目の前にいたのは、『輸の国』で出逢った、蔵前悦子看護師長だった。
「お待ちしておりました、神様。」
「神様は止めて欲しい。ひょっとしたら、蔵前さんもスカウトされた?」
「私では、お役に立てませんか?神様。」
======== この物語はあくまでもフィクションです =========
ここは、『熊の国』。
俺の名は、加賀見進。別名「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。俺のことを仲間は、仮の名の「五十嵐」と呼ぶことが多い。
俺には聞こえる。殺してくれ、と。
どこの次元でも聞こえている。
跳んで来たのは・・・病院。
目の前にいたのは、『輸の国』で出逢った、蔵前悦子看護師長だった。
「お待ちしておりました、神様。」
「神様は止めて欲しい。ひょっとしたら、蔵前さんもスカウトされた?」
「私では、お役に立てませんか?神様。」
「あだから・・・五十嵐って呼んで下さい。皆そう呼んでる。ところで、ここは、『輪の国』じゃないよね?」
「はい。ここは『熊の国』です。名前の通り、熊を祀った神社もあります。でも・・・私が調べたところ、熊は神様でなくなりました。太陽光抽出パネルを無尽蔵に設置した為、エサを求めて山を下りた熊たちは、人間がいようがいまいが、食料を漁り始めたんです。もう冬眠もしないのではないか、と言われています。他の次元同様、党内政権交代が起こりましたが、『輪の国』のあの男に似た男が、党内の反対派になって、色んな攻撃をしています。その1つが『熊対策』です。法律の縛りがあって、愛国隊は直接銃で撃てません。何故か撃つ許可証がある猟友会のみ自由に発砲出来ます。警察も同様です。『やむを得ない場合』でも、内外から愛国隊と新宗理が責められます。」
「他の次元に習うと、設置するだけで補助金が出て、発電なんかどうでも良くなっている。それどころか設置の為の賦課金を電気代に上乗せしている、本末転倒で、人民の電気代節約にならないでいる・・・違ってる?」
悦子はいきなり俺にキスをした。
後で・・・と言おうとしたが、政府事務員だ。
「お盛んだな。」と言い捨て、事務員は去った。
「済みません、はしたないことを。」
「いいよ。楽しみは後にとっておこう。この国のキーパーソンは?」
「10年前、その補助金制度が刻会で決まる前、危険性を説いた学者がいます。暗殺されました。」
「よく調べた。タイムリープは使えるか?」「まだ、能力は何も・・・。」
俺は、悦子を『お姫様だっこ』して、その時間軸に跳んだ。
歩いている高校生からスマホを掏摸して、その学者の位置を掴んだ。
悦子が、高校生を追い掛けた。「これ、落したわよ。」
「ありがとう。」
俺達は、新町恒安教授の自宅に跳んだ。
教授は、驚いていたが、興味を示した。
「SFは大好きだよ、明日の参考人聴取会で意見を言った者全員が暗殺され、賦課金反対派の口が塞がれるのか。で、私は何をすればいい?私達かな?」
俺は、用意した地図と原稿を渡した。
翌日。新町教授他四人は、『熊ハザードマップ』を開き、危険地域以外のみの設置にし、メーカーは国内限定にするべきだと。どの次元でも、先行きを考えていなかったから隣国の罠にかかったのだ。
その頃、設置推進派のピンチを知った隣国から、入国した5人は、空港で足止めを食った。手荷物から麻薬犬が麻薬のにおいを嗅ぎ分けたのだ。
別室に悦子が案内し、俺はホワイトホールに送り込んだ。
ある人が待っている、と言って。
空港のホテル。
悦子は大胆なことはしなかった。
だが、局長から聞いた話をしてくれた。
「五十嵐さんとクロスオーバーすると、静まっていた能力が開花するそうです。私、お妾さんでいいです。ほんの少しでもあなたの役に立てるなら本望です。」
クロスオーバー、は短かった。
いつか、本気で抱いてやろう。まずは任務だ。
2人の腕時計が光った。
俺の名は、加賀見進。別名「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。
今回は、悦子の望み通り、『無血解決』だ。それでも、あの男の政策はいつかはコケる。
今は、クマを救っただけでも上出来だ。
さ、跳ぶぞ。
―完―