異次元の殺し屋   作:クライングフリーマン

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25.【思惑(speculation)】

 

======== この物語はあくまでもフィクションです =========

ここは、『重の国』。

俺の名は、「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。

 

俺には聞こえる。殺してくれ、と。

どこの次元でも聞こえている。

 

跳んで来たのは、ある家の書斎。

どこかに似た風景だ。

この家の主の心を読んだ。

「防犯装置の故障とは思えないが、プロの強盗さん?」

射すくめる様な視線を感じた俺は、今回も『南極ボケ』を封じた。

すぐに見破り、論破するだろう。

男は、元皇帝製紙の会長で、今は世評を趣味にしている。

政界にも実業界にも精通し、常識も持っている。

 

「まるでSFだな。」元会長井桁弘氏は呟いた。

「詰まり、次元を渡り歩き、趣味で『世直し』をしている超能力者で、自称・異次元の殺し屋か。ゲームみたいにアイテムで召喚するんじゃないんだ。」

「超能力者は当たっているかも知れないが、召喚ってモンスターみたいだけどな。」

「失敬。褒めた積もりだったが・・・俺の心が読めて、心の中の『助けてー』が聞こえるんだ。」

 

ここでも、国の代表の我が儘に翻弄されているらしい。

「見越した訳じゃないだろうが、『重の国』憲法や諸々の法律を作った時、独裁を止める手立てを打っていなかったらしい。今の話だと、他の次元でも似たり寄ったりだ。まあ、並行世界だからな。それなら、どこかに『お手本次元』があるのかな?跳ぶ時に時間軸がずれたみたいだよ、えと・・・何て呼べばいい?」

「そうだな。渡瀬、でどうだろう?」

「渡瀬ね。昔、好きだった役者の名前だ。それで行こう。どうせ次元を跳んだら、俺の記憶から消えるんだろうが。」

そうでもないが、黙っておいた。

 

彼のPC台に連動して映っているディスプレイを見て、『ずれている』意味が分かった。

今日は、8月15日。敗戦の日だ。

英霊を偲ぶ式典で、この『重の国』の行儀大臣である伊島実は、用意されたプリントを放って、『アドリブ』?で世界の人々に向けて、爆弾発言をした。

「80年前の戦争は『ひとえに』『重の国』の責任であり、国民は永代に渡って償う必要がある。ここに、補償金と、『移民・在住の外国人優先』を約束しま・・・。」

 

その時、会場と、TV中継で観ている視聴者は、度肝を抜かれた。

何十発という銃弾が、伊島の体を貫通したからだ。SPは間に合わなかった。

救急車が呼ばれたが、生きて戻って来る可能性は皆無だった。

警察の鑑識は苦労した。

 

TV中継は、中断された・・・かに見えたが放送された。更に、生の映像は、SNSで全世界に拡散された。SNSに国境はない。

 

この行事の時、井桁は後援会で講演をしていた。

 

講演会の講演が終った時、控え室に戻った俺は、井桁に言った。

「国葬儀を行わないようにした方がいい。それが出来るのは、あんた1人だ。」

 

そして、俺は、壁をすり抜けた。

 

俺の名は、「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。

今回は、特別だ。各人の『ご先祖様』へのサービスだ。

 

そして、次の世界に跳んだ。

 

―完―

 

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