異次元の殺し屋   作:クライングフリーマン

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31.【誤算(miscalculation)】

 

======== この物語はあくまでもフィクションです =========

ここは、『計の国』。

俺の名は、「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。

 

俺には聞こえる。殺してくれ、と。

どこの次元でも聞こえている。

 

跳んで来たのは、あるTV局。あるスタジオの前の廊下。

討論会の収録をしていたらしい。

スタッフが、あたふたと駆けずり回っている。

 

俺はディレクターの心を読んだ。

成程、これは大変だ。こともあろうに激高した与党の党首が、野党の党首を殴りつけ、即死した。

俺は、それとなく、放置していた大道具さんの道具袋を腰に巻き、様子を伺った。

救急隊員が到着、野党党首は、ストレッチャーで救急車に裏口から運ばれた。

 

替わりに、増量省職員が何人か来て、打ち合せが始まった。

30分後、『偽の収録』が始まった。

シナリオとカンペ、つまり、カンニングペーパーが飛び交った。

この日の為に野党党首のそっくりさんが『影武者俳優』として呼ばれた。彼は後ろ向きに座っているだけだ。ADがやってきて、ディレクターに耳打ちした。

どうやら、収録後、『影武者俳優』の声を『影武者声優』が当てるらしい。

 

そして、殺人事件は、無かったことになった。

仕事が終って、セットの解体後、大道具楽屋にそっと、道具袋を返して置いた。

食堂に行き、何食わぬ顔で食事していると、照明スタッフがわざわざネタを提供してくれた。

明日、どこかの川で、野党党首の『自殺死体』が上がるらしい。

 

翌日。お昼のニュースで、TV収録した討論会が流れた。

与党党首が、隣国に「先の戦争で悪いのは我が国だ徒発表して何が悪い?」と、野党党首に詰め寄っている。

野党党首は言った。「それって、あなたの感想ですよね。民意みたいに発表する、それも前もって宣伝する。国民が納得すると思いますか?あなたの国民って、どこの国の国民ですか?」

「馬鹿野郎!俺が一番偉いんだ。俺が決めたことが正義なんだよ、若造!!」

野党党首は押されて『セット』の下敷きになり、倒れた。誰が見ても流血している。

照明マンの声が被る。「収録し直しだってさ、影武者で。死んだ当人は『世をはかなんで自殺』。ったく、ドラマかよ。ドキュメンタリーも糞もないわ。」

 

喫茶店のウェイトレスが言った。

「国のトップが殺人犯なんて・・・狂ってる。」

「全くだ。」俺は大きく頷いた。

俺は、勘定を済ませ、店を出た。

どの次元も腐ったヤツのお陰で腐っている。

 

変わらないのは、今の時間軸が「夏」ってことだ。

 

俺の名は、「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。

 

だが、トドメは刺して置いた。

 

さあ、次の世界だ。

 

―完―

 

 

 

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