屋形船か。貸し切り?
着物を羽織っただけ、のオンナが俺の横で微笑んでいる。
「目が覚めた?オジサン、相変わらず激しいね。貯まってたの?」
「風邪、引くぞ。」
「はいよ。ここ、冷暖房完備。船の上じゃないよ。ラブホテルだから。」
======== この物語はあくまでもフィクションです =========
ここは『正の国』。
俺の名は、加賀見進。別名「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。俺のことを仲間は、仮の名の「五十嵐」と呼ぶことが多い。
俺には聞こえる。殺してくれ、と。
どこの次元でも聞こえている。
跳んで来たのは・・・船の上。
屋形船か。貸し切り?
着物を羽織っただけ、のオンナが俺の横で微笑んでいる。
「目が覚めた?オジサン、相変わらず激しいね。貯まってたの?」
「風邪、引くぞ。」
「はいよ。ここ、冷暖房完備。船の上じゃないよ。ラブホテルだから。」
服を着て、ミミーに尋ねる。ミミーは、『涙の国』で出逢った。
俺には、何故か正室の他に側室が10人いるらしい。その一人だ。
「ここの次元の様子は?」
「この次元でも、新体制の政権の宗理は女性。新貝紀子。『新貝辞めろ』デモが始まった。で、テレビのワイドショー。コメンテーターがゴメンテーターになってる。」
「何、その駄洒落。」
「コメンテーターの一部やゲストの専門家が勝ってる、反体制コメンテーターに。」
「いいことじゃないのか?」「裏がありそうだね。」
「デモの場所に案内してくれ、ミミー。今も可愛いな。」
「ゆうべも、そう言った。あのさ。平和になったら、私、用済み?」
「そんなことないだろ。」「・・・。」
俺達は、辞めろデモの場所に行った。
何故か、MHKの前だった。
準備中のようだ。プラカードを見て、一目で『異民族』だと分かった。
そして、集まった連中の顔も言葉も異民族を物語っていた。
MHKはここでも公共放送だ。
その公共放送の職員らしき名札の男がやってきた。
金を配っている。
陰で見ていた俺達は、やはり、隣国の仕業だと確信した。
次に、SBTに行った。
「五十嵐。これで探してみて。」
「ん?何、これ。」
「異民族探知機。この国の民族DNAと違うDNAを見付けると、青く光る。」
「誰が発明したのかな?」「次元管理官。五十嵐が『教授』って言ってる、偉いさん。」
「へえ。」
局内をあちこち歩いていると、警備員がやって来た。
「ええと。観覧者の人達?」
「トイレ借りて出てきたら、迷っちゃって。」とミミーが言ったので、俺は保護者の振りをした。
「ああ。政治討論番組なら、2時からですよ。後5分しかない。行きましょう。」
探知機は、青く光っていた。
俺達は、親切な警備員に連れられ、スタジオに入った。既に座席は満員で、俺達は立ち見に混じった。
テレパシーに切り替え、ミミーは呟いた。
「左側が、いつも悪口言ってる人、右側が最近掌返しした人。」
どちらも探知機は青く光っている。
対談が、30分も続いた頃、さっきの警備員が乱入して、右側の出演者にナイフを刺した。
ナイフは、その出演者の『右腕』を掠った。
他の警備員が来て、あの警備員を取り押さえた。
その警備員も、探知機で確認すると、青く光った。
暫くして、警察官と救急隊員がやってきた。
どちらも青く光らなかった。
救急隊員は、出演者に手当をして、連れて行った。
番組は当然、途中で公開収録中止になった。
俺達は、帰る振りをして、悪口コメンテーターの楽屋に行った。
悪口コメンテーターとMCとプロデューサーが談笑していた。
「成程な。」と俺が姿を現わすと、女性プロデューサーは拳銃を我々に向けた。
「今日のツレは違うな、万華鏡。」
「ああ。持てる男は辛いよ。お前も『相手』して欲しいのか?」
「っさい!!」
女性プロデューサーが撃った弾は、全て壁にめり込んだ。
ミミーが全て弾き跳ばしたからだ。
「今すぐ、警察呼んで、そいつを突き出せ。アンタらが異民族でも、そいつのような悪意は感じない。台本通り動いていたんだろう。約束守れよ。」
ミミーが言い捨て、俺達が外に跳び出ると、警察のパトカーが到着した。
翌日。朝のニュースで、新宗理の会見が映った。
「どうやら、私を追い詰める為の第一段階だったようです。」
俺の腕時計が光った。
ベッドのミミーが言った。「五十嵐。もう行くのか?」
「ミミー。平和になっても、誰にも『用済み』にはさせないよ。」短く、げんまんをした俺に、ミミーは涙をこぼし、「ありがとう。」と言った。
俺の名は、加賀見進。別名「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。
ミミーを初め、俺と関わったオンナは、皆協力者になっていた。
前は気に掛かったが、今は違う。
俺は、世界を救うと同時に、愛する女達も救う。
さ、跳ぶか。
―完―