「嫌だよ。自分がなれないのが分かってて立候補するなんて。阿賀市が双裁になって宗理になった時、お呼びじゃないって言われるのがオチじゃないか。
======== この物語はあくまでもフィクションです =========
ここは、『去の国』。
俺の名は、加賀見進。別名「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。
俺には聞こえる。殺してくれ、と。
どこの次元でも聞こえている。
跳んで来たのは・・・どこかで声がする。
「嫌だよ。自分がなれないのが分かってて立候補するなんて。阿賀市が双裁になって宗理になった時、お呼びじゃないって言われるのがオチじゃないか。自治体議員の時も『票割れ要員』なんかしたことないのに。」
「お前しかいないだろ?柳生よう。」「でも、君田さん。」
そこは、どこかの料亭だった。
俺は、政府事務員の振りをして、仲居が持って来たビールを横取りした。
「料理は少し時間がかかるそうです。」と、ありきたりのことを言い、俺は下がった。
どうやら、与党の偉いさん会議のようだ。
「僕も嫌だな、『当て馬』なんて。誰かの台詞じゃないけどさ。人間は馬じゃ無い。『出馬』って、新聞が勝手に言い出したんでしょ。で、政治家は『尻馬』に乗った。」
「ウマいなあ。そうだったんだ。知らなかった。明日、後援会で話そう。」
どうやら、国のトップになる、与党双裁選挙の候補者と後援者らしい。中心にいるのは、前前宗理か。『どんぐりの背比べ』か。
引き揚げようとあいた時、女将らしきオンナに手招きされた。
和室だが、施錠をし、女将は俺の手を和服の襟に滑り込ませた。
「アンタ、どこのスパイ?私の体で聞いていい?」
「デブは嫌いなんだ。ごめんな。」
俺は跳んだ。
一旦、新聞社に跳び、この与党の実力者を調べ、江藤二郎という名前を覚え、『江藤二郎の自宅』と腕時計を触って念じた。
ここでも、驚かれたが、大物はやはり態度が違った。
俺は、自分の話をかいつまんで話した。
「面白い。君の使命は、歪んだパラレルワールドの各世界を修復することか。大抵は、その世界の隣国が黒幕で、下半身や銭にだらしない議員を操り、国を衰退させて乗っ取ろうとしている。で、双裁選挙で私が押している、破壊地菜絵子の命が狙われている。」
「そうです。私が見て来た世界では、女性のトップが決まっても、やはり命を狙われたり誹謗中傷を受けたりしていました。」
「政治家なんだから、誹謗中傷は受け止められて当然だ。殊に破壊地は強い、だが、君の言う通り、ただ命を狙われているだけでなく、隣国のヒットマンが来ると厄介だ。実は、私のいとこの元双裁も暗殺された。暗殺グループの策略だろう。洗脳されたに違いない犯人の裁判はまだ始まらない。ヤツはダミー、いや、囮で、本当のヒットマンがいると私も思っている。君が、そのヒットマンから破壊地を守ってくれるのかね?」
「はい。つきましては、狙われそうな時間と場所をお教え願いませんか?」
「よかろう。明後日、公会堂で、双裁選公開討論会がある。午後1時だ。それで、報酬は幾ら欲しい。」
「ヒーローはボランティアだから要りません。実は、次元管理局からも貰っていません。」
「分かった。任せよう。」
俺は、江藤と堅い握手を交わした。
討論会。破壊地の発言の時、異変が起こった。
破壊地以外の立候補者とMCのオンナが銃口を向けたのだ。
傍聴席にいた俺は、破壊地を跳ばした。自宅に。
弾丸は、空の椅子に全てめりこんだ。候補者達は、呆然として立っていた。
操られたのだ。
俺は、演壇に跳んだが、あのオンナのそっくりさんは、すぐに消えた。
俺も、すぐに跳んだ。
破壊地の自宅。
「候補者全員消えて、怪事件が起これば、オールドメディアは、『無かったこと』にするでしょう。記者会見では、貴方に化けたSPが素早く逃げたことにすればいい。」
止揚の言葉に、破壊地は、「結婚式には呼んで下さる?」と冗談を言った。
数時間だったが、体を合せた俺と止揚は、また別別に跳んだ。
俺の名は、加賀見進。別名「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。
そう。『歴史の修復』も『殺す』ことになるのだ。
いざ行かん、次の戦地へ。
―完―