「あれ?戸締まりした筈なんだが・・・何かご依頼ですか?」
中に入った俺は、南出弁護士に、いきなり自分の立場を明かした。
======== この物語はあくまでもフィクションです =========
ここは、『弁の国』。
俺の名は、加賀見進。別名「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。
俺には聞こえる。殺してくれ、と。
どこの次元でも聞こえている。
跳んで来たのは・・・弁護士事務所の前。
「あれ?戸締まりした筈なんだが・・・何かご依頼ですか?」
中に入った俺は、南出弁護士に、いきなり自分の立場を明かした。
「パラレルワールド・・・並行世界。まるでSFですね。詐欺でない証拠は?」
「この部屋の扉。外側錠と内側錠がありますね。オートロックではなく。」
南出弁護士は、施錠を確認した。扉を開けると、俺がいた。
南出弁護士が扉を閉めると、俺がいた。
南出弁護士は、改めて施錠をした。
頷きながら、「初めて見た。イリュージョンじゃない。テレポーテーションですね。」と言った。
数分後。堰を切ったように、この世界の惨状を南出弁護士は話してくれた。
「いてもたってもいられなくてね。隣国の侵略は、南から北から東から西から土地売買で領地を買収、産業は乗っ取り。司法・立法・行政、マスコミに『気化した』隣国人がいる。『スパイ防止対策法』は未だに成立していない。及ばずかどうかは分からないが、後押しもあって政治家になりました。これを見て下さい。」
と、南出が出した書類に目を通す前に、「スパイは現実にいる訳です。騒がれだした頃の名前のままでは意味がないと思います。酷会で法案出す時は、『スパイ追放撃退法』にされては?」と、俺は言った。
書面では、『活躍の弁護士は、大麦国からエサを貰っているスパイ犬だ』と書いてある。
署名は、隣国彼方の国の大使館だ。
「公文書で抗議ですか。隣国のスパイがいる、と南出さんがSNSで投稿しただけで。どの次元の『隣国』も短気だなあ。けんか腰じゃないですか。」
「私が所属した政党にでなく、私個人宛。後で言い訳出来ると思っているのでしょう。」
「それで、内側錠ですか。でも、ヒットマンは殺そうと思えばやってきますよ。」
「用心していたという証拠が・・・。」
「残念ながら、扉毎取り替えますよ、貴方を殺した後で。南出さん以外に狙われそうなのは?」
「党首です。いい人で熱血漢だが、隙だらけだ。例えば、女子高生が握手して下さい、と近づいたら、手を差し出すでしょう。因みに、『私の声』」が届いたんでしょうか?」
「さあ。でも、党首が暗殺されそうなのを見逃す訳にはいかないな。行って来ます。」
俺は、地方の応援演説に行っている、桃田誠一のところに跳んだ。
休憩しているところだった。「南出さんから頼まれまして。」
「ああ。それは、どうもありがとう。街宣カーで横に立ってくれる?」
「了解しました。」
立候補者が演説し、桃田が応援演説しようとしたら、「出てけ、非国民!!」と言って、発煙筒を投げた者がいた。
俺は、即座に、その暴漢に投げ返した。こう見えても草野球のピッチャー経験がある。
投げた男は逃げ惑い、すぐにSPに取り押さえられた。
応援演説が終わり、帰るクルマの中で俺は立候補者に言った。
「三度、台詞を間違えたね、偽物君。」
「はあ?」「いつ入れ替わった?」
立候補者はいきなり、ドアを開けて、跳びだした。
ここは、高速道路の筈だが・・・。
ホテルに帰ると、党の参謀の女性が待っていた。
「お帰りなさい、大変な目に遭いましたね。」
「台詞が1頁飛んだよ、大根役者さん。」
オンナは拳銃を素早く出して、桃田を撃った。
弾は命中した。オンナ自身に。
俺は、南出に電話し、『後始末』を頼んだ。
それと、オンナの脳から読み取ったので、「選挙事務所に有田氏が幽閉されています。」と付け加えた。
俺だって、やれば出来るんだぜ、止揚、ナオ。
さあ、次の世界に跳ぶかな?
俺の名は、加賀見進。別名「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。
人間でも、直接手を下す徒は限らない。
―完―