厚生推進大臣植村等が、頭を抱えている。
彼の頭の中を素早く読むと、やはりこの国『気の国』も、悪政に変わって新体制に移ったようだ。新宗理は、鷲尾進。『タカ派』で知られる人物だ。
======== この物語はあくまでもフィクションです =========
ここは『気の国』。
俺の名は、加賀見進。別名「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。俺のことを仲間は、仮の名の「五十嵐」と呼ぶことが多い。
俺には聞こえる。殺してくれ、と。
どこの次元でも聞こえている。
跳んで来たのは・・・厚生推進省。大臣室。
厚生推進大臣植村等が、頭を抱えている。
彼の頭の中を素早く読むと、やはりこの国『気の国』も、悪政に変わって新体制に移ったようだ。新宗理は、鷲尾進。『タカ派』で知られる人物だ。
「成程。中途半端に譲歩したお陰でビールスを『輸入』してしまうことになった訳ですか。些細な事で逆上して来た隣国に毅然とした態度で臨んだお陰で。でも、世論はまだ味方してくれている。宗理は判断を誤ったとは言えない。」
「あなたは一体・・・。」
俺は、正体を明かし、植村大臣に説明した。
十数分の後、彼は言った。
「よく分かりました。多次元の自然な形を崩して膨脹させ、それぞれの次元で悪い事が起こっている。その修復というか世直しと言うか是正をしながら、『本当の悪党』を追っているのが万華鏡さん他のエージェントである、と。何とかなりますか?我が国に起こっているのは疫病、流行病ですよ。他の次元でもありましたか?」
「いや、初めてのことです。でも、十年前の流行病は共通しているようですね。敵は、『美味しい』商売をした、いや、させた。この国の『金食い虫』を利用して。前大臣の、『流行病の際の例外』という文章、拝見出来ますか?」
「何故、それを?ああ・・・私の心を読んだのですね。流石だ。その通りです。」
植村は、その資料の電子ファイルを開け、PCを俺の方に向けたので、ざっくり読んだ。
「これじゃ、契約じゃないですか。他の次元の多くは、鎧武大臣が無期限の移住を勧めた為、大問題になっている。十年前の流行病も隣国が持ち込んだ疑惑があるのにうやむやになったままだ。新しい型のインフルエンザも十年前に習え、という訳ですか。」
「私は、旧来のインフルエンザも発祥が隣国と言われながら、『防戦』一方だったと思っています。これでも元々は医者です。自然発生と言えるのは僅かな種類だと信じています。フライング・スパークスもおかしな現象です。あ、『飛び火』は不自然なんです。十年前に流行ったゴロニンも、あっちで感染が広がったこっちで感染が広がったという状況がおかしいんです。全く感染しなかった自治体も最初は多かった。最終的に国内地図は全て塗りつぶされたけど、まるでカンバスにあっちを描きこっちを描きしているような印象でした。今言った、なかなか感染が広まらなかった自治体は、海路空路がないんです。『人の往来を止めろ』って自粛が強要されたけど、人の往来はあったんです。どこでも。今回も、感染が広まっているのは、港や空港のある自治体の近くからです。」
「間違いなく、隣国人が『輸送』していますね。何でビールスが『ビジネス往来』の人間を『例外』にしてくれるんでしょう?おかしいですね。」
「それと、他の次元ではどうかは分からないが、『不活性』枠朕を全面的に止めて、新しいタイプの枠朕に切り替えて、誰も文句を言わない言わせない。爆発的な流行だから数が足りないと言うのなら、少しでも併用すればいいのに。『オール オア ナッシング』でしか考えられない隣国人の発想です。今おっしゃった『ネガソーラー』の件もね。」
「前政権の、『契約書』を交わしたと思われる人物を教えて下さい。『金の流れ』は『物流の流れ』です。」
「成程。」
大臣は、PCの『メモノート』アプリを起動させ、人物名を書いた。
「記憶しました。記録しないで終了させて下さい。」
ハッキングしても、記録が残らなければコピーは出来ない。
俺は、3年前に跳んだ。鎧武大臣室に、厚生推進大臣、宗理大臣、税務省大臣、税務調査会長が集まった。
そこに、隣国の大使が来た。
3年後に、「宗理の汚い首を伐ってやる」と暴言を吐く人物だ。
俺は、その、ゼッケン大使が持って来た、頑丈なアタッシュケースをホワイトホールに送り込んだ。
その代わり、びっくり箱等のオモチャ、いろはかるた、諺辞典の入ったアタッシュケースを出した。
「現政権は、存続を危ぶまれています。後年、ハニトラにかからなかった人物が宗理になった時、『また』これを流行らせます。これはサンプルです。大事にとっておいて下さい。」
そして、時間軸が流行病の流行りだした頃に跳んだ。
最初に流行った自治体の港の税関が、那珂国人を呼び止めた。
那珂国人は、税関職員に金を出したが、『国際指名手配』されている、と税関職員は言った。
厚生推進省。大臣室。
「厳重な取り調べをされて、国外退去。持ち込む予定だったアタッシュケースには、オモチャ。そして、持ち込むのはビールス以外にすること、と書いた手紙、更に、墨で塗りつぶした『契約書』。向こうで死刑にしてくれるでしょう。」
大臣と宗理は、揃って頭を下げた。
「多分、短絡思考の偉いさんは、自ら『国交断絶』を言って来るでしょう。宗理は、『そうですね、そうしましょう。』とさえ、おっしゃればいい。損をするだろう、とイジメをして来ても、他の国が応援してくれますよ。損をするのは、ハニトラにかかった人達だけ。ハニトラにかかった人達のリストが手元にある、位言ってもいいかな。」
「宗理が狙われませんか?」
「その時は、次元管理局が動きます。」
俺の名は、加賀見進。別名「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。
今回は、直接殺していないが、みすみすビールスの餌食になる人達を救えた。
それでいい。
腕時計が光り出した。時間か。
―完―