異次元の殺し屋   作:クライングフリーマン

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跳んで来たのは・・・財産省。財産大臣室。
「あなたが、万華鏡さんですか。お待ちしていました。」
「どうして、私の名前を?」初めてのパターンに俺は驚いた。



111.【酩酊の真相(The Truth About Drunkenness)】

 

======== この物語はあくまでもフィクションです =========

ここは、『信の国』。

俺の名は、加賀見進。別名「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。

 

俺には聞こえる。殺してくれ、と。

どこの次元でも聞こえている。

 

跳んで来たのは・・・財産省。財産大臣室。

「あなたが、万華鏡さんですか。お待ちしていました。」

「どうして、私の名前を?」初めてのパターンに俺は驚いた。

俺は、危険を感じて、彼の頭の中にある自宅に、一緒に飛んだ。

「成程・・・実は、貴方の上司の方から、部下に引き継ぐから、ひたすら『助けてくれ』と願うように、と言われました。交通事故に遭いそうになった時に助けてくれた方。力石さんとおっしゃた。最初は違う名前でしたが。だから、次元管理局のことは、お聞きしたいます。」

「力石は急用ができたのですね。では、この次元の国・・・何て名前ですか・・・実情をお聞かせ下さい。」

「ここは、『信の国』と言います。貴方が、幾つもの次元を『旅行』された世界と実情が似ています。先日まで、暴君が国のトップ、最宰相・石井でした。国のトップが替わり、新しい最宰相小宮の内閣として、私は財産相を仰せつかりました。私は、亡き叔父の香川正一の遺志を継いで政治家になりました。申し遅れました、香川翔太郎と言います。」

香川は、名刺をくれた。

「力石さんがおっしゃるには、私は叔父と同じ運命を辿るそうです。叔父は、酩酊記者会見を行い、信用を無くし、辞任に追い込まれ、不審死しました。今から16年前の事です。マスコミによって、『切り取り報道』をされましたが、記者会見の前にアルコールを口にする事はあり得ないのです。叔父は、所謂『下戸』でした。そして、会見の時、だんだんおかしくなっていました。風邪薬とアルコールのせいで酩酊に陥ったとされていますが、それもおかしな話なのです。叔父は風邪を引いていませんでした。車を運転する時も風邪薬を控えていました。会見の前に、風邪薬を飲むこと自体おかしな話なのです。」

「アルコール、ってワインですか?」「はい。」

「昔、聞いたことがあります。ワインは『口当たりがいいから飲み過ぎて酔っ払いになる』と。伯父様は、財産省に恨まれていた?」

「ええ。他の大臣をやっている時、批判していました。」「あなたもですね?」

「はい。」

 

俺は跳んだ。過去の香川の叔父の事件の頃に。推測はドンピシャだった。

そうか。力石は、叔父のピンチをそのまま救っていいものかどうか迷ったのか。

ならば、前進しよう。

 

時間軸を戻して、香川から今日、『就任記者会見』があることを聞き出した俺は、あちこち探した。

いた。奸計を巡らせる者達が。

前税務管理調査会長宮路、財産省事務次官葛葉、押売新聞の監査役城野、『マドンナ』と噂された三上今日子(今はババアだが)。そして、政府銀行頭取佐倉。

「あの時と同じ手筈で大丈夫か?」佐倉が言った。

「同じ血筋だ。同じ死に方すればいいさ。税金は、我々が儲ける為にあるんだ。下級国民は盲目的に払えばいいんだ。」

「『将を射んと欲すればまず馬を射よ』ね。世間は、新最宰相小宮にしか目が行ってないから、簡単なセレモニーね。」と、三上は言った。

「媒介は?」と葛葉が尋ねると、宮路が「新人議員の三原にやらせます。元女優ですから、芝居は得意です。」

 

夕方。香川は、ふらふらの状態で記者会見に現れたが、記者会見に臨むと、しゃきっとなった。

「今朝。職員諸君に訓示をしてきました。もう『暴君』の継承はしないので、無理矢理『増税』のアイディアを捻りだすことはない。これからは、『潤沢な預金』を国民に、いかに還元するかどうかを考えて欲しい、と。」

場内が騒然とする中、香川が指をスナップすると、スクリーンが現れた。

 

『同じ血筋だ。同じ死に方すればいいさ。税金は、我々が儲ける為にあるんだ。下級国民は盲目的に払えばいいんだ。』

 

記者達は、リール動画再生を急いで録画した。

 

いきなり、香川にナイフが跳んで来た。

香川は、演壇の『ミネラルウォーター』を飲んで、勢いよく吐き出した。

「SP。そのナイフを。ミネラルウォーターで濡れてしまったけどね。叔父は立派な政治家でした。座右の銘は、『同じ轍を踏むな』でした。新しい政治には、『周知の奸計』は通じない。警察・検察で、犯罪を明らかにして頂きましょう。尚、叔父の殺人に使った、風邪薬と称する薬剤もワインに似たアルコールも成分が判明しています。突然の心筋梗塞じゃない。『副作用』の心筋梗塞だったんだ。」

 

香川は、控え室にいた。香川に化けた俺と入れ替わる為に。

 

「本当に、何とお礼を申し上げたらいいのやら。」

「後は、貴方と小宮さん次第。堂々としていればいいのです。」

 

俺の名は、加賀見進。別名「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。

『信の国』も立ち直るだろう。

新しい国のトップを選んだ国民が愚かである筈がない。

 

さ。跳ぶか。

 

―完―

 

※風邪薬による副作用は衆知されていますが、モデルにした事件の真相は闇の中です。

飽くまでも、「推論」によるフィクションです。

クライングフリーマン

 

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