異次元の殺し屋   作:クライングフリーマン

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「五十嵐、ちょっと来い。」
梅子は俺を外に連れだした。
「この次元の『驫の国』は安全だ。それより、『干の国』に跳べ。局長からの指令だ。」
「安全って、どういうことです?」



133.【内政干渉(interference in internal affairs)】

 

======== この物語はあくまでもフィクションです =========

ここは???

俺の名は、加賀見進。別名「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。俺のことを仲間は、仮の名の「五十嵐」と呼ぶことが多い。

 

俺には聞こえる。殺してくれ、と。

どこの次元でも聞こえている。

 

跳んで来たのは・・・新聞社玄関。

そこにいたのは、局次長梅子だった。

「五十嵐、ちょっと来い。」

梅子は俺を外に連れだした。

「この次元の『驫の国』は安全だ。それより、『干の国』に跳べ。局長からの指令だ。」

「安全って、どういうことです?」

「新政権の宗理は『隣国派』の人間を全て追い出したそうだ。しかもだ。野党の中にも『隣国派』以外の党が台頭してきた。そして、隣国は、他の国と戦争を始めた。つまらない諍いをきっかけにな。私も次の任地に跳ぶ。」

「了解です。」

俺は、腕時計を触って、『干の国』と念じた。

 

跳んできたのは、また、新聞社玄関。

お誂え向きに、広報ビジョンにニュースが流れている。

「隣国まあジャン国領事館の、『宗理の首を討ち取ってやる』という暴言に、本国から『渡航禁止』の指令が出て、古場宗理は、『安全保障問題に関する危機の為』、領事館の外交官に撤去を指示しました。古場鷹之助宗理は、名前通りの鷹派で知られており、友好国であるバナナ国が有事の際には、うってでると発言されていました。隣国まあジャン国本国からの罵倒の声明を受けて、『内政干渉するなら国交断絶』と、宗理は反発しました。野党の猛反発が始まりました。」

「また、偏向報道やら切り抜き報道やらが始まるな。ジャーナリストでなく、『ジャーマリスト』だ。金や色で釣られた奴らばかりだ。」

清掃員の格好をした高齢者が、吐き捨てるように呟いた。

「おい、そこのジジイ、今、何て言った?」

「隣国に尻尾振ってる『犬』ばかりだと言ったんだ。」

「何だと?」と、会社の課長代理の名札をぶら下げた男が手を挙げたので、俺がその手を捻って倒した。

「社員の教育がなってないな。」

「すまんな、若いの。社主として詫びを入れよう。」

そこに援軍が現れた。10人はいる。

「どうした、有田君。」

「あ、部長。このジジイが・・・。」

「待て。ひょっとしたら、松平様では?社主の。」

「控えおろう、この方は、実景新聞の社主、奥信重郎様だ。」

「ははーっ!!」

 

え?ここ時代劇の撮影現場???

 

社主奥の自宅。

「自分の作った会社だからね。愛着あるから、時々掃除してる。メタボ予防に。あんた、なんであそこに?今日は一般見学無い日だが。」

大物と睨んで、俺は身分を明かした。

「ほう。じゃ、『次元管理局』ってのは、『次元警察』みたいなものかね?こう見えてもSFは好きなんだ。パラレルワールドかあ。」

「警察でもないですけど、今話した通り、次元を歪めた犯人がいる筈なんです。歪められた次元では、悪政が続いたり、奇妙なことが起こっている。」

「確かに。隣国は、これまで政治家やマスコミを抱き込んで、静かに侵略を開始してきたのに、それを引っくり返そうと立ち上がった新政権になった途端、攻撃的になった。新宗理は抱き込めないタイプだからな。」

「社主の会社もマスコミでは?」

「ああ。系列会社のテレビは、『右へならえ』してるな。お恥ずかしいことだ。」

「領事館の暴言で火が点いたってことですか。」「うむ。ことによると、ヒットマンを送り込んで来るかもな。実は、4代前の宗理は暗殺された。マスコミは、その元総理に非があったような報道をした。根も葉も無いことでっち上げてな。裏切り者達が協力したから。」

「では、今回も裏切り者が出るとか?」

「閣外にな。流石に古場も近くに裏切りそうなのは置かなかったが、宗理を決める際に、党内議員が真っ二つのグループができた。負けた方は悔しくてならない。マスコミ抱き込んで、新宗理の邪魔ばかりする。」

「ジャーマリスト、ですか。」「左様。」

「裏切りそうな人物をピックアップして下さい。」

「ピックアップしなくても、今夜、動くよ。」

「え?」

「新宗理就任祝いの会。いかにも、だろう?売れ義理者オールスターの企画だ。」

 

午後7時、はえなわプリンセスホテル。

監房長官の音頭で、乾杯がなされた。

下戸の古場は、お茶で乾杯したが・・・。

「どこのお茶だろう?あジャン国のお茶かな?流石に本場は味が違うな。」

会場はざわついた。

 

ヒットマンが現れ、宗理を撃った。

だが、弾丸は、宗理を通り抜け、壁にめり込んだ。

「ようこそ、イリュージョンへ。」

給仕に化けていた俺は、ヒットマンをねじ伏せた。

「誰か、SPを。」

SPが来て、ヒットマンを連れ去った。

どこからか、音声が流れた。

宗理を亡き者にするための会議の録音だ。

 

宗理官邸。

宗理と大臣達が揃ってお辞儀をした。

 

あの爺さんにも挨拶したかったが、時間が無さそうだった。

 

俺の名は、加賀見進。別名「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。

 

世の中、色んな人がいるな、と感心して、俺は跳んだ。

 

―完―

 

 

 

 

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