出撃許可の下りた新兵。
ジェイクは贖罪の街に初めて来た。
ぽっかりと穴の開いたビルに太陽が浮かんでいる。
風が吹くと砂煙が舞う。
ジェイクは、アラガミの排泄物で固められた高台に立っていた。
鍾乳洞のように伸びきっていて、砂でコーティングされている。
目の前には廃教会。
ここはアラガミに見つかりにくい。
だからこそ、ここは出撃地点になっている。
ジェイクは2つを意識していた。
目の前の敵を倒す。
命令は遂行する。
「ねえ」
青い瞳がのぞき込んでいた。
ジェイクは驚いてバックステップする。
亜麻色の髪を一つにまとめて微笑む女。
楠ミノル。
顔立ちと名前の不一致から、混血だと分かる。
同じ苗字のリッカとは親戚ではないらしい。
ジェイクが所属する部隊の隊長にして偵察班の班長。
「緊張してる?」
「はい」
「毎日続くから、そのうち慣れるわよ」
「死なない程度に頑張りましょ」
隊長は朗らかに笑って背を向ける。
グリーンというにはやや苔色に近い制服で。
白い刃に金の装飾が入った柳葉刀。
四神刀白虎。
竹に虎といったように、隊長は周辺に溶け込むことが上手い。
地形に溶け込んでしまう。
「ほら、新人君。背後からやりなさいな」
「了解」
隊長は、正面ではなくアラガミの死角を狙う戦法を取る。
どの神機使いもそうだが…
隊長は目を細める。
表情は感情を伺い知ることが出来るものなのに、隊長の表情はどれも、何を意図したものなのかが掴めない。
「二匹ね。雑魚はジェイクに任せるわ」
※
一匹はコンゴウ。
待つ。
アラガミがこちらへ来るまで、僕たちはショートを構えて待つ。
3
2
1
僕の踏み込みより早く、隊長は跳び出した。
いや、同じ踏み込みなのに加速が違ったのだ。
隊長は虎のように、短い距離で得物をより早く下段から斬りかかる。
虎の牙の様に剣を動かす。
僕はオウガテイルに滑り込む形で斬りつける。
隊長はコンゴウのパンチに対しくるりと背中を合わせる形で回り込み、尻尾を斜め下から横に斬る。
中国の刀術みたいな動きだった。
膂力で押すのではなく、相手の進む力を利用した動き。
受け流し。
口角は上がったまま。
僕は隊長のはずなのに、味方のはずなのに恐ろしかった。
本やノルンでしか見ない蜘蛛のようだったから。
※
僕はオウガテイルを捕喰する。
隊長はコンゴウを。
「ジェイクは動揺せずに戦えたわね。中型なんか入ったらビビるか、調子に乗って戦おうとするのが多いのに」
「隊長がいたからですよ」
「おべんちゃらが上手いわねえ出世するわよ」
リッカと苗字が被ったのは偶然です。
ミノルは苗字を何回も偽装して変えまくっています。
カンナの師匠にして父の仇です。
アーク計画に勘付いたあるいは探るそぶりがあった人間を神機使い含めて始末していました。
上記については雀の鉄砲では深追いしません。