俺は、傍聴コーナーで観ていた。
ここは、新総理は男性のようだ。
======== この物語はあくまでもフィクションです =========
ここは、『規の国』。
俺の名は、加賀見進。別名「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。俺のことを仲間は、仮の名の「五十嵐」と呼ぶことが多い。
俺には聞こえる。殺してくれ、と。
どこの次元でも聞こえている。
跳んで来たのは・・・個会議事堂。
俺は、傍聴コーナーで観ていた。
ここは、新総理は男性のようだ。
だが、気骨は、他の次元の女性総理と変わらない。
「大型太陽光採取パネルに対する補助金は廃止。地域で必要なら、地元住民と自治体で話し合って、費用を捻出して下さい。電気会社に『賦課金』という名目の寄付をするのも禁止。地元で電気代が助かったという事例がありません。そもそも、自国でも生産しているのに、全面的に隣国製品にするのがおかしい。パネルの裏に通信装置が設置されていた事例もあります。エネルギー省には、他の自然エネルギーに切り替え、予算を廻すと『通知』してあります。石炭による火力発電も再開します。」
「横暴だ!!」「独裁だ!!」「前の総理の政権を踏襲しろ!!」
そういう野次が飛んだ。
議事堂に設置されたスクリーンに野次議員が映し出され、動画が再生された。
「『スパイ等防止法』に替わり成立した『国家危機対処法』に基づき、『議事妨害罪』を適用しますが、よろしいですね?反対の方は、起立の上、主張して下さい。」
法案の会議と違い、『質疑応答』の場面だ。他の次元では存在しない法律を既に『閣議決定』したか。やるな。青山総理。
いきなり、バタフライナイフが四方から跳んで来た。
俺は、総理を自分の横に跳ばした。
「随分、乱暴だな、隣国『品無国』のスパイは。」
「誰だ、貴様は。」
「魔法使いさ。それより、議員に化けたそいつらを逮捕しなくていいのか?」
すぐに、総理のSPが取り押さえた。
総理のSP隊長らしき人物が俺に近づいて尋ねた。
「あなたは?」
「総理の依頼で参りました、エターナルSPです。」
「どうやって、総理をここに?」
「イリュージョン、ですね。」
総理官邸。
2人になった俺は総理に事情を話した。
「あのヒットマンは、隣国から送り込まれたスパイ、というより偽者です。」
「そうですか。貴方は、次元を修復するために『調査の旅』をされている。そして、正しく無い歴史と判断されたら、軌道修正されているのですね。」
「大変なご苦労をされているのです。」と、俺の横に立ったのは、『帝の国』のプリンセスだった。
「え?」と驚いたのは、俺だけでは無かった。
「貴方は、皇女・悦子内親王様。」
総理の山畑は跪いた。
「え?『帝の国』のプリンセスでは?」
「はい。シン様。あなた様との『褥』が忘れられず、次元管理局のエージェントになりました。お父様も反対されませんでした。既に『正室』がおられることも承知しておりまます。私を『側室』の一人としてお迎え下さい。ところで、えつこ様、とは?」
「失礼。ここ、『規の国』のプリンセスに似ておられたので。」
そうか。狙われているのは、総理だけじゃないのか。
「総理。ひょっとしたら、皇室反対派が大勢いるのでは?」
「はい。過激な者は、一般人と恋に落ちたことを根拠に、皇室を前面否定しております。」
「では、もう一働きが必要ですね。協力して下さいますか、プリンセス。」
「エコと及び下さい。もう貴方の側室・・・オンナなのですから。呼び捨てて下さい。」
「分かった。じゃ、エコ。総理。内親王に会わせて下さい。」
「了解しました。実は今夜、皇室の宴がございます。」
俺とエコは変装をして、宴に参加した。
何の宴か知らないが、案の定、敵は現れた。
「皇室反対!皇室反対!皇室反対!」
何故かプラカードを持って入って来た黒覆面の男女。
人々が逃げ惑う中、プラカードの中から拳銃をとりだした。
「皇室反対派じゃないな、お前さん達。」
変装を解いた俺は、エコに合図を送った。
エコも変装を解き、『乗馬用のムチ』を出した。
「覚悟はよくって?答は聞かないけど。」
エコが振り回したムチは、あっと言う間に暴漢の10人の者の拳銃を跳ね飛ばした。
総理が合図すると、SP隊が雪崩込み、暴漢を排除した。
群衆に紛れ込んでいた、本物の内親王が俺に挨拶した。
「ありがとうございました。万華鏡さん。こちらの方は?」
「万華鏡の側室ですの。」
「まあ。」
2人の、容貌が似た二人は笑った。
あるホテル。
エコの所望で、褥を共にした。
「ありがとうございます、シン様。第一夜を達成しました。」
「第一夜?ひょっとしたら・・・。」
エコは恥じらいながら頷いた。
しまった。教授の罠か。
翌日。エコは俺より先に跳んだ。
俺の名は、加賀見進。別名「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。
さ、次に跳ぶぞ。
―完―