アラガミ。
煉獄の地下街で、ボルグ・カムランがマグマを食い破って出没した。
ここにブラスト使いはいない。
範囲が広いと連携している仲間が被弾するからだ。
連携を強みとした偵察班でそれは持ち味を殺すことになる。
前任の隊長はブラスト使いだったが、接近して誰にも被弾しないよう撃っていた。
仲間に被弾するのを良しとしなかったからだ。
この時代に識別できる弾丸なんかない。それこそアラガミにすら危害を加えない装飾モジュールだけだ。
よって火力は乏しい。
武器のランクもまちまちだ。難易度に見合ってるかどうかなんてわからない。
いるのは一人。
L地点の柱の上で、男はボルグ・カムランの様子を見ている。
白いF武装と包帯を巻いた頭部が擬態を強めている。
顔を包帯で隠した男。
手には神機。
ただでさえ希少な神機使いの中でも、更に稀少な新型神機。
ボルグ・カムランが餌にありつくまで待つ。
一瞬の焦りが死につながる。
だから、こうして待つ。
ボルグ・カムランが餌である回収物資にかじりつく。
こちらにはまだ気づいていない。
男は柱からボルグ・カムラン目がけて飛ぶ。
男は背中から抜刀するように近接形態を動かす。
尻尾に一太刀。
ハイドアタック+ホールド
状態異常攻撃かつ奇襲で、交戦中よりも高い威力を出す。
男の着地と同時にボルグ・カムランが呻く。
ボルグ・カムランは横からの奇襲に振り向こうとする。
男は神機をスナップをきかせて動かす。
男は背中を向けたまま後ろ足を切り上げる勢いでジャンプする。
ボルグ・カムランが体の向きを変えて、針で男を串刺ししようとする。
その針と尻尾を空中ステップで躱しつつ、ショートの刀身を掠らせる。
ボルグ・カムランが伏せ、針を発射する。
散弾のように前方へ広がった針をガードする。
針が物体に衝突すると同時に爆発するつくりになっているからだ。
シールドには二つ役割がある。
ダメージを軽減する役割と隙を減らす役割だ。
直接攻撃を受けると吹っ飛び、お手玉の様に着地狩りされる可能性がある。
続いてボルグ・カムランが防御の構えを取り、テイルスピンをする。
男はジャンプでこれを避ける。
男は着地しながら神機を近接形態から銃形態に変えた。
アサルトだ。後退しながらボルグ・カムランの口めがけて水仙:ノーマルを放つ。麻痺属性つまりホールド効果がある弾丸だ。前はマグマ、後ろはC地点のシャッター付近と考えると良いだろう。
ドローバックショットはこの時代ではできないが、近い動きをしながら、男は下がり撃ちをする。
男はシャッターからA地点へ誘導し、マグマの場所から離れていく。標的と一定の距離を保ち、時々立ち止まっては水仙:ノーマルを撃つ。
ボルグ・カムランは活性化した状態で男を追いかける。
そうして、ボルグ・カムランはA地点に潜んでいる伏兵に気付くこと無く、男目がけて針で突こうとする。
伏兵は鋸のようなバスターを持った灰色の痩身の男だ。
バスターで針を叩き引く。
切断と破砕属性を持つこのバスターは、針にも前足にも有効打であった。
奇襲攻撃によるハイドアタックの加算、ホールドの数値が蓄積してることもあり、ボルグカムランはひっくり返った。
ボルグ・カムランは殺虫剤を浴びた虫のようにわずかに蠢いて、コアが停止した。
痩身の男は無線を出す。
隊長とオペレーターへ各一回連絡を入れる。
「こちらグレイ。討伐完了、そちらに向かいます」
帰投のヘリが地下の上を旋回する。
その音を、白い服の男は聞いていた。