店内から。声がかかった。
「待ってたわ。あなた。ちょっと待って。店長!!」
その女は店長に退職を願い出た。
======== この物語はあくまでもフィクションです =========
ここは、『歴の国』。
俺の名は、加賀見進。別名「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。俺のことを仲間は、仮の名の「五十嵐」と呼ぶことが多い。
俺には聞こえる。殺してくれ、と。
どこの次元でも聞こえている。
跳んで来たのは・・・コンビニ。
店内から。声がかかった。
「待ってたわ。あなた。ちょっと待って。店長!!」
その女は店長に退職を願い出た。
「折角、慣れてきたのに。元気でね。ちょっと待って。」
店長は億に入って、また戻って来て言った。
「給料と餞別。頑張ってね。」
その女に促され、店を出て気が付いた。
「ひょっとして、阪田尭世さん?『算の国』の?高校生の。」
「もう卒業したわ。様子を見に来たオジサンにオンナにして貰った。覚えてない?」
「覚えてないことが多い。」
「やっぱり管理官や局長に言う通り、能力を分け与えておいて、相手のこと、忘れちゃうんだ。」
「ごめん。」
小さな公園のブランコに乗りながら、尭世は言った。
「この国、『歴の国』でも、悪政が続いている。まだ新政権は誕生していない。他の次元より長いんじゃないかな。曹祭選挙して、他の候補者が暗殺か自殺で、自動的に継続。」
「自殺は、ないだろ?」
「私も、そう思う。私、オジサンとなら何でも出来る気がする。だって、セックスすると能力が引き出されるんだものね。」
「声が大きいよ、尭世ちゃん・・・尭世さん。」
「尭世って呼んで。皆志願して、『側室』になるんだって?また、セックス出来るから。」
「だから、声が大きいよ。下校時間だぜ。」
俺と尭世は、宗理私邸に配達員になりすませて配達した。
どうやら、ここの国のトップは、ピザが好きらしい。
本物の配達員は、買収して帰らせた。
制服は適当だが、警備員はすんなり通した。
いつものことなのだろう。
ピザには、別段毒は入っていないし、用意する暇も無かった。
尭世が用意した超小型盗聴マイクが仕込んであるだけだ。
どういうわけか、いつの間にか、尭世のバッグに入っていたらしい。
俺達は、用意したライトバンの中で、SNSに生中継した。
お誂え向きに、私邸に集まった税調査会長、国財務大尽、亜監房長官、涯務大尽、庶務大尽が揃っていた。
「意志阿呆宗理、今度の浪費税は20%ね。各議決定ってことで。」と司会役の税調査会長が言った。
「ええ?いきなり倍ですか?」
「倍じゃ無いよ。10%足すだけ。輸出業者困ってるんでしょ?涯務大尽も国外ばら撒きに必要だよね。」
「国民も困るって、デモやりますよ。」と亜監房長官が言うと、「虚産党に発注して、逆のデモやればいい。庶務大尽、よろしくね。SNSはデマ、テレビは正解。あいつら殺してまで体制維持してるんだから、国民なんかほっとけば良い。貧乏人は一生貧乏人。絶対ト届かない給料目指す、働き蟻。」
一同は笑った。
国中の街頭スクリーンに、偉いさん達の声が流れた。
そして、退室時、仕掛けていたセンサーカメラの生映像が流れた。
「殺さなくていいの?オジサン。」
「私も、それを聞きたいな、『オジサン』。」
街頭スクリーンを見ていた俺達は、敵側のオンナに銃を向けられた。
「バーン。」尭世が言うと、敵側のオンナは倒れた。心臓麻痺か。
俺は、オンナをホワイトホールに送った。
尭世と俺の腕時計が同時に光りだした。
「尭世。いずれ総力戦になる。チカラになってくれ。」
尭世は、いきなり俺にキスをし、言った。
「ご褒美は、平和になってからでいいよ。私は、オバサン達より激しいよ。覚悟して。」
尭世の腕時計は点滅を止め、尭世は消えた。
俺の名は、加賀見進。別名「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。
ひょっとしたら、俺の『その能力』って天分じゃなく、次元管理局から・・・。
思っている内に、俺も跳んでいた。
―完―