方、音の悪魔と契約していますねぇ~~~?それに、そちらは武器人間ですか。まぁなにであろうと撃滅、あ~~~撃滅となります。私、とっても怒っているので」
撃滅、再び敵対できなくなるほどうち滅ぼす、全滅させる。絶滅を冠する悪魔の殺害宣言。息が止まるほどの威圧感は生存者の心をへし折る。
生き残った、いや、生き残ってしまった者達は恐怖に身をすくませ、あるいは覚悟を決め戦闘態勢に入る。
「チッ、嫌な予感に従って正解だったか。本当に連れて来なくてよかった。私の女達を殺されたくない」
「ど、どうする!?契約は!?」
「無理に決まっているだろ。交戦だ。ケースを開け、やるしかない」
「
「お前だけな」
意を決して生存者達が開いたケース…アタッシュケースに納められていたソレ、蠢き、引き寄せあい、ドクドクと脈打つナニカ。知る者が居れば恐怖するだろう。悪魔は狂喜するだろう。それが来たら終わり、それを手に入れられれば強大な力を得る。
銃の悪魔の肉片
絶滅の悪魔が世界に露見した時、日本以外の国々は早々に団結した。数多の利害、敵対関係、因縁、それらすべてを飲み込んででも目の前の悪魔に対処するしかなかったからだ。その理由はただ一つ。
支配の悪魔と接触させてはならない。
支配の悪魔…マキマと接触させ、万が一にも支配されてしまえば日本、ひいては世界が終わる。銃の悪魔よりも無差別で、強大な力をマキマが持ってしまったらもう勝てなくなってしまう。
だからこそ、他国は全力でマキマとゼツを接触させないようにした。とても簡単なことだ。マキマは支配の悪魔とはいえ人間社会に溶け込んでいる。ならばそこから離すように動かせばいい。日本との外交により、マキマを決死で自国に引きずり込んだり、様々な妨害工作が功を奏したおかげで、ゼツはマキマもとい支配の悪魔を知ることはなかった。
そうした努力の末に、この計画が立案、実行されたのだ。可能ならば絶滅の悪魔と契約。それが無理ならば絶滅の悪魔の殺害を行う。この計画の為に銃の悪魔、その肉片が各国から供出された。
アメリカ 6%
ソ連 8%
中国 4%
その他の国 2%
合計:20%
絶滅の悪魔を殺すために集められた銃の悪魔の肉片、そして、前もって結ばれていた契約を履行する。
《アタッシュケースを開かれた時点で復活し、絶滅の悪魔を殺す》
契約の対価
アメリカ 80歳以上の全アメリカ国民の寿命5年分
ソ連 全ソ連国民の成人女性の寿命1年分
中国 10月生まれの中国国民の寿命3年分
大国に限定された対価の支払い、決して安くない対価であったが銃の悪魔を20%顕現させるに足るものだった。
莫大な犠牲を持って産み落とされた銃の悪魔、顕現しているのは左腕、腰、右足、まるで誰かに食べられたような穴だらけの姿で、されど人が生み出した栄光であり、大罪を振るわんと風を切ろうとして、止まった。
「まぁ!まぁまぁまぁ!銃の悪魔ではありませんかぁ~。お元気でしたか?私は相変わらずでございます。そちらも相変わらず無茶苦茶な感じですねぇ~~~」
場違いなほどにこやかな声。ゼツの声であり、ゼツにとって銃の悪魔は敵でもなんでもなく旧友であった。銃、特に猟銃によって絶滅した動物は近代に近づくほど多くなる。ゼツにとって銃とは良き隣人であり、生物を滅ぼす象徴でもあるため、極めて友好的に近づいた。
「ん~…中途半端に復活されてますねぇ…。やっぱり50%ないと頭があっても理性ギリギリなのは変わってないですねぇ。あら、契約もされている。なるほどなるほど…」
「銃の悪魔ッ!奴を殺せェ!契約がぁえっ?」
音の悪魔の契約者、アメリカからのデビルハンターは赤子の手に握られるように潰された。鉤爪をもった偉大なる三つ指の前腕。足より小さくとも人一人なら容易に握りつぶせるという事実を静かに叩きつけた。
「恐竜・手。ゴミはそうそうに潰すに限りますねぇ」
「チッ」
しかし、一応ながら契約者の一人でもあった音の悪魔の契約者の命令によって銃の悪魔が駆動する。無数の銃口が向けられ、削ぎ落された肉の隙間から苦悶の声が響く。犠牲者であろう無数の顔が世界を呪う。
「どうやら叩きのめして言う事を聞かせた方が早い様子…それならば早速取り掛かりましょう」
「やらせるとでも?」
「残念ながら、わたくしは有言実行をモットーにしておりますので言った以上は…。さて、銃の悪魔にこの状態では不利でしょう。恐竜の悪魔、時間稼ぎを。わたくしは“本気”になります」
「ロクでもない
「それでは私、絶滅の悪魔…ゼツの
デンジとポチタがゾンビの悪魔に襲われる間、地上に臨界した絶滅の悪魔の一端が暴かれようとしていた。
ここで、アメリカが出す銃の悪魔の肉片の一部を出すという名采配。これでアキ君生存√の一歩ってところですわガハハ
微妙なところで終わったのは許して…進行が遅いのも許して…書きたいものを書いてるだけなんじゃ…